ポケットの中で映画を温めて

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ルネ・クレール・2〜『最後の億萬長者』

2017年10月03日 | 戦前・戦中映画(外国)
『最後の億萬長者』(1934年)を観てみる。

舞台は架空の都市国家、カジナリオ王国。
この国はカジノの収益で成り立っており、すごく潤っているように見えるが、内実は財政危機に陥っている。
女王は、王国出身で外国に住む世界的富豪、バンコ氏に援助を求めようとする。
条件として出したのが、孫娘の王女イザベルとの策略結婚。

バンコ氏は王女との結婚が成立すれば、結婚後に3億を提供すると言う。
それを知ったイザベルには、実は、宮廷楽団の指揮者の恋人がいて・・・

ルネ・クレールの政治風刺コメディである。

権力を握ったバンコ氏を、元大臣ブループと楽団ブループが襲う。
その事件がキッカケでバンコ氏は気が狂う。
気が狂ったバンコ氏のバカバカしいほどの施策。

実はこの風刺は、ヒトラーの独裁振りを皮肉ったものという。
1933年にヒトラーがドイツの実質的な独裁者となって、この映画の公開は1934年。
ルネ・クレールが、ヒトラーのまやかしをいち早く見抜き映画にしたとしても、ヒトラーの残虐行為の歴史的評価は後年のことであり、
私としては、この時点でのルネ・クレールのヒトラー風刺という言い方は、もっと調べてみなければよくわからない。
と言っても、この軽妙で優雅な作りは、やはりルネ・クレールのものである。

この作品は、1935年キネマ旬報のベストテン1位。
現在の感覚からすると、風刺にしても少し軽すぎやしないかと思うけど、味わいの十分にある微笑ましい作品であった。
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