プラトン

2008-09-23 18:50:50 | 政治史・思想史
池田信夫氏のブログで、民主党が作ろうとしていたシンクタンクの名前が「プラトン」であったのを知った。

後期の著書『政治家』の中で、プラトンは、「法に従った支配の有無×支配者の数(1人・少数・多数)」、という基準で、国制を(哲人王支配を別として)6つに分けた。法に従っている方が従っていない方より望ましいが、従っている中では支配者の数が少ないほど良く、従っていない中では多いほど良い。つまり、法に従った民主政は第3位、法に従っていない民主政は第4位となる。

中期プラトンの代表作である『国家』においては、民主政は、(法によらない少数者の支配である)寡頭政よりも堕落したものと位置づけられていたから、プラトンの中で民主政の評価が上がったことになる。とはいえ、その後期プラトンですら民主政を積極的に評価していたとは言いがたい。民主政が最高の国制だと考えているであろう民主党のシンクタンクの名前としては、ふさわしくないだろう(現党首はそう考えていないかもしれないが)。

それはともかく、読まれざる古典『国家』は、もっと読まれてよい。規範理論家として見ると、哲人王の支配する理想国家建設を説き続けた夢想家プラトンより、実践の意義を説いたアリストテレスのほうが、現実を知っていただけ優れていただろう。しかし、純粋に読み物としては、悪魔的な思考を徹底した師匠のほうが面白い(弟子は退屈だ)。

藤沢令夫氏によると、『国家』の主題は正義論と国家論であるが、この書物の一番面白い箇所は、それには収まりきらない、プラトン哲学のエッセンスが凝縮された箇所である。イデアと仮象の二分論を徹底したプラトンのイデア論は、その後の西洋哲学の進む道を規定した。認識論が語られる有名な太陽・線分・洞窟の話(506B~)と、存在論が語られる3種類の寝椅子の話(595A~)だけでも一読の価値がある。特に後者の話は、それまでの徹底した二分論を克服し、アリストテレスを準備したとも読める。

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