パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

CiteIt! さようならBluebook

2007-02-20 23:53:18 | ロースクール
 リサーチというか論文を書く際に最もイヤなことはCitation(引用というか根拠の提示)に忙殺されてしまうことではありませんか? 1年半ほどで何枚もペーパー書きましたけど、私の場合Citationに気を使っている間は頭の思考が止まってしまうので、とってもイヤな作業。といっても条文や判例の根拠を示さないのは全く論外なので、結局20枚超のペーパーでもCitationは平気で100を超えちゃう。さらに悪いことにBluebookなる厳格なCitation Formatが決まっていて、連邦、州それぞれの判例、成文法、規則ごとに細かく決まってあるフォーマットにそろえる必要があって、頭を使ってる気がしないこともシバシバだった。
 何でこんな小言をブツブツ言ってるかというと、パンダさんが今日素晴らしい解決法を授業で聞いてきたのです 引用文献マネジメントのソフトウェアのことで、パンダさんが聞いてきたのはRefWorksってヤツ。文献一覧自動作成とか、書きながらCitationを入れられるWrite n Cite機能とか確かに便利そうでおおーっと思ったのですが、対応Citation FormatにBluebookが含まれてなくて惜しい、あと一歩なのにぃ~ 
 ニアミスで諦め切れなかったのでぐぐったら、ありました、Bluebook対応引用文献管理ソフト、CiteIt!です。LexisやWestLawからもCitationを簡単インポート、ショートフォーマットもお手のもの、"You'll Never type legal citation again!"と畳み掛けられて早速トライアル版をダウンロードしてインストールしてしまいました。1時間ほど使ってみましたが、素晴らしいの一言。さすがに認識しないタイプもあって"never type again"ってわけにはいきませんが、ちょっとトリッキーなCitation、例えばレポーター未掲載の判例のCitationもサクサクとできちゃうし、省略語も自動で指摘してくれるしで、かなり満足度高し 多分このまま購入ってことになりそうです 
 ってコレ結構みんな使ってるのかなぁ~(・ ・?) ややこしいルール作っておいてマシーンで解決ってのも何だかいかにもアメリカンですが、時間も思考も節約できて中身のあることに頭を使える便利なツールだなぁと感激したのでした

雪&ブレーク

2007-02-16 23:56:14 | ロースクール
 今週水曜日はこの冬初めてのSnow Stormでヒョウ交じりだったりしながら、かなり雪が積もったのですが、郊外にあって車通学生が多いこともあってか、なんと学校が休みになってしまいました。電車はバッチリ動いていて、パンダさんは普通に授業があったんですけど。
 んで、来週はWinterブレークです。イベントや会議も多いし、仕事にせいが出る時期?なのにちょっとヘンですが、やっぱり嬉しい でも、パンダさんと休みの日程が違うし、今学期はペーパーが3つもあるしってことでどこにもいかずセコセコたまった調べ物にせいを出す予定(もっとも休みを入れ替えたので火曜日は「お仕事」)。ちょっと計画的にやらないと  

イスラム法シンポジウム

2007-01-27 23:03:59 | ロースクール
 昨日の話ですが大学でイスラム法のシンポジウムをやるというので参加してきました("Interpreting Islam for the Western World")(長文注意)。コーラン(聖クルアーン)に由来するシャリーアと呼ばれる法体系がある・・・ぐらいしか予備知識がなくって、世俗的な制定法との関係ってどうなってるんだろう(・ ・?)というのが前々から疑問だったんです。(究極的な関心はそれらと環境法の関係なんですけど・・・) んで参加したからそれが分かったか?というとそんなことはありませんでした。当たり前だ、ある程度知識がある人が議論するんですからね

 シャリーアってなんじゃいっていう前に、そもそも宗教から法が出てくることへの違和感が日本人としてはあると思うんですよ。全体として宗教に熱心というわけでもなく、その上仏教も神道も、総じてそもそもが戒律でガンジガラメっていう性格ではないハズですからねぇ。やや馴染みあるキリスト教も内面(愛)を重んじます。ところで聖書でイエスがユダヤ教のパリサイ派から迫害されてたりしますけど、何でかと言うとユダヤ教ではトーラー(律法)の遵守を重視するかららしい。なぜってそれが神の意思だからで、例えば厳しい食事制限はそういう決まりごとの一つ:肉は蹄のある動物限定(豚はダメ)、魚は鱗のあるもの限定。(注:といってもトーラーの意味するところを巡っていろんな解釈があって、例えば出エジプトで海が割れたことを信じるかどうかでも、字義通りの解釈(ファンダメンタリズム)から、時代背景・現代の要請・科学を含めたもうちょっと幅のある解釈(リベラリズム)まで様々で、出発点の違いほど大きな違いかどうかは疑問。)
 イスラム教は戒律重視という意味ではユダヤ教に近いそう。豚肉の食事制限や毎日5回の礼拝が有名ですね。んでコーランやその注釈(スンナなど)から出てきたそういう諸々の決まりごとがシャリーアだと。巨大な慣習法体系ってわけですね。これと近代的な制定法との関係はマチマチで、トルコみたいに政教分離憲法を持ってシャリーアを完全廃止するところもあれば、中東では世俗裁判所に加えてシャリーア裁判所を設けているそう。
 西欧的な目からみてシャリーアが人権を軽視しているとよく批判されます。とりわけ男女平等でないこと(重婚の許容姦通に対する死刑)、刑罰が残酷であることなど。 Cf.ヨーロッパ裁判所の判決 シャリーアは欧州条約と相容れない

 シンポジウムで何を話していたかというと、立場が違う人が話すものですが、
○Prof. Mark D. Welton
 (シャリーア)法の内容ではなく、むしろプロセスを重視するべき、すなわちRule of Lawの確立が重要。イスラムの伝統と、非宗教的なRule of Lawは矛盾しない。スルタンやシャーの伝統がある。むしろ、19世紀の植民地化において宗教的権威が否定されたため、世俗権力の制限がなくなり強大になり過ぎたことが問題。
○Prof. Mohammad H. Fadel
 シャリーアは人権と相容れない。ムスリムの権利が尊重されるべきと同様非ムスリムの権利も尊重されるべきで、国家が文化を強制するのは立憲主義に反する。
○Prof. Bernard Freamon
 伝統的なコーラン解釈にアクセスしにくい。アラビア語が読めないムスリムや、中東でさえも世俗的な関心の方が高まっている。従って、(極端な主張に対抗するには)伝統的なコーラン解釈を活性化させて、コーラン解釈の学術的な研究を活発にしなければならない。両派交えた研究プロジェクトや学会が必要。
○Prof. Seval Yildirim
 米国で特に9/11以降イスラム教に対する誤解が拡大。テロリズムとイスラム教は関係ない。テロリストでないムスリムをModerate Muslimなどと区別するがそもそもMuslimが危険という発想の裏返し。どういう狙いがあるのかよく見なければいけない。

などなど。後半2人はムスリムの方。Military Academyの教授(Prof. Welton)の講演もあったので制服姿の方も聴衆にチラホラ。
 最後のプレゼンターは感情的で閉口しましたけど、テロリストをキング牧師のように扱うのかと感情的に反発している聴衆にはもっと閉口した。「自爆テロはどういうコーラン解釈になじむのか」という質問があって、「どう解釈してもなじまない」というやりとりもあったけど、神風攻撃だって宗教云々よりも軍事的理由だったんだしぃと思ってみたりで、宗教対立に見えるものは実は権力というか世俗的な対立なのねと思えた。逆にムスリムの方にもイスラム文化がなかなか理解されないことへの忍耐が足りないのではと思ってみたり(異文化が交わるとはそういうことでは?日本だって一世紀以上誤解に苦しんでるわけですから)。

 ついでに言うと、いわゆるイスラム原理主義の勃興も雰囲気は何となく理解できたというか、近代化の過程でシャリーアを壊し去ったことへの反作用が根底にあるようですねぇ(わが国のかつての押し付け憲法論みたい)。だからってテロリズムは全くもって正当化できませんが、表面だけを見て「危険な宗教の拡大」と受け取るのは間違ってる気がする。シャリーアはどうやら巨大な慣習法体系で、その意味ではEnglish Common Lawと一緒じゃないのかなぁと初めて触れた第三者(私)には思えるのですが、それを思いっきり否定されるとどんな気がするか。例えばコモン・ローのRule Against Perpetuitiesが封建制を示唆していてHuman Rightsに反してると言われたら英米人はどういう反応を示すんでしょうかねぇ(笑) 
 結局のところ宗教・文化の違いというよりは、Rule of Lawというか立憲主義というかガバナンスがしっかりしているかどうかの方がHuman Rightsの観点(だけじゃなくてDevelopmentや健康ネタもですけど)からは重要なんじゃないんでしょうか。近代立憲主義の発明は公的な決まりと私的空間の分離だったわけで、シャリーアがそれに相容れるかどうかとかいうのは理論的には興味深いんですが、とってもoff the groundなことは否めず、むしろ民主的にその受容を決める体制の方が重要なんじゃないかと。ただRule of Lawを確立しろ、とかいう外圧は効き目があるはずもなく、昨秋国連総会(の下の法制委員会)でRule of Lawの決議に至る議論を聞いてても隔靴掻痒の感が否めないものでした。結局のところMagic Formulaがないというuneasyな結論に戻るんでしょうかね

07春学期の授業

2007-01-22 23:57:59 | ロースクール
 今日で一週間過ぎました。大体こんなラインアップになりそうです。

○Comparative Environmental Law
 環境法プログラムの看板教授の授業。シンガポール大とテレビ会議での共同授業で(!)、両方合わせて米、加、豪、日(私)、中、印、バングラデシュ、コロンビア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、デンマーク等々、あれ、もっといたような?結構diverseな環境法の学生たち。まだイントロだけですけどイスラムとか社会主義国の法律も扱うそうのでかなり面白そう。

○Energy and Natural Resources Law
クラス外でちょくちょく調べているので何を今更的な話が多いかもしれないのですが、実務以外の観点も持っておきたいので。RGGIのスタッフもいるので楽しみ。

○US Foreign Relation Law
米国の外交関係を規定する法律(まぁメインは憲法ですね)を学習。イラク戦争以降特に議論が激しい点ですが、環境ネタにも影響してくるし、外交behaviorを知るには持ってこいかなぁと期待。

○Environmental Diplomacy
先学期の続き。今学期はもうちょっと具体的な話をしようみたいな感じ。教授の調子は相変わらずですが、何か仕上げられるといいなぁ。

っと、楽しそうな出だしです。だんだんエンジンがかかってきますね

06秋学期の感想

2007-01-18 23:54:31 | ロースクール
 よく考えたら先学期の感想を書いてなかった気がします。とってもMixed Feelingというか、イイのはとんでもなくよかったのですが、ダメなのはヒドカッタ

○Environmental Skill & Practice (Prof. Powers)
必修で、Environmental Lawyerが知っておくべきエッセンスをClean Water Actをネタに1セメスターかけて伝えるって触れ込み。CWAがネタというのはDMR(Discharge Monitoring Report、排水報告書)提出義務のおかげで訴訟がしやすいことから実際の環境訴訟の大半がCWAであるせい(と思う)。パブコメや、許可書、enforcement actionを書いてみるという実践的な内容で、素晴らしい授業だった・・・でしょう、将来のUS Environmental Lawyerにとっては。即戦力になれるぐらい細かい規則を扱うのはいいのですが、自国に帰る予定のInternational Studentへの配慮が足りないというか、あんまり背後に潜む考え方などの議論にならなかったことは残念

○Environmental Compliance & Enforcement (Prof. Paddock)
 エクセレントの一言 環境法のcomplianceにまつわる考え方の整理が手短にできて大満足、今後の礎になってくれるでしょうか。学会報告させてもらったというおまけまで。

○Environmental Diplomacy (Prof. Lee)
 とある途上国の国連代表部で働くという貴重な体験部分は大満足だけど、weekly lectureはもうmiserably disorganizedでサッパリ。イェール環境スクールとの共同コースで、ロースクールと違った視点というと聞こえはいいですが、ちょっとoff the groundな議論が多くてイライラしたり。まぁ1年コースなので、まだ段々とこなれてきた途中というぐらいかな。

○Legal Research & Writing (Prof. Shulman)
 必修でしたが、去年のとこの似たような授業(US Legal Meth.)を不覚にもとってなかったので丁度良かった。何より教授の丁寧さにビックリするやら感謝するやら。

○Science for Environmental Lawyers
 Almost Nothing Newでした。何より一方的な講義でツマラン。まぁterminologyに触れる意味では役に立たないとは言わないし、ちょっとは知らないこともありはしましたけどね。必修だったのでどうしようもなし。カウンセリング時文句を言ったらそりゃヒドイと講師を変えそうな勢いだった。

学期開始

2007-01-16 23:51:58 | ロースクール
 今日から2人とも春学期開始です。パンダさんは早速授業、私は今日はたまたまありませんでしたが予習したりの日々が始まりました Holiday Seasonもスッカリ終わって飾りのツリーがゴミとして道に出されているのを目にすることもなくなりました。しかもタイミング良く!?急に寒くなって(-8℃とか)、何となく心静かに勉強する雰囲気に とかいって関係ない調べものしたり、小説読んだりで遊んだりもしてますが
 学期の様子はおいおい。

(ほぼ)終了!

2006-12-23 23:19:31 | ロースクール
 やっと終わりましたぁ~、重かったレポート。いつぞやの学会報告のレポートを兼ねていたので非常にチャレンジングでしたが、もやもやしてたアイデアを何とか形にできたかな(・ ・?) もう一つ課題はあるんだけど、そっちは例の国連でのWork Experienceの中間感想文的なものでいいみたいだから(来学期もある)、まぁ今学期は終わったようなものだ けど、結局クリスマス直前になっちゃいましたね きっとレポートに付した177のcitation(脚注)達がお祝いしてくれているような ってちょっと疲れてますが、文句も言わずに応援してくれたパンダさんありがとうございました

クラス終了

2006-12-11 11:30:30 | ロースクール
 8月下旬!に始まった秋学期の授業もめでたく今日終了しました。既に3クラス分は課題も含めて終了しているので、残り2つ(いずれもレポート)です。うち一つは学会の報告も兼ねているのでかなり重いのですが パンダさんも学期の最後で大変そうで、Holiday Season気分を満喫できないのはまぁ身分上仕方ないところですね
 そんなタイミングを見計らってか、プログラムを仕切ってる教授から呼び出しが。何だろう(・ ・?)と思っていたら、何と一人一人にカウンセリングをしてるらしく(なんと行き届いてるんでしょう!)、各授業の感想などを正直にお伝えしました。また改めて書きますがMixed Feelingというか、それも程度が甚だしくて、あるクラスはとんでもなく(いやホント)良かったけど、あるクラスは正直期待ハズレで、良くない点については実際何か行動に移しそうな感触もあったので、ちょっとスッキリというか、耳を傾けてくれるのは嬉しいことですね。

Good News

2006-11-14 23:47:37 | ロースクール
 夏のお勉強シリーズの結果が今日分かって、うまくいったようです(ネット通知に間違いがなければですが←アメリカン・ミステイクがあり得る)。非常にシビアな準備状況だったわけですが(ワールドカップ20試合以上観たせい)、得意技サンダガの連発が効いたのでしょうか。まぁ機械系の敵しかでないということでサンダガに絞ったのですが、幸運にもコンフュに出くわさずに混乱ステータスにならなかったのも良かったのでしょうか(FF用語連発のよく分からない例えでスミマセン)。当時どれだけ大変だったのか思い返してちょっとぐらい感慨に浸ろうかなぁ~と思ってブログを見返したのですが、アル・ゴアのイベントに行ったり、映画観たり、パンダさんのコンサートに行ったり、うどん打ちをしたり(+ワールドカップ)、意外に結構楽しそうで、何よりイヤなことはサクサク忘れるように概してできているので、当時の大変さも忘れちゃってました。ただカリカリして話す時間も減ってパンダさんには迷惑をかけたし、それでも分かってもらえて協力してくれたおかげなので、改めて感謝です
 
 ただあんまり頑張ってなかった天罰というか、その一週間後に受けた付録みたいな試験には失敗していて、11月にもあったのですがちょうど急な学会発表の準備でして申請し忘れるという失態をしてしまい、来春に付録を済ませる必要が。本試験後に引越しを挟んだのが悪かったのか、1時間半待たされてバーサク状態になってしまい、得意技サンダガを封印されたのが悪かったのか(←FFの例えしつこいですね)。まぁ大分先だし、それより何より、まず目の前の秋学期を先に乗り切らなきゃですね

G77+China潜入?記

2006-11-01 23:48:36 | ロースクール
 毎週の“お仕事”の日というわけで国連本部へ行っていそいそと午前中会議に出ていたのですが、午後は関連のミーティングがない! ということで、だったら普段出ない会議に出てみようと興味本位で予定をチェックしたら、G77+Chinaが環境ネタの決議案を話し合うClosed Group Meetingをやるとあったから参加してみた(私が“働いている”代表団は途上国)。一応G77+Chinaを解説すると、大体マルチ(多国間)の会議の場だと戦術上交渉グループに分かれることがまぁ多くて、中でもよくまとまるのが途上国140カ国弱がいるG77+Chinaかな。後はEU、EU以外というのが大雑把な分かれ方(本当に大雑把ですみません、モノによってはOPECや島国連合や農業輸入国やいろんな別れ方がありますが)。他の交渉グループの中がどうなってるの(・ ・?)というのは単に半年に一回ぐらいやるような大会議に出るだけだとさっぱり分からないんですね。

 いや、話には聞いていますよ、実際は少数の一部の国の意見がゴリ押しして通ってそれが「途上国の一致した意見」ヅラしてるってのは。大会議で観察してると何となく分かるし(グループの結束を乱す国に食ってかかる場面もあるし)。昔途上国支援ネタのWorkshopに出た時に先進国側は5,6人だけで後の70-80人は途上国、というシチュエーションになって何となくグループ内の雰囲気みたいなのを感じたことがあったけど、和気藹々としながらも議論をリードするのはやっぱり4,5人になっちゃってたような気がする。そういう人は大抵はグループ内の大国かそうでなければそのイシューのエキスパートかどちらか。

 んでいざグループ内ミーティングに参加してみると、やっぱり本当でしたというのが正直なところか。まず、そもそも会議に来ていない。140カ国近くいて、いや大事なイシューじゃなかったからとかいろんな理由はありますが(去年の決議から足し算引き算する話だった)、グループ内ミーティングに参加してたのは30カ国弱かなぁ~。んでその中でもリードするのは大国/(中小国の)エキスパート数名といった感じ。彼らが有無を言わさず議論を進めて(もっともコレは人による)、グループ内なら騒げば通ると言った雰囲気も手伝って、やっぱり一部の国の意見が「途上国全体」の意見扱いされる状況が構造的にあるってことなのかなぁ。会議が終わった後「えぇーっ、ココ話し合い終わったんだっけ?」とか中国※が言ってたぐらいだし。 ※ちなみに「大国」というとすぐ連想するのは中国でしょうが、language difficultyもあって「普段は」あまり議論をリードしないように観察しています。そもそも、いざとなるとどんなイシューでも一国でひっくり返すぐらいの力がありますし、元々。

 グループ内会議に参加さえしない国の立場からすると、それでもBetter Than Nothingというか、そもそもいろんなイシューをカバーする人的リソースが元々なくて、少々自国の意見と違うことが混じってあっても、元来何もできなかったハズのactionができるというウマミはやっぱり相当大きい気がしますね。

 まぁ「そんなものだ」とでも思ってれば何ともないのでしょうが、そうして出てきた意見が無条件に「途上国の声」「弱者の叫び」「環境悪化の加害者先進国に立ち向かう正義の被害者」みたいな扱いをされることが多い(気がする)のは些か不満。マルチな場で、利益が一致する小グループならともかく巨大交渉グループを通して出てきた意見を本音と捉えるのは、裁判での国準備書面の内容を国の担当者の本音と捉えるのと同じぐらい馬鹿げています(全然例えが分かりやすくないですね、要するにブラフがいっぱい入って本心とは別ということが多いですよということ) じゃぁ他にどうやって「途上国の声」を拾うのか云々話は尽きないわけですが、まぁおいおい。