東野圭吾ファンですから、かなり贔屓目もあろうかと思いますが、よかったです。本が読むのが楽しいと思うのは、こういう本を読んだときです。
数学に関しては天才的だが、運命に恵まれない男の純愛物語です。人間の純粋さを数学という素材で描いたところは、話題になった”博士の愛した数式”のパクリというか、二番煎じととれるところが何とも残念。でも、材料はパクリだったとしても、まったく別の方法で料理し、すばらしい出来上がりになれば、それはそれでよいのです。(と、このあたりが、ファンの贔屓目かも)
東野圭吾と言う作家は、殺人事件という素材は使っても、謎解きをテーマにするのではなく、殺人を犯してしまった人間を描こうとしているように思います。そこにリアリティがあるのか無いのかは、殺人者になったこと無いので、良くわかりませんが、読み終わった時に納得させられていれば、作品としては成功なのではないでしょうか。
本作品が、「本格ミステリ・ベストテン」に入った事で、この作品が本格かという議論沸騰したことが、あったとHatena::Diaryに紹介されていました。私にとってはどうでもいいことですが、確かに作者自身が本格ミステリーを目指している訳ではないのでは・・・と思っています。
Amazonのレビューでは、辛口読者が、”これを読んで素直に感動できる方々の弥栄を祈らずにはおられません。 ”と書いていました。まあ、賛否両論ある作品ということでしょうね。私が「リアル鬼ごっこ」を読んで、こんなものを読んで感動していていいんだろうか・・・と思ったのと同じような感想をもたれたのかと思うと、言い返したいことは沢山ありますが、”弥栄”なんてしゃれた表現をされるところから、いかにも”博学”そうで、きっと議論したら負けるだろうから、言い返しません。でも、自分で言うのもなんですが、こういう話を読んで素直に感動できる人っていいんじゃないかなぁ・・・。ご希望通り、栄えましょうよ。
東野圭吾の作品には、こういうシリアス物とは別に、お笑い系がありますが、お笑い系の本を1冊読んで、全然おもしろくなかったので、そちらと思われる題名であれば、あえて読んでませんでした。よって、本作に登場する、天才物理学者湯川助教授シリーズ第一弾”探偵ガリレオ”という作品も敬遠してました。先入観のお陰で、まだまだ楽しめる作品が未読であったことを感謝します。
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