銀の月の彼方へ ~岡庭矢宵のブログ~

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ペサハ ~過ぎ越しの祭り 2016 その2. "セデル”と"ハドゥ・ガディヤ”

2016-04-29 21:26:25 | 日記
さて、”その2"では、ペサハ初日の夜の儀式的食事、"セデル” について語ってみたいと思います。

"セデル”とはヘブライ語で”整える”という意味の”レサデル לסדר"という動詞から来ています。転じてそれが ”式次第”という意味になります。

セデルで用意される食材にはすべて意味があります。
日本でいうところのおせち料理に近いかも。

”マロール“ (セロリ。転じて”苦い菜” エジプトでの苦役を思い起こす。)
"カルパス“ (野菜。エルサレムの神殿時代、オードブルとして最初に野菜を食べていた)
"ハゼレット“ (セロリよりも苦い菜)
”ゼロア“  (子羊の前脚のロースト。神の力強い手を示す)
"ベイツァー” (卵。エルサレム神殿時代の犠牲の捧げ物の象徴)
"ハロセット" (マッツァにつけて食べるジャム。りんご、クルミ、シナモン等を混ぜてワインで煮詰める。エジプトでの奴隷の際に課せられたレンガ積みに使ったペーストの象徴)


さて、これらの食事を目の前に粛々と唱えられるのは"ハガダー”と呼ばれる、ペサハの為の特別な祈祷文。
ここでは、モーセに率いられてユダヤの民がいかにしてエジプトから逃れていったかが語られます。

祈りの中では何度かワインが飲まれますが、エジプトの王、ファラオが登場する場面では、当時、支配者たちが寝転びながらワインをたしなんでいたことにちなんで、祈りの中では椅子にもたれかかって寝そべるようにしてワインを飲むのも儀礼のうちの一つです。

このハガダーが長い!目の前に食事があるのになかなか手が届かない。これだけでも充分に苦難です(笑)
もっと大変なのは、退屈な祈りを我慢してずっと待っていなければならない子供たち。
そんな子供達のために用意された、ハガダーの最後に出てくる、”ハドゥ・ガディヤ”という、楽しい歌があります。
動物たちが登場して、どんどんたたみ掛けるようにして歌われる歌で、子供たちも眠くなりそうなところからパチっと目が覚めて、大喜びでこの歌を歌います。


父が二枚のコインで子山羊を買ってきた
猫がきて、その子山羊を食べた
犬がその猫にかみついた
その犬はムチで打たれたそのムチは火で燃やされた
水がその火を消した
牛がその水を飲んだ
者がその牛を殺した
その者は死の天使に殺された
死の天使は神様に滅ぼされた


子供たち向けのものとはいえ、なんだか「輪廻転生」とか、そういったものを思わせる内容ですが、やはり実際、この内容はユダヤ民族の運命を子山羊に例えて最後にメシアの到来がやってくることを述べたものであるとか、宇宙の法則を語ったものであるとか、人間の誕生から審判の日までを描いたものであるとか、様々に解釈されているようです。

イメージでいったら、どんどんたたみかけていくあたり、”ずいずいずっころばし”に似た雰囲気があるような感じです。
”ずいずいずっころばし”も何か深淵な意味がありそうですが、どうなんだろう?^^☆☆ 子供の歌に隠された暗号?のようなものって、結構ありそうな気がします。


ユダヤ音楽研究の第一人者であられる水野信男先生は、このハドゥ・ガディヤに関して、アフガニスタンの古都へラートにこの歌とそっくりな内容の歌があると指摘されています。それだけではなく、ヨーロッパから中東にかけて、この内容と似たような詩というのは少なからず存在するようです。おそらく、もとをたどればこの「ハドゥ・ガディヤ」に行き着くでしょう。
まるで歴史の内側に面々と息づく地下水脈のようで、パズルを組み合わせていくような、そんな感触に覚えさせられます。





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