演劇知

劇的考察譚

内視鏡とは

2018-11-02 10:49:17 | Weblog
健康のためなら死んでも良いがモットーのわたしが今年の人間ドックで「F」ランクを出してしまった。しかも大層な紹介状が送られてきた。どうやら胃部に「ニッシェ」があるとのこと。調べてみると溝がありバリウムが溜まる状態。多くは胃潰瘍やらびらんが原因とのことだが、稀に胃がんが原因とのこと。

がんという現実を目の当たりにし、改めて「生きる」を考える。まだやることがあるだろうと内視鏡で詳しく調べることとする。

そして本日朝一で病院に駆け込み内視鏡を飲む。

「麻酔使いますか?」と選択できるとのこと。せっかく飲むのだからどれだけ大変か味わってみたいという無駄な好奇心が湧き上がる。

「麻酔無しだと辛いですか?」の質問に看護士の方が一言



相当辛いです

素直に麻酔を選択。


処置室に入り、ドラマさながらのピコンピコンする脈拍計をセットし、麻酔注射され内視鏡飲む。眠くなるとの事前情報あるもアルコールに強いとそこまで効果が出ないとのこと。日頃ビールで鍛えられてるわたしは麻酔の眠気をさほど感じることなく、内視鏡のぶっとさをダイレクトに喉で感じる。よだれが出るわ出るわ。

数分で終わり麻酔切れ待ち診断結果。



緊張の一瞬…がんだったときの心構えをしよう
も麻酔のためかビール2杯飲んだおおらかな感覚。


「では診断結果をお伝えします」











「胃は…とてもきれいです。」



うおおお!



「しかし問題が…」






え…






早食いです





…お?
 


「早食いが原因としてよくある軽い食道裂孔ヘルニアです。よく噛んでゆっくり食べましょう」



「はい。」



というわけで人生初の胃がんの疑いは食事指導で無事終わりました。
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HEISEIとは

2018-07-01 12:26:47 | Weblog
引退公演を観にいく。時間を勘違いしたため一本目の夢音は半分しか観られず。申し訳ない。若さ溢れる作品でした。


HEISEI

既成脚本の脚色。シーンのカット、人物やラストを改変しているためもはやオマージュ作品と言ってよいか。

1960~1990年までの時代が色濃く反映されている作品のため、その当時の「匂い」を分かっていないと台詞が正当化されない。またネットが生活の一部となっている今の子達に、ネット創世記の独特の閉鎖感が分かるのかなと思っていたが、実際に観て驚いた。

まず先の「匂い」を演技の熱量できちんとカバーできている。役ではなく人間としてそこに立っていた。役の個性と役者の個性がガチっとはまっており、「あれ当て書きだっけ?」と思えるくらいだ。これは本当に奇跡的と言ってもよい。

何より空間を支配できていた。私はあの舞台空間に十数年携わっているがこれが出来ている子たちはあまりいない。会場は空間が広く観客席と舞台には実距離以上の空間がある。ただ大声を出せば届くというものでもなく、「観客に観られている私」を理解して演技しなければ届かない。能の「離見の見」「男時・女時」を感じる感覚に近いか。自分が同じ年の時にそれが出来ていたかと言われるとてんで出来ていなかったと言う他無く、見事に体現できていた彼・彼女たちは本当に素晴らしい。
特筆したいのが「太郎」。男役の「太郎」はその名前通り普遍性の象徴であると思う。今回女性が太郎を演じていたが、彼女の声質・雰囲気によって中性として観ることができ、なまじ男子が演じるよりも「語られない言葉」という台詞に説得力があるように思えた。

死体を実際に舞台上に出す、脚本のト書きをあえて台詞化する、神の国への移行にあえて反対し自決を図る等々脚色演出者の考えもよく分かった。そこまでいじるならば今の感覚にもっと合わせてもいいのではとも思った。

観客席の壁にゲリラ戦線の名前が張り出されていた。マスキングで貼られていたため、時間が立つごとに剥がれて落ちていくのだが、見事に終演と同時に全ての名前が剥がれ落ちた。もしあれが意図的な演出であったのならば本当に凄いと思う。時限的演出なんてなんとオシャレなんだろう。

1時間半の上演時間があっという間に過ぎていく、もっと観ていたいと思える芝居であった。わが子という贔屓目を抜きにしても料金が取れる芝居であると思った。
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lab~すむ~後記とは

2018-03-25 10:12:16 | Weblog


長かった振り返りもいよいよ最後。

アクトオケの基本姿勢は前回のlab~六識~と変わらず。宜しければこちらから。

lab~六識~後記とは


で、ここからはこの二年間で考えたことや現場で思ったこと。


○今回特に芝居面では尾崎、制作面では剣持に大変お世話になった。二人には感謝してもしきれない。act orchはソロワークであるが、二人はそんなわたしに何も言わず、そっと、的確に、最大限の効果をもって力添えをしてくれる。女房役なんてとんでもない、かかあ天下です。本当にありがとう。


○若い子と表現をしていると、その子の「自信の無さ」が見えてくる。自信満々で偉ぶっている輩より圧倒的に良いのだが、なんというか演技への不安というか見せ方への自信の無さとかそういったものではなく、自分自身に対する自信の無さが見えてきてしまうのだ。

わたしとしては「あなたがそこに居て、そこで表現していることだけでそれは凄いことなのだ」と思う。声を大にして言いたいし、表現をする彼、彼女たちに掛け値なしの賞賛を与えたい。

勇気を持って飛び込んだact orchという表現の場、そこで演技に向き合う君たちは本当に素敵なんだと。その個性は誰にも揶揄されないのだと。

もっと自分自身に自信をもってほしい。


○大先輩であり師匠でもある竹田氏と飲んでいての一コマ。作風について、年を取ると創る作品のテーマが実生活に根ざしたものになってくる。それは自分の関心がそこに向かっていくということでもあるが、それ以上に次の世代に何を残せるかということでもあるのだ。厚かましいしお節介でもあるが、それでも下の世代よりも数十年先に生きてきた人間として何か残しておきたいという親父の小言なのである。

竹田氏のSNS上での言葉。

でも君が大人になる頃、この世界が良くない方へ向かってませんようにとの願いを込めた作品です。おじさん達とおばさん達は物語を面白くするために最後まで必死こいてました。
人を笑わせるって死にものぐるいなんだよ。

これが今公演中常に頭の中を巡っていた。わたしは子どもはいないが気持ちはなんとなく分かる。心血注いだ現場で培われた繋がりの中で、この思いは子のそれと同じだ。

そして終わってからの竹田氏のSNS上での言葉。

乃木坂46時間TVまだやってるから寝るに寝れない。

これが終演後常に頭の中を巡っている。





これにて振り返り終了。次の場でまた。
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lab~すむ~用語集とは

2018-03-24 10:13:30 | Weblog


毎度お馴染み用語集です。稽古場や本番であったこと名言や迷言をまとめています。

なお今回は尾崎健太郎が抽出、監修、編纂をしております。

それではどうぞ。




・ヤバスラセボン

なにかヤバイ事態が発生した時に発せられる。エスペラント語で≪ヤバイ≫という意味である。嘘である。実際、今回の芝居で一番ヤバスラセボンな事態は「おおくまの衣装忘れ」であったと思うが、人間、本当にヤバイときはこんなふざけた言葉、思いつきすらしない



・私の身長○人分

演出渡辺の頭の中がカレーの中でいっぱいすぎて、毎回バミリ用のメジャーを忘れてくるため、舞台スケールを自身の身長で測りバミるという事態に。見かねた剣持とボーイが、言ってもいないのにメジャーを持ってきてくれた。素晴らしき縁の下の力持ちたち。



・あんたは俺か!

主に、的確すぎる解釈をするボーイに発せられる言葉。ミドルワタナベとして、今後が期待されるばかりであるが、気をつけてほしい。その道を行くと、阿吽の呼吸ですべてを任されるようになるぞ



・カレーの試食

稽古場で毎回行われる試食会。公共施設にて、温められたカレーを食べることになるなぞ、誰が予想しただろう。毎回、「みんな!辛くない?どう!?どう!?」と聞くのだが、本番で実際に提供されたカレーは、試食のそれより数段階辛いものに仕上がっていた。あんた、なにを聞いていた?


・笑笑

稽古後の飲みにて、 過去公演参加者川合さんが参加してくれたことも嬉しかったのか、稽古時間よりも長い時間、居酒屋笑笑に居座る。剣持はその間に一度バイトに行き戻ってくる。私たちが無為な時間を過ごしている間、彼女はきっちり金を稼いでいた。ちなみに、その時の会計は数人で3万近くに登った。へらへらしていたおじさんたちが、伝票の到着とともに笑顔が消えた


・たなゴリくん

稽古場で待機する田辺の姿が、あまりに「はじめてペットボトルを見つけたゴリラ」に似ていると、主に過去チーム、未来チームがハマる。2日目だけで、5回はやらされる。すまない。田辺。こんなにこの言葉が流通すると思わなかったんだ。あんなに可愛らしいのに、ゴリラと呼ばれる17歳が不憫でならない。でもまたやってほしい。



・ポテチ持って帰るの面倒なんで、明日の稽古に持ってきてもらっていいすか?

稽古後、公園でお疲れ様会を終えた戀塚から発せられた衝撃的な一言。素直に従い、食べかけのポテチを翌日の稽古に持ってくる尾崎。「先輩ナメ枠」の筆頭はこいつだと確信した瞬間であった。



・おれは戀塚と打ち上げで相撲を取る!

内田による宣言。内田は先輩ナメ枠の後輩が大好きなのである。しかし、打ち上げでは意外と先輩をナメてこない戀塚に、ついぞ、相撲がとられることはなかった。DVDお渡し会に期待である。



・先輩、塩澤は、どうですか?

休憩時間、「推しは誰ですか?」「誰々ですか?」「いやいや、みんなかわいいよ、推しとかないよ〜」などとふざけた会話をしている最中、唐突に塩澤から発せられた一言。愛に飢えているのか?まるでラブコメの後輩マネージャーのようであった。



・その戸棚蹴ったのはわたしです!

本番中、起こされる演技をする濱田。何があったのかはわからないが、戸棚を蹴破る。千石に「この家を大切にしてくれた人にこの家を貸したい」という台詞があるのだが、どう考えてもこいつ大切にしてくれない



・締め出される内田

内田がタバコを吸えば、片平が鍵を閉める。それを「よしよし」という顔で見る内田。あんたらどうかしてるよ



・神が神頼みしちゃいけないでしょ

片平のキュイーン退場時の台詞。最終稽古で「笑いながら言ってみて」と演出がつき、本番を重ねるごとにそのボルテージが上がっていく。だいたい、このくだりに入ると、待機中の中園は、こちらを振り返り目を爛々と輝かせ、渡辺と尾崎は笑いながらガッツポーズを取っていた。



・もう次の段階にいきましょう

現在チームの誰かが台詞を止めたり、間違えてしまった時に片平のキュイーンにより用いられる便利システム。なにはなくとも、もちつきを犠牲とする形で芝居がつながる。冗談で言っていたが、どうやら一度本番で発動していたらしい



・カメラマンは尾崎先輩です

稽古場日誌にて、中園が書いた一言。声をかけらた瞬間「あ、やっとぞのから写真をお願いされるんだ…!」と思った気持ちは一瞬で天に召された


・配信

彩弥加が参加しているオーディションにて、日々おこなっていた動画SNS配信。これを肴におじさんたちは酒を飲む。視聴者は星(ポイント)を送ることができ、それが予選突破の条件なので、夜な夜な、共演者たちは彼女に星を送り続けた。最終的に、楽屋配信も行われ、延々画面に向かい喋り続ける彩弥加と、静かに体育座りをしながらご飯を食べる学生たち、という奇妙な構図が生まれた。別れの挨拶は「ばいちゅう」。



・けんちゃん、ちょっと場当たりとランスルーやっといて

カレーの仕込みでいっぱいすぎて、小屋入り前日に尾崎のもとへ届いた衝撃のLINE。頼むから演出してくれよ



・けんちゃん!あの演出あんた!?あれいいよ!!

小屋入り後の演出をすべて尾崎と先輩陣によっておこなった結果、打ち上げで出てきた衝撃の一言。あんた、演出としてのプライドはどこいった





以上。わたしも知らない用語ばかり。
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lab~すむ~役者考察とは②

2018-03-24 09:29:20 | Weblog


役者考察の続き。ルーキーズ。


○片平穂香
お願いしたこと:無垢と信仰

キュイーンでお馴染みの片平。稽古初回から有村とのコンビネーションを見せ、年配演者は舌を巻いた。終演後日誌にもあるように彼女は台詞のサブテキストや行間から読み取ったことを表出化することに長けているのだ。今後様々な役に触れ、引き出しを増やし瞬発力に磨きを掛けてほしい。
わたしのことを誰よりもおじさんと呼ぶ女。

○加藤奈緒・戀塚詩乃
お願いしたこと:自然と戸惑い

ダブルキャスト。当初「出る→やっぱり出ない」と言っていたが二人の予定が奇跡的に合ったため参加。普段からも仲が良いようで何より。普段の彼女達の演技が歌舞いているので、こういった芝居はどうなんだろうと思って見ていたが、初回から自然な演技を見せてくれる。二人の演技の見え方は…
加藤→もともと良いと思っていたものを再認識
戀塚→あまり知らなかったが知るにつれどんどんはまる
のように思えたがどうだろう。
戀塚は尾崎のことを誰よりもおじさんと呼ぶ女。

○田辺亜悠美
お願いしたこと:調停と対等

その内容から年配者が集まってしまった過去チーム。加害者と被害者の調停役が必要となり果てどうしたものかと配役を考えたとき彼女に目が留まる。どこか大人でどこか子どもで、年上にも対等に闘えるのではないかと期待を込め決定。結果期待通りの活躍を見せてくれる。楽屋で「たなゴリくん」との呼称がついたのがその証。
スタッフの神山さんが彼女を見た瞬間に「美人」と言っていた。内緒にしてと言われていたが言っちゃった。

○中園みなみ
お願いしたこと:メローと興味

日誌登場率最多の彼女。皆から愛されるマスコット的キャラか。稽古場で一人黙々と台本を読み込むのが印象的。本人はハイパー人見知りと言うが。役を掴んだのか稽古中盤からの食いつき演技が進化。その目の大きさが尋常でない。
台詞「どんか本かっていうと、芝ひばり先生のベストセラー私小説でもある…」の言い方が100回やって100回同じにできるのを、実は密かによしよしと思っていた。

○濱田千鶴
お願いしたこと:メローと困惑

誰かの終演後日誌にも書いていたが、基本的に明るくエネルギッシュな演技が得意なのだ。かつて拝見したときも一目で「いいな」と思ったほど。今回の彼女には課題として役を設定。幅を広げてほしかった。なるべく自分で考えてほしいためヒントを出さず…という姿勢だったため彼女を苦しめることとなる。皆の力、そして彼女の力でそこを脱出してからは一人の人間として舞台に居ることができたと思う。わたしは人間の機微は小さじ一杯の情緒であると思っております。

○間中千裕
お願いしたこと:ためらいと告白

重なる台詞でのあわてっぷりや見えないはずの幽霊に反応しちゃうなど稽古場でのムードメーカー。そして未来チームのトリガー。彼女でなくては駄目なのだ。普段の物静かな雰囲気の中に潜む熱き思いをわたしは知っている。今回の公演でその感情を吐き出してほしいと配役。途中稽古お休みのときもあったが、復帰後はブランクを感じさせず対応。素晴らしい。
一本きっちりやりきったことを今後の自信にしてほしい。

○もちつき
お願いしたこと:反抗と恐怖

個性の固まり。彼女の個性を潰さず、どう舞台上に現出させるかがact orchの課題であり使命であると思っています。彼女の台詞の癖が素晴らしく独特のムードを醸し出してくれる。恐怖の慄き方も回を重ねれば重ねるほど良くなっていく。現場に入って一気に伸びた演者の一人であると思っています。
第三者と表現を創ることが楽しいことであると思ってくれたならば幸いだけど、はてどうだろうか。



以上19人。
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lab~すむ~役者考察とは①

2018-03-23 23:29:25 | Weblog


役者考察。

○尾崎健太郎
お願いしたこと:確かな人間と性の超越

難しい役だったと思う。過去尾崎さんには「レーザー打ちまくり公務員」「紙幣と爆弾投げる宗教幹部」「陰陽師」といったおよそ人にあらざる役ばかりを当ててきたので、ここできちんとした人間を当てる。稽古毎に役の内面と外面を綿密に考えてくる。稽古でそのほころびが見えた時に指摘すると
「いや、分かっているんですけどね…」
と言うのが彼らしい。

○内田板橋
お願いしたこと:老いと吐き出さない感情

実年齢より倍の年齢のある役をお願いする。過去彼が演じた役とはいえ非常に苦労したのではないかと思う。役作りのため髪に白スプレーを吹きかけたがそれがラメの入っていたパーティースプレーだったものだから、大量に吹きかけるとパーティー野郎、少なすぎるとフケになるという緊急事態に。非常に申し訳ない。ラストの吐き出さない感情の台詞はおかっぱちゃんハウスに入って完成した。

○おおくまタカハル
お願いしたこと:自立と支配

多くの外現場で活躍している彼。わたしがとやかく言うより彼が何を作ってくるかとても興味があった。わたしの想定していた麹町よりも非常に繊細で静かな麹町となった。稽古が嵩むにつれフィジカルが近づくという謎現象も無駄に性を感じなかったので非常に良かった。
本番に衣装を置き忘れるという致命的ミスを犯すも尾崎お兄さんの機転により再び麹町として降臨する。メガネの笑みが不気味で気持ち悪い。

○剣持弥生
お願いしたこと:大人と慈愛

キャラクター芝居ができることは前回の「lab~六識~」の蜘蛛で証明されている。今までにない、彼女の佇まいを活かした役はないかと考える。彼女が過去演じた仲池上という子どもが「善」について考える役であったので法律家を設定。
本人はどう思ったかは分からないが、彼女の新たな魅力を引き出せたのではと。ただどちらかというとバーテンでの佇まいの方がしっかりしている

○渡邉彩弥加
お願いしたこと:怒りと厳しさ

色々考えているが基本いつもニコニコしている彼女。ならば舞台上で一回も笑顔にならないような役にしようと設定。稽古場でもその存在感を遺憾なく発揮してくれて場を締めてくれる。彼女がきた初回稽古のピリピリ感、表現と表現でぶつかっている感は、後輩ちゃん達には是非真似してほしい。
でも普段わたしにも厳しくあたるところは真似してほしくない

○有村ボーイ
お願いしたこと:研究と実践

おそらく最初に台本を外し最初に「人」として舞台上にいたのが彼。考察力でいえば尾崎にも引けをとらず、わたしの意図を理解し実践してくれる。注目すべきはその速さ。多くの後輩が彼の姿勢に刺激を受けたことだろう。指の先までも演技をしっかりと守ってくれていた。しかし、前回のlab~六識~にも出てきた檸檬のくだりは稽古終盤までグダグダに。どうしたボーイ?
飲み会、音響、ビデオ録画…なんでもわたしをサポートしてくれる。もはや介護だね。

○鵜飼優
お願いしたこと:奔放さとポップさ

稽古時間が少なく、また食品を扱うとのことで独立した役で設定。彼女が登場すると場の空気がガラッと変わり、スピードとポップさが増すのである。不思議だ。直前までフライパンを振るっているので大丈夫かなと思うが、いざ舞台に向かうとキリッとするのだ。不思議だ。
というかポップさってなんだ?

○塩澤萌
お願いしたこと:聡明さと覚悟

当初は神の御子の一員として配役しようとしていたが、LINEか何かで見たスタイリッシュな服装で「ストール撒いた記者、本人の顔立ち、演技含めていいじゃないか!」と電撃的に閃き設定。満を持して衣装を依頼した際、「私、ストール似合わないんですよ」と言われた一言は今でも忘れない。実際似合っていたよ。
記者の雑さに苦戦するも中盤で克服。

○篠原あみ
お願いしたこと:母性と繋がり

今回の役で一番取っ掛かり易く一番難しい役だったかもしれない。内田と一緒で実年齢の倍もある役なのだから当然か。過去の演者が大らかな肝っ玉系だったのでそちらをイメージしていたが、本人は凛とした強さをもった線の細い母を想定していたよう。見守る姿に不安が混じっていたのはその関係か。
一番リクエストを出した演者。その分役への思い入れも相当であろう。

○樋口沙也夏
お願いしたこと:踏襲と進化

歴代の作品で再登場率№1の猫実。今回、彼女がどう演じるかとても興味があった。稽古序盤は掴みきれてない様子であったが、ある稽古からバリっと殻を破った。わたしの印象としては憎まれるけどどこか憎めないやつ、きっと性格は悪いのだろうがどこか好かれるところがあるという人間。合っているだろうか。新しい猫実像。
お金を探す演技の時にいつもオーバーオールを脱ぐのが密かなセクシー。

○見内萌恵
お願いしたこと:弱さと信念

本人にも言ったが今回の座組みで一番雰囲気がある演者。劇空間とマッチしているのだ。彼女が座る、寝る、命の危機にさらされる…その全てに説得力がある。なんでだろう…和風顔なのかな?
いや、演技の一つ一つがしっかりしているからだ。内田と長時間向かい合うシーンがあるのだが、気まずさをしっかりと表していた。ただたんに本当に気まずいだけなのかもしれないが。



続く。
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lab~すむ~製作ノートとは②

2018-03-23 23:26:03 | Weblog


○音響について
用意したのはほんの数個。その中で一番頑張ったのが「咆哮」。
地震の唸りと女性の叫び声と巨獣の咆哮、全ての時間層の音が一つになるシーン。春乃と共に時間層を貫く軸となっています。


○照明について
自然光を活かそうとする。が、15時の回はまさかの逆光。それはそれで味が出た。陰の照明が結構好きだったりする。


○演出について
今回お願いしたのは、張らない演技、周りとの対話、声のボリュームの調整の数個。


○カフェについて
カフェではまずカレーを出そうと決める。30歳から始めた粉から作るカレー、その成果を今見せるときがきたのだ。
分量を計算し、限られた予算からどうしたら旨味あるカレーが作れるか…考えた末にココナッツミルクのインドカレーと、香酢、コチュジャン等を使ったアジアカレーを提供することを決める。この2つ、普段から作っている自信作でもある。

ココナッツカレーを作っているときにちょっとした問題。

いつもは缶のものを使っているのだが、予算の関係でパウダーを使用。これがまぁダマになる。丁寧に作ればダマにはならないのだがその時間がない。結果、鍋の中でヘラとヘラをかち合わせてダマを潰す作戦を実施。そのダメージが祟ったか、終演後我が家の木ベラが真っ二つに割れる。六年間共にカレーと戦ってきたヘラ、大往生。ありがとう、そしてさようなら。次生まれ変わってもヘラとして生きてくれ。


今回飲食関連のエキスパート、鵜飼と剣持にもご協力いただく。結果、豊富なメニューとドリンク類を提供することができた。これが一人だったら…と考えると大変恐ろしい。料理名も作品にちなんだものをつける。視覚にも味覚にも楽しいものができた。提供もウェイター経験者の力を借り、忙しい状況でもスピーディーに楽しくできた。今回の動員、席案内だけと料理提供込みとでは忙しさが雲泥の差。チーム一丸となってこの困難を突破できたと思っております。

シェイカー、一回だけわたし振ったんだけど見た人いたかな…割烹着バーテンは斬新。


小屋入りから本番までわたしは終始キッチンにいた。音響や照明の仕込みよりも料理の仕込みの方が圧倒的に大変だ。場当たりや返しは尾崎さんにご協力いただいた。ありがとう。わたしよりもわたしの目、わたしの感性だ。理論整然で舞台の魅力を引き出してくれたのは間違いなく彼だ。カレーでいうところのコリアンダーだね。


お客様からは美味しいとの意見を聞けた。それだけこの会場でやった意義がある。よし、いいぞ。これからだ。わたしのカレー。

今回の公演を通じてカレー屋を開くという大いなる野望の第一歩を踏めたと思う。



続く。
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lab~すむ~製作ノートとは①

2018-03-23 15:00:06 | Weblog


lab~すむ~無事終演しました。ご来場誠にありがとうございます。連日満席状態、狭い中での観劇、大変申し訳ございませんでした。

振り返りとしていくつか。


○企画について
まず今回の企画の発端は2つ。1つは前回「lab~六識~」に参加してくれた松井花音との会話。



松井「次は何するんですか?」

渡辺「そうだな…カレー公演かな。アハハハ



この何気ない冗談めいた会話でカフェ形態の公演をしたいなとの思いが芽生える。しかしここでは行動には動かさず。

もう1つは音響スタッフで参加してくれた橋本さんとの会話。彼女はなんと前回の「lab~六識~」を見てくれていたのだ。そこで…


橋本「やるときは参加したいです。」


この一言が効いた。訳あってわたしは彼女の演劇環境にいることができなかった。その申し訳ないという思いが先ほどの1つめの思いと掛け合わさり、公演をやろうと思い立った。これが12月下旬。


○場所について
場所探し。実はこのとき「教育」をテーマに今作とは全く異なる内容をやろうとしていた。ここでも2つのできごとが。


1つは演者、渡邉彩弥加の…


渡邉「今までのは分かりづらい」


というストレートな発言。もう1つは東京おかっぱちゃんハウスという古民家施設を見つけたこと。

この2つのできごとでそれまで考えていたテーマを一切捨て、今回の「家の記憶」をテーマとして設定した。これが1月中旬。

家で起こる芝居。実はとても苦手なのだ。これまで現実のストレイトプレイを書いたことがないし演出もつけたことがない…魅力もあまり感じない…ではどうすれば…

結果、過去と現在と未来が混ざった同時展開、「空間はSF・話はストレイトプレイ」という特殊空間での会話劇の構想となる。

同時展開にしたのは美術への憧れから。わたしは音楽にも美術にも嫉妬しているのだ。受け手の感性に委ねられる芝居…インスタレーションのような、観客の体験的能動観劇を目指した。起承転結を伝えるのではなく、観客がどこか一場面、一台詞を記憶してくれるような作品、そうなっていたら幸いである。


○演者について
演者への声掛け。はじめに若者2人に声を掛け、その後前回出演者への声掛け、若者全体、そして最後に若者1人への直接声掛けをし結果19人もの演者が集まる。はじめは10人未満になるかと考えていたのでなんとも驚いた。本当にありがとう。


○ストーリーについて
ストーリーは単純に書きたかった①加害者と被害者の話、②宗教の話、③巨獣とシェアハウスの話の三本。前回より2年間温めていたテーマ。
①に関してはただ重く、どこにも向くことができない思い、忘れることと忘れないことを見せたかった。
②に関してはこれまで常に出してきたテーマ。これまでの扱い方が「特別な常軌を逸した集団」であったのに対して、今回は「普遍的でどこにでも誰にでもあてはまるもの」とした。そのため演者の皆には大変な苦労を掛けたと思う。
③に関しては女子5人の可愛いルームシェア、しかし巨獣により世界は滅びに向かいつつある…というポップな作品にしたかった。

この時間軸を貫く芯が母「春乃」である。


○配役について
当初は全部を新しい役にと考えていた。が、当時平行してやっていた別公演の演者「京橋ヨミ・ツヅリ」役の濱田、中園がアクトオケに参加してくれていた。

このとき考えた。

これまでアクトオケに参加してくれた演者が現実世界で成長をしている、ならば虚構世界の役も成長をするのではないか

と。
その瞬間、内田、おおくま、剣持、有村、鵜飼、中園、濱田の役は一瞬にして決まった。

そこにこれまでの富士見春乃、猫実那由多という過去キャラクターを出し、新役を配置し、今回の配役が決まった。この作業が一日。大変なスピードである。




続く。
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修了公演とは③

2018-03-23 13:08:18 | Weblog


ここからは全体の話。

「re:diary」「re:mix」は別作でした。が、日頃の皆を見てこれは繋がりが持てるのではないか、何かわたしが彼、彼女達を繋ぐことができるのではないかと思い、京橋姉妹と「Q」で繋ごうと考えました。

「Q」はやりたい役アンケートにあった「K」という実在する作品のオマージュとして創作しました。御芍神を本願寺、五條をシジョウ(築地市場)という役名もじりをし、異能を有能とし、Qから始まる能力を辞書を引き考え、quarz使いの月島を両作で出しました。この作業は大変面白く今後もやれたらなと思っています。



合同自主練なるものが行われました。わたしは何の関与もせず、彼、彼女たちが場所を確保し、稽古内容を考えそれぞれの作品を鑑賞し意見を言い合いました。
これができる代はなかなかないです。本当に凄いことだと思います。各自の思いとそれぞれを思いやる気持ちがないとできないですよ。






過去最大の円陣。これが今回の公演の全てを物語っています。感無量。


お客様で今回の作品をイラストにしてくれました。許可いただけたので掲載します。



一回の観劇でここまで書いていただけた、そしてこのクオリティ。なんと素晴らしい。改めてあの現場は才能の宝庫です。


わたしのひそかな目標「台詞が日常の会話に使われる」「作品がイラスト化される」を両方達成できました。やったね。


打ち上げで行われた大入り。これは過去最高の大入りでした。自身もあんなに心のこもった五円交換は初めてです。またご縁がありますように。



大変名残惜しいです。「quarz clock」の能力があれば時間逆行したいです。しかし前に進まなければなりません。これを糧に更なる高み、更なる表現へ。

今後も共に頑張りましょう。わたしは皆がとても好きです。本当にありがとうございました。
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修了公演とは②

2018-03-23 12:31:18 | Weblog
今度はこちら

re:mix



○作品創り

21人分のやりたい役アンケートを目の前にし恐怖。数が多過ぎる。修了公演は30分の上演時間を考えているので、一人1分半喋ったらもう終わりとなる。さてどうするか?

とりあえず、やりたい役で似たようなものを分けてみる。

日常チーム

SFチーム

方言チーム

という3つのグループになる。

なるほど…噛み合わない各チームのテーマ。噛み合わせようとすると二時間の大作となる。困った。それならばオムニバス合体案だ!とそれぞれの作品を独立させ、それを統括する第4のチームを編成する。誰がよいか…再度アンケートを確認。


「やりたい役:クリエイター」


君の出番だよクリエイターさん。彼女を元に三作品を扱う編集チームを考える。

さてここで考えた。せっかく京橋ヨミという特異能力を持つ司書がいるのだ。この司書と対になったら面白いのではないか。しかしクリエイターで司書という職業はちょっと違う…再度アンケートを確認。

「やりたい役:無口」

君の出番だよ無口さん。口の悪い京橋ヨミの対、無口な京橋ツヅリの誕生でした。

あとはやりたい役から3グループの物語を考え、今作となりました。

○タイトル
remixとは、複数の既存曲を編集して新たな楽曲を生み出す手法の一つ。一作目のre:diaryに引っ掛けてre:mix

○キャラ名
京橋ツヅリ以外は全て地名や施設名。本願寺・シジョウ・聖ロカは頭ひねって考えた。
京橋ツヅリは「読み」の対の言葉「綴り」から。読んで具現化するのがヨミなら綴って本の中に入るのがツヅリ。

○ラスト
「現実のあなた達にもできますよ」はわたしの切なる思い。表現は辛く大変なものです。行う環境に左右され、上手くできなかったり思う通りにできないこともあるでしょう。しかし、今回一本の作品を創り上げられた君たちなら大丈夫です。必ず良い表現ができることでしょう。

○皆について
コメディ作品としてお客様に笑っていただく…実は笑いを取ることのほうが泣かせにいくことより遥かに難しいと思います。最終稽古、そして自主練をしていく中で皆どんどん面白くなっていきました。わたしがちょい足しアドバイスしたのも、皆がやってくれたことを少しデフォルメしただけです。皆の素材、そしてその後の稽古の努力、何よりも表現を楽しむ姿勢で今作は極上のコメディとなりました。本当にありがとう。
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修了公演とは①

2018-03-23 11:50:23 | Weblog
1の修了公演が行われた。公開されたこと、創り手としては大変嬉しく思っております。これに関しては演者の意思と都合によるものなので、演者の皆様には心よりお礼を申し上げたい。本当にありがとう。

振り返り。


re:diary



○作品創り

二作創るに当たってこちらが非常に難航した。毎年やりたい役をアンケートし、それを元に作品を創作しているのだが、今回のアンケートで「アメリカのローラースケートを履いてるウェイトレス的な」というものがあった。


本当に困ったよ


調べたところカーホップ(英語、carhop)というドライブインの接客係のうち、来店客の車にファーストフードの配膳を行う人とのこと。車の隙間を進むのでローラースケートが効率的とのこと。

なるほど!と思い、こちらの作品をアメリカの車産業の話にしようとしたが、それをやることに意義があるのか?、そもそも車産業の話が書けるのか?との自問自答を繰り返す。悶々と悩む日々。締め切りが迫る。

1の修了公演は楽しむことが前提との基本姿勢に立ち返り、彼・彼女たちが取り組みやすいこと、親しみやすいことを色々考える。

ヨミという司書を出したいとの想いがアンケートを取った後すぐに出てきたので、司書の能力で本の内容が具現化するという設定を考える。またもや心に浮かび上がる車産業。それを無理やり押さえつけ、何を具現化したら面白いか…と考え、ニ作目の「re:mix」内の作品「Q」の舞台、学校に行き当たる。

あとはあれよあれよとアンケートのやりたい役を当てはめていき…「アメリカのローラースケートを履いてるウェイトレス的な」はそのままローラースケートを履いたウェイトレスにし、文化祭での能力バトルとなる。


危なかった。これが車産業の話であったらばヒカーワとタツーミというアメリカ車産業の二大女ボスがサクーラというカーホップを取り合うという作品になっていたのだ。訳が分からん。

○タイトル
造語。diary(日記)に巻き戻るのre:をつける。音の響きとしてリダイアルに似ているかなと。誰かの声をまた聴きたくなってリダイアルする。母の声を聴きたいという話。

○キャラ名
京橋ヨミ以外のキャラは皆駅名。登下校や今後の生活で皆が駅名を目にしたときに思い返してくれたらなという思いで命名。
京橋ヨミは、「黄泉・読み」のダブルミーニング。本の内容は書かれた瞬間から過去になる。その過去…黄泉の世界から思いを引っ張り出すのがヨミの仕事。

○ラスト
ヨミが「交通事故でお母さんを亡くした姉妹が、時を戻す力で再びお母さんと会う」という本を閉じることで終劇。熱き思いや必死の行動も唐突に、理不尽に終わることもある。二作目の「re:mix」のテーマとは反対のもの。肝に銘じておきたいです。

○皆について
まず稽古時間が少なかったこと、舞台で稽古ができなかったこと、全員揃う機会がなかったこと、本当に大変であったと思います。しかし本番を見て感動したとの意見を目にし、耳にしました。本当に良かった。君たちの演技が観客の心に届いたのです。君たちの力です。本当に素晴らしい。ありがとう。笑いのシーンに関しても単発でなく、全員で笑いの流れを創っていけました。演劇のチームワークをみた瞬間でした。
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ダニーと紺碧の海とは

2017-06-18 18:29:02 | Weblog


アイレオヴィス第一回公演「ダニーと紺碧の海」@駒込ラ・グロット

菊地祥子から芝居を企画しましたとの連絡。実は彼女と同じ歳の頃、わたしも個人企画act orchを立ち上げたのだ。何かやらなきゃ! 何かやってやろう!と思う歳なのかもしれない。しかし菊地さんの同期、小林さんが個人企画「ともサンカク」を立ち上げたのが2014年だったゆえ、そんなに歳は関係ないっか




そんなわけで観劇。翻訳劇は原文→翻訳語→現代の感覚という三段階のプロセスを踏むゆえ、どうしても観る目が厳しくなってしまう。現地の思考、感情を日本人の役者が表現するときに「え、それでいいの?」と思ってしまうのは果たして穿った意見だろうか。演出家は原文を忠実に再現するか、または日本人の演じ手・観客に合わせるか、どちらかの選択を迫られると思う。

菊地さんの演技。感情の振り切れに関しては、これまで見てきているゆえできるのは分かっていたが、今回は囁きの・細やかな・地を這うような感情の流れを観てとることができた。現場を着々と踏みしっかり成長してきたのがよく分かる。素肌を晒し、女性の「性」を感じることもできた。演劇に性美は必須。そういうタイプの子じゃないと思っていたが、見くびっていた己が恥ずかしい。下着姿の彼女を見て、見てはいけない娘の下着姿を見てしまった父親の気持ちになったのだが。目線を上げられぬ。



菊地祥子にとって、今回の公演は役者・製作面ともに非常に勉強になったのではないだろうか。9つ上の人間として頑張れとエールを送りたい。木の椅子のフレームが絶妙な位置で腰に当たり、観劇中の私は自分自身に「腰、頑張れ」とエールを送っていたよ、ずっと。
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復帰とは

2017-04-01 13:35:58 | Weblog
丁度一年前、色々書いておりました。離職して一年、再び演劇教育の地に戻ることになりました。多くの方々に動いていただいたようで…何よりも現場で声を上げてくれた我が子たちに本当に感謝。君たちは本当に凄い。

お役所仕事に思うところが多々あり、なんだかなぁと腑に落ちないところもありましたが、それでも戻ることにしました。この一年、できることできないこと、なんとかなることならないことを身をもって経験しました。新たな価値観や情報を得ることもできました。決して無駄な時間ではありませんでした。

まるっと一年、芸術ごとから離れていたのでこれから学びなおしていこうと思います。恐らくこれまでの見方から少し違った角度で芸術と向き合えるのではないだろうか。
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通行人AtoZとは

2017-03-27 17:20:02 | Weblog
ご招待いただいた卒業公演。

ホステス、盲聾啞、LGBT、ワークショップの四つの世界をリンクさせ物語が展開。テーマは「届く/届かない・繋がる/繋がらない」か。
出演者一人一人に見せ場があり、当て書きであろう、個性も出ている。作者の愛が感じられる。が重い、兎に角重い。そこまでやるかと思う程。ただ若い作者が学び、そこから考え気付いた事はとても良く分かるし、その事に真正面から挑んだ役者達は大変立派だ。そして何よりもこの感想になるのだが…熱い。若くて青くて汗のほとばしる熱さだ。この熱さは先代の卒業公演のそれをしっかりと継承している。そんな先代達は更に前の先代達の熱さを継承しており…更に前の先代達は更にその前の…と歴史はちゃんと紡がれているし伝統もちゃんとできている。いいぞ。これを観た後輩達にはきっとその思いが伝わっていることだろう。

以下関わった子達。

手塚さん
裏方の印象が強いがちゃんと演技のできる子。切ない言い回しが上手。

吉田さん
見ていて大変気持ち良い。大きく真っ直ぐな彼女の演技に元気を貰える。

内田さん
重い。でもその重さが本人の持ち味であり武器である。

阿部さん
以前と比べると随分台詞の聞こえが良くなった。言い回し以上に所作で大人っぽさを出せるようになっていた。

見内さん
もう大御所

長山さん
難しい役だが彼女がやるとピタッとはまる。言葉の裏側に感情をきちんとのせられていた。

樋口さん
この子も難しい役回り。透明感を纏うことができていて、大人になったなぁと感慨深くなる。

山谷さん
曲者感は変わらず。が、人への気遣い、事象への思い等、心の機微がしっかり表現できていた。

鈴木さん
自分の個性と求められていることがちゃんと分かっているので安心して観ることができる。美人さんになった。

井上さん
いつもの井上節に留まらずプラスαで人間味が出ていた。ここができると表現者として一つ上にいける。

塩澤さん
本人がどう思うかは分からないが、ちゃんとヒロインできていた。一年前より明らかに成長している。

齊藤君
帰り際「あの演技は私をモチーフに」と言ってくださったが、あの演技は齊藤君による齊藤君ならではの齊藤君の演技でしたよ。空気の転換が上手い。


わたしはこの子たちに感謝をせねばなのだ。本当にありがとう。

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劇団ラムダ&トキ 第1回研究公演『ジョシ』とは

2017-03-14 13:22:23 | Weblog




劇団アマヤドリ『ジョシ』。女子による二人芝居。物語は女子の会話宜しく唐突に変わっていき、場所のコインランドリー宜しくも揉み合い回転していく。洗濯→選択のダブルミーニングも感じ取れた。
既成作品を取り上げ更には「研究公演」と題打ってることから攻めを期待。脚立を使用や鏡合わせの動作、台詞など良い点もあったがもっと攻めてほしかった。コインランドリー設定、シーンやキャラの反転があるのだから視覚的に「円」は欲しかったなぁと。衣装も「カメレオン」と「羽」のTシャツ…なぜだ、なぜなんだ…わたしの解釈が足りないのか、または何も含まれてないのか…気になる。音響も照明もまだまだ攻められる。大所帯ではできないことを是非ともやってほしい。

「円」が欲しいと書いたが…でも分かる、装置で円を作るのは素晴らしく難しいのだ。大学時代、舞台美術を経験したわたしには分かる。電動ノコギリを使わずして円を切り出すのは非常に困難であり、蹴込み(舞台装置の側面)もどうすればいいかと悩まされる。わたしの後輩も悩み過ぎて何故か業者が使うような5万円ぐらいする鉄パイプカッターを買ってきたほどだ。あれでパイプ切ると火花が凄いの



言うは易し行うは難し。
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