熊澤良尊 将棋駒工房

元将棋博物館顧問。将棋駒研究と制作。

JR加茂駅、徒歩2分。
見学訪問は、0774-76-5911へ。

第3局使用駒「明曠書」について

2011-11-09 18:55:30 | 文章
11月9日(水)、晴れ。

ちょっと寒くなりました。
しかし、気温は平年並みと言うところでしょうか。
カラ咳は、多少良くなりましたが、完治とまでは行きません。

竜王戦第3局使用駒について、コメントで問い合わせを戴いたので、若干説明致します。
駒の写真はどこかのメモリーに保管しているので、後刻、探し出してアップします。

持ち主は、富山県在住の書家・亀畑明曠さん。
亀畑さんは富山県下の支部会員でもある愛棋家。
奈良にもゆかりがあって旧知の間柄です。

ある時「自身の筆跡を駒に・・」と、ご自身の筆跡を盛り上げ駒に作らせていただきました。
玉将と王将の駒尻には「明曠書」「良尊六十五才」と記しています。
材は「御蔵島ツゲの杢」、3年余り前の作です。

原字は適当な大きさで半紙に。
それを元に駒に合うように大きさとバランスをとりました。
以来、ご自身の宝として大切にされていたのを、今回、ビッグタイトル・竜王戦で使われたのは同慶至極です。

実は、森内名人の「書の先生」とは同門で、森内名人がタイトルを獲得する前、その先生に書を習い始めた時のエピソードを間接的に聞いております。

その内容は、大よそ次のようなものだったようです。
ーーーー
ある時、自宅で「書」を教えていると、「こんにちは」の声。
玄関先には、初めて見る青年が立っています。
「教えておられるのを見学させてほしいのですが・・」。
「そうですか。丁度、教えているところですので、どうぞ」ということで、中に入ってもらいました。

青年は、小一時間、言葉も発せず身じろぎもせずに、ジッと正座したまま。
「若い人に似合わず、礼儀正しい人もいるんだ・・」と、印象に残りました。

帰り際、青年は「有難うございました。森内と申します。入門させてください」。

「そうですか。ところで、何曜日が良いですか」と訊ねると、「何曜日と言うことではなく、来られる日に習いに来るということで・・」。
「分かりました。いつでもよいですよ」。
「有難うございました」。
と言うことで、森内と名乗る青年は、この日は、これで帰りました。

「普通のサラリーマンとは違い、習える曜日が定まっていないのは、長距離運転手なのかな・・」。
先生は、将棋のことは全くの門外。
将棋八段の先生だと知ったのは、この後のことだそうです。

やがて、この礼儀正しい青年が名人挑戦者となり名人位獲得。

以上は、東京の書道家から富山の同門・亀畑明曠さんへ伝えられ、それを小生がお聞きしたことです。
後日、真偽のほどを名人戦会場でのレセプションの折に、ご本人にも確かめさせていただきました。

ーーーー

夕方以降は、一層の寒さを感じるようになりました。
玄関脇の南天。
一枚だけ赤くなった葉っぱを見つけました。
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