パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

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IPCC AR4 WGI

2007-02-03 23:51:03 | 環境ネタ
 昨日の話ですがIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書第一作業部会報告書(AR4 WGI)が発表されました。6年ぶりの新知見のまとめということで、いや、昨日は他にも東京大気汚染訴訟で国が和解に応じる動きを見せたり、2015省エネ基準の最終報告がまとまったりとかとっても大きなネタがあったんですが、吹き飛ばされちゃいましたね。

 んで、早速政策決定者向け要約(Summary for Policy Makers)*を読んでみました。暗澹たる気持ちになるに十分でした。以下感想。 *どうでもいいんですが、SPMと略すとどーしても浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matters)に思えるのであんまり使いたくない略語かな

○温暖化は完全に現在進行形になってしまった
 一番ウヘッと思った点です。そんなこと分かりきってただろう、カナディアン・ロッキーで温暖化の現場も見ただろうと思ってはいたのですが、やっぱりこうハッキリまとめられちゃうと。。。
 Warming of the climate system is unequivocal, as is now evident from observations of increases in global average air and ocean temperatures, widespread melting of snow and ice, and rising global mean sea level.
(気候系の温暖化は疑いがない。地球平均気温及び水温、広く拡大した雪や氷の融解、平均海水面の上昇から、もはや明らかである。)
この話最初に騒がれてた80年代後半は、温暖化はまだ遠い将来のリスクの話でした(少なくともちびっ子の私にはそう思えた)。リスクがあまりにもデカイから(ノン・リグレット対策に留めるべきという声もある中)不確実な中でもやりましょうってことで緩やかながら気候変動枠組条約ができて、日本も温暖化防止行動計画を作って・・・ってことだったのですが、20年弱で遠い未来の起こってほしくないと思っていたことがunequivocalに現在進行形なってしまいました 

○人為影響がvery high confidence&very likely
 これもイヤだと思っていたことが現実にというつながりですが、
 The understanding of anthropogenic warming and cooling influences on climate has improved since the Third Assessment Report (TAR), leading to very high confidence that the globally averaged net effect of human activities since 1750 has been one of warming, with a radiative forcing of +1.6 [+0.6 to +2.4] W m-2.
(第三次評価報告書から気候に対する人為的温暖化及び冷却化影響の理解が改善し、1750年以降の人間活動の総体影響は+1.6(+0.6 から +2.4)ワット/平方mの温暖化影響であるとの非常に高い確かさが導かれた。)
 
 Most of the observed increase in globally averaged temperatures since the mid-20th century is very likely due to the observed increase in anthropogenic greenhouse gas concentrations. This is an advance since the TAR’s conclusion that “most of the observed warming over the last 50 years is likely to have been due to the increase in greenhouse gas concentrations”. Discernible human influences now extend to other aspects of climate, including ocean warming, continental-average temperatures, temperature extremes and wind patterns.
(20世紀半ば以降に観測された全休平均気温の上昇のほとんどは、観測された温室効果ガス濃度上昇に因る可能性が非常に高い。これは「過去50年間に観測された温暖化は、温室効果ガス濃度上昇に因る可能性が高い」とする第3次評価報告書からの進歩である。認識できる人間の影響は、今や他の気候面に拡がっているー海洋温暖化、大陸平均気温、極端な温度や風の吹き方が含まれる。)  注:斜体強調原文
(注:ワット/平方m→分かりやすい放射強制力解説
TARのときはエアロゾルの冷却効果がちょっとハッキリしないままだったと記憶しているのですが(ブッシュ政権も京都議定書不支持表明時盛んに喧伝した)、Very High Confidence(注:90%以上)でやっぱり温暖化ですか、そうですか。んで、very likely(注:90%以上)で温室効果ガス濃度上昇(注:前フリでこれは人類活動のせいだと言っています)のせいですか。科学の文書でこんなに強い表現だなんてナカナカお目にかかれません。
 実はアメリカでは人為影響の有無をめぐっていまだに議論が続いていたのですが(今週もラリーキングライブでMITの教授が話してた点)、インホフ議員のようにIPCCを"They are politicians"として全否定でもしない限り、この議論は(ようやく)終わったということになるんでしょうかね(・ ・?) 

○100年で気温上昇 1.8-4.0℃、海面上昇 18~59cm
 実は影響は100年じゃなくて、仮に遠い将来排出量と吸収量が一致(排出量が数十%減る)して温室効果ガス濃度が安定化してもその後ずーっとン百年も継続するのですが、精度が向上した予測をもって、その最初の100年で1.8-4.0℃というのはかなり暗くなりますね。ちなみに幅は基本的にシナリオの違いです。最も希望の持てる持続可能な発展型社会シナリオをとっても約1.8℃(1.1~2.9℃)というのは、実際に選択できるとは残念ながら思えない(悲観)そのシナリオでさえそうなんですかという 海面上昇予測も上限は下がりましたが、下限も上がってしまいました。しかも"excluding future rapid dynamical changes in ice flow"って注がついてある。。。
 ちなみにSomething Sustainableさんが6つのシナリオを素晴らしくアウトラインしています。

 気候変動はその幅もさることながら、その速度の方が問題というか、1万年かけて10℃上昇するのとその1/100の100年で1.8-4.0℃上昇するのとは話が全然違うわけで、生態系がついていけるのか、もっと卑近な話をすると我々のメシは大丈夫か!?というのが心配になってくるわけです。(勿論島嶼国にとっては国の存亡がかかる問題ですし、災害リスク増加も大問題ですが) そんなこんなの影響編は4月の第二作業部会の報告ということで、引き続き期待しましょう。

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1 コメント

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Unknown (Carly Thorpe)
2019-04-24 05:52:04
Hi, there is a broken link in this article, under the anchor text - 政策決定者向け要約(Summary for Policy Makers)

Here is the correct, working link so you can replace it - https://theswitch.co.uk/sites/theswitch.co.uk/files/pdf/SPM2feb07.pdf

Carly :)

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