横浜映画サークル

サークルメンバーの交流ブログです。

メンバーの鑑賞感想や映画情報など気軽に記述しています。

メンバーが選ぶ2016年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(その2/2)

2017-01-11 16:26:06 | メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画

「メンバーが選ぶ2016年後半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(その1/2)」の続きです。

Aさん

 今回は三本です。

怒り(2016日本、李相日監督)

名作『悪人』に次いで、吉田修一原作、李相日監督という注目作。ちなみに原作の小説は「悪人」の方が私は好きだったが、映画に関しては『怒り』の方が良いと思った。話が重層的で複雑な分、映像化は難しいだろうと思っていたが、実にうまくまとめている。又、原作ではわかりにくかった怒りの正体を映画ではわかりやすく描いている脚本の力、そして役者の力だろう。

整形をして逃げている殺人犯に似た人物が、千葉、東京、沖縄の三か所に現れる。その三人を松山ケンイチ、綾野剛、森山未來が演じる。果たして真犯人は誰か。いずれも怪しいし、ちょっと怖い。だがそれぞれのストーリーはとても切ない。三人にからむ俳優陣も渡辺謙、宮崎あおい、広瀬すずなど豪華で、この競演を見るだけでも楽しい。私は、綾野剛を愛し揺れる男性を演じた妻夫木聡に、演技者として突き抜けた魅力を感じた。

犯罪を下敷きにして同時進行する三つのストーリーで、愛すること、信じることを描きながら現代風俗や社会性も余すところなく追求するという、実に贅沢な内容。久々に重厚な、日本映画らしい日本映画を観た気がする。

(下の画像は三か所の人と警察の関係図。(その1/2)のNさんの画像「映画「怒り」人物相関図」も参考にしてください)

画像出典いずれも:(C)「怒り」制作委員会http://www.ikari-movie.com/diagram.html (閲覧2017/1/9)

 

空気人形』(2009日本 是枝裕和監督 DVD鑑賞)

冴えない男(板尾創路)がダッチワイフのような空気人形を買い、一人暮らしの部屋で恋人のように可愛がる。その人形は男が出勤した後、人間に姿を変えて一人で街を歩き回り自由を知り、男性が帰宅するころまた空気人形に戻る。そのうちにビデオ屋の男性(ARATA)と知り合い恋をして、壮絶なラストに向かうことになる。

心を持つことは苦しいことでした」をテーマにしたシュールな大人のファンタジー。ドキュメンタリーっぽい作品が多い是枝監督の異色作だ。原作は業田義家の「ゴーダ哲学堂 空気人形」。映画はさすがに是枝監督らしい静かなカメラの長廻しが多い。特に韓国の人気女優ペ・ドゥナ演じる空気人形が人間の姿に変身するシーンが美しく、何度も見入ってしまった。酸素吸入が必要な詩人の老人なども暗喩的に登場し、不思議な味わいのある作品だ。

(下の画像左は空気人形。画像右は動き出し、心を持ち始めた空気人形に扮するペ・ドゥナ)

 画像出典左右:空気人形 - Air Dollhttps://japaneseclass.jp/trends/about/ (閲覧2017/1/9)

 

聖の青春(2016日本 森義隆監督)

かつて村山聖(さとし)という棋士がいた。幼い頃からネフローゼという難病と闘い、病気のためにむくみ太った体とまん丸の顔に棋士らしい鋭い眼光がトレードマークだった。時には高熱を押して病院から試合に臨み、「西の村山、東の羽生」と言われるまでになったが、名人一歩手前で、29歳でこの世を去った

この映画は大崎善生の優れたノンフィクション小説「聖の青春」を基にしている。大崎はもと将棋雑誌の編集長で、他にもプロ棋士になれなかった青年たちを描いた「将棋の子」も書いているがこれも絶品。これら二作の後は映画化もされた『アジアンタムブルー』などの恋愛小説を主に書いている。

映画『聖の青春』は原作の一部を映画化している。主に棋士になってから亡くなるまでだ。将棋に入れ込むまでになった子供時代をもっと描いてほしかったが、時間的な制約もあり仕方のないところだろう。そのかわり、羽生善治との勝負師同士の濃密な関係性と、息の詰まるような戦いを軸に描いている。村山を演じた松山ケンイチは役づくりのために20キロ近く増量したらしい。その役者魂も凄いが、東出昌大演じる羽生もなかなか味があった。壮絶に静謐に、命の限界まで闘った村山の生き様が胸を打つ。原作の大ファンとして、これを映画化してくれたことに感謝し高評価としたい。

(下の画像上段左は羽生善治(東出)と村山聖(松山)の対局場面。上段右は実際の村山聖、腎臓の難病のためむくんでいる。下段左は役作りで20キロ近く太った松山ケンイチ。下段右の左は実際の羽生善治その右は羽生役の東出昌大)

 

 

 画像出典上段左:CinemaCafe.net 松山ケンイチ×東出昌大『聖の青春』に羽生善治ら将棋界&エンタメ界から絶賛続々!http://www.cinemacafe.net/article/img/2016/11/03/44639/248661.html (閲覧2017/1/10)。画像出典上段右:天才棋士・村山聖の生き様を描いた『聖の青春』松山ケンイチ主演で映画化決定http://timewarp.jp/movie/2016/02/03/78178/ (閲覧2017/1/10)。画像出典下段左:話題の画像http://twicolle.com/P262203/ (閲覧2017/1/10)。画像出典下段右:http://timewarp.jp/movie/2016/06/17/82418/ (閲覧2017/1/10)

 

S.Tさん

ベストは『北のカナリアたち』(2012日本、坂本順治監督)です。

殺人事件を柱にした北海道の島の小学生6人と先生の20年に渡る人生の話。6人の1人鈴木信人(森山未来)が東京に就職して殺人を犯して逃げていた。刑事が島まで追ってくる。信人は吃音症(言葉が詰まるなどの発語障害)があったが、小学校時代は、声がきれいで、歌う時に吃音症が出ないので、先生は6人に合唱の時間を設けてみんなで歌う楽しい時間を作った。札幌での合唱大会で入賞するなど合唱は6人の支えになる。これが題名の『北のカナリアたち』。殺人事件の追求とともに先生を含めてそれぞれの過酷な人生が浮かび上がってくる。どんなに過酷でも20年前に合唱をしていた時のことを忘れることがない後味がいい作品でした。ウィキペディアでは「第36回日本アカデミー賞最多タイとなる12部門で優秀賞を受賞、うち3部門で最優秀賞」とのことです。

(下の画像左は舞台の小学校、向こうに見えるのは利尻島の利尻富士。画像右は礼文島の花々の中を歌いながら歩く6人と先生吉永小百合。吉永は海でおぼれている子供を助ける場面で得意の水泳を披露している)

画像出典左:礼文町北のカナリアパーク 2016http://www.town.rebun.hokkaido.jp/hotnews/detail/00000469.html (2017/1/7閲覧)。画像出典右:宗谷総合振興局地域政策課 キャプテンKOHOhttp://plaza.rakuten.co.jp/machi01hokkaido/diary/201211070005/ (2017/1/7閲覧)

 

次に『ロスト・バケーション』(2016米国、原題Shallows:「浅瀬」の意味)

スピルバーグの『ジョーズ』(1975)に近いスリルを楽しめるサメもの。『ジョーズ』より現実味があるように思います。ストーリ:サーフィン好きの医学生ナンシーは人がほとんどいない穴場の入り江を母から聞いて、たぶんそこだと思う人気のない入り江をようやく見つける。サメはいないと聞いていたので安心して泳ぐが岸からそれほど遠くない場所で、サメが現れる。慌てて近くの小さな岩場に上がって様子を見る。岩に上がる前にサメに嚙まれた傷から血が流れたせいか、サメが離れない。傷は医学生の知識を使って応急手当てをする。やっと岸を通った地元のサーファーを見つけて助けを求め、サーフボードで来るが、そのサーファーがサメにやられてしまう。満ち潮になり岩場がだんだん水没していくがサメが離れず岸へ戻れない。緊張したまま静かに時間が過ぎていく。さあどうなるか。

(下の画像左は岩場のナンシーとサメ。画像右は助けに来たサーファーがサメに襲われる場面)

 

画像出典左:CinemaCafe-netブレイク・ライヴリー、ほぼスタントなし!全身アザ&流血で撮影「ロスト・バケーションhttp://www.cinemacafe.net/article/img/2016/07/21/42103/232955.html (2017/1/7閲覧)画像出典右:Requin-blanc http://requin-blanc.fr/blog/instinct-de-survie-bande-annonce-vf-attaque-de-requin-2016/ (2017/1/7閲覧)

 

次は種まく旅人、くにうみの里(2015日本)良い映画でなく:印象的映画として。

淡路島の地方再生を狙った現実離れした映画になっているので印象的でした。淡路島の海の海苔づくりの弟玉ねぎづくりの兄の確執を描き、最後はそれぞれの仕事に生きがいを見つけるというもの。これだけを見れば感動的な映画になるのですが現実の一次産業はこの二人のようにはいかない。収入が少なくて生活が成り立たない現実は深刻。先日コメの有機農家が技術士会の講演で換算すれば時給200円程度がやっとで、どんなに一生懸命働いても最低賃金約900円(全国平均823円、東京1000円以上:情報元NHK週刊ニュース深読み1/14日)の1/4以下。これがほとんどの農家の現実でこれでは後継者ができるわけがないと話していた。講演者は、トヨタなどの高度輸出産業が作った為替の土俵(円とドルなどの交換レート)」で1次産業が海外と戦わなければならないという不条理のために貧困が生じている。生産性を少し改善したところで焼け石に水状態。新商品の高所得者向け高額品を作ってうまくいく農家はわずかな割合。トヨタなどの高度輸出産業の儲けの一部を一次産業へ回すメカニズムを作る必要があると話していた。『種まく旅人、くにうみの里』の兄が作る玉ねぎも、私が係わった大手商社食品部門の人は、中国やタイやベトナムなどで作って日本に持ってくることで国内価格の1/3以下にできると話していた。商社が現地で指導するので品質も日本とほとんど変わらない。大手商社の話は10年ほど前ですが今も基本は変わらないと思います。物流冷凍技術発展で海外農産物の国内流入を可能にした。「為替の土俵」による国内産業破壊の現実を表現しないで働くすばらしさだけを表現すると働く人が現実離れした理想を持ち苦しむだけになるのではないかと思う。『種まく旅人、くにうみの里』にはその危うさがある。「為替の土俵に切り込んだ第1次産業の働く人を描く国際的なレベルの映画をどなたか制作挑戦していただけないかなと思いました。

(下の画像左は淡路島で玉ねぎの収穫作業をする主題を歌った「にこいち」の二人。映画にはこの場面はありません。画像右は農業用水などの溜池の水を排水し、底の泥を洗い流す「かいぼり」という作業をみんなで行う場面。「かいぼり」により海へ栄養が流れて海苔の発育が促進される重要な作業。映画ではこの「かいぼり」を兄弟が一緒にすることで絆が回復する重要な場面になる)

画像出典左:産経WEST「あわじで農業経験、楽曲に説得力」 淡路島舞台の映画主題歌を歌うデュオ「にこいち」http://www.sankei.com/west/news/150610/wst1506100055-n1.html (2017/1/7閲覧)画像出典右:Risvel種まく旅人 人生の恵みについての物語https://www.risvel.com/column/287 (2017/1/7閲覧)

 

F.Iさん

アルジャーノンに花束を』(1968米国、原題:"Charly"邦題『まごころを君に』)(リメイクで2000カナダ"Flowers for Algernon"、2006仏"Des Fleurs Pour Algernon"やテレビ版などが作られています)

ストーリー:知的障害の青年チャーリイはいつも子供たちと公園で遊んでいたがある日女教師アリスのすすめで知能を高める脳手術を受け成功する。知能指数の高い学者となり自分の病状を研究するうちに、手術は知能だけで社会性は損なわれることや、知能はピークに達した後急速に失われるという限界を知り、悲嘆にくれる。知能の低下が始まった彼はアリスの熱心なプロポーズにもかかわらず自ら知的障害の世界、収容施設に戻る

ダニエル・キイスのSF小説を映画化したラルフネルソンの代表作。この映画で、アカデミー主演男優賞を受賞したクリフ・ロバートソンが素晴らしいのは言うまでもないが、その内容、映画の構成もこれ以上ないくらい完成度が高い。私の個人的な趣味もあるが、精神的世界の深さをじっくりと味あわせてくれる映画

(下の画像はチャーリイより先に知能を高める脳手術をした天才と言われたマウス“アルジャーノン”中央とチャーリイ(クリフ・ロバートソン)。天才マウス“アルジャーノン”は知能のピークを越えると行動が鈍くなり眠り込む。チャーリイは亡くなった“アルジャーノン”を大学の裏庭に埋葬し、知人の大学教授の手紙の追伸に『どうかついでがあったら、裏庭のアルジャーノンのお墓に花束を供えてやってください』と。)

画像出典:まごころを君に(1968)/アルジャーノンに花束をhttp://blogs.yahoo.co.jp/lechatnoir1896/13181234.html (閲覧2017/1/15)

 

H.Eさん

あん』(2015日本 河瀬直美監督)

  樹木希林を主演に元ハンセン病患者の老女が尊厳を失わずに生きようとする姿を丁寧に紡ぐ人間ドラマ

  おいしい粒あんを作る謎多き女性(樹木希林)とどら焼き店の店主(永瀬正敏)や店を訪れる中学生(内田伽羅)の人間関係を描く。

ずっと見たかった映画。ラストシーンが心に残りました。2016年後半ちゃんと見たのはこの1本だけですが、決まりです。

(下の画像左はどら焼きの皮にあんを挟み込む千太郎(永瀬正敏)。このあんをそれまで購入品を使っていたが、徳江(樹木希林)がもっとおいしいのができると自家製を提案する。画像右はどら焼きをよく食べにくる中学生3人組と徳江。右端にワカナ(内田伽羅)がいる。「メンバーが選ぶ2015年前半に観た映画で良かった、又は印象的な作品(その2)」でS.Tさんも取り上げているので、よろしければそちらもご覧ください)

 

画像出典左:たくさんの涙を超えて、生きていく意味を問いかける。映画『あん』http://www.haconiwa-mag.com/magazine/2015/05/an_201505/ (閲覧2017/1/18)画像出典右:映画「あん」(2015)樹木希林の名演光る。 http://blogs.yahoo.co.jp/fpdxw092/63789639.html (閲覧2017/1/18)

 

Mさん

僕だけがいない街:連続アニメ版』(2016日本、フジテレビ12話で完結)

過去の子供の頃、冬のシーン非常にいい雰囲気。仲間になる子供たちのさりげなく、目立たなく描いていました。タイムスリップものとしては「君の名は」がありますがこの作品は日常的なサスペンスがうまく描かれていました。深夜の放映でしたが面白く拝見させて頂きました。

(下の画像左は29歳の主人公悟。悟は何か都合の悪いことが起きるとその事件の前の時間に自動的にタイムスリップされてしまう。事件が起きないように自分を犠牲にして解決しないと現代に戻れない。連続誘拐殺人事件と悟の母が殺される事件が起きる。画像右は18年前の子供時代にタイムスリップされた仲間たちと中央にいる悟。事件が起きないように悟は奮闘するが事件は複雑)

 

画像出典左:びーきゅうらいふ!http://b9life.hatenablog.com/entry/2016/01/08/042300 (閲覧2017/1/19)。画像出典右:MAG速http://magsoku.blomaga.jp/articles/57164.html  (閲覧2017/1/19)

 

僕だけがいない街:実写映画版』(2016日本)

子供の頃の子役達の演技が上手。特に名子役の鈴木さんが暗く抑えた雰囲気が絶品。誰も信じられなくなった主人公を支える有村さんの演技がストリー的にも頼りなっていました。主人公の藤原さんこのような役柄が多く、そつなくこなしていましたが他の人にして欲しかった。

(下の画像左は現在の悟(藤原竜也)と愛梨(有村架純)。画像右は少年時代の悟(中川翼)と加代(鈴木梨央)。終盤はアニメと異なる展開です)

 

画像出典左:Cinema A La Carte http://www.cinemawith-alc.com/2016/03/10-15.html (閲覧2017/1/19)。画像出典左:ciatrシアターhttp://ciatr.jp/topics/93073 (閲覧2017/1/19)

以上です。

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
« メンバーが選ぶ2016年後半に... | トップ | 横浜市旭区ボランティア自主... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

メンバーが選ぶ良かった、又は印象的な映画」カテゴリの最新記事