ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『悲夢』を観て

2017年03月30日 | 2000年代映画(外国)
またキム・ギトク作品を観た。題は『悲夢』(2008年)。

ある晩、ジンは元恋人の車を尾行していて、突然脇道から飛び出して来た車に追突する夢を見る。
そのあまりのリアルさに胸騒ぎを覚えて記憶を頼りに車を走らせると、実際に彼が夢で見たのと寸分違わぬ事故が起きていた。
そして、監視カメラにはランという女性が事故車を運転する姿が写っており・・・
(Yahoo!映画より)

ジンが夢で見たままの行動が実際に起きる。
それは、現実にはランが夢遊病者となって起こす。
このジンとランは、もともと見ず知らずの間柄なのである。

ジンには、自分が愛していた恋人がいた。
ランには、自分は嫌いだが愛されていた恋人がいた。
夢の出来事は、二人のこのことに関連していく。

しかし映画は、観念が先走ってしまっているためか、内容が空回りになり、堂々巡りしながら先が見えない。
まず始めに違和感があるというのか、不思議なのは韓国語映画なのにジン役の“オダギリジョー”1人だけが日本語を話す。
なんとなく不自然な状況だが、それでも登場人物の間ではコミュニケーションの齟齬がまったく生じない。
見ていると、どうも監督のキム・ギトクがオダギリジョーに遠慮したのではないか、と勘繰りたくなる。
そうやって見るとオダギリジョーの演技も、微妙なずれがあるように思えて気になってくる。

相手のために自己を犠牲にする。その行き着くところが真の愛。
その言わんとすることはわかる気もするが、やはり内容に説得力がない。
この作品は、キム・ギトクとしての失敗作と考えてもいいと思う。
淋しいことだが、このような不消化な作品を作ることもやむを得ないことかなと思ったりする。

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