本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

MISSING 本多孝好

2007-07-05 | 小説

  本多孝好という作家の作品は初めてでした。これが処女作とのことですので、完成度は高いとはいえないですが、キラッとするものがあるような気がします。なんて偉そうに書いてますが、すでに直木賞にもノミネートされており、すでに、期待の新人の域はとうに過ぎて、”今のりにのっている中堅作家”のようですね。全然知りませんでした。

 

 本書は短編5作品が収められています。どれも、ファンタジックで、心温まる作品ですね。通勤電車に乗っている約30分で、ほとんど1作品読めるのですが、あとちょっとというところで降車駅に着いてしまい、やめられずに、階段を上りながら続きを読まずにはいられなかったことが2度ありました。

 巻頭の”眠りの海”で、新人賞をとったとのことですが、これより私は、”蝉の証”が好きでしたね。人間年をとると、一人で死ぬ覚悟は出来ていても、死んだ後、誰も自分のことを思い出してくれないかもしれないという事実に対する覚悟はまた別のものだ”というテーマに、まだ死ぬ覚悟が出来ていない私としては、はっとさせられました。

 

 最近の作品でどんな風に成長されているのか、ちょっと読んで見たい気もします。