風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

コップ

2010年04月28日 | 詩集「カクテル」
Koppu


夜中にひとり
コップの水を飲むとき
背中でくらい海がかたむく


過ぎた夏は
濾過されて透きとおっている
貝殻をひろうときも
波をたぐるときも
手から手へ語りつがれる


太陽の影でねむり
月の満ちかけに目覚めている
手のなかに藻草
手のなかに乳房
いくども魚のようなキスをした


あの夏と海を
まだ飲み干していないね


(2004)


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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初めて拝見、面白さでつい・・・ (カメ石)
2016-08-07 20:58:27
面白いのでぐいぐい読んで見ました。

遅れましたが、初めて拝見。
つい面白い詩作ばかりで
読んでしまい、
あげく
失礼を省みず
感想などを書きたくなりました。

「コップ」、いいですね。

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ありがとうございます (yo-yo)
2016-08-09 10:29:46
カメ石さん

読んでいただき、嬉しいコメントまでいただき、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

夏は水の季節でしょうか。コップの水を飲むだけでも、海の記憶に繋がったりしますね。

返信する

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