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金正恩特別列車の疑問その2 19両の客車は何に使った?

2018年04月07日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

2018年4月4日の「金正恩特別列車の疑問その1 北京―平壌間は意外と速い」の続きです。


定期運行の北京―平壌間の国際列車

北京と平壌間は国際列車が週4回往復している。北朝鮮は新義州まで、中国は丹東までの国内線では多くの客車を連結しているが、国境をまたいで直通する客車は2両(北朝鮮または中国の車両が交互に使われる)だけ。

 

北京―丹東間は、客車14両(20両という記事もある、直通の2両を含む)を連結しているが、この客車は白いので一見してわかる。(中国にも深緑色の客車が存在するが、この国際列車の客車は白い)

 

平壌―新義州間は、機関車を含めて9両(直通の2両を含む)で運行されている。3両は新義州止まり、鴨緑江の鉄橋を渡って丹東まで行く客車が3両ある。

 

なお、北京と平壌間の線路幅は、中国・北朝鮮とも標準軌なので直通が可能です。日本の置き土産です。

 

余談ですが、2・3年前に丹東―瀋陽間に高速鉄道が開通したので、丹東―瀋陽間は1時間30分程度で行けるようになった。また、北京―瀋陽間の高速鉄道には数が少ないけど最短4時間の高速列車がある。したがって、瀋陽で乗り継げば丹東から北京まで数時間でいけそうですが、瀋陽での接続が上手くいくかどうか?

 

特別列車

今回の金正恩の乗った特別列車が北京に現れた時、2両一組のディーゼル機関車に引かれた19両の深緑色の客車を連結した、全部で21両の長大編成の列車でした。北朝鮮の客車は長さ25m(一部20mもある)、機関車2両も25mと推測して、21両では525mと新幹線(新幹線は25m×16両=400m)より長い。巻末にあげる参考資料の本によると、金正日時代の特別列車の編成は1両のディーゼル機関車(全長が15mくらいと小さい)を除くと11両なので、今回の特別列車は8両も多い。

 

4月1日(日曜)夕方の日テレによると、28日朝に北京から来て鴨緑江の鉄橋を渡って北朝鮮に帰っていった特別列車は21両より少なかった。しかも先頭は北京到着時の2両一組のディーゼル機関車ではなく、別のディーゼル機関車(全長が約20m)1両に代わっていた。

 

考えられることは

①鉄橋の強度不足で、重量級の2両一組のディーゼル機関車(機関車は重い)や19両の客車を連結した列車は重くて渡れない。このいかにも重そうな2両一組のディーゼル機関車は、北朝鮮国内の線路も走れないと思う。

 

②2両一組のディーゼル機関車と上記客車8両は中国が貸し出した車両なので北朝鮮には行かない

 

①と②の両方が理由だと思う。金正恩の特別列車のために丹東で中国の客車を増結したと考える。これでは機関車のパワーが不足するので、中国の2両一組のディーゼル機関車に交換した。そうなら、中国が貸し出した8両の客車に乗る北朝鮮の人たち(荷物?)は事前に丹東に来て待機していたことになる。

 

ディーゼル機関車は中国の「東風11Z型」

北京に現れた金正恩の特別列車のディーゼル機関車は、「東風11Z型(DF11Z)」です。インターネットの「中国機関車大全」というサイトに、2002年にデビューした2両固定編成のディーゼル機関車「東風11Z型(DF11Z)」の写真が載っている。深緑色に黄色の1本線、明るいグレーに塗られた屋根、前面と運転席下の赤い部分が全く同じです。記事によると、このディーゼル機関車は、中国国内の電化が進捗したので活躍の場が少なくなり量産はされなかったそうで、北京に4編成(これで全部かどうかは書いてない)が配置されているとのことです。

 

客車に関して断片的にわかったこと

巻末の資料やインターネト上の中国や北朝鮮の客車を見た結果です。

 

・金正日時代の特別列車の客車は、<深緑色+窓下の黄色線1本>

 <深緑色+窓下の黄色線1本>の一般客車も存在します

 

・定期運行の国際列車に連結している、直通する北朝鮮客車は、<深緑色+窓上下の黄色線2本>

 

・北朝鮮の一般の客車は<深緑色+窓上下の黄色線2本>が多い

 <深緑色+窓下の黄色線1本>の一般客車も存在します

 

・中国の客車にも深緑色がある(黄色線2本が多い。1本があるかどうか?)

 

・北京到着時の映像から、今回の特別列車は、前方に連結した客車が<深緑色+窓下の黄色線1本>で、後ろに連結した客車が<深緑色+窓上下の黄色線2本>

そうすると、前方の客車は北朝鮮の金正日の特別列車の11両、後方の客車は中国所有の客車8両かもしれない。

 

・巻末の資料に記載されている金正日の特別列車には、ベンツ2台を載せられる車載車を1両連結していて、この客車(貨車?)は、車を側面から出し入れする構造になっている。金正恩が北京で乗ったナンバープレートの無い装甲ベンツは、特別列車のこの車載車に載せて運んできたようです。

 

窓下の黄色線2本と黄色線1本はこんな感じ。

 

まとめ

・特別列車を引いて北京に現れたディーゼル機関車は中国の「東風11Z型」

 

・ナンバープレートの無い装甲ベンツは、特別列車の車載車に積んで来た

 

・特別列車の19両の客車のうち、11両は金正日時代の特別列車の車両、残り8両の客車は中国所有と考えるのが妥当。

 

・19両の特別列車の客車で何を運んだのか? 客車19両は多すぎじゃないか? 人間とすると、多数の人が北京に来たことになる。それとも荷物? じゃあ、多量の荷物の中身は何?

 

もう一つの疑問

前回の「特別列車の疑問その1」では、日テレの報道が一番早かったのでは?と書きました。日テレは北京の橋の上を通過する特別列車を撮影して、「北朝鮮の要人」が乗っていると26日の4時半頃に報道していました。特別列車が北京に到着したのは、当日の午後3時頃。日テレは、深緑色の21両の列車にどうして北朝鮮の要人が乗っていると直ぐにわかったのかな? 

午後3時が中国時間とすると日本は午後4時。4時半は速い!

 

深緑色の客車は中国にもあるし、特別列車の客車と一般の客車の違いも黄色の線が1本か2本の差しかないはずなのに? それとも、深緑色の客車を19両も連結した長大編成で北京に現れたから? 19両の長大編成は確かに不審だけど、北朝鮮の「要人訪問」に直ぐに結び付くかどうか? 日テレは事前に入手した「要人訪問」の情報を持っていたんだろうな。

 

(参考資料)

「将軍様の鉄道」北朝鮮鉄道事情  新潮社 国分隼人

他にインターネット上に掲載されている旅行記や記事を参考にしました。

 

2018.04.07

 

 


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