ポケットの中で映画を温めて

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『残像』を観て

2017年07月23日 | 2010年代映画(外国)
気になっていた『残像』(アンジェイ・ワイダ監督、2016年)を上映最終日に観てきた。

第二次大戦後、ソヴィエト連邦の影響下におかれたポーランド。
スターリンによる全体主義に脅かされながらも、カンディンスキーやシャガールなどとも交流を持ち、
情熱的に創作と美術教育に打ち込む前衛画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ。

しかし、芸術を政治に利用しようとするポーランド政府が要求した社会的リアリズムに真っ向から反発したために、
芸術家としての名声も、尊厳も踏みにじられていく。
けれども彼は、いかなる境遇に追い込まれても、芸術に希望を失うことはなかった・・・
(公式サイトより)

アンジェイ・ワイダが、当時ポーランドで影響力を持ち得ていた抽象画家のストゥシェミンスキの、
その晩年に当たる1948年から1952年の死までの4年間を描き出す。

全体主義国家が人々の生活のあらゆる面を支配しようと意図する。
その時、個人は国家に対してどのような選択をするべきか。

ストゥシェミンスキの場合、自分の考える芸術にすべてをささげ、国に妥協しない。
そのことは、個人として国に異議申し立てをし、ささやかでも抵抗することを意味する。

それを人は、信念として、最後まで貫き通すことができるか。
貫き通した場合、国家の仕打ちに押し潰されずに、一人間としてやり通すことができるか。

国家はしたたかに、自分の信念を貫き通す人間を、言い換えれば、国の要請に従わない個人を抹殺しようとする。
このような国とは、主義がどうであれ、一体何なのか。

このようなテーマを、ワイダは人生の最後に提起し、そして程なくして亡くなった。
享年90、去年10月のことである。
思えばワイダの映画は、常に、社会に関わる人間がテーマであった。
そこには、人間として考えなければいけない問題が必然的に山積みとなっていた。合掌。

なお『残像』とは、ストゥシェミンスキが太陽を見たときの視覚的反応を描いた連作で、それが題名になっているという。
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