(5月28日、横路孝弘国政報告会の挨拶)
まず、初めに皆さんにご報告しなければならないことがあります。私はこの度、次の衆議院総選挙には立候補しないことを決意いたしました。
長い間、北海道1区の皆さん、また道民の皆さんには、たびたびの衆議院選挙、そして知事選挙と本当に大変暖かい大きなご支援をそのたびに頂きましたことに、心から感謝を申し上げます。本当に長い間有難うございました。
私は知事の仕事を終えたとき、日本にはヨーロッパ型の社会民主主義の政党が政権交代のためには必要と考え、全国のローカルパーティの結集をはかり、同時に1996年に民主党を正式に立ち上げました。
最初の準備段階のときの仲間は、東京の海江田万里さん、高知の五島正規さん、徳島の仙谷由人さん、兵庫の高見裕一さん、そして鳩山由起夫さんと私の6人で出発したのが始まりです。そして、事務局として札幌から松本君と秋元君が参加してくれました。その時いろいろ政策の議論をしながら2015年には政権をとるという目標を立ててスタートし、2009年に政権をとったのです。我々の政策は間違っていなかっただけに、党内闘争により政権が継続できなかったことは残念です。
よく安倍総理は「民主党は何もしなかった」と話をし、民主党政権との比較の数字を挙げて発言していますが、しかし実質的に経済をとってみますと民主党政権の3年間と安倍政権の3年間を比較してみると、安倍総理の指摘は正しくないことがわかります。例えば実質GDPは、民主党政権は3年間で29兆6284億円のプラス、他方、安倍政権の3年間で9兆1027億円のプラスです。個人消費も実質、民主党は3年間で15兆7305億円増えましたが、安倍政権では3年間で3兆6722億円も減少させているのです。また、住宅投資は横ばいで、公共投資は民主党政権より安倍政権は1兆2333億円増加していますが、設備投資は、民主党政権はその前より5兆3073億円増加し、安倍政権は3年間で2兆7283億円しか増加していないのです。
アベノミクスは、金利を下げ、公共事業で経済を好循環へ導くという主張でしたが、しかし結果は円安と株高だけで、個人消費も設備投資も増えていないのです。明らかにアベノミクスは失敗しているのです。(資料「民主党政権おその前後の日本の状況」「安倍政権3年間の日本の姿」を見てもらえば明らかです)
安倍総理は「企業が世界一活動しやすい国」という目標を持って政策を展開しました、例えば法人税を3年間で7%も引き下げました。本当に大事なのは、企業は人によって支えられているのですから、働く人が世界一安心して仕事のできる国にしなければなりません。しかし安倍政権の3年間は、企業が第一と考え大企業は利益をあげ内部留保は増え、株高でお金持ちは潤いましたが、格差は拡大してしまったのです。
大都市と中都市等による地域間の格差、正社員と非正規社員による雇用の格差、親の所得による教育の格差、資産の格差、男女の格差は拡大し、そして健康の格差まで出てきたのです。健康の格差とは国民所得レベルを5段階(高い人から、低い人へと20%ずつ)に分けて、一番高い高所得者層を男性・女性を1とすると一番低い低所得者層は男性で3.5倍、女性で2.5倍の人々が死亡しているのです。本当に病気になっても病院へ、お金がなくて行けない人が増えているのです。本当に厳しい格差になっているのです。
私の役割は民主党とともに終わったのだと思っています。今後は新しい民進党で、新しい若い人の手で政権を目指してほしいです。できれば、次の総選挙で50議席以上増やして140議席以上となり、そして次の総選挙で政権交代をかけて選挙をやり、政権交代を実現してほしいと願っています。 勿論、私は次の衆議院総選挙には立候補いたしませんが、政治活動をやめるわけではありません。憲法と平和そして民主主義を守りための活動は続けてまいります。特に18歳選挙権が実施となり、この参議院選挙から施行されます。そのためにも若い人たちの支援をしていきたいと考えています
私は、どんな国でも、いつの時代でも、人々が安心して暮らせる大切な条件は二つあると思います。それは、一つは平和です。何よりも平和であることです。もう一つは仕事です。その仕事を一生懸命働けば、生活、結婚、子どもを生んで育てることができる。そして老後も安心して暮らせることができるのです。つまり仕事(雇用)がしっかりしていることなのです。この二つは、社会を成り立たせている大切な基盤といえます。
この二つの基盤を破壊しつつあるのが今の安倍政権です。非常に危険な要素を持っている政権です。平和について考えますと、特定秘密保護法、国家安全保障会議、ガイドラインのもとでの新しい日米軍事協力体制。この3点が安倍政権のもとで推進されました。これは日本が戦争を行うための体制づくりの一つなのです。国家安全保障会議は、内閣総理大臣・官房長官・外務大臣・防衛大臣の4人で行われます。そしてその下に、国家安全保障局が各省庁の局長クラスで構成され、さらにそのもとにガイドラインに基づいていわゆる同盟運用調整メカニズムという名のもとに、米側の太平洋軍司令部、日本側の統合幕僚監部、この二つの制服組が集まって平素からいろいろ情報を交換し検討する会議が持たれているのです。
国家安全保障会議が開催されて、どんな議論が行われたか資料要求しても、日時と場所と出席者だけで、どういう議題でどういう議論をしたかについては、すべて黒塗りです。国家安全保障会議で議論のうえ総理大臣の責任で自衛隊を海外に出すか、軍事行動を行うかどうかを決定するのですが、結局は制服組が集めた情報が上がってきて決めていくのです。安倍総理は国会で「アメリカから要請があっても日本の判断で断る」と言っていますが、そんなことはできません。完全に日米一体で、日本の自衛隊は米国の要望に基づき、米軍の行くところはどうでも行く、あらゆる戦争に参加するという体制を安倍総理はつくり上げたのです。
現に航空自衛隊は横田の米国空軍基地、陸上自衛隊は座間の米軍基地、海上自衛隊は横須賀の第7艦隊と一緒で、完全に米軍の司令部機能から運用の実態まで一緒に行動することになるのです。日米の判断というより、すべてベースはアメリカ軍の判断なのです。まさにアメリカ軍の行くところはどこまでも付いていくのです。まさにアメリカの属国で非常に危険なことです
こういう状況の下で参議院選挙が行われるのです。立憲主義・民主主義・平和主義を破壊したあの安保法制、特定秘密保護法、そしてアベノミクスなどの是非を問う大事な選挙です。しかも今回から18歳以上選挙権です。今度の参議院選挙で、共産党は野党共闘に力を入れ、自分たちの候補を下ろしてでも、なんとしても憲法改正の3分の2を阻止しようと努力されています。その背景には戦前の日本の軍事化とともに、戦争に反対する勢力は治安維持法の下で、弾圧されました。さらに安倍政権のもとで「言論統制」「表現の自由」や、「報道の自由」が危機にさらされている現状。これは「いつか来た道」ではないでしょうか。戦前、言論統制・言論弾圧・大本営発表の下にひたすら戦争への道に突き進んだあの悪夢を二度と繰り返してはなりません。
こういうようなことを考えますと安倍政権は非常に危険な政権であると私は思います。そしてそのことを共産党も強く認識されているのだと思います。
私は共産党の今回の決断に敬意を表したいと思います。今度の参議院選挙は、自公対民共ではありません。国家権力対市民の闘いなのです。これが今度の参議院選挙の争点です。
私は過去の教訓を見つめながら、未来を見つめて活動をしていきたいと思います。
1区の皆様方並びに道内各地の多くの人々に大変お世話になりましたことを、最後にもう一度感謝申し上げますとともに、私の後継者・道下大樹君をよろしくお願いいたします。
本当に長い間、有難うございました。
2016年5月28日
衆議院議員 横路 孝弘







