ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

2016年の福島沖洋上風力発電~浮体式洋上風力発電を応援22~

2016年07月21日 | 洋上風力発電

福島沖の浮体式洋上風力発電の実証研究事業は、2011年度第三次補正予算で調査費125億円がついて始まりました。

 

現在は、

①    2000kW風車(浮体は三井造船製の4本足、風車は日立製作所製)1基

②    7000kW風車(浮体は三菱重工製の3本足、風車も三菱重工製)1基

が運転中です。

 

2015年度中には上記7000kW風車1基の他に、

③    5000kW風車1基

・浮体はJMU(ジャパン・マリン・ユナイテッド)製の1本足(アドバンス・スパーと呼んでいます)

・風車は日立製作所製

も設置予定でしたが、年度内には設置出来ず2016年度になりました。

 

新聞によると、淡路島沖でJMU製の浮体に日立製作所製の5000kW風車を載せて組み立て、そのまま福島沖に引っ張っていく予定でした。しかし、風車を付ける前の浮体に海水を注入して直立させる作業中、浮体が想定していた方向と逆側に大きく傾く現象が発生しました。数日後なんとか浮体を直立させることができ、風車を載せる工事も完了したので、7月初旬に福島沖に引っ張ってきました。

 

この後、浮体を固定し、ケーブルを敷設するなどの付帯工事をして、実際に運転を始めるのは今年末くらいになるそうです。

 

この福島沖の計画は、2015年までに実証機を設置・運転するまでが国の事業で、その後に民間の会社が福島沖に100機を並べるというのが当初の青写真でした。どうやら国の事業は2016年度中に終了しそうですが、その後の計画はどうなるのか、どこにも載っていません。

 

洋上風力発電設備の点検・補修のためのアクセス用に全長21.3㍍の双胴船も作ったし、小名浜港の岸壁も強化した(はず)。これらは福島沖に洋上風力発電機を並べるための予算だったので、もしこれで終わりなら納得いかない。

 

また、洋上風力発電を続けるには漁業組合との合意が必要です。福島沖は実証研究事業の期間中は合意ができているものの、それ以降の合意ができたという報道は見ていません。

 

それに、2014年4月に決まった洋上風力発電の電力買い取り価格は、1㌔㍗時当たり36円と決まりました。これは陸上の22円より高い、普及を促進する意図を持った値付けで、実際世界で一番高い価格だそうです。しかし、業界はさらに高い50円以上を希望したとか。

 

洋上風力と言っても風が強ければ、沖合のどこでも良いということではない。沖に出れば風が強いかもしれないが、コストアップ要因にもなるので、出来るだけ陸に近いほうが都合がよい。普通は海岸からそう遠くなく、風が安定し海流の穏やかな海域を選ぶ。そうすると福島沖が洋上風力発電の適地かというとそうではない。

 

福島沖の計画は、福島の復興と絡めて補正予算を取ったので、いろんな点で制約がありコストアップの要因になる。設置海域が海岸から20㌔㍍沖なので、20㌔㍍以上の送電線を海中に設置しなければならないし、海流や風が強いので、風車が乗った浮体が流されないようにしっかりと固定しなくてはならない。また、風車に故障が発生した場合は、遠いので修理に時間がかかる。

 

じゃあ、この実証研究事業の間にコストを下げる検討をしたのかと言うと、それも無いような? ということで、福島沖の洋上風力は、どうやらこれで(実証研究事業)でお終いでしょう。

 

2016.07.22


最新の画像もっと見る

コメントを投稿