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オンライン講義 宇宙論⑤

今回の宇宙論は、これまでの講義で概要説明にとどまった「地平線問題」について深掘りする内容。これまでこの講義で宇宙創生の流れを聴いてきて、この部分は感覚的にしか理解できていない感じだったので、聞く方にとってはとても有難いテーマ。「地平線問題」とは、観測された宇宙マイクロ波背景放射が10のマイナス5条のレベルで均一という観測結果が学者を悩ませた問題で、それを説明する回答として蓋然性の高い回答が「インフレーション」ということになる。自分自身の理解は、2つの地点が同じ値なのだからそこに何らかの因果関係があったはずという程度のものだったが、講義ではこれを縦軸を時間、横軸を場所とする「時空図」という手法を使って明確に解説。この「時空図」という手法は宇宙論を学ぶ学生にとっては基礎知識とのことで、確かに今までの説明の中では格段に明快で分かりやすかった。言い換えるならば「地平線問題」とは、観測結果で明らかになったCMBの放射面から逆算する「粒子地平線」が計算上の全天をカバーしていないため、それだけでは全天のCMBが均一であることを説明できない矛盾ということになる。但し話はそこで終わらず、地平線問題解決のためにインフレーションを想定するのは良いとして、インフレーションの真空エネルギーを全て熱エネルギーに転換させないとインフレーションが終わらず物質も残らないはずだが、少しでも真空エネルギーが残るとまたインフレーションが起こってしまうという新たな問題が発生するという。ヒックス粒子の発見などによってインフレーションの証拠はどんどん確たるものになってきているのに、何故起きたのか、どう終わったのかは依然謎のまま。今の物理法則が何かを見落としているのではないかというモヤモヤ感が近年の物理学者の研究モチベーションなのだそうだ。その候補の1つが「重力法則」の再検討。講師の先生の関心もそこにあるとのことで、次回のテーマは「重力と宇宙」。
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