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舟を編む

2012-07-20 14:43:22 | Weblog
『舟を編む』 三浦しをん著


本来の日本語の意味を深く追求し現代においてもほとんど使われなくなった言葉をいとも簡単に新鮮さを出す。それがすごく自然ですんなりと頭に入ってくる。著者は天才だな。ただの妄想者ではない。
そこには小説を文学らしく読手に伝える技術が計算されていない。

本書は第九回本屋大賞受賞作である。
でも本屋大賞って何じゃらほい?

書店員が選ぶ文学賞。2004年から始まり、優れた作品や期待する作家を選ぶのではなく「いちばん!売りたい本」を選ぶ。受賞作発表に先立ち、周到かつ秘密裏に受賞作品の販売準備が進められる。受賞作は全国の書店員(正社員、パート・アルバイトを問わない)の投票によって選考。一次投票では対象期間内に出版されたオリジナルの日本の小説から三点を選び、その得点の多かった上位10作が二次投票にノミネートされる。ただし二次投票はノミネート作すべてを読んだ書店員しか参加できない。書店員有志の手作りで始められた賞だったが、反響が大きく、たちまち芥川賞・直木賞に次ぐ知名度となった。第一回の大賞は小川洋子「博士の愛した数式」第二回は恩田陸「夜のピクニック」第三回はリリー・フランキー「東京タワー」第四回は佐藤多佳子「一瞬の風になれ」第五回は伊坂幸太郎「ゴールデン・スランバー」第六回は湊かなえ「告白」。また、作品の全てが映画化されている。

つまり書店員が売りたい本。売りたいイコール伝えたい、という事か?
他の賞と違って作品の内容ではないのかもね。
本屋大賞の作品は全て読んだが、どうもイマイチ小説ばかりなんだよね。
ゴールデンスランバーは伊坂氏らしくなかったし、湊かなえは単純におもろくない。

だが本書はイイ。群を抜いて素晴らしい作品だった。

玄武書房の第一営業部から辞書編集部に異動となった馬締(まじめ)光也は、二十七歳の名前どおりの真面目人間。辞書づくりという膨大な時間と金がかかる事業に消極的な経営陣が、辞書編集部の人員削減の方針を打ち出したため、馬締と同期入社の西岡は宣伝広告部に移ることになる。その結果、辞書編集部の期待を担う新しい辞書『大渡海』の編纂に当たる正社員は、浅い経験しかない馬締たった一人となってしまう。彼とともに『大渡海』に取り組むのは、辞書づくり一筋の外部の監修者、松本元教授、長らく松本先生とタッグを組んできた先輩社員の荒木、契約社員のベテラン女性の佐々木が加わり、辞書作りを盛り上げるのだが…。

辞書を作るということが大変なのは十分わかる。
学生時代に英語翻訳を学んでいた時、英和辞書は必要ない、と翻訳の先生によく言われた憶えがある。英語の意味を辞書で引くのなら英語の辞書を使用しろと。つまり単語の意味がわからないのなら、英英辞書を使用し英単語の定義を英語で説明することで理解しろというのだ。
つまりこれは、日本で言うと国語辞典にあたるものである。
日本語に置きかえれば日本語を日本語で説明せよ、ということだ。

当時、通っていた専門学校の米国人英語講師がよく日本語を聞いてきた。
例えば、「若干(じゃっかん)」ってどういう意味?とか「お疲れ様」の意味は?など。おもしろかったのは、日本の生徒は、友人と別れる際、みな「ジャ!」って言うけどなんていっているの?(答えは、じゃあね)等、考えさせられる言葉ばかりなのだ。
「伝統」って何?と聞かれると、英語では、トラディショナル、と説明できるけど日本語で説明するのはかなり困難だ。

本書に、左と右、女性と男性を説明するシーンがある。
左右は東西南北を用いて説明しているが、かつて僕も同じように考えていた時の辞書には、時計で説明していた。「右とは、時計を上から見て12から6までの部分」もちろん左はその反対だ。男女の説明を本書では、「女性とは、子供を生む器官をもっている方」と体の内部だけでの説明している。現代風な問題として性同一性障害者に対して的確な表現とはいえないやりとりが愉快だった。

日本語で一番説明が難しいのが「時」と「空間」らしい。
著者ならどう説明するのだろうか?

やはり日本語は世界で一番難しい言葉だと思う。ひらがな、カタカナ、漢字の三種類があるし、和製英語、流行語など、英語圏の人が途方にくれそうな位の言葉がある。同じ音でも異なる意味もあれば、たった一文字だけで微妙なニュアンスの差がでるしな…。


辞書作りという地味なストーリーではあるが、古風な恋愛物語も含まれている。
ただ映画化となると話が違ってくる。
あまりにも風変りすぎてヒットしないでしょう。
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