蒸気鉄道日記

5インチゲージ・ライブスチーム活動の日々を書き連ねます。

あわれ国立駅

2009年04月03日 | Weblog
 桜満開とのニュースをみて、妻と二人で三年ぶりに国立駅南口のメインロード・大学通りの桜並木に行ってきました。まだ満開までには至っておらず、都心との温度差をちょっと実感しました。全体的に五分咲きから七分咲きといった感じでしたが、樹の下に植えられた花大根や菜の花がちょうど見ごろで、これらの花に引き立てられてそれなりに美しい風情でした。

 ところが美しくないストラクチャーが出現してわたしたちをガッカリさせました。それはほかならぬ国立駅です。国立駅といえば1920年代の様式を残す駅本屋で有名でしたが、その建物がすっかりなくなってしまい、プレハブの掘っ立て小屋風の建物になっていました。写真をご覧いただければ一目瞭然ですが、いつのまにかこんな醜い姿になってしまったのでした。

 壊してしまうらしい、という街のウワサは聞いていたのですが、その一方で保存するというウワサもあったりして、ぜひ残してほしいとはかない期待をもっていました。しかし期待はすっかり裏切られ、ごらんのような安っぽいやっつけ仕事のような(まぁ仮設だから仕方ありませんが)モノになり果ててしまいました。
 国立駅自体は現在高架化工事中で、その一環としての取り壊しだから、と思って自分を納得させています。まさかこれが今後ずっと残るわけではない--と考えていますが、デザインに無頓着でお安いことが大好きなJR東日本のやることですから、ひょっとしてひょっとするかもしれません。もしこの本屋が仮建築でなく、工事終了後も残るものだとしたらそのセンスの無さは訴訟モノだと思います。

 建築物はその所有者が好きにできるものではありません。形や色など周辺との調和が乱されるようであれば、世間様から物理的な非難が浴びせられることは各地での景観訴訟などを見ても明らかです。ましてや駅という公共の建物では普通以上に周辺との調和が重視されてしかるべきものといえます。
 実は前の本屋は市側で保管されていて、工事完了のアカツキには元の姿で再登場も可能--ということになっているようですが、さて実際はどうでしょう。保存にはJRも東京都も反対なのだそうです。

 関連して気になるのは、旧駅の柱に使われていた古レールはどうしたのか、ということです。たしか20世紀初頭のたいへん古いレールが使われていましたので、そちらだけでも価値ある存在といえます。廃棄されてしまったのでしょうか。
 いずれにしろ街の中心である駅の建物が変わってしまうと街全体の風情も一変してしまいますので、もし廃棄してしまいたいのならJR東日本は旧駅以上に歴史に残るような建物を建ててもらいたいと思います。地域を敵に回したくなかったら責任をもって美しくデザインしてほしいと考えます。
 中央線の一連の高架化工事では高架構造物にややデザインらしきものが施されていますので、少し希望はもっています。
 くれぐれも無味乾燥な「駅ビル」などにしないようしてほしいと思います。

 本日はいささか憤りつつこれで終わりといたします。
コメント
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