mixi からの移設ブログ

mixi の体裁悪化により、暫定的に日記機能を移設しました。これを機に、会員外の方々とも積極的に交わりたいと思います。

[sci][scicom] 去年(2015 年)の研究・科コミ活動

2016-01-08 23:31:12 | 科学技術・科コミ
 年始恒例の“去年の振り返り”を、今回も3回シリーズで実施する。
 その最終回は、去年の科学コミュニケーション活動の成果と内容を。

 一昨年末に身体を壊したこともあり、去年は動き出しが遅かった。そして、動き出したら、急に忙しくなった。
 それでいて、別の生業由来の事情と活動拠点の事情とで、思うように活動を展開出来なかった。不本意のほどは甚大だ。

 それでも、意地で結果だけは残した。その結果の中身からして、それなりに大きな飛躍は果たしたと思う。
 例年通り、題目毎に整理しよう。

 去年、参戦した学会は、正味僅かに2つ。
 9/13~9/15 の日本生物物理学会年会(@金沢)と、12/12~12/13 の日本サイエンスコミュニケーション協会(JASC)第4回年会(@筑波大文京)。後者は学会扱いするのが微妙な一面はあるが、今回も取り敢えず入れておく。それぞれの記録はあるが、諸般の事情wで公開が遅れている。
 生物物理学会年会は、同学会としては初開催の金沢。個人的には、学会での金沢は自身の学会発表デビューだった日本薬学会の時以来久々。会場は金沢大角間キャンパス。交通の便が良いとは言えないが、研究環境としてはなかなか。この学会の時にしか会えない友人も複数居て、旧交を温める機会には事欠かなかった。
 JASC 年会では、ちょっとしたドラマもあったが、その中身はまた後日。本格的な研究発表の事例はそう多くはないが、事例紹介の蓄積は徐々に充実してきた。元々、理科教育方面の文脈で始まった会の末裔という事情もあり、科学コミュニケーションの全体像に関する目配せはまだまだ足りていない。それでも、コミュニティとしては徐々に育っている感もある。

 去年の動き出しは研究会からだった。
 3/4 に早稲田大学西早稲田キャンパスで、科学コミュニケーション研究会(SCSJ)関東支部の勉強会。テーマは講談社リケジョプロジェクトの話。過去数度ご一緒しているエンパブリックの方が登壇。今回は矢部純代さんがそのゲストだった。

 研究関連では、今年は小さなご縁があって、歩みは小さくとも大きな一歩があった。
 4~7月に、奥羽大学薬学部で非常勤講師に携わったのがその一つ。担当科目は教養課程の物理学の一部と生化学の一部。そのメモを自前ブログのこちらに小さく記してある。正規の手続きで生業勤務先の会社に兼業許可を取り、久々の“定期収入を伴う二足の草鞋”だった。集団の面前で講義を行う経験は今回が初めてで、大学時代に教職科目を履修した経験もない。率直に言って、学生層としては低学力校。諸々の厳しい条件はあったが、教育産業に従事した経験と人前でしゃべる経験、サイエンスカフェやシンポジウム登壇などの場数がものを云ったと思う。長いブランクを経ての大学教員デビューとしては、ゼロが1になったこと、時間内に収める工夫も一部は奏功したこと、自分の経験と学識を若い学生さん達にごく一端でも伝えられたことは収穫だった。

 科学コミュニケーションの方面では、今年は久々に精力的に各地を廻ったと思う。
 3/19 に静岡科学館るくる、3/26 に千葉市科学館をそれぞれ視察。静岡では同館館長の長澤さんがお目当てのうちのお1人だったが、ご多忙後の公休日(しかもそんな中ご自宅で仕事)でご不在。もう1人のお目当て、同館スタッフの代島さんにはお世話になった。世間話を色々お伺いしたが、中身は我々だけの秘密w 千葉では副館長の佐藤さんに直々にご案内を頂き、過去何度かサイエンスアゴラ関連でお世話になっている科学フェスタご担当の針谷さんとも再会。佐藤さんは妻の小学生時代の恩師で、僕ら夫妻の結婚式のときに、披露宴でメッセージを頂戴している。世の中狭い。
 上半期にはもう一つ。4/19 の理研和光の一般公開。当日の公開内容そのものは毎年大同小異なので最早どうでも良く(と云っては言い過ぎだが)、年に数回しか会えない友人達との再会が主目的になっている。理研神戸 AICS 広報に昨年就任した西方さん(→生物物理若手の会の後輩)や、理研和光生命科学棟でポスドクの中西さんと世間話。苦労話は絶えないようで、でもお2人とも良い仕事をしている。
 下半期にはいよいよ精力的に。9/6 には筑波の高エネルギー加速器研究機構(KEK)の一般公開。広報主任の岡田さんにも少しだけご挨拶。10/11 には千葉市科学フェスタのメインイベントで、千葉市科学館を再訪。大学生協学生委員時代の後輩・神谷さんが千葉市副市長に就任。その彼を科学館関係者とつなぐこともした。10/24 には三鷹の国立天文台一般公開へ。生業が無駄に押して、滞在時間は僅かだったが、ある所用も兼ねての視察に。1つめの大学時代に学生委員をしていた大学生協の天文台店が、その国立天文台にあることに気付くなど、小さな収穫wも。それと、各種の観測設備や、一般公開施設「星と森と絵本の家」も視察。4D2U シアターの観覧はまたの機会に。
 11/11 にはつくばサイエンスコラボでつくば市を再訪。つくば市教育委員会の色川さんには、サイエンスアゴラでの東京国際科学フェスティバル(TISF)による出展企画で、毎年ご協力を頂いている。電話口でも何度かお話ししたことがあるが、お会いしたのは今回が初めて。会場ではあの Dr. ナダレンジャーさんのショーが大人気。そのナダレンジャーさんとも、2011 年6月の第 50 回サイエンスカフェにいがたから帰京する新幹線でご一緒して以来の再会。お元気にご活躍。そして、いつの間にか女性の手下も出現。

 大きかったのは、今年も2つ。東京国際科学フェスティバル(TISF)とサイエンスアゴラ 2015
 TISF としては、今年は大したことは出来なかった。大小のイベント同士で繋がろうというメタフェス型の科学祭だが、イベント参画数も年々の漸減傾向を払拭できず、前々年の反省から通年の継続的取り組みとして始めた月刊サイエンスカフェも、マンパワー不足で開催できず。9/5 に開幕イベントを打ったのが精一杯。その開幕イベントそのものは、個人的には新たな出会いがあり、運営面では出展者交流会の雰囲気も作れて、一定範囲の意義はあった。ただ、同時開催で併催扱いの科学映像祭やみたか太陽系ウォークとの有機的な繋がりはどうにも巧く作れず、苦戦を強いられたと思う。後述のサイエンスアゴラ出展企画で、各地の科学祭との繋がり作りをほぼ独力同然でどうにか進めるのが、副委員長としての精一杯だった。
 サイエンスアゴラでは、その TISF クレジットの企画でも、もはやライフワークとなった研究問題ワークショップ「本音で語る」でも、それぞれ大きな一歩や大きな節目を迎えた。
 TISF クレジットの「広がりゆく科学のひろばの担い手たち」は、今年も TISF からの情報発信と日本各地の科学祭の紹介から成るブース出展と、各地の科学祭や地域連携活動の担い手による情報交換会の時間枠セッションの2本立てで実施。後者はいよいよ日本の科学祭ネットワークという形で、12 月の JASC 年会を経て正式にキックオフ。3年がかりの助走を経て、やっとネットワークとして走り出した。膝元の TISF がショボくて不味いという困難はあるものの、各地の担い手の方々を結びつける営みそのものには意味がある。
 その科学祭ネットワークのキックオフも兼ねて、会期最終日にははこだて未来大の金森さんと会場廻り。全国各地の方々との交流にいそしんだ。
 自前企画の「本音で語る」は、今年は研究費問題を取り上げた。題して「本音で語る研究費問題~幸せに研究するために~」。第1回アゴラ(2006 年)で研究不正と研究費不正をまとめて取り上げ、前者は第9回(2014 年)に、別の研究不正事件をきっかけに再度取り上げた。後者は第1回の時以来の宿題としてずっと温め続けていたが、ここ数年の大学や研究機関の研究パワー低下と、それを示唆する若手研究者の多忙、ノーベル賞受賞ラッシュと現在の研究現場とのアンバランスぶりなど、問題意識を育む事象群には事欠かなかった。そして、かの豊田長康さん(鈴鹿医療科学大学長)の“豊田レポート”が大反響を呼んだこともあり、その豊田さんと、科学技術政策論のプロとしての田原敬一郎さん(未来工学研究所)をゲストに迎え、いつも通り前半がトーク、後半がワークの2部構成で実施した。来場者には大学 URA の方や研究者(→実は生物物理若手の会以来の友人の一人)など。事前には大した宣伝も出来ず、プレイベントも打てなかったが、それでも 20 人ほどの来場者があり、当座は盛り上がった。後半のワークは2年ぶりに全脳思考(→現在は「フューチャーマッピング」に改称)を採用し、島2つで和気藹々と気付きを得たと思われる。その結果の分析は不本意ながら後回しになっているが、来場者の皆さんに宿題を渡せたと思う。

 定点観測は、今年も幾つか。
 振り返り第2弾でも触れた 4/5 のマリンダイビングフェア@池袋サンシャインシティ、7/4 の東京国際ブックフェア@東京ビッグサイト、12/13 のエコプロダクツ 2015@東京ビッグサイト。前2者は、まぁ内容的にはいつもそこにある安心感を味わいに行くのと、その分野の動向を見るのが主。エコプロでは今回大きく勝負に出て、TISF 実行委員会としての営業周りという、前年やろうとして出来なかったことを試みた。手応えは良かったと思う。地道な関係作りとその開拓という、本来大切な当為の途をキチンと歩んだことは、個人的にも有意義だったし、TISF にとっても意味があったようだ(→他人事的な言い方になっていることには理由があるが、今回はこれ以上話を掘らない)。
 臨時便として大きなものが、もう2つ。
 振り返り第2弾でも触れたが、10/17 にチーム美らサンゴの第3回植え付け体験会へ。自前ブログで散々書いているので、ここでは屋上屋を重ねない(こちらを参照)。体験会そのものも、コンソーシアムとしてのチーム美らサンゴも、その後の進化は著しい。
 それと、11/3 には第 44 回東京モーターショーへ。隔年開催になって久しく、会場が千葉・幕張から東京ビッグサイトに移動して、今回が3回目。前回来場したときには「パスしようか」とは思ったが、結局来てしまった。ビッグサイトの全館を使用しての開催規模は、やはり圧巻。ブース1個1個もなかなか大きく、日産やホンダのように見本市会場区画1つの3~4割をしめる巨大なブースは、通し見するのも大変。ブース毎のホスピタリティの差は相変わらず。ただ、少なからず純粋に、来場者として気付きや楽しみを得た部分は一応あった。

 こうしてみると、去年も色々あった。厳しい中で、色々積み込んだと思う。
 新たな展開も一応あって、継続的な取り組みとして新たなライフワークを得た感もある。
 そういえば、去年はサイエンスカフェの登壇がなかった。と云いつつ、年が明けて早々に、カフェ登壇の予定が早速2つある。それをきっかけに、今年は良い流れにうまく載りたい。
 何らかの意味で、科学コミュニケータとしては、去年よりはラクをする可能性もあるが、その「ラク」の中身はせめて良いものにしたい。
 そして、一昨年くらいから徐々に来ている“自称本業の科学研究方面”の細い流れは、更に太くしっかりしたものにしていきたい。十週以上の周回遅れ然たることからくる悔しさは一生晴れないが、小さくとも勝って終わりたい。そのための歩み出しを、去年~今年の流れをきっかけにより力強いものにしたい。元々の土壌と取り組みの継続があって、一つ何かきっかけがあれば、だいたい続きがあるからね。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿