
2025年01月21日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ 洋上風力発電と漁業 海外の経験#108 米国 丁抹オーステッド 洋上風力で更に減損2,643億円]
①洋上風力発電が本当にCO2削減に貢献するのか、②洋上風力発電事業自体が再エネ賦課金だのみの不採算事業であり漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、③政府が責任をもったMSP(海洋空間計画)を設定すべきではないのか、④政府がベースラインをしっかり作るような漁業影響調査を指導すべきではないのか。
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。
一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。
2025年1月20日、世界最大のデンマーク洋上風力発電開発会社“オーステッド”(Orsted)は、米国でのプロジェクトにおける更なる減損を発表した。
今回の減損総額は121億デンマーク・クローネ(17億ドル:2,643億円)としている。
“オーステッド”は、減損の原因として金利、サプライチェーン、および「市場の不確実性」を指摘している。
この発表は、2023年の米国における洋上風力発電プロジェクトでの284億デンマーク・クローネの減損に続くもので、これも金利上昇とサプライチェーンの混乱が原因とされており、“オーステッド”の戦略について更なる疑問が生じる可能性が高い。
これは、ドナルド・トランプが米国大統領に就任した数時間後に発表された。
トランプは選挙運動中に大統領就任「初日」に洋上風力発電プロジェクトを中止すると公約していた。
米国ホワイトハウスは同日のプレス・リリースで、トランプのエネルギー政策は「我々の自然景観を劣化させ、米国のエネルギー消費者に役立たない大規模風力発電所へのリースを終了する」と言及している。
“オーステッド”は2023年11月、ニュージャージー州沖の2つのプロジェクトを放棄すると発表し、予想を上回る284億デンマーク・クローネの減損で株主を驚かせた。
同社は事業立て直しを目指し、昨年2024年2月に配当金の支払いを停止し、最大800人の雇用削減を行い、ノルウエー、スペイン、ポルトガルの洋上風力発電市場から撤退、中核分野に注力すると発表していた。
“オーステッド”の株価はこの12カ月間で約20%下落、環境関連株への関心が最高潮に達した2021年1月の最高値から約77%下落している。



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