本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

太平洋に消えた勝機  佐藤晃  光文社

2005-08-15 | その他

 8月だからと言うわけではないのですが60年前の戦争について、もう少し知りたいと思うようになりました。中国や韓国などの反日運動などがきっかけなのかもしれません。

 この本の表紙の写真はそれだけでもなんか物々しくて目をひくのですが、表紙のキャッチコピーも衝撃的。

「陸軍悪玉、海軍善玉」は真っ赤なウソである。

帝国海軍が日本を破滅させた!

 私は、こういう方面は無知ですから陸軍と海軍の組織の違いとか、テリトリーの違いとか何も知らないのです。この本を読むまで、陸軍が戦闘機を持っていたことも知らなかった。ですから、こんなに強く主張をされると、簡単に洗脳(言葉が悪いかもしれないけど)されてしまいます。海軍がもう少し賢かったら、もしかして日本は戦争に勝っていたかも・・・って思えてきます。

 著者は陸軍士官学校卒で、戦後三井系の企業でサラリーマンとして定年まで勤め上げ、その後、執念でいろいろ調べ上げて本を書かれているようです。だからやはり少し偏ってはいるんでしょうが、たまたま、少し前に読んだ「雷撃深度一九・五 (文春文庫 池内司著)」という、史実をベースにした潜水艦小説で、「戦時中海軍は潜水艦の使い方を完全に誤ったため、日本の潜水艦は殆ど戦果を上げられなかった」というようなことが書かれていたので、これまた妙に説得力がありました。

 あの戦争でこうすれば勝てていたかもしれないというようなことは、むなしい仮定で、意味もないと思うのですが、ただし、当時の軍や政府、組織や戦略を省みて、何が悪かったのかということを学ぶのは、意味のないことではないと思いました。なぜなら、今の日本にも同じように腐った組織が沢山あるように思えるからです。状況把握と、適切な判断が必要とされるのは何も戦時に限った事ではないのですから。

 尚、この本は、「光文社ペーパバック」シリーズで、ちょっと普通の本とは違った編集をされています。横書き、英語混じり表記などがその特徴。これについては説明があり、

「これまでの日本語は世界でも類を見ない「3重表記」(ひらがな、カタカナ、漢字)の言葉でした。この特性を生かして、本書は、英語をそのまま取り入れた「4重表記」で書かれています。これはいわば日本語表記の未来型です。」

 とのこと。まあ、”Nice Try!” とは思いますが、成功しているとは言えないなぁ。著者は自分の作品がこんな風に変えられてしまうことに異論はなかったのでしょうか。これについてはまた別の機会に書きたいと思います。