ヨンデリーヌ・ヨンデルホンのビミョーなる書棚群

加齢なる 読道生活半世紀。 歯磨き、活字は、生活習慣。 

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君に太陽を

2017年04月18日 | ものがたり[海外]棚
ジャンディ・ネルソン  集英社文庫

引き続き、昨年読了本…(最早、印象しか残っておらず…)

美人で快活、人気者のジュードと、絵描きを夢見る内気な少年ノアは、双子の姉弟。
13歳の二人にとって、青春はまだやっと始まったばかり、甘酸っぱいような輝く日々…

しかし一転した舞台には、14歳~15歳をとびこえて、16歳になった二人が登場する。
なぜか美術学校に通っているのはジュードの方で、
ノアは絵のことなど忘れたかのように普通の男の子に成長している。
性格まで入れ替わってしまったような二人。
13歳から16歳。
この空白に起きたことは、本当は何だったのか…


敢えてジャンル分けするとすれば、青春小説、今風にはヤングアダルト、というところでしょうか。
各章は、ジュード、又はノアの一人称で、概ね交互に進むのだけど、
ちょいと閉口するほどの、溢れんばかりの饒舌さ…
しかし、それこそがこの作品の「味わい」です。
このオバさんですら、そういえば10代ってヤツは、自意識「超」過剰で、頭ン中は常に言葉が渦巻いていたものよ、と思い出すのです。
饒舌をもって物語を進めることが、この作品には必要なのです。

狂おしいほどの二人の自意識に、青春に、併走するようにページを繰る手も若返ったかのように弾みます。
のみならず、13歳から16歳に起きた「何か」が次第に形を現していく様は、ミステリーにも似て、更にページを繰る手に拍車がかかるのです。

ストーンウォールオナー賞 受賞、
マイケル・L・プリンツ賞 受賞。
ま、どんな賞だか知らないけれど。

ニューヨークタイムズ紙のベストブックにも選出され、ワーナーが映画化権もゲットしているとか。ま、参考まで。


p.s. ノアの心の声にたびたび登場する、脳内画題がイケている。
(題名:双子。懐中電灯と懐中電闇)
(題名:家族の肖像 不時着時の姿勢を取る家族)
(題名:少年の中で息を止める少年) etc.
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ジョイランド

2016年08月04日 | ものがたり[海外]棚
スティーヴン・キング  文春文庫

僕が大学生だったあの夏、彼女に手酷くフラれたあの夏… 僕は海辺の遊園地「ジョイランド」でのアルバイトにありついた。観覧車、メリーゴーランド、占い、射的、そして幽霊屋敷。その幽霊屋敷には、以前そこで殺された女の子の幽霊が出るという。
話に聞く幽霊に強く惹かれていった僕は、やがて各地の遊園地で過去におきていた殺人事件の数々にたどり着く…


失恋、友情、新しい出会い。
青春要素満載です。

「ミステリー」と謳っていますが、
そりゃもうキングですもの。
その上、青春モノですもの。
たっぷりと味わえるのは「ものがたり」の愉悦です。



そういえばこのブログのスタート記事は、「リーシーの物語・下」だったっけ。
キング作品は、隅から隅までキングに浸ることができるか、
または思いっきり置いていかれてしまうかのどちらかで、
「リーシー…」は久々の後者。

その反動もあるかもしれないけれど、「ジョイランド」は前者です。
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ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅

2016年06月26日 | ものがたり[海外]棚
レイチェル・ジョイス  講談社文庫

ハロルド・フライは、妻モーリーンに邪険にされている、65歳のリタイア世代。ある日ハロルド宛に届いた、昔の同僚クウィーニーからの手紙は、彼女が末期癌であることを知らせるものだった。ハロルドは、返事を書いて郵便ポストへ向かうのだが、、、

ジャケ買いの一冊でしたが、大正解。

タイトル通り、「思いもよらない」状態で、ハロルドは1000キロの道のりを歩きだします。
クウィーニーに会いに。
1000キロ、ピンと来ないので調べると、東京-種子島(直線距離)位ってか!

長さのまちまちな各章は、ハロルドと妻・モーリーンを行ききし、
冒頭で、平平凡凡な初老の夫婦と見えたふたりの「ある事情」を、
徐々に、徐々に、薄皮をはぐように明らかにしていきます。

通勤中、胸いっぱいの嗚咽我慢ポイントに、いったい何度ヤられちまったことか…



読者として並走した行程。
まずは心臓の高鳴るワクワク感で始まり、
そのうち大きな、豊かな、何ものかに包まれ、
切なさ、辛さの谷間に入り込み、
深い、静かな神髄を共にし、
そして最大級のカタルシスへなだれ込む…

これを読書の醍醐味と言わずして何とする。

姉妹作「ハロルド・フライを待ちながら ~クウィーニー・ヘネシーの愛の歌~」の文庫化が待ちきれん!
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風と共に去りぬ 5

2016年02月17日 | ものがたり[海外]棚
マーガレット・ミッチェル(鴻巣友季子・訳) 新潮文庫

最終巻。
半分からあとは、もちろん休日に一気読みができるよう、進行具合を調整しましたとも!

しかしうっかりしました。
巻末の60ページ分(!)が、訳者あとがきと解説だったとは…

オチを知っている「風と…」であっても、
それがどうした、このアタシのページを繰る手の勢いで結末を変えて見せるーっ!…
というノリで読み進めていたもので、60ページ分はフェイントだったなー

「バンッ!」と終っちまったい。

余韻が残りすぎ。

別作家・続編の『スカーレット』、やっぱり読んじゃうかなあ、こりゃ。
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風と共に去りぬ 4

2016年02月17日 | ものがたり[海外]棚
マーガレット・ミッチェル(鴻巣友季子・訳)  新潮文庫

…日を追うごとに、スカーレットはますます怒りっぽくなってきた。なにしろ、1ドル貯めるごとに、災いがあったら失うお金が1ドル多くなるのだから…

金亡者スパイラル。
悪知恵は働くクセに、とことん無知蒙昧、これでもかの我が身可愛さ。

あ?
こんなオンナ、いるわー。かつての上司に(大爆)

いやいやいや、やっぱりスカーレットとは違うぞ。
スカーレットは、ある面とてもピュアだし、自分の目標に対しては手抜きをせずに働きまくっているし。そう、間違いなく「働いている」ってとこが大違い!


閑話休題


そういえば、昔、森瑤子が続編(別の著者)を訳していたことがあったっけ…と検索したら、あったあった、「スカーレット」
けっこう、賛否両論。
それとは別の作家による続編「レット・バトラー」も、これまた賛否両論。

ついでに覗いてしまったアマゾンレビュー、こたびの新訳は、これも賛否両論でした。(新潮文庫・鴻巣訳も、岩波文庫・荒訳も)


しかしヨンデは最初に鴻巣訳でハマッてしまったからなぁー。
確かに、ノリが東村アキコなんだけど、東村アキコが好きなんだから、これでいいのか(笑)
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風と共に去りぬ 3

2016年02月06日 | ものがたり[海外]棚
マーガレット・ミッチェル(鴻巣友季子・訳)  新潮文庫

読み進めています。
ほっといたらイッキ読みは間違いない。

しかし、行きの通勤電車では「新書」or「仕事関連」と固く決め、
オタノシミの「文庫」は帰路の通勤電車のみ、
就寝前のナイトキャップ本は「雑誌」or「単行本」がマイルール。

というわけで、ちびちびと、帰路の通勤電車内、約15分だけが「風…」との逢瀬です。


いやー、しかし、車中のヨンデを見たら、
恐らくは東海林さだおとか、大宮エリーとか、伊集院光とか、宮田珠己とか、片桐はいりとか、穂村弘とか… まあそのあたりの方々の楽しい一冊を賞味中としか思えないことでしょう、
知らぬ間にニヤニヤ(!)しながら読んじゃってるんだもの…

思わず知らず、ニヤニヤ。。。
嗚呼、何という深さ。味わい。
隠し味だらけのカレーみたい。
香りかぐわしく、甘さも、辛さも、コクもあり、そこはかとなく感じる苦味はインスタントコーヒー?そしてバターも、ハチミツも、醤油も、ソースも、ケチャップも感じるよー! みたいな。

この小説の中には、「何でも」ある。
本を読むことの「すべて」が詰まっている。

「風…」に、「スカーレット」に、ぞっこん中。
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風と共に去りぬ 2

2016年01月27日 | ものがたり[海外]棚
マーガレット・ミッチェル(鴻巣友季子・訳)  新潮文庫

『風と共に去りぬ』は、リバイバル上映(なつかしー)で映画館でも観たし(途中休憩があった!)、テレビでも2回は見たはず。
はず。
映画がかなりはしょって制作されているのか、はたまた悲しき記憶力の低下なのか。これは映画のあのシーン!…と思い浮かぶ箇所は思いの外わずかなものだから、ついつい首ひねりながら読み進めている次第。
原作の方が「南北戦争」とその時代が色濃く描かれているからかも。
映像よりも目に「見える」ほどのインパクトを持って迫ってくる「南北戦争」。
それもこれも、スカーレットだけでない登場人物全員のキャラの立ち上がり方・会話の一つ一つの生きのよさ、という土台・骨格があればこそ、でしょう。
その上に、レットとスカーレットの色恋の行方や如何に?!
と、二重にも三重にも「ものがたり」の興奮をかき立ててきます。

…なのに、こんな大ピンチの時にだけも助けがいないなんて。このわたしがここまで独りぼっちになるなんて、わが家を遠く離れておびえているなんて、信じられない。

ああ正調スカーレット節。
常に、常に、「なんなのよ!」「このあたくしが?!」のタカビー女。
ですが、スカーレットこの時、19才…
第一巻の冒頭、16才からスタートし、戦争の理不尽を舐め、結婚し、出産し、未亡人となって、まだたった19才なのです。
19才、タカビー上等!

映画のヴィヴィアン・リー、、、あんなに美しい女優はいないと思うけど、さすがに十代には見えなかったからなぁ~


ところでこのオモシロさは、原作はもちろんのこと、これは鴻巣氏の訳のいいんだろうね、きっと。
「アトランタ炎上の中、馬車で駆け抜けるレットとスカーレット」のシーンなんて、
夫婦漫才かいっ! ってほどのノリです。

旧訳と読み比べてもみたい。
そしてもちろん、完読後には今一度映画も観てみたい。
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風と共に去りぬ 1

2016年01月10日 | ものがたり[海外]棚
マーガレット・ミッチェル  新潮文庫

よもや、あのキングオブ「映画」を読むことになろうとは。
しかし「新訳」で、「新潮文庫」ときては、読まずばなるまいて。

なーんて義務感的な気分は、スタート一行目から吹っ飛んだ。

どうしよう。

年明け間もないというのに、もう今年のイチオシ本に出会ってしまったのか?!

ディスイズものがたり、
ディスイズ読書の至福、、、

なになに?「聖書の次に読まれている」?
さもありなん、さもありなん…

めっちゃおもしろい。

会話部分はそれほど多くなく、改行も少なく活字密度高く、
なのにどの一文も、滴るような鮮度を保ってバンバン目に飛び込んでくる感じ。

それよりなにより、このスカーレットのムチャキャラっぷり。
これって、どこかで、、、


あ。


東村アキコ的キャラ設定じゃん!

ああもうだめ、
頭の中で、ヴィヴィアン・リーと東村作品が大運動会。。。
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リーシーの物語 下

2015年12月30日 | ものがたり[海外]棚
スティーヴン・キング  文春文庫

まじ苦しい上下巻だった。
『巨匠キングが愛する感動大作』のオビ広告に、
「えっ、どこで?どこで感動ー?!」
と、吠えながら、やっとこさっとこ完読した上巻。
その後8ヶ月もの間、下巻に手をつける気になれず…

訳者あとがきを読んで納得。
キング自身曰く「これはとても特別な本だ。唯一これに関してだけは書評を読みたくない。というのも、この本について不快なことを言う人間がいるだろうから。そんなことわたしにはたえられない。自分の愛している人に対して卑劣なことをする奴がいたら、そいつを憎むだろう。それと同じこと。私はこの本を愛している」…

愛なのかー。
愛と来られちゃしかたがないかー。
オビ広告の半分は誇大ではない、と。

収穫は、さらに続く訳者あとがき。
これぞキング。
キングの魅力を存分に評しきった、白石朗様のこのあとがきこそが、感動モノ。

「本書でキングはお家芸ともいえる、倍率をあげながら細部に迫っていくかのような濃密きわまる描写と(そうそうそうそう、でも今回の濃密感覚ハンパない)、…中略…過去の秘密への鍵になるキーワードやイメージや会話の断片などが、主人公の思考の道筋を断ち切って強引に割り込んでくるスタイルや(そうそうそうそう、でもこのキングお約束も、本作では塩分過多だったー)…」

うまうまツリー

どでかでっかい

悪のぬるぬる
…等々、

白石氏の絶品訳には感服しきりでありますが、
「そんなふうに凝った書きぶりでありながら、決して読みにくくはならず…」
うーん。
この作品については、そうはいかなかったよ。アタシには。
(注)訳のせいではないですよ。

だけどキングはやめられない。
「緻密な計算のうえで全編にちりばめられたいくつもの“言葉、言葉、言葉”を媒介に、過去と現在が共鳴し合い、物語がしだいにスピードを速める螺旋を描きながら、あまりにも壮絶な核心に迫っていく…」
そうそうそうそう、それがあるからやめられない。

本書上下巻は手放しても、この『あとがき』のキング賛歌は永久保存しておきたいのでした。
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