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リバース 湊かなえ 

ミステリーという観点からみると、著者の本のなかで、とびぬけた傑作ということではないが、読み終わって、いろいろ考えさせられる1冊だった。人に触れられたくない過去を持つ主人公が、あることをきっかけにしてその出来事を見つめなおす。その作業のなかで、親友だと思っていた友人が何を考えていたのかを少しずつ理解し始めていく。その理解のなかでミステリーの謎が少しずつ真相に近づいていく。うまいし、話に引き込まれるし、さすがだなと思うが、本書はそれだけでは終わらない。人を理解するとはどういうことか、それはちいさな断片の集まりでしかないが、その断片の塊こそが人を理解するということなのではないか、そんなことを考えさせられた1冊だった。(「リバース」 湊かなえ、講談社) 

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