『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

四季折々294   さっぽろ雪まつり16

2014-02-26 18:27:18 | まち歩き

大通公園12丁目市民の広場。

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カーリング。

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ハローキティーちゃん。

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子どもに夢を。アンパンマンは3作目。人気者!

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ジンくん。ジンギスカンを食べてがんばろう。ジンくんは3作目。

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ふなっしー。3作目。人気者!

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ウマイ事行ったりゃ。馬は2作目。立たせるのはむずかしいかな?

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delicious Hokkaido 。木彫りの熊と鮭を思い出す。

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お城(野田市)。雪に埋もれている!

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翻訳  朴ワンソの「裸木」55

2014-02-26 14:12:10 | 翻訳

 

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翻訳  朴ワンソの「裸木」55

 

184頁2行目~1881行目

 

「描かないんですか。肖像画を?」

 

「僕はドルの価値を他の人達よりはもっと知っている」

 

「とにかく手伝ってくれてありがとう」

 

「何かもっと手伝えることがあれば、躊躇わないで言ってください」

 

「また会えてうれしいです」

 

「本当? 僕のこと考えたの?」

 

「いいえ。それでも今日からは考えるでしょう」

 

「ありがとうね」

 

 彼が初めてにっこりと笑った。彼は意外にも片側の頬にえくぼがあった。

 

 彼のえくぼは男らしさを少しも損なわないまま、彼の傍若無人な印象を一気に抑えてしまいながら、ぐいっと抱きたくなるほどの親近感を起こさせた。

 

 私は抑えられないほど彼が好きになった。

 

 彼と私は言葉もなく見つめ合った。幕のようにかかっていた倦怠感が徐々に晴れて、代わりにはばかるところがなく飢えと渇きをむき出しにした緑色の瞳に、私は深く吸い込まれた。

 

「君の耳元で愛しているとささやきたい」

 

 彼の声がいきなりとてもセクシーに聞こえた。

 

「今日はラブレターを書かなかったの?」

 

「ひょっとすると書けないだろう。君のせいで」

 

 私は苦しくなる呼吸を深い一息で飲み込んだ。

 

 私は彼の飢えと渇きを通して自分を見ながら、自分なりに彼を理解した。

 

 彼は少し欲張りなのだ。無人販売機からセックスを買うことで慰めを得られない贅沢な魂と、ラブレターを数百通書いてみたところで解決できない旺盛な性を合わせ持っていて、またそれをともに楽しむことを執拗に追求する欲張りなだけだ。

 

 ぴんと張りつめて向かい合った視線を、彼がまず打ち砕き、<old gold>1本抜き取っていらいらしながら吸った。

 

 彼は微動もせず、煙を深く貪った。私は彼のその姿を通して、セックスへの強い憧れを感じた。

 

 私はその翌日なんとなく彼を待った。とうとうピンクの毛の彼の頑丈な手に私の小さい手が痛いほど握られた

 

 飢えた獣のように飢えと渇きに取りつかれた瞳が、私の全身をなめるように通り過ぎて行った。あたかも魔術にでもかかったように、私が官能的な雌に変わるのを感じた。

 

 私は絵描き達の前で、彼に握られた手を用心深く抜き取った。しかし、心苦しくても生き生きし始めた何かの意識から、私を引き抜くことは出来なかった。

 

「どうするの? 私を?」

 

 声がひび割れて聞こえた。

 

「君と愛し合いたい。僕と一緒にたくさん面白いことができるし、君を通してこの国までも愛したい」

 

 彼は私の耳元にやや低く蠱惑的に囁いた。彼の飢えと渇きに取りつかれた瞳に夢が宿り、少し瞳がまぶしかった。

 

 私は彼が持って来たペーパーブックをでたらめにひらひらめくりながら、つじつまの合わない自分の思いをめくって行った。

 

 彼の傲慢な鼻柱と利己的で薄い唇は、異国の女性とこれから長く愛を望むはずはない。彼はただ充分な恋愛感情を享受して女性を抱きたがっているだけだ。

 

 単純な排泄ではない異国での情事を。私がわざわざ彼の情事の被害者になる必要があるだろうか。共犯者になることもできないか。彼と素敵な情事を共謀するつもりだ。彼と楽しい話を交わして、彼の青い瞳を見ながら、音楽を聞ければ一層いいだろう。暖炉の周りで彼の幼い日の話を聞けるだろう。私の幼い日の話は彼を十分に笑わせるだろう。私は彼のえくぼを心ゆくまで楽しむことができるだろう。

 

 本を閉じた。表紙のうるさい原色の絵の輪郭が次々目に入って来た。

 

 シュミーズが半分くらい肩からずり落ちている女が、寝台に斜めに横たわっていて、彼女の足元には男が一人ひざまずいて頭を掻きむしっていた。

 

 男女が欲情に歪んだ顔をしている。その様子から娼婦の部屋であることは明らかだった。私は本の題を見た。意外にもドストエフスキーの「罪と罰」だった。

 

 私はドストエフスキーを精読はできなかったが、文学青年だったヒョキ兄さんの影響で、無条件に彼を畏敬して「罪と罰」のソーニャを聖女として知っていたので、低俗な絵が全くふさわしくなく、本をひっくり返してしまった。

 

「どうしてそんな顔をするの? この絵が嫌い?」

 

「『罪と罰』にこんな絵はひどすぎる。安物の本であることは確かだけど」

 

「どうして悪いの? この絵が。これが男と女の生まれつきの姿なのに」

 

 彼は今すぐにも激昂して喧嘩のように挑んだ。

 

「でも…」

 

「君はやはり東方礼儀之国だね。忘れるところだった」

 

 彼はあっさり激昂したようにわけなく怒りを収めて、何事かと狼狽した顔になった。表情が豊かな瞳に再び倦怠が幕のように下りた。

 

「忘れるところだった。君が東方礼儀之国であることを」

 

 彼はもう一度ふうというように言った。私はかっと腹が立った。

 

「どうしてぶっきらぼうだったら、東方礼儀之国を持ち出すの? 異国人であるあなたが何の権利でよりによって、この国の代々伝わっている矜持をそしって、要領を得ないスラングを作ろうととりあげるんですか?」

 

「僕は少なくともこの国のために戦いに来た。ひょっとしたら、この国で自分の生涯を終えるようになるかもしれない。勿論そうならないことを望むけど。もう少しこの国を知りたい。特にこの国の女性を。しかしこの国の女性というのは厚いタブーに取り囲まれているか、一般人が突破できないタブー、お金で買えない女性が備えているタブーをひっくるめて、そう呼んでみただけだよ。間違っていたら許してくれ」

 

 彼はかなり深刻に意外なことを言った。

 

「あなたはただ一般人同士のよそよそしさを誇張しすぎているんですね」

 

「誇張だって? 何度も何度も。私はこの国の高い塀の小さい窓の中の神秘的な生活が気がかりだった。僕は君を通してその神秘のベールを抱きしめてみたかった。しかし、君はできないだろう。君がもしも娼婦ではなくて良家の娘だったら、君は僕を決して君の家へ招待できないだろう。どう正しかった?」

 

「そうですね。それは…」

 

 私はとてもうろたえた。この男と自宅の門を何度もたたいて、ぼんやりした母の出迎えを受けることを、私はとても想像できなかった。

 

「僕は、この荒涼とした都市のどこかにある美しい宮殿に芝が生えているなら、君とその宮殿の庭を散歩することを空想した。芝に寝ころんで、君を愛撫したかった。君、そんな勇気がある? あれば君は間違いなく娼婦だろう」

 

 いつかミスキが米軍と正式に結婚しても西洋人相手の娼婦だと言おうとして、心配したことを思い出した。その幼い子供の結婚に伴う不安は、憧れよりは他人の目に対する不安のほうがはるかに強かったのだ。そうして見ると、私達はどんなに他人の視線に敏感な一族なのだろうか。西洋人相手の娼婦、実際多くの人のそんな視線から超然とする度胸があるだろうか。

 

「繁華街を君と散歩して買い物して、コーヒー・ショップで音楽を聴くことができるだろうか。君がそれを承諾するだろうか。承諾したら、君は間違いなく良家の娘じゃないだろう」

 

 彼は時々皮肉った。再び興奮することのないまま、倦怠の幕を下した視線を眠たいようにやや細く開けて私を嘲弄した。

 

「そして最後には君の服を脱がせれば。こんなことだ」

 

 彼は伏せてあったペーパーブックをぱっと裏返した。

 

「君は絶対にこんなむごいことをしないんじゃない? 絵だけ見ても顔を赤らめていたのに。君は、君達、東方礼儀之国の女性達は、男の前で服を脱ぐことなんか絶対にないんだろう。違う?」

 

 彼の揶揄はここで終わった。彼との出会いは今日で破綻してしまったようだ。

           ー 続 -

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