「怪」あやしいこと(がら)。
「怪異」あやしいこと。
「怪奇」あやしくてふしぎだ。
「あやしい(怪しい)」ふしぎだ。
「不思議」想像の及ばないこと。
(三省堂 明解国語辞典 昭和38年4月10日改訂99版発行 より)
京極堂(by京極夏彦氏作)曰く「世の中に不思議なことなど何もないのだよ。」「あるべくしてあるものしかないし、起こるべくして起こる事しかないのだ。」
安倍清明((@陰陽師by夢枕獏氏)曰く「呪とはな、ようするに、ものを縛ることよ。」「この世のものの在り様は、全て呪によって決められているのだよ。」
私は、いわゆる幽霊も、空飛ぶ円盤も、ましてUFOですら、見たことがない。「超能力」といわれるものも体験したことがない。スプーンだって曲げられない。
でも、それらのことにはものすごく興味をもっている。『ムー』は創刊当時かかさず読んでいたし、『心霊写真集』のようなものも本屋で見かければ手に取っていた。夏休みには、お昼のワイドショーの心霊特集は欠かさず見ていた。UFOといえば矢追さんみたいになっているが、それが日本テレビの11PMから始まったのだって知っているし見ていた。
「ヒッチコック劇場」。「トワイライトゾーン」。「アメイジングストーリー」。「Xファイル」(失速…)。「奇妙な出来事」から「世にも奇妙な物語」「木曜の怪談(タッキー大きくなったね)」。え~と、「オーラの泉」。
思えば・・・
幼い頃、女の子だって髪の毛を切りに行くのは床屋だった(たぶん。ほとんど。)。私が行っていた床屋さんには、だから子供向け女の子向けの漫画単行本もたくさんおいてあり、そしてそのほとんどが怖い漫画だった(いや、他にもあったと思うけど、記憶に残っているのは大量の、作者も知らないような、怖い漫画)。夢中で読んでいた。今でも、植物の種が目に入ってそこから芽が出てくる…今書いていて笑ってしまったが今の今までまったく笑い事ではなかった。ほんとに怖かった。でも行く度に読んでいた自分。
怖い物好き不思議好きの源。
手塚治虫氏は言わずもがな。
楳図かずお氏のへび少女・赤んぼう少女・黒い猫面etc.。山岸涼子氏の「ゆうれい談」。体験談的な漫画だが、だから?これは怖い。塀の上を走るんだよ!枕元に顔に布巾かぶって座ってるんだよ!
諸星大二郎氏のマンガ妖怪ハンター ・暗黒神話。筒井康隆氏監修本で最初に彼のマンガを見たときには衝撃をうけた。「マンガ少年」はそんなマンガの宝庫だった。別冊で出た「奇想天外SFマンガ大全集」もたからもの。
キングもクーンツも、大好きだ。創元推理文庫には推理小説でも怪奇小説でもお世話になった。「奇想天外」という雑誌はそのときの自分の求める雑誌だった(「ムー」もね)。
今はなき桂枝雀師匠の怪談話は最高だった。一龍斎貞水師匠の講談ははずせない。稲川淳二さんの話は、お笑い芸人さんと言うことを知っているからなおさら対極的であることもあって、演出のうまさもあるがなんとも怖い。
でも、私にとって“そういうもの”はただただ興味の対象でしかない。信じる信じないは別問題。
あ、怪談とか心霊とか、そういういわゆる“主観的”なものね。
これら以外のミステリ・・・ミッシングリンクとかUFOとかミステリサークルとかピラミッドとかナスカの地上絵とか、これらは実在しているものだから信じる信じないという問題ではない。これらには絶対科学的理由があるはずで、“不思議”というのも、知識の範疇を超えているからで・・・。(まあ、怪談とか心霊現象も科学的に説明はつくと思っているが。)
人は自分の知識の中で判断しそれ以外は理解できないものとしてしてしまう。それを恐れたり不思議に思ったりするが、わかっている他から見ればそれはなんら恐怖でも不思議でもない。手品がそうだ。ネタがわからないと超能力だのなんだのと不思議に思うがわかってしまえば手品でしかない。「ゆうれいの正体見たり枯れ尾花」「群盲象をなでる」
再度書くけど、自分では何にもらしきことの体験がない。だからって、体験したいとは思わない。実際にあることなのかそうでないのか。その実際にあるということはどういうことか。信じる信じないの問題ではなく、・・・。う~ん、矛盾しているような感じもするけど、信じればそれは存在するし信じなければそれはないこと。「そうだ」と思ってみればそれはそれだし、それはもう個人的なこと主観的なことで。
でもね、怖いものは怖い。上のような“情報”が入ってきてしまっているからね。信じていることと怖いとか怖くないとかは別。ただ、口に出すとそれは“事実”になるから言わない。「ああ、後ろにっ」は、ドリフだけで結構です(「志村、うしろ~」・・・)だけで。冗談でも言うのはいやだ。認めてしまえばそれは真実となって顕在化してしまう。「ある(いる)といえばある(いる)し、ない(いない)といえばない(いない)」こと。あくまでも主観的に、それは不思議でもなんでもなく事実。認めた段階で“不思議”ではない。
・・・なんだかまわりくどくなったなあ。とにかく、京極堂や安倍清明(@陰陽師by夢枕獏)のいうこと聞いて(読んで)膝を打った私ってことです。そのとおり!
まあ、なんだ、昨夜の「世にも奇妙な物語特別編」←「ほんとにあった怖い話夏の特別編」でしたを見て、思ったことです。