肺がん余命宣告されてからの日々

母が肺がんになり余命を宣告された日からぼちぼちと記して行きたいと思います。

返事

2012-01-26 20:49:21 | ホスピス

母の所に行きました。
起きているようなので声を掛けたのですが反応がありませんでした。
目は開いていたので視界に入る様にしたのですがじっと見ているだけでした。
手を握っても握り返してはきませんでした。
声も出さず頷きもしません。

父が部屋に居ない時に母の手を握って大好きだよと言いました。
じっと見るだけでした。
なんだか泣きそうになってしまったので足をさする為に足元に行きました。
その時に父が部屋に入って来て母に私が来てるよ、足をマッサージしてるよと母に話しかけます。
すると頷きました。
父が頷いたよと見てごらんと言いました。
見ると頷いていました。
先生だけに返事をするんだよと父から聞いていたのですがその時は返事を(頷き)していました。

聞こえているんだなと分かりました。
でも目は開いているだけで何も追いかけません。
私の言葉は聞こえているのでしょうか。

今日は顔のうぶ毛をそりました。
眉毛も整えました。
綺麗になったねと声を掛けましたが反応はありません。
じっと見つめられて心の中まで覗かれている気がしてやましい気持ちになりました。

明日は私の言葉に返事をしてくれるでしょうか。。

綺麗な肌

2012-01-24 20:15:14 | ホスピス

今日は用事があって時間的に間に合わず行けませんでした。
電話で父に様子を聞いたら今日は調子が良いみたいよと言っていました。
昨日の夜も喉もごろごろしないし今日になっても大丈夫そうなので酸素を外したそうです。
お風呂に入り真っ赤な顔をして戻ってきた母は顔もつるつるでしわが無いと看護師さん達が
みんなほっぺを触っていったそうです。
ふっくらした母の顔にはしわが殆ど目立たなくなりつるりとしてキメの細かな肌です。
髪も白髪など数本だけで若く見えます。
私の方がよっぽど老けてるかも。。。

父に調子が良いと聞き何か話したの?と聞くと話はしていませんでした。
何も言わないし笑わないよと言いましたが先生が来た時に何か言っていたから先生には話を
するんだねと話たそうです。
一日中、ウトウトした感じで目をうっすら開けていたり寝ていたり。
でも話は聞こえています。
パパだよ、見える?と聞くと頷いたりするし話すのが大変なんだと思います。

今日で食事をしなくなってから4日目です。
病院食も止めて3日。
何か食べる?と聞いてもいらないと、喉乾いた?と聞いてもいらないと。
まだまだふっくらしていますが本当に何もいらないんでしょうか。
うつらうつらしているから寝る方にしか意識がいかないのでしょうか。
先生は無理に食べさせない方が良いし嚥下の心配もあるとの事。
体力はあるので心配はしなくて良いそうです。

叔母二人

2012-01-23 16:35:21 | ホスピス

昼過ぎて母の所に行きました。
すでに叔母二人が来ていたのですが姿は見えませんでした。
寝ていたのですが突然「あっこ」と大きな声で言い叔母の名前を呼びました。
何処に行ったんだろうと思ったら戻って来ました。
今呼んでいたよと伝えたら母の所に行き「来たよ、居るよ」と母に声を掛けていました。
もう一人の叔母も側に行き名前を言って声を掛けてうつろな顔の母を見ます。
叔母たちが着いた時には母は寝ていた様でお昼ご飯を買いに売店に行っていた時の事でした。
呼び声に反応し少し頷きます。
でも目は遠くを見ています。そんな母を見て叔母は涙を流していました。
もう会話は出来ず頷くか気持ちを伝える為や人を呼ぶ事しかしません。

叔母達は目を覚ました母に声を掛けやっと目を覚ましたと喜んでいました。
今日はちょくちょく目を覚ましていたのですがあーと何度も大きく唸り苦しい様で先生が来てくれました。
朝と夜の点滴の他のモルヒネを5に増えました。
先生がお話があると言い廊下に出て話しました。
少しウトウトが増えるかもしれませんがなるべく意思の疎通が出来るようによっぽど悪くならない限りは
薬を調整してくれると言ってくれました。
父が母の状態はどうなのかと聞くとやはり急変する事はあり2,3日、このまま落ち着いても2,3週間は
無いとの事でした。
奥さんはとても頑張っておられます、でもギリギリの所にいますので何が起きるか分かりません。
胸を掴まれた様な苦しさがまた出ました。
今日の母の手は温かかったです。でも相変わらず足は靴下をはいても冷たいです。
そして顔や頭に汗を掻いて熱そうにしているのでお布団をバスタオルにしてアイスノンをしたら
落ち着いたようでした。

父が着物の事を叔母達に話しました。
家には着物以外に見当たらなく長じゅばんや帯などは用意してくれるみたいで安心しました。
最後の事は考えたくないけれど着たい着物を着れずに旅立たせるのはやはり可哀相です。
嫌だけどやらなくてはいけない事がこれからも増えていくのでしょう。



母と二人

2012-01-22 17:48:22 | ホスピス

用事を済ませてから母の所に行きました。
2時半頃に着いたのですがちょうど父とばったり病院の前で会いました。
母の様子を聞くと変わりないよと言われました。
うつらうつらしているけどちょこちょこ目を覚ましパパ~と側に居ても呼ぶそうです。
いつも来てくれる叔母と嫌いだったもう一人の叔母を呼んでくれと言ったそうです。
父もびっくりして嫌いなんでしょ?呼んで良いの?と聞いたら良いと。
2度程呼んでくれと言ったので夜にでも電話すると言っていました。
なにか自分の中で会わなくてはいけないと感じるものがあるのでしょうか。

病室に行くと看護師さんがシーツを替えてくれていました。
うっすらと目を開けていたので来たよと声を掛けました。
ちらっとこちらを見て手を握ろうと手を上げてくれました。
冷たくなった手を握ると柔らかくしっとりした手はしわが増えていました。
そのまま寝てしまいました。

そのまま帰るのは嫌だったのでまた目を覚ましてから帰ろうと思って待っていました。
1時間弱して目を覚まさないのでそっと帰ろうとしたら息子がDSを閉める時にパタンと大きな音を
出してしまい母の目が開きました。
せっかく寝ていたのを起こしてしまい可哀相だったのですがちょうど声を掛ける事が出るので
お腹空いてない?喉乾いてない?苦しく無い?など聞き、また明日来るよと言いました。
すると起こしてと母は言いました。
ベットで起こしたら少したって寝ると言いました。
またベットを寝かします。ずっと手を握っていたのですが目をつむり寝るようでした。
そっと手を離し帰ろうとしたらぱちっとまた目を覚ましました。
帰るねと言うと母は帰ると言いました。
自分が家に帰るといったのでしょうか。母はまた帰ると言いました。
そして私の手を探したので握るとギュッと力を込めて握ってきました。
想像以上の強さでびっくりしました。
まだこんな力が残っていたのだと思いました。

病室に来た時にシーツ交換をしていた時の母は本当に別人のようでした。
自分の意思では体は全く動かないのかもと思うように手首からくるっと曲がって意思を感じませんでした。
足も力が入らないのでぐったりしています。
顔は仰向けでも斜めになっていて見ていたら涙が出てきてしまいました。
癌っていったい何なんだろう。先週は起きて笑いながら一緒にお昼を食べていたのに。
後で寝ている側に寄って母を見ていると何も変わっていません。
綺麗なままです。
なのに目に見えない体の中で何が起こっているのでしょう。

手を握るとまた起きると言いました。
ちょっとしたらまた寝るといいます。
しばらくしたら起きると言いました。
起こしてしばらくしたら看護師さんと言うので呼びました。
看護師さんが来たら起きると言いました。
起きてるよ、足を下ろして座りたいの?と聞くと無言です。
前にご飯食べていた時みたいに座りたいの?と聞くと頷きました。
看護師さんは分かったと言って起こしてくれました。
満足そうな顔をして座った母がいました。
すぐに寝ると言います。
もう一人看護師さんを呼んで寝かします。
看護師さんは座りたかったのね、と言い母をベットに寝かしてくれました。
人の本能の部分で感じるのでしょうか。
寝てばかりだから起きたいと思ったり先日は立ちたいと父に言ったのを思い出しました。
普通に当たり前にやっていた事全てが母にとって今は出来ない事ばかりです。
それが出来て満足したら疲れたのか寝てしまいました。
今度はそっと声を掛けずに帰りました。

今日は何度も何度も手を握ってくれ声を聞けて嬉しかったです。
ぼぅっと遠くを見ていたと思ったら急にぱっと私の顔を見たり起きた時に近くに寄って話しかけたら
分かってくれたみたいでうっすら笑ったように見えました。
手を握って遠くを見ている母は何を考えているのかしらとずっと顔を見ていました。
時折、悲しそうにも見えます。
母の心の中を見たいと思ったりもしますがそれは余りに可哀相すぎますね。

父が母は私に何もしてやれなった、辛い時に力になれなかったなど言ってこれから先の心配を
いっぱいしたり今までを後悔したりしていたそうです。
私はそんな事は無いのに無力だったと思っている母に対して最後にありがとう大好きだと
伝えたいのだけどそれを言うと母が最後のお別れなのだと感じて自分の時間がわずかだと思われたくなくて言えません。
どんな言葉が別れに繋がらず感謝になる言葉があるか今、探しています。

そして母の状態が安定して喜んでいた頃に春に向けて大型の刺繍を作り始めた1月4日。
先日の先生の話にショックで出来上がりに母が間に合わないと止めてしまったのですが私が
諦めてしまったら駄目だと思い昨日からまた始めました。
まだまだ時間が掛かりますがどうか出来上がるまで母が側に居てくれますように。

母の声

2012-01-21 16:23:33 | ホスピス

息子の朝寝坊で母の所にいったのはお昼過ぎでした。
うっすら目を開けていたのですが反応はありませんでした。
そしてそのまま寝てしまいました。
1.2時間寝たでしょうか。

父に帰らなくて良いのかと聞かれたのですがどうしても母に声を掛けたくて待っていました。
今日は父と一緒に兄も来たそうです。
兄に会った母は手を繋ごうとして上げたみたいです。
久しぶりの兄に会えて母は嬉しかったでしょう。

しばらくしてから目をぱちっと覚ました母に気付き昨日から何も食べていないと聞いたので
お腹すいた?と聞いたら「空いてない」とはっきりと大きな声で返事をしてくれました。
父に聞くと起こしてとか話したりするそうですが私は殆ど聞いていませんでした。
なので母の声を聞けた今日は嬉しかったです。

状態は寝ていると安定して苦しそうではありません。
起きると動くので苦しくなるみたいです。
今の小康状態のままで落ち着いて欲しいです。