武蔵国分寺跡の続きは後日ということで。
先月28日の多摩センター行は最初は南側へ、
そのあと北部へ回り、松が谷方面へと向かった。
駅の北口には乞田川という水路のような小さな川が流れる。
水量は少ない。
両岸は桜並木となっている。
この土地がまだ開発されない頃は、
周辺に谷戸の名がつく古い地名がいくつもあることからもわかるように、
豊かな湧水や雨水をたたえた大きな川だったのだろう。
〈乞田川は東京都多摩市鶴牧西公園に源を発する。800メートルほど北流したのち暗渠の中沢川を合わせて東北東に向きを変え、多摩市諏訪・連光寺付近で北北東にまた向きを変える。多摩市連光寺付近で大栗川に合流する。中流域と上流域は東京都道158号小山乞田線に、下流は鎌倉街道(東京都道18号府中町田線)に沿って流れている。なお、本来は中沢川との合流地点より下流を乞田川と呼び、それより上流を唐木田川と呼んだ。唐木田川と中沢川が合流する地点が「落合」(旧大字落合)の由来である〉
ワタシが住んでいる近くにやはり〈落合〉という地名が残っている。
神田川と妙正寺川が合流する土地である。
北口から都道158号線(多摩ニュータウン通り)を西に向かい、
松が谷高校前の信号を右折。
このあたりから道は登り坂になる。
道なりに進むと道は幹線道路に突き当たる。
ここを左折。再び西に進むことになる。
坂はさらに険しくなり、ツレアイが遅れだした。
前方に幹線道路を横切る大きな歩道橋が姿を現す。
〈風返歩道橋〉である。
いい名前だ。歩道橋の名前には地名が施されることが多い。
ここは風が強い土地なのか、その風を押し返す力強い名前の歩道橋だ。
駅からここまで20分。
ツレアイは「ここはムリ、とても住めない」と言う。
たしかに駅から急な坂道を20分ではムリというものだ。
ワタシは毎日の散歩や遠足以外めったに外出はしないからいいが、
ツレアイは週の半分以上は、子どもたちにピアノを教えるため出かけなくてはならない。
この急坂では自転車も使えない。
通勤者のためにバス便はけっこうあるようだが、混むだろう。
この辺りは松が谷地区といい、多摩ニュータウンの初期に開発された住宅地(団地)である。
開発当時は団地の一階が商店街を形成していたのだろう。
多摩地区のHPには
〈風返歩道橋は東中野公園と松が谷のバス停・商店街を結ぶ赤いダイナミックな橋です〉
と紹介されている。
しかし見る限り商店はシャッターを下ろして営業していないようだ。
そうすると買い物も多摩センター駅まで行くことになる。
雪や雨が続けば陸の孤島となりそうだ。
住人はたぶん自家用車で移動するのだろう。
立派な駐車場がいくつも目に入る。
結局、乞田川と風返歩道橋というふたつの景物に出会っただけの多摩センター行だった。