(その4-60)の続き
(L-6)例16桶川事件(桶川ストーカ殺人事件)と警察対応:警察内部にサイコ特性を持つ警官
桶川事件の埼玉県警は栃木県警と類似の虚偽と言い訳やマスコミ操作だけでなく、告訴状や取調書類の改ざん等を行い、悪質性は栃木県警以上である。栃木事件と同様にジャーナリスト(本件では鳥越俊太郎:テレビ朝日『ザ・スクープ』MC。清水潔:週刊誌『フォーカス』記者)が警察の不正の一部を明るみに出した。マスコミの追求がなければ警察は問題点のすべてを覆い隠した可能性が大きい。県警の告訴状改ざんなどは虚偽有印公文書作成・同行使の罪で有罪となった。さいたま地裁裁判長は量刑事情の中で当時警部刑事二課長片桐敏男に対し「姑息にも自己保身の捏造改ざんを行い」「見苦しい限りである」と述べた。刑事ニ課長片桐以上に問題なのは刑事一課長とその上司の警視(生活安全課担当次長)で、刑事二課長片桐に責任を被せて逃げ切りに成功し、裁判で問われることはなかった。本事件に関わり刑事一課の刑事2名が自殺したが、これらの上司に追い込まれた可能性が大きい。事件後に県警が行った調査報告書も刑事ニ課を集中的に貶(おとし)めて刑事一課長と上司幹部を免罪する意図に満ちていると言える酷いもの。
栃木事件と同様、被害者両親が警察の職務怠慢を糾弾する国家賠償訴訟を起こしたが、栃木事件では一審判決で警察の職務怠慢を認める画期的な判決があったが、桶川事件では一審から警察主張通りの判決で警察の怠慢は認めないものになった。桶川事件で被害者詩織さんが殺害されたのは栃木事件の被害者正和さんが虐殺される1999/12/2の約1カ月前の1999/10/26のことで、両裁判は並行している。
サイコ化事件としては例13北九州監禁殺人事件や例14尼崎監禁殺人事件(角の事件)が、情報量が多く、まんじゅうサイコパスを理解する例として特に細かく分析したが、サイコ化事件の警察の問題点としては例15栃木事件と例16桶川事件が、角の事件と共に情報量が多く重要である。桶川事件は、警察内部にサイコパス特性を持つ者が存在している場合にサイコ化事件がどのように扱われるかの例になる。サイコパス特性のある警察官はサイコ化事件で苦悩する被害者と担当警察官を傍で見ていて、もっと苦しめ、めちゃくちゃになれ、誰か死なないか、とワクワクしていたに違いない。見ているだけでなく加担していた可能性もある。従って、サイコ化事件がうまく処理されるはずはない。
尚、これまで同様青文字は読みやすくしたこと、あるいは重要な内容を示す。赤文字は読みやすくしたこと、あるいは青文字以上に重要な内容を示す。名称はこれまで同様に文章を簡潔にするために敬称を略して、短縮していることをご了承ください。【 】内はこれまで同様筆者の見解及び戦争との関連。表の場合は筆者の見解を主に注に記す。
埼玉県警内部にサイコパスの存在の可能性:告訴状取下げを指示した警視(生活安全課担当次長)の自宅を部下の刑事(巡査部長)主任が放火した。後にこの刑事は自殺。この刑事は被害者の「相談内容の深刻さに同情して当初は熱心に話を聞いてくれていた」(ペディア)、善良な刑事だった。放火事件への対処に不信感を表明した別の刑事ものちに自殺。警察内部で自殺に追い込む力が働いたことは間違いない。放火は「交番勤務に左遷された逆恨み」として処理されたが、マスコミの追求がない限り警察が警察内部を調べることはない*1。筆者は「健常者が自殺するときには周りに必ずサイコパスの存在がある」と確信している。健常者の自殺には経済的困窮だとか、病気だとか、出世が妨げられたとかのサイコパスが係わらない理由を見つける人がいるかもしれないが、それらは「逃げられない絶望」の真白前期まででそれ以上に至るものではなく、遥か遠くかもしれないが必ずサイコパスがその後ろから押して自殺にまでに至らしめるメカニズムがある。うつ病での自殺でさえ、サイコパスが係わる場合があるのではないかと捉えている。健常者は周囲の健常者と共にどんなに苦しい環境においても生きることを追求し、人生を全うする。2名の刑事の自殺は警察内部のサイコパスの存在を暗示させる。
注*1:週刊文春03/5/29日号『「消えない謎 桶川ストーカー事件」捜査員連続自殺の怪』が報じたが、これに続くメディアは出てこなかった。警察組織の閉鎖性に加え、まんじゅう構造ができているとその外に情報は簡単には出てこない。警察組織の健全な幹部でもサイコパスを理解していないと、内部のまんじゅう構造を把握できないで、それを仲間同士程度の軽い組織として誤った理解にしてしまう。
(a)サイコ化事件としての桶川事件の全体像
桶川事件はまんじゅう構造を形成したサイコ化事件であるが、監禁を伴わない。これは監禁する前に猪野詩織さん(以下詩織)が異常に気付き徹底的に逃げ回ったこと、詩織の両親が徹底的に抵抗したこと、さらにサイコパス小松和人(かずひと)が、まだ暴力装置を十分には使いこなせず、犠牲者を屈服させるサイコ3手法(強弁、長時間拘束、眠らさない)を使えなかったことによると考えられる。もし詩織や両親があいまいな態度をしていれば、詩織は拉致され、虐待された可能性がある。実際拉致監禁の計画があった。監禁できない時のまんじゅうサイコパスがどのような行為をするか、この事件は貴重な内容を含んでいる。
詩織がサイコパス和人と知り合ってから殺されるまでの10カ月:自宅へ怒鳴り込んできたり、無言電話700~800回、詩織の顔と裸の女性をつなげた合成と思われる写真でピンクチラシのような中傷ビラを近所一帯や詩織の学校や父の勤務先などの壁に貼ったり、中傷カード、中傷手紙、ネットでの嫌がらせなど手の込んだ激しい嫌がらせと脅しである。家族で飼っていた犬を殺す計画もあった。警察に「助けてください」と何度も足を運んだが、その都度「痴話げんかに付き合ってられない」「民事不介入」などと言われた。告訴状を書けば動いてくれると言ったので告訴しようとしたときも、「まだ学生で嫁入り前だよね。裁判になったら恥ずかしいことも聞かれちゃうよ。それでもいいの?」などと対応された。それでも告訴状を出した。この時に両親と詩織と2人の弟は「よかった、よかった。これで警察が動いてくれる」と喜んだ。しばらくして詩織が父に「警察って本当に動いてくれてるの?」と話した時、父は「日本の警察は一度動いたらものすごい勢いだ」と答えた。父は「殺害されるときまで『きっと』と警察を信じていた。ばかだったと思う。結局願いは届かず、殺されてしまった。泣くに泣けない」「警察は見捨てていた」「やはり警察に殺された。なんであんなに喜んでいたんだろうと、つくづく情けなく思う」と話した。以上の情報元:「犯罪被害と警察の責任」を問う市民の集いのご報告〔2006.08.16〕での桶川ストーカー事件・詩織の父猪野憲一さんの話。
(ⅰ)主犯和人のまんじゅうサイコパスとしての特徴
主犯小松和人(かずひと)は次のようなサイコパスとしての特徴がある。
①嘘で犠牲者を取込む:和人は「誠」と名乗り、職業を「外国車のディーラー」「貴金属や不動産を扱う青年実業家」などの嘘で相手の心を操った。詩織は始め信じて交際が始まった。この嘘は例12北九州監禁殺人事件の松永の嘘と類似である。松永の嘘については本シリーズ(その4-9)「(L)サイコパス松永の特徴まとめ(b)結婚詐欺」参照。
①遠在の『空気』を使い、詩織を殺した:和人は『空気』で武史を動かし、元暴力団員久保田や川上を『空気』と共に現金も使い動かした。例12映画『凶悪』原作のサイコパス三上静男が金で暴力団組長後藤良次らを使ったのと類似。金で後藤良次らは殺人を行うが、桶川事件では金で久保田らが詩織を殺した。殺害時、サイコパス和人は現場にいない。【アリバイ工作のために沖縄へ行っていたとする報道があるがこれは健常者の感覚でとらえた誤り。和人は沖縄で7/5から10/24まで3カ月半過ごし、途中2日間戻っているがアリバイにしては長すぎる。沖縄滞在には目的があり沖縄のテレホンクラブを閉店に追い込むために間断なく電話を掛けるなどを行っていた(ペディア)。詩織殺害10/26の2日前10/24から沖縄から戻っておりアリバイになっていない。まんじゅうサイコパスはアリバイのために現場にいないのではなく、他者を操り嫌がることをし、恐れさせ、殺させることに快感があるためにその場にいない。他者を操るところに単独サイコパスと異なるまんじゅうサイコパスの特徴が出る】。栃木事件のサイコパス萩原も正和殺害現場にいない。松永や角が殺害現場にいないことは前の項の本シリーズ(その4-57)「(L-5)(a)(ⅱ)①遠在の『空気』を使い正和を殺す」参照。
【戦争でのまんじゅうサイコパスも、自分では最前線にはいかず、反社会性人格障害者や健常者をサイコ化して最前線に送り込み、残虐行為をさせることが見られる。後の項「戦時下のサイコパス」参照】
③簡単に死ぬ:角が簡単に自殺してしまったように、和人は簡単に自殺した。サイコパスは本能を司る偏桃体が機能不全のため生きることに執着がない。和人の手首には、幾重にもリストカット(自殺未遂)の痕がある(『桶川女子大生ストーカー殺人事件』鳥越他著 p105)。和人は自殺したため角と同様に不起訴。
④係わったすべての人を恨む:後の項「(b-2)(ⅴ)和人の遺書:係わったすべての人を恨む」参照
(ⅱ)まんじゅう構造
下記表は形成されたまんじゅう構造と判決の量刑。
基本構造 |
基本構造内容 |
サイコパスまんじゅう構造、( )内当時の年齢 |
量刑 |
中心のアン |
サイコパス |
小松和人( 27)*1 |
自殺で不起訴 |
暴力装置 |
元暴力団員、久保田祥史(34)疑似サイコ前期*2 |
― |
|
まんじゅうの皮 (健常者がサイコパス化したもの) |
疑似サイコ後期 |
―*3 |
― |
疑似サイコ前期 |
久保田祥史、殺害実行、1000万円受取*2 |
懲役18年 |
|
真白後期 |
小松武史(33)、和人の金庫番、報酬金2000万円を配布*4 |
無期懲役 |
|
真白前期 |
殺害現場に久保田を運んだ運転手店員川上聡(31)*5 詩織が自宅を出るところの見張り役店員伊藤嘉孝(32)*5 |
懲役15年 懲役15年 |
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まんじゅうに取り込まれる前に逃走 |
猪野詩織(21) |
― |
注*1:和人は違法風俗店6~7店を経営する経営者である。例12映画『凶悪』原作のサイコパス三上静男は不動産業の、例13北九州監禁殺人事件のサイコパス松永は布団販売業の、経営者の顔を持っていた。まんじゅうサイコパスは経営者の顔を持つ者が多数存在すると考えられる。経営者と言っても経営内部で虐待をし、健常者や公共組織に寄生して金品財産を奪う類の経営で、健常者の価値創造を行う経営とは全く別のもの。
*2:例12映画『凶悪』原作の暴力装置である暴力団組長後藤良次によく似た位置にある。後藤良次と同様に、久保田は詩織殺害の報酬1000万円を受け取っている。また、サイコパス和人が経営する違法風俗店のうちの一つの店長を命じられており、和人に従属する関係にあるのも、三上静男に従属する後藤良次の位置に似ている。
*3:詩織が監禁されていないため、激しい虐待をする対象がまだ存在せず、自ら率先して虐待をする疑似サイコ後期に至った人はいないと考えられる。違法風俗店の経営の中で虐待が行われ疑似サイコ後期に至った人がいた可能性はあるが情報がない。
*4:小松武史は和人の実の兄であるが、和人に従属し言われるままである。まんじゅう内部の位置は例14尼崎監禁殺人事件の角の金庫番と言われた枝の位置に相当し、和人の金庫番のように振舞い、和人から渡された2000万円を言われるままに中傷ビラ、中傷カード、中傷手紙の作成費や詩織殺害時の報酬金として配布している。まんじゅうサイコパスの支配は実の兄だとか父だとかは関係せず、実の兄でも、父でも従属させ、虐待の対象になる。武史がどのような経緯で和人に従属するようになったかの情報は今のところない。
*5:二人の店員は殺害後に報酬として400万円ずつを受け取っている。違法風俗店の店員など合計12人が中傷ビラ配布の名誉棄損で逮捕(ペディア。外部リンク)。まんじゅう構造は直接従属しているサイコ化した人だけでなく、周囲に多くの取り巻きがいる。この場合12人。取り巻きが健常者であるために、通常はまんじゅう構造の中心のサイコパス(黒いアン)が見えない。まんじゅうの皮の表面は白い。
(ⅲ)さいたま地裁は主犯を誤った:サイコパスの理解がないため
遠在の『空気』で操る和人が主犯であるが、さいたま地裁は金を配った金庫番の武史を主犯として無期懲役の誤った判決をした。例14尼崎監禁殺人の金庫番の枝は最も同情すべき犠牲者であるが懲役21年の不当な重い判決になったのと同様である。これらはサイコ化事件(健常者がサイコ化された事件)の理解や対処がまだ確立していないために生じている。枝の不当判決など裁判がサイコ化事件を扱えていないことは本シリーズ(その4-43)「(K-4)司法の問題:「法の下の平等」が崩れ、犠牲者を重罪に処す誤り:サイコ化事件を扱えていない」参照。主犯を誤った裁判については後の項「(b-3)(ⅰ)犯人グループの刑事裁判と民事裁判の主犯が異なる判決」参照。
下の画像左はサイコパス小松和人、右は殺された跡見学園女子大学2年の猪野詩織(当時21歳)さん。詩織さんは自転車で自宅を出て、桶川駅から電車に乗り新座市にある大学に向かう途中、桶川駅で自転車を置いた直後に襲われ、殺された。詩織さんは小松和人の自分への興味がなくなるよう、髪の毛をアフロヘヤーのようにして女らしくないようにするなどの努力をしたが、サイコパスは嫌がっていることを知ると、さらに嫌がることをこれでもかと行い、心や肉体を破壊しようとする。健常者にはこのサイコパスの行為を理解することはできない。
【犯罪心理学者の中には健常者の範囲でサイコパスの行為を説明しようとして「拒否されたことの逆恨みの行為」と言うようなサイコパスの理解を誤らせる見解を堂々とTVで言うものがいるので注意。民事裁判の判決でもこのような犯罪心理学者の見解を反映して「交際を絶たれての逆恨み」の動機とした(ペディア)。健常者は「交際を絶たれたこと」で、その人を殺すことはない。拒否されてもその理由が分かれば相手のためになることを考えることさえある】
画像出典左:桶川女子大生ストーカー殺人事件https://matome.naver.jp/odai/2139443011896832501元出典stat.ameba.jp (閲覧2017/11/10)画像出典右:桶川ストーカー殺人の主犯は警察?http://blog.goo.ne.jp/akizo1013/e/465e4459a866c31d9b1ac7e08ced009b(閲覧2017/11/10)
(その4-62)へ続く。