日々是好日 in Canada

写真と日記で綴る、日々のこと。

不平不満合唱団

2007-02-25 | カナダあれこれ
こちらの写真も、ケベックシティでの冬のカーニバルから。戦場公園で展示された雪の彫刻です。たくさん展示されていましたけど、これが一番人気があったんではないかな?私もしばらく見惚れてしまいました。日本の雪祭りなんかでは、やっぱり子供たちに大人気のキャラクターものが多いと思いますけれど、こういう雪像に子供の頃から触れるのもいいことだよな~なんて思ったりもしました。

いつものごとく、さっそく写真とは関係ない話に移りますが。
私はいつも夕飯の支度をしながらラジオを聴いています。最初は英語やフランス語の練習に・・・なんて思っていましたけれど、続けているとだんだんと日課になり、ラジオを聴かないと料理する気がおこらなかったりして。(笑
ちょうど夕方にニュースの後にやっているのが、CBCラジオの「As It Happens」という番組。インタビュー形式でカナダ国内はもちろん世界中の様々な出来事について話をしていく番組なんですが、カナダの人たちの生の声も聞くことができて、これがなかなか面白いのです。カナダの色々な地域の人たちが電話で話をするので、いろんな方言やアクセントを聞くことができて英語の練習にもなっています。

いつものようにこのラジオ番組を聴いていた木曜日。なんと、「Complaints Choirカナダバージョン誕生!」のニュース!
このComplaints Choir、日本語にすると「不平不満合唱団」といったところでしょうか。ケベックシティの友達クレアに教えてもらってからネット上で注目していた合唱団なのです。
ふたりのフィンランド人がイギリスのバーミンガムで、人々の不平不満や愚痴に費やすエネルギーを何か別のものに変換できないか?というアイデアから合唱団をつくり、不平不満を歌にのせて歌っちゃえ、というのが始まり。
この小さな始まりから不平合唱団はどんどん人気がでて、母国ヘルシンキでも合唱団が誕生。その後ドイツのハンブルクやアメリカのピッツバーグなど、世界中にじわじわと広がっているのです。

実はこの合唱団の誕生にはもうひとつ理由が。
フィンランド語にはもともと、たくさんの人々が一斉に不平を言う様子を表す「Valituskuoro」という単語が存在するのだそうです。どう発音するのかさっぱりわかりませんが。そしてこの単語の意味が「不平合唱団」なんだそうな。

実際に歌を聴いてみると、その人気の理由がわかります。「喉がかわいた」というしょーもない愚痴から「なんで給料もっとくれないの」という切実な不平まで、不平不満だらけの歌詞なのに、歌っている人たちの真剣さといったら。(笑
それに、日頃から感じてる不満を歌にしてきくと、「そうそう!」と共感しながらどんどん歌に聞き入り、歌が終わると聞いていたこっちまで気分がすっきり!歌っている人たちはもっと気持ちいいんだろうな~。
歌詞をいくつか抜粋すると。
♪なんで私のパソコンこんなにのろいの~♪
♪バスの運転手は愛想がわるいし~♪
♪外で飲むビールはなんでこんなに高いんだ~♪
♪金返せ~♪

カナダバージョンではこんなのも。
♪なんで私の足こんなに冷えてんの~♪
♪指先なんてかじかんでマヒしちゃってるし~♪
♪ハーパー首相の服、サイズ合わなくてぴちぴちだし~♪

右の写真はヘルシンキ不平不満合唱団。青い空と教会をバックに、なんて爽やかなんでしょうか。
不平不満ばかり言うのは不健康だけれど、こうして歌にのせて全部吐き出しちゃうのもいいことなのかもしれませんね。実際に言葉にして不平を聞いてみると、なんだか可笑しくて「な~んだ、これっぽっちでグチグチしてるのもったいない!」という気分にもなってくるから不思議です。

この合唱団、とうとうカナダにも誕生したことですし、日本に上陸するのもそろそろでしょうか!?


▼日本にも不平不満合唱団を!と志高い人も、ただ歌を聴いてみたいという人も、こちらをご参照ください。

CBC Radio "As It Happens" 不平不満合唱団デビュー記事
Complaints Choirs Worldwide


ガムは紙に包んで?

2007-02-23 | カナダあれこれ
じゃじゃーん。懐かしのケベックシティの写真です。
2週間前にカーニバルに行ってきたときのものです。セントローレンス側沿いに聳えるシャトーフロントナックの厳かな雰囲気に、静かな雪がお似合いですね。

観光地として毎年多くの人々を魅了しているケベックシティですが、モントリオールも負けじと頑張っています。数ヶ月前から何度か話題にのぼっていましたが、そろそろ「街の美化運動」法案が通りそうな気配。この法案が通ると、店の前や自宅前の半径60cmの範囲は責任を持ってきれいにしなくてはならず、街の壁などに落書きをすると罰金が最高2000ドル。

確かにわたしも、綺麗な街と名高いバンクーバーで生活した経験があったせいか、モントリオールに初めて住み始めた時には街のゴミがよく目につきました。風に吹かれて歩道に舞う紙くずや紙のコーヒーカップ、新聞紙。それから、歩道に黒くついた無数のガムの跡。住み始めてしばらくすると慣れてきましたけれど、街並みが美しいのにもったいないな~と最初の頃は外出するたびに思ったものです。
ちなみにケベックシティは観光地なだけに、ゴミ箱が街の至る所に設置されていて、ミニチュアの車が旧市街を頻繁に巡回して道路のゴミを拾ったり、ゴミ箱のゴミを集めたりしていました。

そういえば、夫や夫の家族が日本へ行ったとき、みんな口を揃えて感動していたのは「日本は街がきれいで清潔!」ということでした。道にゴミが落ちていない、道路にガムの跡がない、新幹線の中ではゴミを集めて回るし、自分でゴミを持って電車を降りてホームのゴミ箱に捨てるなんてことはみんな普通にやっている!
たしかに、日本のガムは必ずひとつひとつ紙に包まれていて、「噛んだ後は紙に包んで捨てましょう」なんて書いてあったりもします。過剰包装の問題はまた別として、ことゴミに関しては日本は比較的きれいなほうなのでしょうね。
以前夫に聞いてびっくりしたのは、子供の頃学校の掃除をしたことがない、ということでした。日本では教室も廊下も、トイレ掃除も校庭の草取りも、生徒がするのが当たり前ですよね。こんなところにも、もしかするとゴミに対する意識の差の根があるのかもしれません。

バンクーバーやトロントと違って、歴史が色濃く刻まれたモントリオールは独特の美しさをもった趣のある街。この法案が通ったら、今年の6月からゴミが減る・・・はず。モントリオールはますますきれいな街になるのかどうか、乞うご期待!!


ケベックで雪遊び

2007-02-18 | カナダでアウトドア
風邪で寝込んでいる間に、もうすでに一週間がすぎてしまいましたが、ケベックシティでの冬のカーニバル。雪にまみれて思いきり遊んできました。

上の写真はデュフランテラス。シャトーフロントナックの前の、セントローレンス川を見下ろす眺めのいい高台に設置された氷の滑り台を、写真にあるような木製のソリで一気に滑り降りるのです。これが氷なだけに、もの凄いスピードと音!ケベックシティの時の日記でたびたび登場したクレアとギル、そして私達夫婦の4人(全員30代の若者。笑)で、「ひゃっほーぅ!」と大騒ぎして楽しんできました。


懐かしの雪合戦をしつつ、旧市街の隣に広がる戦場公園へ向かうと、丘の上にこんなゴムボートを発見。

一番左端の波打ったコースと、他二つはトルネードコースと言って、丸いゴムボートがくるくる回りながら滑って行くコース。またしても童心にかえって、ぎゃーぎゃー騒ぎながら興奮する30代若者たち。(笑

子供の頃はそういえば、寒さもも霜焼けのかゆさも絶え間なくでてくる鼻水もお構いなしに、こうして雪の中で毎日遊んだものです。近くの公園に作った小さな雪山をミニスキーで何回も何回も滑ったり、かまくらを作って遊んだり。
雪ってどうして、こんなに楽しいんでしょうか。


それで風邪ひいたんじゃん!と言われてしまいそうですが。(汗
でもでも、こんなおバカさん達よりはましかと。


これって少なくともマイナス20度くらいですよ!!
見ているだけで身震いする・・・。色白な肌が、ますます痛々しいですね。

他にも今年は新しいコーナーが色々あって、「雪の中で映画」というのもありました。屋外にただ椅子を並べて、毛布にくるまってポップコーンを食べながら映画を見るだけなんですけどね。つまんない映画で寝ちゃったりなんかしたら、命にかかわるような気がしないでもないですが。寝るな!とか言ってほっぺをたたきあったりして。(笑

一番寒さが厳しいと言われる1,2月に行なわれるこのお祭り。毎年冬になると思いますが、ほんとうにケベックの人たちは、厳しくて暗い冬も楽しく過ごすのが上手です。
こうして雪にまみれてあそんでいるうちに、2月ももう半ば。雪解けの音が聞こえてくるのも、きっともうすぐですね。

ビッグな風邪薬

2007-02-15 | 日記-モントリオール
あれ?この建物、前にも見たことがあるような・・・?とピンときた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうです!ケベックシティに遊びに行ってきました!
モントリオールに引っ越して、もうすぐ半年。もうそんなになるなんて吃驚ですが、その反面街を歩いていると大昔に住んでいたような気分にもなったり。雪に包まれたケベックシティは相変わらず美しくて、馬車が行き交う石畳の道も、雪を纏った見慣れた看板も、ここでの生活を懐かしく思い出させてくれました。
ケベックシティといったら、冬のカーニバル。そのカーニバルの最後の週末ということで、たったの二日間でしたが友人宅へ泊めてもらって楽しんできました。その様子はまた今度この日記でも書くことにして。

実は、ケベックの寒さと雪に埋もれつつ一日中元気に外で遊んだ結果、モントリオールに帰って直後、わたしは見事に風邪で寝込んでしまったのでした。今年の目標は「健康第一」って、声高らかに宣言したばっかりなのに~。あぁ情けなや・・・。
ただの風邪ならまだしも久しぶりに熱まで出しちゃったため、冷タオルで頭を冷やしつつ寝込むこと二日間。タオルで冷やすなんて、一体何年ぶりだろう
今回はあまりにも辛かったので、市販の風邪薬に大変お世話になりました。最近は日本でも見かけるようになりましたが、こちらでは定番のTYLENOLという薬です。効き目はバツグンなんですけれども、錠剤がデカすぎ!と思うのは私が日本人だからなのでしょうか。なんでもかんでもビッグサイズな北米ですけど、こんなものまで大きいとは。

昔バンクーバーでホームスティをしていた頃、風邪を引いた私にホストマザーのアイラが風邪薬を飲みなさい、と棚から出してきてくれたのも同じくこのTYLENOL。ボトルの注意書きを読みながら「そうねぇ、Yokoは小柄だし子供用の量のほうがいいわね。」とアイラ。カナダの薬は日本人には強いという話も聞いたことがあったので、うんうんと頷く私の目の前で、アイラはハサミを取り出し錠剤をチョッキンとまっぷたつに!!突然の予想外の展開に、一瞬びっくりしましたけれども。子供用ってこういうことなのか・・・と思いつつ、切り口から粉がパラパラ落ちてくる半分になった錠剤をのんだのでした。

日本の薬はほとんどが、何歳以下1錠とか大人3錠などとなっていますものね。日本の薬はなんて合理的で親切なんだろうと思いましたが。以前、夫に日本の風邪薬を飲ませようとしたとき、手のひらにのせられた3錠を見て「なんでこんなにたくさん飲むの?」と不思議がっていました。だって大人は3錠って書いてるよ、と説明しても「うーん、とりあえず一粒だけでいいや」と。なるほど、夫の目には逆に不思議に映るようです。夫は体も大きいし、絶対効き目ないだろうな~と思いましたが本人の好きなようにしていただきました。(笑

ということで、今回もデカい錠剤のTYLENOLに痛みを和らげてもらいつつ風邪と闘い、見事に峠は越えました。効き目はあるからいいんだけど、でもやっぱり、腫れたのどに大きい錠剤は辛いものですね。

あしあと

2007-02-07 | 日記-モントリオール
冬のアウトドアの楽しみのひとつは、まっさらな雪の上に残された動物たちの足跡。おっ、ここで何かみつけて掘ったな~というのが上の写真。その他にも、犬に驚いてちょっとジャンプ気味に引き返したリスの足跡や、バランスくずして尻もちついた形跡なんかも。想像するだけで賑やかな、雪の静けさの中での散歩です。

さてさて話はガラッと変わりますが。
もう先月のことになりますけれども、インターネットで偶然みつけた、90歳の大学生の方のお話。

人生日々勉強 90歳大学生/放送大の安里さん(沖縄タイムス)

47歳でアメリカのハイスクールに入学、57歳で国家試験に合格というのも十分驚きなのに、90歳で大学生とは!30代のわたしなんて、まだまだヒヨッコじゃん!と思い知らされたニュースでした。
特に女性にとっては30歳って大きなステップだったりしますけれども、鈍感なせいか「30歳」という数字にはあまり恐怖を抱かなかった私。でも、白髪を発見して焦ったり、筋肉痛がかなり遅めに襲ってきたりと、目に見える形で年齢をひしひしと感じていた近頃は(いきなり顔が粉吹きいもになったし!!)、何かにつけて「もう若くないんだから・・・」という気持ちが心のどこかにあったような気がします。そしてきっと、「もう若くないんだから」という後ろ向きな言葉につられて、何時の間にか物事に対してもますます後ろ向きになっちゃうような毎日になっていたんではないかな~。自分で自分に暗示をかけちゃいけませんね。

自分の心持ち次第で、前向きにも後ろ向きにもなるんだということを肝に銘じて、人生日々勉強!あ、いや、「勉強」かどうかはわかりませんけれども、90歳のおばあちゃんに負けないように前向きに日々歩んでいきたいな、と思います。

久しぶりに映画館へ

2007-02-01 | 本・映画 etc
家の近くに、親切な台湾人のおじさんが経営しているDVDレンタル屋さんがあります。いつもニコニコ満面の笑顔のおじさんはすっかり私たちの名前まで覚えてくれて、店の前を歩くと大きく手を振ってくれます。そのせいか最近では映画をみるといったら専らDVDで、なかなか映画館まで足を運ぶことがありませんでした。
でも、年末年始は面白そうな映画が目白押し!映画業界の思惑にまんまとひっかかり、久しぶりに映画館へ。

今回観てきたのは、「硫黄島からの手紙」。12月頃からずっと観たいなぁとは思っていたものの、クリスマス&お正月休暇は皆さんもご存知のように食べたり飲んだりするのに忙しく(笑)、映画を見に行く暇すらありませんでした。

たった60年程前の、硫黄島での約一ヶ月に渡る激戦については、哀しいことに教科書でもあまり取り上げられることもなく、日本人でも詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。私自身、こうしてクリント・イーストウッド監督がつくった日本映画というかたちで、その歴史を垣間見ることができて、良かったなぁと思います。
不毛の土地での地下壕、さらに戦争が舞台ということもあって、前編を通して暗い色合いの映画でしたが、それがかえって軍人たちの温かい人間性を浮き彫りにしていたように思います。渡辺謙さんはもちろんのこと、一兵卒役を演じた二宮和也さんも、一緒にいったカナダ人たちに大絶賛されていました。


戦争映画と言っても、戦争の悲惨さを極端に見せつけたり反戦を強く訴えたりということはなく、戦争の勝者敗者関係なく戦争は人間がおかした大きな過ちなのだということを静かに語りかけてくるような映画です。イーストウッド監督は、あえて米兵の冷酷な行動なども映画の中に取り入れたりしていて、平等な立場から硫黄島での激戦を細やかに綴っています。
同じ軍服に身を包んでヘルメットを被り、一見全員が同じように見える兵士たちでも、ひとりひとりに人生があり、上官の愚痴を言い合ったり、子供たち宛てに手紙を書いたり、お水にあたってお腹を下したり。時代や国が違っても、硫黄島で戦っていた人たちは私たちとなんらかわりない人間なのだということがジワジワと伝わってきました。

映画が始まる前、入り口でチケットを切っていたお兄さんも「お、Letters from Iwo Jimaだね。こりゃぁ良い映画だよ。Good choice!」と熱い目をして教えてくれたこの映画。おすすめですよ♪