ドラマや小説などでよくありそうな、これでもかとトライアル(試練)が続く筋書き。
今の息子を見ていると、まさにそんな人生だ。そしてたまに嬉しいニュースが入ってくる。次の日はどうなるのか、予測できない毎日だ。
昨日の朝7時、息子から沈んだ声で電話がかかってくる。
先日、ヒューストンで本面接までたどりつけた会社から、「昨日の会議で、会社のプロジェクトの予算が大幅に遅れるという報告があって、この夏、新社員を新規プロジェクトに向けて採用することができなくなったんだ。君はとっても優秀で、ボクのプロジェクトにとっても、会社にとってもふさわしい人材だと思っていただけに、本当に残念に思っている」といったような内容のメールが来たらしい。不採用になったわけではなく、予算がつくようになれば、採用の可能性があるということもほのめかすようなメールだったが、息子にとってはショック。
この会社を含めて、今学期は300職以上応募したらしい(応募した会社の数は不明)。先学期は、本面接までたどりついた会社(会社が飛行機や宿泊代などを負担)が二社。去年の夏より、就職活動だけでも、毎週ものすごい時間を費やしている息子。大学の授業をフルタイムで受講し、週二コマ授業を教え、大学のチューターのバイトをし、ボランティアなどもしている息子は超多忙だ。
今年になってからは、息子のキャンパスにリクルートに来たNSA(国家諜報機関)から内定(provisional offer)をもらったが、それだけで決まるわけではないらしい。その後この組織の4、5のポジションに応募したが、今のところ二つだめだったらしい。
今回のヒューストンの面接では、自分の自閉症を開示し、その前日にヒューストンで行われた「自閉症者の就労をテーマ」にしたセミナーに参加して学んだこと、特に自閉症者を採用するメリット(Neurodiversityなど)について、会社側に説明したらしい。相手も息子の話に納得した様子で、今度はもしかして採用のニュースがもらえるのではと、私たちも期待していた。
このニュースで皆落ち込んでいたところ、午後、次の暗いニュースが入ってくる。息子が大学の近くに置いた自転車が盗まれたらしい。鍵をかけておいたらしいが、誰かがうまく鍵を外したのか、息子の鍵のかけ方が悪かったのか。車のない息子は、しばらくは歩いて通学。
その夜、授業を教え終わった息子から、また落ち込んだ声の電話がかかる。授業には3人しか学生がこなかったそうで、しかも「ボクは、お金をもらうために教えているだけで、義務的にやっているだけで、こんなボクに教えてもらう学生に気の毒だ」というようなことをこぼす。確かにそんな面もあるだろうが、深く考えずに今日は休みなさいと伝える。
いろいろなことがあっても、毎日ものすごく忙しいので、落ち込む時間がないのが不幸中の幸いだ。