2015年10月15日
岩国基地騒音訴訟 飛行差し止めは認めず
山口県にある岩国基地の騒音を巡り周辺の住民650人余りが国に対し騒音の被害を訴えた裁判で、山口地方裁判所岩国支部は住民への騒音被害を認め、国に対し過去の被害分としておよそ5億5800万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
一方、自衛隊機とアメリカ軍機の飛行の差し止めについては訴えを認めませんでした。
山口県岩国基地の周辺の住民650人余りは航空機の騒音による健康被害などを訴え国に対し夜間から朝にかけての自衛隊機とアメリカ軍機の飛行の差し止めや賠償などを求めました。
これに対し、国は騒音被害について、滑走路を沖合に移設する事業をおよそ2500億円かけて行い、平成22年に運用が始まって以降、騒音は著しく減ったなどと主張し飛行の差し止めや賠償の訴えを退けるよう求めていました。
15日の判決で山口地方裁判所岩国支部の光岡弘志裁判長は「原告らは航空機の騒音により睡眠が妨害されるなどの被害が認められる」と指摘しました。
そのうえで、滑走路の移設について「効果には一定の限界があり移設後も一部の住民には人間らしい生活を営む権利の侵害があった」として住民への騒音被害を認め、過去の被害分としておよそ5億5800万円の賠償を命じました。
将来分の被害の賠償については認めませんでした。
一方、住民が求めた飛行の差し止めについては「自衛隊機は国の権限で決定するもので、民事訴訟には適していない」としたうえで、「アメリカ軍機は国に制限する権限がない」と判断し、訴えを認めませんでした。
弁護団と原告「意味あるも課題が残る」
判決を受けて弁護団の団長を務める吉川五男弁護士は「賠償が認められたことは大きな意味があるが、飛行の差し止めは棄却、却下されたため課題が残る判決となった」と話していました。
そのうえで今後の対応については「原告の皆さんと相談し、控訴するか決めます」と述べました。
また、原告団の津田利明団長は「騒音の違法性が認められたことはよかった。
しかし、今後も騒音が続くことに変わりはなく、賠償額が正当に評価されているのか疑問に感じます」と話していました。
防衛省「理解得られず残念」
15日の判決について防衛省は「損害賠償請求の一部を認めている点については、裁判所の理解が得られず残念だ。
今後、判決内容を慎重に検討し、関係機関と調整のうえ対処していく」とするコメントを発表しました。
官房長官「判決精査し適切に判断」
菅官房長官は15日午前の記者会見で「判決の内容について、まだ報告を受けていないが、一般論として申し上げれば、在日アメリカ軍の再編は、地元の負担の軽減や抑止力の維持という観点で取り組んでいる。
判決内容を精査したうえで適切に判断していきたい」と述べました。
各地で飛行差し止めや賠償求める裁判アメリカ軍や自衛隊の基地の騒音を巡って、周辺の住民が飛行の差し止めや賠償を求める裁判は、全国各地で行われています
現在、裁判が行われているのは、岩国基地のほか、神奈川県の厚木基地、石川県の小松基地、東京の横田基地、沖縄県の嘉手納基地と普天間基地です。
過去の裁判で住民への賠償については認める判断が定着していて、ことし6月には、普天間基地の周辺の住民が起こした裁判で、国に7億円余りの支払いを命じる判決が言い渡されています。
さらに、ことし7月には、厚木基地の騒音を巡る裁判で、東京高等裁判所が、過去の被害に加え、将来の被害も考慮する初めての判断を示し、国に94億円の賠償を命じました。
また、この裁判では、国に対して、来年末までの間、夜から早朝にかけての自衛隊機の飛行差し止めを命じる判断も示され、高裁では初めて自衛隊機の飛行差し止めが認められました。
(記事コピー先不明)
岩国基地騒音訴訟 飛行差し止めは認めず
山口県にある岩国基地の騒音を巡り周辺の住民650人余りが国に対し騒音の被害を訴えた裁判で、山口地方裁判所岩国支部は住民への騒音被害を認め、国に対し過去の被害分としておよそ5億5800万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
一方、自衛隊機とアメリカ軍機の飛行の差し止めについては訴えを認めませんでした。
山口県岩国基地の周辺の住民650人余りは航空機の騒音による健康被害などを訴え国に対し夜間から朝にかけての自衛隊機とアメリカ軍機の飛行の差し止めや賠償などを求めました。
これに対し、国は騒音被害について、滑走路を沖合に移設する事業をおよそ2500億円かけて行い、平成22年に運用が始まって以降、騒音は著しく減ったなどと主張し飛行の差し止めや賠償の訴えを退けるよう求めていました。
15日の判決で山口地方裁判所岩国支部の光岡弘志裁判長は「原告らは航空機の騒音により睡眠が妨害されるなどの被害が認められる」と指摘しました。
そのうえで、滑走路の移設について「効果には一定の限界があり移設後も一部の住民には人間らしい生活を営む権利の侵害があった」として住民への騒音被害を認め、過去の被害分としておよそ5億5800万円の賠償を命じました。
将来分の被害の賠償については認めませんでした。
一方、住民が求めた飛行の差し止めについては「自衛隊機は国の権限で決定するもので、民事訴訟には適していない」としたうえで、「アメリカ軍機は国に制限する権限がない」と判断し、訴えを認めませんでした。
弁護団と原告「意味あるも課題が残る」
判決を受けて弁護団の団長を務める吉川五男弁護士は「賠償が認められたことは大きな意味があるが、飛行の差し止めは棄却、却下されたため課題が残る判決となった」と話していました。
そのうえで今後の対応については「原告の皆さんと相談し、控訴するか決めます」と述べました。
また、原告団の津田利明団長は「騒音の違法性が認められたことはよかった。
しかし、今後も騒音が続くことに変わりはなく、賠償額が正当に評価されているのか疑問に感じます」と話していました。
防衛省「理解得られず残念」
15日の判決について防衛省は「損害賠償請求の一部を認めている点については、裁判所の理解が得られず残念だ。
今後、判決内容を慎重に検討し、関係機関と調整のうえ対処していく」とするコメントを発表しました。
官房長官「判決精査し適切に判断」
菅官房長官は15日午前の記者会見で「判決の内容について、まだ報告を受けていないが、一般論として申し上げれば、在日アメリカ軍の再編は、地元の負担の軽減や抑止力の維持という観点で取り組んでいる。
判決内容を精査したうえで適切に判断していきたい」と述べました。
各地で飛行差し止めや賠償求める裁判アメリカ軍や自衛隊の基地の騒音を巡って、周辺の住民が飛行の差し止めや賠償を求める裁判は、全国各地で行われています
現在、裁判が行われているのは、岩国基地のほか、神奈川県の厚木基地、石川県の小松基地、東京の横田基地、沖縄県の嘉手納基地と普天間基地です。
過去の裁判で住民への賠償については認める判断が定着していて、ことし6月には、普天間基地の周辺の住民が起こした裁判で、国に7億円余りの支払いを命じる判決が言い渡されています。
さらに、ことし7月には、厚木基地の騒音を巡る裁判で、東京高等裁判所が、過去の被害に加え、将来の被害も考慮する初めての判断を示し、国に94億円の賠償を命じました。
また、この裁判では、国に対して、来年末までの間、夜から早朝にかけての自衛隊機の飛行差し止めを命じる判断も示され、高裁では初めて自衛隊機の飛行差し止めが認められました。
(記事コピー先不明)