蜘蛛が苦手な方はスルーしてください。
ジョロウグモは漢字表記だと〈女郎蜘蛛〉となる。
この和名は〈上﨟〉を由来とするという考えもあるらしい。〈上﨟〉とは上臈御年寄の略称で江戸時代の大奥女中の役職名。なぜそう呼ばれるようになたかは不明。
しかし、〈上﨟〉という言葉が一般に流通し使用されていたとはとても思えない。
これはあとからの強引な〈こじつけ〉ではなかろうか。
先日やっとどうにかピントがあったジョロウグモの写真。
これはネットの図鑑で見つけた雄のジョロウグモの写真。
図鑑で雄の写真を見ると雌とは違って、ずいぶん暗い(笑。雌の胴や脚の鮮やかな色が退化しているようだ。
ただし、亜生体(未成熟の個体)も鮮やかな色彩をもつから一概には決めつけられない。
先日撮影したのも亜生体のジョロウグモなのかもしれない。
女郎も上﨟も由来語源は女性なんだけどね。
ジョロウグモは北海道を除くこの列島全域に生息する。
国外では朝鮮半島、台湾、中国、インドに分布するが、2010年あたりからアメリカ合衆国東部に進出して、外来種として定着しているらしい。
太平洋を渡ったのだろうか。
ジョロウグモと言えば思い出すのが、中央線武蔵境駅から伸びる西武多摩川線のふたつ目の駅にあった、桜井昌一さんの東考社のトイレである。
1973年ころのこのあたりのトイレはまだ汲み取り式だった。
それはまあいいのだがトイレに入り天井を見ると、天井と壁の隅に大きな蜘蛛が巣を張っている。
その中心に身動きせずに、静かに大きな蜘蛛がいる。
トイレが出て桜井さんに〈ずいぶん大きな蜘蛛がいますねえ〉と言うと、〈ジョロウグモはハエ獲ってくれるからね、大事に育てている〉とのこと。
当時まだ小学生だった娘さんは怖がらなかったのかと不思議だった。
国内で家屋内に棲むいちばん大きな蜘蛛は、アシダカグモで脚を広げると10cmを超える。
子どものころに何度か見た覚えがあるが、巣を張らずに室内を徘徊する蜘蛛は気持ちいいものではない。
ニンゲンに害を与えるものではないし、衛生的にもとくに問題があるわけでもないが、やはり見た目の問題か。
アシダカグモ。たしかに不気味である。
アシダカグモはこの列島の在来種ではなく、1878年に初めて長崎で報告された外来種とのことだ。
体長は雌で最大25〜30cmというからどデカい。
こちらはアシダカグモのお顔。
少し前にNetflixの配信で観た『スペースマン』(監督ヨハン・レンク 2024年)というSF映画に登場する宇宙空間に潜む太古の生物ハヌーシュは、蜘蛛型生命体だった。
映画『スペースマン』の蜘蛛型生物ハヌーシュ。
都市化の進んだこの国で、どれだけのアシダカグモが生息しているのだろうか。