第19点 事故直後の自衛隊車と控訴人車の停止位置
1 浅香らは,事故現場見取図(甲23)を提出し,平成13年11月5日付け
準備書面(甲21・5頁)で,「小野寺は,②地点において,控訴人車がロ地
60/70頁
点でハンドルが左右にぶれだし,カーブが曲がりきれない様子で,③地点にお
いて,衝突の危険を感じ,ブレーキを踏もうとした瞬間,控訴人車は,ハ地点
から自衛隊車運転席の横を通過するとほぼ同時に炊事車の右車輪付近に衝突し
た。」と主張している。同見取図の一部を拡大した図(甲77)で検討する。
2 事故現場見取図(甲77)で,ロ-ハ-ニ-Xと走行したバイクがX点で対
向車に接触した場合,図示の転倒地点ホに至ることは,一般常識に属する経験
則であるニュートンの法則からありえない。
3 本件事故直後に現場写真を撮影した赤埴らが,最初に認識したのは事故直後
停止した自衛隊車である。浅香らは,停止位置で撮影された自衛隊車の写真を
提出していない(隠蔽している)。小野寺は,陳述書(甲25)で「私の運転
する大型トラックの後方を前進していた別の大型トラックが到着し,その車両
に乗車していた師団司令部付隊の隊員が交通統制を実施しました。それと並行
して事故現場保存の目印をして警察の到着を待ちました。」と陳述している。
浅香らは,自衛隊車の停止位置の示す目印の写真も提出していない。
4 浅香らは,控訴人車の転倒位置の写真として,事故現場写真・控訴人自動二
輪車転倒位置(白い部分)の写真(甲67⑧)を提出している。(白い部分)
は控訴人車車線の中央に位置するが,明瞭ではない。
警察現場写真(甲32⑮⑯)に上記(白い部分)が写っている。写真(甲3
2⑯)には「バイク」という文字が写っているから,師団司令部付隊の隊員
(保安警務隊の隊員)が目印したバイクの転倒位置の写真である。しかし,こ
れらの写真は,「本件事故現場路面に印象されていた擦過痕を撮影したもの」
と説明されている。この写真を撮影したのは堀部警部補であるとされているが,
事故車両の最終転倒位置という重要な証拠が写された写真にその説明がないの
は不自然である。自衛隊写真を流用している強い疑いがある。
5 警察写真(甲32⑮)には,本件道路のガードレールが写されているから,
控訴人車の転倒位置が控訴人車の進行車線の中央付近に目印されていることが
61/70頁
認められる。
6 ガードレール以外の背景は,見事に真っ黒に塗りつぶされており,もはや,
コントラストの問題ではなく,警察写真も加工・ねつ造されている。
7 原判決には,被控訴人(国)に不利な事実は判断しない違法がある。
第20点 自衛隊による事故再現見分に対する玖珠警察署の関与
1 控訴人は,平成18年3月24日付け控訴人準備書面(3)で,第1の1「事故
発生の状況4ブレーキを踏んだ地点の写真(甲64)に写っているバイクの後ろ
を支えている,白色の半そでシャツと藍色の野球帽及びズボンを着用した人物
(以下「野球帽の人物」という)は,着用している帽子が警察活動帽(甲72)
で,金線顎紐付であることなどから,幹部級の警察官である」,第1の3「陸上自
衛官が使用する野球帽は,部隊識別帽と呼ばれ,第8師団の識別帽の色は基本的に
濃緑色である(甲58)」と主張した。
2 被控訴人は,平成18年3月24日付け被控訴人準備書面(3)で,「陸上自
衛隊第8師団の司令部付隊の帽子は,濃緑色であるが,帽子は部隊識別帽であ
り,同じ第8師団でも,第8師団特科連隊の帽子は青色である。甲第64号証
に写っている青色の帽子を着用している人物は,この第8師団特科連隊に所属
する隊員であり,控訴人の主張には誤解がある」と主張した。
3 控訴人は,平成18年4月10日付け控訴人準備書面(4)で,「自衛官服装
規則第4条は,部隊等の長は,自衛官の服装のせい一を図ることに努めなけれ
ばならないとし,陸上自衛官服装細則は,同別表第3で,部隊識別帽は,「自
衛隊の施設内において,勤務に従事しない場合,又は勤務に従事する場合にお
いて部隊等の長が,略帽,作業帽及び運動帽に代えて着用することを認めた場
合」に着用するとする。」,「(1)・事故再現写真(甲63,甲64)に写っ
ている自衛官は制帽に夏制服,作業帽又はヘルメットに作業服を着用し,防衛
庁事務官はワイシャツにネクタイを着用している。野球帽の人物は服装の斉一
(統一)を乱している。(2)・制帽に代えて識別帽を着用することは認められ
62/70頁
ていない。(3)・警察の,特に警ら車に乗車する警官の,活動帽にはあごひも
がついているが,自衛隊の識別帽にはあごひもはついていない。(4)・第8特
科連隊が本件事故再現見分に参加する理由がない。(5)・撮影現場は自衛隊の
施設外である。」と主張した。
4 被控訴人は,平成18年5月19日付け被控訴人準備書面(4)第1で,甲第
64号証の写真の左端の人物(野球帽の人物)の帽子については,帽子のつば
部分に確認されるものはあごひもではなく,飾りのモールである(乙第2号
証)。なお,同人について被控訴人準備書面(3)2に第8特科連隊所属の隊員
としたが,より正確には,現在は第8特科連隊の所属であるが,写真の撮影当
時は第8師団司令部法務官所属の隊員である。甲第64号証の写真で同人の帽
子が青色に見えるのは,カラーコピーの具合により変色して見えるものと思わ
れ,本来,同人の帽子の色は乙第2号証のとおり濃緑色であると主張する。
5 控訴人の主張(1)・第8師団司令部法務官所属の隊員は,作業帽又はヘルメ
ットに作業服を着用することになる。制帽に代えて識別帽を着用することは認
められていない。撮影現場は自衛隊の施設外である。被控訴人の主張は一貫性
がなく控訴人の主張に対する反論となっていない。
6 控訴人の主張(2)・甲第64号証の写真で同人の帽子が青色に見えるのは,
カラーコピーの具合により変色して見えるものと思われるのなら,変色してい
ない甲64の写真を提出すればよい。野球帽子のつば部分に確認されるものは
あごひもか,飾りのモールであるかも判明する。
7 控訴人の主張(3)・控訴人は,平成18年3月24日付け控訴人準備書面(3)
第1の5で,玖珠町には第8師団の玖珠駐屯地があり玖珠警察署との関係は深
い,自衛隊から1等陸佐を含む上級幹部が参加しているから,儀礼的にも,玖
珠警察署からも上級幹部が参加しているはずである,甲63のKP34.9の
里程標のすぐ近くに写っている所属不明の人物は玖珠警察署の交通課長以上の
上級幹部であろうと主張し,甲63の写真の原本の提出を申立てた。
63/70頁
8 控訴人の主張(4)・平成18年3月24日第3回口頭弁論期日に,裁判所も
被控訴人に対し,別件訴訟乙1及び乙4の写真を提出するよう努めるよう釈明
した。被控訴人は,控訴人が提出を申立てている文書及び写真を進んで全部提
出し,真実の発見に協力すべきである。
9 自衛隊による事故再現見分に対する玖珠警察署の関与はないという主張は,
浅香らの虚偽の主張の一つである。原判決には,判決に影響を及ぼすべき重要
な事項について判断の遺脱がある。
・・・
{原審 横浜地裁 平成17年(ワ)第2710号 判決}
民事第9部 裁判長裁判官 土屋文昭 裁判官 一木文智 裁判官 吉岡あゆみ
1 浅香らは,事故現場見取図(甲23)を提出し,平成13年11月5日付け
準備書面(甲21・5頁)で,「小野寺は,②地点において,控訴人車がロ地
60/70頁
点でハンドルが左右にぶれだし,カーブが曲がりきれない様子で,③地点にお
いて,衝突の危険を感じ,ブレーキを踏もうとした瞬間,控訴人車は,ハ地点
から自衛隊車運転席の横を通過するとほぼ同時に炊事車の右車輪付近に衝突し
た。」と主張している。同見取図の一部を拡大した図(甲77)で検討する。
2 事故現場見取図(甲77)で,ロ-ハ-ニ-Xと走行したバイクがX点で対
向車に接触した場合,図示の転倒地点ホに至ることは,一般常識に属する経験
則であるニュートンの法則からありえない。
3 本件事故直後に現場写真を撮影した赤埴らが,最初に認識したのは事故直後
停止した自衛隊車である。浅香らは,停止位置で撮影された自衛隊車の写真を
提出していない(隠蔽している)。小野寺は,陳述書(甲25)で「私の運転
する大型トラックの後方を前進していた別の大型トラックが到着し,その車両
に乗車していた師団司令部付隊の隊員が交通統制を実施しました。それと並行
して事故現場保存の目印をして警察の到着を待ちました。」と陳述している。
浅香らは,自衛隊車の停止位置の示す目印の写真も提出していない。
4 浅香らは,控訴人車の転倒位置の写真として,事故現場写真・控訴人自動二
輪車転倒位置(白い部分)の写真(甲67⑧)を提出している。(白い部分)
は控訴人車車線の中央に位置するが,明瞭ではない。
警察現場写真(甲32⑮⑯)に上記(白い部分)が写っている。写真(甲3
2⑯)には「バイク」という文字が写っているから,師団司令部付隊の隊員
(保安警務隊の隊員)が目印したバイクの転倒位置の写真である。しかし,こ
れらの写真は,「本件事故現場路面に印象されていた擦過痕を撮影したもの」
と説明されている。この写真を撮影したのは堀部警部補であるとされているが,
事故車両の最終転倒位置という重要な証拠が写された写真にその説明がないの
は不自然である。自衛隊写真を流用している強い疑いがある。
5 警察写真(甲32⑮)には,本件道路のガードレールが写されているから,
控訴人車の転倒位置が控訴人車の進行車線の中央付近に目印されていることが
61/70頁
認められる。
6 ガードレール以外の背景は,見事に真っ黒に塗りつぶされており,もはや,
コントラストの問題ではなく,警察写真も加工・ねつ造されている。
7 原判決には,被控訴人(国)に不利な事実は判断しない違法がある。
第20点 自衛隊による事故再現見分に対する玖珠警察署の関与
1 控訴人は,平成18年3月24日付け控訴人準備書面(3)で,第1の1「事故
発生の状況4ブレーキを踏んだ地点の写真(甲64)に写っているバイクの後ろ
を支えている,白色の半そでシャツと藍色の野球帽及びズボンを着用した人物
(以下「野球帽の人物」という)は,着用している帽子が警察活動帽(甲72)
で,金線顎紐付であることなどから,幹部級の警察官である」,第1の3「陸上自
衛官が使用する野球帽は,部隊識別帽と呼ばれ,第8師団の識別帽の色は基本的に
濃緑色である(甲58)」と主張した。
2 被控訴人は,平成18年3月24日付け被控訴人準備書面(3)で,「陸上自
衛隊第8師団の司令部付隊の帽子は,濃緑色であるが,帽子は部隊識別帽であ
り,同じ第8師団でも,第8師団特科連隊の帽子は青色である。甲第64号証
に写っている青色の帽子を着用している人物は,この第8師団特科連隊に所属
する隊員であり,控訴人の主張には誤解がある」と主張した。
3 控訴人は,平成18年4月10日付け控訴人準備書面(4)で,「自衛官服装
規則第4条は,部隊等の長は,自衛官の服装のせい一を図ることに努めなけれ
ばならないとし,陸上自衛官服装細則は,同別表第3で,部隊識別帽は,「自
衛隊の施設内において,勤務に従事しない場合,又は勤務に従事する場合にお
いて部隊等の長が,略帽,作業帽及び運動帽に代えて着用することを認めた場
合」に着用するとする。」,「(1)・事故再現写真(甲63,甲64)に写っ
ている自衛官は制帽に夏制服,作業帽又はヘルメットに作業服を着用し,防衛
庁事務官はワイシャツにネクタイを着用している。野球帽の人物は服装の斉一
(統一)を乱している。(2)・制帽に代えて識別帽を着用することは認められ
62/70頁
ていない。(3)・警察の,特に警ら車に乗車する警官の,活動帽にはあごひも
がついているが,自衛隊の識別帽にはあごひもはついていない。(4)・第8特
科連隊が本件事故再現見分に参加する理由がない。(5)・撮影現場は自衛隊の
施設外である。」と主張した。
4 被控訴人は,平成18年5月19日付け被控訴人準備書面(4)第1で,甲第
64号証の写真の左端の人物(野球帽の人物)の帽子については,帽子のつば
部分に確認されるものはあごひもではなく,飾りのモールである(乙第2号
証)。なお,同人について被控訴人準備書面(3)2に第8特科連隊所属の隊員
としたが,より正確には,現在は第8特科連隊の所属であるが,写真の撮影当
時は第8師団司令部法務官所属の隊員である。甲第64号証の写真で同人の帽
子が青色に見えるのは,カラーコピーの具合により変色して見えるものと思わ
れ,本来,同人の帽子の色は乙第2号証のとおり濃緑色であると主張する。
5 控訴人の主張(1)・第8師団司令部法務官所属の隊員は,作業帽又はヘルメ
ットに作業服を着用することになる。制帽に代えて識別帽を着用することは認
められていない。撮影現場は自衛隊の施設外である。被控訴人の主張は一貫性
がなく控訴人の主張に対する反論となっていない。
6 控訴人の主張(2)・甲第64号証の写真で同人の帽子が青色に見えるのは,
カラーコピーの具合により変色して見えるものと思われるのなら,変色してい
ない甲64の写真を提出すればよい。野球帽子のつば部分に確認されるものは
あごひもか,飾りのモールであるかも判明する。
7 控訴人の主張(3)・控訴人は,平成18年3月24日付け控訴人準備書面(3)
第1の5で,玖珠町には第8師団の玖珠駐屯地があり玖珠警察署との関係は深
い,自衛隊から1等陸佐を含む上級幹部が参加しているから,儀礼的にも,玖
珠警察署からも上級幹部が参加しているはずである,甲63のKP34.9の
里程標のすぐ近くに写っている所属不明の人物は玖珠警察署の交通課長以上の
上級幹部であろうと主張し,甲63の写真の原本の提出を申立てた。
63/70頁
8 控訴人の主張(4)・平成18年3月24日第3回口頭弁論期日に,裁判所も
被控訴人に対し,別件訴訟乙1及び乙4の写真を提出するよう努めるよう釈明
した。被控訴人は,控訴人が提出を申立てている文書及び写真を進んで全部提
出し,真実の発見に協力すべきである。
9 自衛隊による事故再現見分に対する玖珠警察署の関与はないという主張は,
浅香らの虚偽の主張の一つである。原判決には,判決に影響を及ぼすべき重要
な事項について判断の遺脱がある。
・・・
{原審 横浜地裁 平成17年(ワ)第2710号 判決}
民事第9部 裁判長裁判官 土屋文昭 裁判官 一木文智 裁判官 吉岡あゆみ