読書感想168 中途半端な密室
著者 東川篤哉
生年 1968年
出身地 広島県尾道市
★感想★★★
本書では密室ミステリーを5編収められている。題名は以下のとおり。それぞれに素人や玄人の探偵が謎解きに挑む。
1. 中途半端な密室
ホームズ役は無職の青年、十川一人。ワトソン役は新進気鋭、つまり売れていない小説家、片桐圭一。
事件は夜間内側から鍵のかかったテニスコートの変死体。
2. 南の島の殺人
ホームズ役は山根敏、岡山の大学生、古本屋でアルバイト中。ワトソン役は七尾幹夫、岡山の大学生。
事件はS島の全裸殺人事件。
3. 竹と死体
ホームズ役は山根敏、岡山の大学生、古本屋でアルバイト中。ワトソン役は七尾幹夫、岡山の大学生。
事件は地上17メートルの首吊り死体。
4.10年の密室・10分の消失
ホームズ役は山根敏、岡山の大学生、古本屋でアルバイト中。ワトソン役は七尾幹夫、岡山の大学生。
事件は10分で消失した丸太小屋。
5. 有馬記念の冒険
ホームズ役は山根敏、岡山の大学生、古本屋でアルバイト中。ワトソン役は七尾幹夫、
岡山の大学生。
事件はカツ丼屋の主人に対する傷害窃盗。
著者らしくテンポのよいユーモアのある会話が続く。今回は岡山弁を駆使している。ワトソン役による抱腹絶倒の語り口がおもしろい。一例をあげると以下のごとく。
「ほーかい。そりゃありがとさん。ん?」橘さんは敏ちゃんにねぎらいの言葉をかけ、そして返す刀でおれに暴言を吐いた。「なーんや、ミキオ君、遊びにきとったんか!。相変わらず暇人じゃのオ」
おれの労働に報いる言葉が《遊びにきとったんかー》とは、実にショックだった。もう金くれたって雪掻きなんかやるもんか。