民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

31:控訴理由 第6点

2007-01-05 10:42:20 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
第6点 玖珠警察署の実況見分調書
   原判決の,第3争点に対する判断,2争点(1),(1)玖珠警察署の実況見分調
  書について(判決書19頁)の下記の部分の不服。「前記1(2)で認定したとお
                 27/70頁
  り,本件事故に対する玖珠警察署員による実況見分は,本件事故当日に行われ
  たこと,別件訴訟の裁判所に提出された本件実況見分調書は,作成日付こそ本
  件事故から約2年後ではあるが,内容としては,本件事故当日に実施された実
  況見分に基づく調書であることが明らかである。そして,警察が本件事故直後
  に,本件実況見分調書とは別個の新たな実況見分調書を作成したと認めるに足
  りる証拠もない。よって,浅香らが,警察が本件事故直後に作成した実況見分
  調書を提出しなかった違法をいう控訴人の主張は採用できない。また,本件事
  故現場の見取図が,別件訴訟で浅香らが陳述した平成13年11月5日付け準
  備書面に添付されていることも同準備書面(甲21)から認めることができる
  から,浅香らが別件訴訟で同見取図を提出しなかった違法をいう控訴人の主張
  も,採用できない。」
 1 間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月29日に玖珠警察署において控訴人に
  対し,「一応見分時間は11時50分になっていますね。11時50分から開
  始と駐在所の方が書いていますね。
」と述べている(甲5の5頁)。
   事故当日の玖珠警察署の実況見分は,駐在所の方,すなわち,早水巡査長が
  見分を行なって,調書を書いたのである。早水巡査長は司法巡査である。
 2 間ノ瀬巡査部長は,「(この、なんと読む、小野寺さん?)はい、小野寺さ
  ん。(この人からは事情を聞かれた?)え、見分と調書は取りました。ただ、
  争うということであれば、小野寺さんにはもう一度来ていただいて、基本で捜
  査します。通常は、えーあの、こういう場合は、切符で処理するんですよ、だ
  から簡単な書類で処理している、・・方法であれば、争う,・・・現場での写
  真も撮っていますので、早急に写真を、多分あの中のどれかに入っているんで、
  まだフィルムは現像していないので、それも含めてうちの方は処分するよ
  う・・・。(甲5の9頁)」とも述べている。
 3 別件行政訴訟の,相手方の準備書面(1)(甲86の18頁),控訴人の玖珠警
  察署への来署(イ)に「そこで,間ノ瀬巡査部長は,控訴人に対して平成11
                 28/70頁
  年10月8日に作成した交通切符様式の実況見分調書等に基づいて本件交通事
  故の発生状況を説明
するとともにその発生原因は,控訴人が中央線を越えたこ
  とによって発生したと認められると説明した。すると控訴人は驚いた様子で,
  「相手の車がセンターラインを越えて来たと聞いていたので,今の説明には納
  得がいかない。」と,自身が本件交通事故の被害者である旨を申立てた。」と
  の記載がある。
 4 上記のとおり,玖珠警察署は,「平成11年10月8日に作成した交通切符
  様式の実況見分調書」を作成,所持していたことを認めていた(甲86)。
  「警察が本件事故直後に,本件実況見分調書とは別個の新たな実況見分調書を
  作成したと認めるに足りる証拠
」となる。
 5 玖珠警察署は長者原駐在所の早水巡査長に対し,事故現場に急行して事実調
  査と現場保存を行うよう指示し,同巡査長は午前11時50分ころ現場に到着
  した。別件行政訴訟で相手方は,早水巡査長は「事実調査と現場保存」を行っ
  たのであって,実況見分は行っていないと主張したが詭弁である。
   有斐閣法律用語辞典は,「実況見分」を,「捜査過程において,犯罪の現場
  その他の場所,人の身体あるいは物について,その状況を確認することを実況
  見分
といい,その結果を録取した捜査上の文書を実況見分調書という。実況見
  分は検証と類似するが任意処分にとどまる点で異なる。」と説明する。犯罪捜
  査規範第84条は,「警察官は,現場臨検を必要とする犯罪の発生を知ったと
  きは,捜査専従員たると否とを問わず,すみやかにその現場に臨み,必要な捜
  査を行わねばならない。」と規定し,同第104条は「現場等について事実発
  見のために必要があるときは,実況見分を行わなければならない。実況見分は
  関係者の立会いを得て行い,その結果を実況見分調書に正確に記載しておかな
  ければならない。」と規定している。
   事故当日,早水巡査長が,事故現場,自衛隊車及び控訴人車について事実発
  見のため,小野寺その他の関係者の立会いを得て実況見分を行ったことは証拠
                 29/70頁
  上明らかである。
 6 小野寺は,「① 平成11年10月7日,本件事故発生の約40分後小国警察
  署員が事故現場に到着し,少し遅れて早水巡査長が到着した(甲25)。②救
  急車は現場に5分くらいいた(甲22の20頁)。③救急車が去った後で玖珠
  警察署員2名が到着し現場検証を始めたので立会った(甲25)。④玖珠警察
  署署員が現場に到着したのは午後0時30分である。⑤玖珠警察署員は普通の
  パトカーできた。⑥現場検証の時間は約40分であった(甲22の20頁)。
  ⑦自衛隊車は検証が終わるまで別府よりの道路上に置き,誘導員をつけて片側
  通行を行った(甲22の26頁)」と証言・陳述している。
 7 救急車が事故現場に到着したのは午前11時33分で(甲85)で去ったの
  は5分後の11時38分ころである。小国署員が現場に到着したのは事故発生
  の約40分後の午前11時35分ころである。小野寺は,証人尋問で「救急車
  が去った後,玖珠警察署員2名が到着したと言いましたけど,救急車が去って
  から何分ぐらいでしたか,相当待ちましたか。」との問いに,「12時半です。
  (甲22の20頁)」と答えている。通常人は「何分ぐらいでしたか,相当待
  ちましたか。」と尋ねられたら,「いや,30分くらいです」とか「そうです
  ね,1時間くらいは待ちました」と答える。小野寺の答えはあやしい。
   玖珠警察署員が12時半到着なら,小野寺の陳述書の記載は,「救急車が去
  った後,1時間ほどしてから,玖珠警察署員2名が到着し,現場検証を始めた
  ので立会しました」となろう。救急車が去った後で到着し現場検証を始めたの
  は小国警察署員2名であることは明らかである。
 8 小野寺は,玖珠警察署員は普通のパトカーできたと証言している(甲22の
  20頁)。別件行政訴訟で相手方は,堀部警部補らは「玖珠61」という交通
  事故処理車で現場に向かった,と陳述している(甲86の12頁)。
   小野寺は,自衛隊車は検証が終わるまで別府よりの道路上に置き,誘導員を
  つけて片側通行を行ったと証言している(甲22の26頁)。別件行政訴訟で
                30/70頁
  相手方は,堀部警部補らは,事故当日午後0時25分ころが現場に到着したが,
  自衛隊車は既に道路外に移動されていた,と陳述している(甲86の12頁)。
   これら双方の主張の食い違いからも,本件事故に対する堀部警部補らによる
  実況見分が,本件事故当日に行われたとすることに,合理的疑いがある。
 9 刑事訴訟法第246条は「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法
  律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を
  検察官に送致しなければならない。但し,検察官が指定した事件については,
  この限りではない。」と規定する。同条は全件送致主義について規定したもの
  で,捜査の結果犯罪の嫌疑が消滅した場合であっても事件を送致しなければな
  らない。
 10 平成13年11月16日,本件事故について,控訴人を法70条,119条
  1項9号違反の違反者とする玖珠警察署長の大分県警察本部長に対する行政処
  分報告書(甲第87号証)が同県警に受理されたことになっている。同報告書
  の欄外には「処分対象外」のゴム印が押され,①相被疑者番号・氏名,②報告
  番号・報告年月日,③処理経過,④ 受付印の受付番号の欄は空白であり犯罪
  事実の欄に,「もって他人に危害を及ぼうような安全な速度と方法で運転した
  ものである。」との記載の下線の部分を,「およぼす」に手書きで訂正してい
  るが訂正印はない。⑥大分県情報公開条例に基づく控訴人からの請求に対して
  平成16年5月29付けで公開されたときは,同報告書の欄外の「処分対象
  外」のゴム印押捺部分を含め,ほとんど全部のらんが黒く塗られていた(甲第
  88号証)。大分県警は上記黒く塗られた部分をなぜ隠蔽したのか。
 11 玖珠警察署が,関係書類を日田区検察庁に送致したのは,平成13年11月
  20日である(甲第89号証)。
 12 控訴人が別件訴訟を提起したのは平成13年7月23日である。提起を受け
  て平成13年9月18日自衛隊による事故再現見分が行なわれた。別件訴訟の
  裁判所に提出された本件実況見分調書は,作成日付こそ本件事故から約2年後
                 31/70頁
  の平成13年9月27日であるが,玖珠警察署長の大分県警察本部長に対する
  行政処分報告書が同県警に受理されたのは,平成13年11月16日である
  (甲87)。玖珠警察署は平成11年10月7日の本件事故後のほぼ2年間,
  本件事故についての行政処分を行わなかった。
 13 大分合同新聞(夕刊)2003年(平成15)年2月22日に「玖珠署が摘
  発した10人の交通違反事件10件を検察庁に送致しておらず,いずれも時効
  になっていたことが22日までに分かった。県警監察課によると,摘発したの
  は1999年3月から11月までで,飲酒運転や無免許運転,速度違反など,
  同署交通課の巡査長が反則切符を署内に置いたまま,送致するのを忘れていた。
  別の交通違反事件の捜査をする過程で,処理していないことが分かった。同署
  は昨年12月,時効となった事件の書類を日田区検に送った。10人は手続が
  スムーズ済む行政処分に関し,免許停止などの処分を受けたが,裁判所への呼び
  出しなどが必要な刑事処分は時効を迎えたため,罰金は科せられなかった。監
  察課は「巡査長が故意に処理をしなかったのではなく,忘れていた事案であり,
  刑事上の責任はないが,巡査長,上司らは適正に処分した」と説明した。」と
  の報道がある(甲第90号証)。1999年(平成11年)3月から同年11
  月まで玖珠警察署の処理した交通違反事件10件が放置されたのである。
 14 犯罪捜査規範(222条)は,「交通法令違反事件については、犯罪事件受
  理簿(62条)及び犯罪事件処理簿(201条)に代えて、長官が定める様式
  の交通法令違反事件簿を作成し、これにより第19条(捜査指揮)第一項及び
  第193条(送致及び送付の指揮)に規定する指揮の責任及び事件の送致又は
  送付その他の経過を明らかにしておかなければならない。」と規定する。同事
  件簿の保存期間は3年であるから,大分県警察本部長が,玖珠警察署の本件行
  政処分報告書を受付けた平成13年11月16日には存在している。
   上記3のとおり,間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月8日に作成した交通
  切符様式の実況見分調書所持していたのであるから,本件は間ノ瀬巡査部長
                 32/70頁
  手持ち事件である。「巡査長が送致するのを忘れていた」で済む事案ではない。
 15 なお,小野寺および片岡に陳述書の日付は平成13年10月12日で,国の
  準備書面(1)は平成13年11月5日に陳述された。小野寺の証人尋問は平成1
  4年3月25日に行われた(甲25,26,22)。
   別件訴訟の提起を知った時点から,玖珠警察署の調書は平成13年11月1
  6日,小野寺および片岡の陳述書は平成13年10月12日,小野寺の証言内
  容は平成14年3月25日,国の準備書面は平成13年11月5日の,各日付
  の直前まで,各当事者の支配下にあり,内容は自由に作成変更されえた。
 16 本件は人身事故で,切符での処理も微罪処分もできない。事件を送致するに
  は,司法警察員の捜査が必要と考え,司法巡査である早水巡査長の捜査,実況
  見分及び実況見分調書を隠滅し,間ノ瀬巡査部長を見分官としての,(形ばか
  りの)実況見分を行なったのである。
 17 なお,原判決は,本件事故現場の見取図について,「浅香らが別件訴訟で同
  見取図を提出しなかった違法をいう控訴人の主張も,採用できない。」という
  が,控訴人は,「浅香らが別件訴訟で同見取図を,証拠として提出しなかった
  点について,浅香らの,数々の信義誠実の原則(民訴訟2条)違反の一つとし
  ていうのである。(控訴理由第2点 浅香らが提出した証拠)
 18 原判決は,本件事故に対する玖珠警察署員による実況見分が,本件事故当日
  に行われたことを認めながら,同見分の結果を録取した実況見分調書は作成さ
  れていないと判示する。著しく不合理な事実認定である。
 19 ちなみに,玖珠警察署の実況見分調書(甲42)は,控訴人を被疑者とした
  道路交通法違反事件についての調書である。上記第3項のとおり,控訴人は間
  ノ瀬巡査部長に診断書を提出し,自身が本件交通事故の被害者である旨を申立
  てたのであるから,同巡査部長は被害届けを受理し,犯罪事件受理簿に登録し
  なければならない。当然に小野寺を被疑者とする業務上過失傷害事件について
  の捜査が行われ,その結果を録取した実況見分調書が存在しなければならない。
                 33/70頁

31:控訴理由 第5点 10-11

2007-01-05 10:29:01 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
 10 間ノ瀬巡査部長が語ったストーリー
                 21/70頁
   平成11年10月29日,玖珠警察署で間ノ瀬巡査部長は,控訴人に対し下
   記の発言をした。(甲5)( )内の発言は控訴人。
  (1)「わずか0.6メートルくらいのところが衝突地点というふうに,タイヤ
   痕が・・・その時の出羽さんの位置はまだセンターラインは越えておりませ
   ん,ただぶっつかった位置からすると,ぶっつかった位置はそういう風に推
   測はつくわけですよ,私らも。」(甲5の2頁) 
  (2)(これは結局,証人は一人もいないのですか?)「いません。唯一証人に
   なるとすればこの自衛隊車両が連続進行ですので,その前を走っていた方が
   証人になるくらいでしょうね,」
   控訴人の主張(1)・本件大型トラックの助手席には助手の片岡高房2等陸曹
   が,後部荷台には自衛隊員5名が乗車していた。助手の片岡が目撃証人とな
   るほか,後部荷台に乗車している自衛隊員は通常後方を見ているから,牽引
   しているトレーラとの衝突場面を目撃している。5名の自衛隊員は一級の目
   撃証人となる。自衛隊車両は通常1名で運転することはない。目撃者として
   自衛隊車の助手が存在することを間ノ瀬巡査部長が知らないはずはない。
  (3) 「相手の車が自衛隊車両の後ろのセミトレーラというのをね,確かあれね,
   給油タンクというんですか,水を運ぶようなやつを運んでいた,(甲5の4
   頁)」
   控訴人の主張(2)・炊事車と給水車では形状が全く異なる。間ノ瀬巡査部長
   は平成11年10月29日の時点では,本件トレーラを現認していない。す
   なわち,実況見分を行なっていない。

   控訴人の主張(3)・警察写真⑦(甲32⑦)では,間ノ瀬巡査部長が2名の
   自衛隊員と本件トレーラ(炊事車)の右タイヤ付近を覗き込んでいる。間ノ
   瀬巡査部長の実況見分に自衛隊が関与している。
   控訴人の主張(4)・間ノ瀬巡査部長は平成11年10月29日の時点では本
   件トレーラを現認していないから,警察写真⑦は,平成11年10月30日
                 22/70頁   
   以後に撮影されている。(5)・別件行政訴訟で,平成11年10月7日,堀
   部警部補は実況見分の補助者となり,車両の損傷状況及び道路状況の写真撮
   影を行なったと主張し(判決正本・8頁(甲17),実況見分調書(甲4
   2)に,「本職が作成した写真16葉を本調書末尾に添付することにし
   た。」と記載している。この写真16葉の1葉が警察写真⑦であるから,虚
   偽の記載である。
  (4)「えー,現場にですね,まず駐在所が到着して,それから私なんかが着く
   ようになりますので,一応見分時間は11時50分になっていますね。11
   時50分から開始と駐在所の方が書いていますね,」(甲5の5頁)
   控訴人の主張(6)・駐在所の方は,早水巡査長である。早水巡査長が11時
   50分から実況見分を開始した。間ノ瀬巡査部長らは実況見分をしていない。
  (5)「・・相手が危険を感じて急ブレーキをかけたかとききたいやろんでしょ
   けど,ブレーキ痕がつくほど急ブレーキは踏んでおりませんし,急ブレーキ
   をかけるほどの時間はなかったと推定しています,カーブの形状からしても
   危険を感じて,というのが,時速当時50キロ位でこの方が走られておった
   ということで,向こうが・・。」(向こうが,相手が50キロですね?)
   「時速50キロで相手が走っておれば,あ,50キロ,ごめんなさい,時速
   40キロで走っておればですね,一秒間に11.2メートル走るんです
   よ,」(甲5の6頁)
   控訴人の主張(7)・小野寺も急ブレーキは掛けていないという。急ブレーキ
   を掛けるとスリップ痕が残る。
   控訴人の主張(8)・小野寺は時速50キロで走行していた疑いが強い。平成
   11年12月8日,控訴人との電話での会話で,小野寺は50キロぐらいで
   走行していたと話している。(甲75の4頁)
  (6)「・,通常の車でもあのヘヤピンカーブをですよ40以上のスピードで
   曲がれません,よっぽど若い連中でないと,あのう,そのいわゆる飛ばし屋
                  23/70頁
   仕様で走っているなら別ですけども,そういう車でなければまあ40,出て
   も50それ以上になれば外側に出るでしょう。」(甲5の8頁)
   控訴人の主張(9)・小野寺はカーブに近づくとき十分速度を落とさず,危険
   な速度で走行し人身事故を起した。小野寺には道路交通法70条違反がある。
  (7)(この人からは事情を聞かれた?)「え,見分と調書は取りました。ただ,
   争うということであれば,小野寺さんにはもう一度来ていただいて,きほん
   で捜査します。通常は,えーあの,こういう場合は,切符で処理するんです
   よ,だから簡単な書類で処理している,・・方法であれば,争う,・・,現
   場での写真も撮っていますので,早急に写真を,多分あの中のどれかに入っ
   ているんで,まだフィルムは現像していないので,それも含めてうちの方は
   処分するよう・・・。」(甲5の9頁)
   控訴人の主張(10)・人身事故は切符で処理できない。
   控訴人の主張(11)・写真は撮影したら遅滞なく現像するのが基本。
  (8)「えー,現場に残ったそれこそ真新しい擦過痕,で,えー,まー,一番最
   初,衝突方向,えー,こっちがその出羽さんのこられた方向ですね,こっち
   の方向から,一番近いところ,道路中央線から37センチ,のところから擦
   過痕が始まっている。いえ,だから擦過痕が始まっているのが,だから,こ
   の全体的な流れは,道路の中央線側から,こういう風に流れている訳ですね,
   今フリーハンドで申し訳ないけど,こういう方向に流れているわけです,逆
   にこれをたどっていったところが衝突地点になる,普通は判断します,普通
   はと言って普通以外何も無いんですけどね,すくなくとも,単車がこの線の
   上を滑走していったことは間違いない訳です,だからできている訳です,そ
   れの始まりがあの,出羽さんの進路,からの始まりですよ,始まりが道路の
   中央付近から37センチのところ,いいですか,そして,一番最後の,目視
   できる擦過痕の終わりが1メーター69センチ,だから,今こう簡単に書い
   ていますけど,実際は擦過痕自体は,37センチと1メーター約70であれ
                 24/70頁
   ば,こういう感じに流れるわけですよね,わかりますか,ということは,今
   も言うように,流れていった方向の逆で衝突をしたであろうと,判断する,
   そうなると自分は道路を,道路の左側を私はもうトロトロ行ってたんですよ
   と現場に行って言われても,」(甲5の10頁)
   控訴人の主張(12)・間ノ瀬巡査部長は事故現場で計測していない。通常計
   測は巻尺で行なう。ロードメジャーでは計測できない。机上の作図であり,
   しかも経験則に反する作図である。
  (9)「出羽さんが何らかの理由でセンターラインを越えようとしたところで相手
   と衝突した,なぜ,越えようというかというと,ぶっつかった時のタイヤの
   自分の位置がねセンターラインの上ぐらいになるのですよ,完全に越えてい
   ないんですよ,例えば越えて相手の正面にどーんとぶっつかったというので
   あれば越えたといえますけどね,越えようとしたところでぶっつかっている
   んですよ,越えようとした,それでセンターラインを何らかの理由で,セン
   ターラインを越えて対向車線にはみ出そう,はみ出したと,はみ出そうとし
   て今回の事故になった,ということで私どもは認定しております。」
    (はみだそうとしてですか,はみ出していないのですか?)「それはね,
   ものすごく日本語のね,あれでね,あの,一歩間違うと表現の仕方が違うん
   で,言葉を選ばなならんから,私の方もはみ出したかはみ出してないかとな
   れば,ぶっつかってればはみ出しているというしかない,もしぶっつかって
   なければ,具合良くぶっつかってなければそのまま路外にでているでしょう,
   もしくはガードレールをこさぎ,こすりながらでもとまったでしょう。」
   (甲5の23頁)
   控訴人の主張(13)・小野寺は業務上過失傷害事件の被疑者である。警察の認
   定は意見として付し,検察庁に送致しなければならない。
  (10)(相手はセンターラインを,)「越えてきたとは言いますけども,実際の
   ところ越えてきたところを見ちょりませんからね,カーブ,ヘヤピンカーブ,
                25/70頁
   ワーとブレーキ踏みながら,止まろうとする,ね,その間に自分の後ろのト
   レーラ付近にぶっつかったものが,センターラインを越えたかどうかわかり
   ませんわ,相手がいやわたしがこういきよったら,こう,こうやってセンタ
   ーラインを越えて後ろにぶっつかったんですよ,と仮に相手が言ったところ
   で,馬鹿言いなさんな,そんな信用できません,あと信用できるのは,現場
   に残った痕跡でしかない,その痕跡が,あのう,相手の供述と合うようであ
   れば私の方は,それは私に限らず誰でも信じていいとなる,この車がここに
   ジーと止まっていたんであれば,別ですよ,走っている,移動しながらなん
   でね,実際のところ,この人もセンターラインを越えてこようとして来た車
   しかたしか見てないんですよ,最初ポコット見えた,あ,単車やった,と思
   ったほんの次の瞬間ですよ,あ,ヤベー,センターラインを割るかもしれな
   いちゅうて,パット急ブレーキを踏んだ,そしたところが,ドーンと,やっ
   てしもうたちゅうんで,止まって見てみたら転んでいた,そんですぐに自衛
   隊が全部きて,だから,私のほうは,話が前後して申し訳ないけど,私の気
   持ちとしてはこの事故はセンターラインを越えた出羽さんのいっぱん的過失
   によるものではあるけれども,この結果の事故によって出羽さん自体が重傷
   を負われている,いわゆる,身体,わたしこのへん,ちゃんとあのお兄さん
   と(不明),身体的にも財産的にも,単車,十分損害を受けている,
    だから今回は処分をしないで,綴り込み,警察だけで終わっちゃいましょ
   うやということで係長の許可はもらっている
んですよ,だから私はそのつも
   りでおった,本当のことを言いまして,ただ,今後民事で争われる事件につ
   いて私の方は綴り込み出来ません,十分に今後民事で争いになるということ
   になれば私の方も裁判所の方から鑑定資料を送りなさいと言われてくるけれ
   ども送りません,その場合出しません,」(綴り込みしたら?)「処罰は全
   く何もしません,検察庁にも書類を送りません,点数もひきませんと言うこ
   とです,何にもせんちゅうことです,事故はあったけれども,」(甲5の2
                  26/70頁
   6~27頁)
   控訴人の主張(14)・間ノ瀬巡査部長は,上記(5)で,(小野寺は)急ブレー
   キは踏んでいないと発言したが,(9)ではパット急ブレーキを踏んだと言う。
   通常人は衝突の危険を感じたら急ブレーキを掛ける。
   控訴人の主張(15)・急ブレーキを掛けるとスリップ痕(タイヤ痕・制動
   痕)が残る。自衛隊車のタイヤが事故現場の路面に残したスリップ痕は事故
   形態推定の重要な証拠の1つである。浅香らは,重要な証拠を隠蔽している。

   控訴人の主張(16)・トレーラをけん引中に,急ブレーキを踏むと,ジャッ
   クナイフ現象 (けん引車とトレーラが “ジャックナイフ”のように折れ曲
   がってしまう現象。)が起きる。急ブレーキによって後ろから押してくるト
   レーラが バランスを崩し,連結部を軸にけん引車とトレーラがジャックナ
   イフのように曲がってしまう。これを避けるためには,トレーラをけん引中
   は絶対急ブレーキを踏まないという心がけが大切になる。特にコーナリング
   時には,減速はコーナーに入る前にすませておくことは自動車運転術の基礎
   である。
   控訴人の主張(17)・小野寺が急ブレーキを掛けたことは,証拠上明らかで
   あるのに頑なに否定する。実際は,本件事故でもジャックナイフ現象が起き,
   事故直後自衛隊が撮影した写真にはその状況が写っている。この惨状が写っ
   た写真は表に出すことができない。日を改めて実況見分を行い,その時撮影
   した写真を事故当日撮影した写真だとしている。
   控訴人の主張(18)・ちなみに,部隊識別帽が青色の 第8特科連隊も,同様
   の事故を起している。(甲76
 11 玖珠警察署の実況見分調書については,第6点で主張する。
・・・
{原審 横浜地裁 平成17年(ワ)第2710号 判決}
 民事第9部 裁判長裁判官 土屋文昭 裁判官 一木文智 裁判官 吉岡あゆみ

31:控訴理由 第5点 1-9

2007-01-05 10:23:25 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
第5点 本件事故処理の経緯
   原判決の,第3争点に対する判断の1,(2)本件事故の実況見分の状況及び
  同調書の作成の経緯ア(判決書16頁)の下記の部分の不服。「平成11年1
  0月7日午後0時34分から午後1時20分までの間,玖珠警察署の間ノ瀬巡
  査部長を見分官とし,堀部金丸警部補及び早水満堯司法巡査を補助者,小野寺
  を立会人とした本件事故の実況見分が行われた。控訴人は,本件事故直後に小
  国公立病院に搬送されていたため,実況見分が実施された際は事故現場にいな
  かった(そのため,同実況見分終了後に,小野寺が控訴人車に積まれていた控
  訴人の荷物を,同病院まで届けた。)。」及び,第3争点に対する判断の1,
   (3)自衛隊員による本件事故現場写真の撮影ア(判決書16~17頁)の下記
  の部分の不服。「上記実況見分が実施された際,これに並行して,陸上自衛隊
  第8師団第42普通科連隊第4中隊陸曹長赤埴源蔵(所属,階級は本件事故当
  時のものである。以下「赤埴」という。)が,本件事故現場の写真を撮影し
  た。」
 1 間ノ瀬巡査部長は下記のとおり述べている(甲5の5頁)。
   (事故は10時55分、現場に行かれたのは?)えーとですね、まずですね、
  これがね、ちょうどあそこは熊本県境に近いんで先に熊本に入るんですよ、そ
                 14/70頁
  れで熊本経由でぐるぐるぐるぐるまわって、こちらに通報が有ったのはですね、
  午前11時25分です。(行かれたのは?)えー、現場にですね、まず駐在所
  が到着して、それから私なんかが着くようになりますので、一応見分時間は
  1時50分になっていますね。11時50分から開始と駐在所の方が書いてい
  ます
ね。)
 2 小野寺は下記のとおり証言している(甲22の24頁)
   「乙第1号証(甲67)を示す。」(2枚目の上の写真,事故当時の道路状
  況(熊本方面から別府方面)という写真を見てください。この中に証人は写っ
  ていますか。)写っていると思います。左のグループの右から。(白い制服を
  着た警官が1人写っていますけれども,これはだれですか。)この方は長者原
  の警官だと思います。(空色の制服を着た2人が写っていますが、これはだれ
  ですか。)小国警察署か玖珠警察署の署員だと思います。(どちらですか。)
  はっきり分かりません。これは撮った時間がわかりませんので。(右側に写っ
  ている自衛官はどういう人たちですか。)これは私の車両の後ろに乗っていた
  隊員が何名かおります。(その下の別府方面から熊本方面の写真を見てくださ
  い。自衛官と警官が話していますね。はい。(この警官はだれですか。どこの
  警官ですか。)長者原の方だと思います。(それから長者原のさっき言ったジ
  ープ型というパトカーはそのことですね。)はい。(玖珠からきた自動車はい
  ない
わけですね。)この時点ではいないと思います。(この写真の上と下では
  同じ場所を写していますね。)はい。(上の写真にはパトカーが写っていない
  んですけれども,当然どこかに写っているはずですが,何で写っていないんで
  すか。)時間がずれているので移動した
んだと思います。(事故後,自衛隊車
  両はどうしましたか。)私の車両はほかの隊員が私の中隊長に許可をもらって
  演習場のほうに持っていってもらいました。私は近松さんのジープで病院のほ
  うに行きました。(検証が終わる前にもう自衛隊車両は行ったわけですね。)
  いや,検証が終わってからです。(検証が終わるまではどこにおいてありまし
                 15/70頁
  たか。)この写真でいいますと,別府よりにあります。(要するにバイクさえ
  移動すれば,自衛隊車両がいても片側は通行が確保されているわけだから,別
  府よりのところにとめていたということですね。)はい。(道路上に。)そう
  ですね。ちゃんと誘導員を付けておりました。(誘導員を付けて道路上に置い
  たまま片側通行でやったということですね。)はい。

 3 上記,別件訴訟における小野寺の証言(甲22),間ノ瀬巡査部長の録音内
  容反訳書(甲5),自衛隊写真(甲67),消防長の回答(甲第85号証)等
  の証拠および別件訴訟・別件行政訴訟の関係者の陳述によれば,本件事故当日
  の経緯はおおむね次のとおりである。
   ① 午前10時55分ころ,本件事故が発生し,午前11時05分119番
  通報(甲85)および110番通報がなされた。②午前11時05分ころ,警
  務隊による本件道路の交通統制,事故現場保存,片側通行が開始された。②午
  前11時33分,救急車が現場に到着した(甲85)。③本件事故が110番
  通報で熊本県警察本部に入ったが,熊本県小国警察署に転送され,同署員2名
  が現場に向かい午前11時35分ころ現場に到着した。ところが,途中事故現
  場が大分県警察本部管内であることが判明したため,大分県竹田警察署を経由
  して午前11時25分ころ(甲5の5頁)に玖珠警察署に電話連絡がされた。
  ④ 玖珠警察署は長者原駐在所の早水巡査長に対し,事故現場に急行して事実
  調査と現場保存を行うよう指示し,同巡査長は午前11時50分ころ現場に到
  着した。(早水巡査長が午前11時50分ころ本件現場に到着したことは各当
  事者間に争いはない。)⑤早水巡査長は現場に到着後,小国署員2名,小野寺,
  近松3佐及び警務隊員とともに引継ぎ・見分を開始し,赤埴陸曹長はひきつづ
  き写真撮影をした。⑥引継ぎ時間を30分間とすると,午後0時20分ころ
  見分及び引き継ぎが終了し,小国署員は現場を離れた。この引継ぎの終了時,
  赤埴陸曹長が自衛隊写真①(67①)を撮影した。
⑦小国署員が現場を離れた
  後,早水巡査長は,小野寺,近松3佐及び警務隊員とともにさらに必要な見分
                 16/70頁
  を行なった。⑧自衛隊写真②(67②)は,上記⑦の早水巡査長の見分が終了
  し,自衛隊車が演習場に向け現場を離れた後で撮影されている。近松3佐が何
  らかの資料を早水巡査長に手渡している状況を写している。上記自衛隊写真①
  と②撮影された時間のずれは,少なくとも20分はあるとすると,午後0時4
  0分以降
となる。⑨その後,小野寺は近松3佐の車で,控訴人車に積載されて
  いた控訴人の荷物を持って小国公立病院に向かった。
 4 原判決は,「平成11年10月7日午後0時34分から午後1時20分まで
  の間,玖珠警察署の間ノ瀬巡査部長を見分官とし,堀部金丸警部補及び早水満
  堯司法巡査を補助者,小野寺を立会人とした本件事故の実況見分が行わ
  れた。」と判示するが,上記1ないし3の経緯と時間的に整合しない。
 5 玖珠警察署の実況見分調書添付の写真(甲32⑪)に,間ノ瀬巡査部長と,
  同部長に随行している,早水巡査長,作業帽着用の幹部自衛官及び鉄帽着用の
  自衛官の計4名が写っている。堀部警部補と小野寺の映像はない。
 6 控訴人は,平成18年4月10日付け準備書面(4)第6本件事故処理の事実経
  過で,下記(7~10)のとおり主張した。
 7 玖珠警察署の主張(別件行政訴訟の被控訴人準備書面(1)(甲第86号証)で
  の玖珠警察署の主張)
  (1) 平成11年10月7日11時25分頃,事故発生の電話連絡を受けた堀部
   警部補は早水巡査長に出動を命じ,早水巡査長は同日午前11時50分頃,
   事故現場に到着した。(甲86の11~12頁)
  (2) 同日午後0時25分頃,堀部警部補と間ノ瀬巡査部長が本件事故現場に到
   着し,同日午後0時34分から同日午後1時20分まで,小野寺立会いのも
   とに,実況見分を行なった。(甲86の12,16頁)
   控訴人の主張(1)・堀部警部補らは事故当日は実況見分を行なっていない。
  (3) 平成11年10月8日 ,間ノ瀬巡査部長は,交通切符様式の実況見分調
   書を作成し,小野寺に同月12日に任意出頭するようを求め,小野寺は同日
                 17/70頁
   に玖珠警察署に出頭し供述調書に署名押印した。(甲86の17~18頁)
   控訴人の主張(2)・小野寺は人身事故の加害者である。切符処理は出来ない。
   控訴人の主張(3)・間ノ瀬巡査部長は事故当日は実況見分を行なっていない。
   控訴人の主張(4)・小野寺は,同月14日まで演習に参加していたという。
  (4) 平成11年10月29日,控訴人は玖珠警察署に間ノ瀬巡査部長を訪ね,
   控訴人が被害者である旨申立て,平成11年10月14日付け熊本赤十字病
   院医師磯貝正久作成の診断書を提出した。(甲86の18頁)
  (5) 平成11年11月11日から数回,間ノ瀬巡査部長は供述調書作成のため
   控訴人に出頭を求めたが控訴人は出頭に応じなかった。(甲86の19頁)
  (6) 平成12年2月10日,堀部警部補は玖珠警察署長まで報告の上,本件事
   故の処理を一時保留扱いとした。(甲86の20~21頁)
 8 小野寺の証言及び陳述
   (平成14年3月25日付け別件訴訟での速記録(甲22)及び平成13年
  10月12日付け小野寺の陳述書(甲25))
  (1) 平成11年10月7日,本件事故発生の約40分後小国警察署員が事故現
   場に到着し,少し遅れて早水巡査長が到着した(甲25)。
  (2) 〔救急車は現場に5分くらいいた〕(甲22の20頁)。救急車が去った
   後で玖珠警察署員2名が到着し現場検証を始めた
ので立会った(甲25)。
   玖珠警察署署員が現場に到着したのは午後0時30分である。現場検証の時
   間は約40分であった。(甲22の20頁)
   控訴人の主張(1)・玖珠警察署員2名は,堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長を
   さすが,両名は本件事故当日事故現場に臨場せず現場検証は行なっていない。
  (3) 現場検証後吉田1尉に同行してもらい,小国公立病院に行った。病院でバ
   イクの運転者(控訴人)の兄に会い事故の状況及び現場検証の概要を説明し
   た。するとバイクの運転者の兄から「弟が悪かった」と頭を下げられ,握手
   を求められた。またこの時「国民健康保険で治療する」ともいわれた。(甲
                 18/70頁   
   25)
   控訴人の主張(2)・小野寺は証人尋問時,現場検証後同行してもらった人物
   を吉田1尉から近松3佐に訂正した。吉田1尉は第8師団司令部付隊の管理
   小隊の班長で,事故当時本件自衛隊車を含む10両編成の指揮をしていた
   (甲22の13頁)。近松3佐は第8師団司令部付隊の隊長である(甲2
   6)。小野寺が間違えるはずはない。法務官が近松3佐の名前を出すのを嫌
   ったのだ。
   控訴人の主張(3)・控訴人の兄は,控訴人の問合せに対し,「加害者が小野
   寺であることを知ったのは,事故後数日経過してから自宅に本人が電話して
   きたときが初めてです。小野寺は自分に過失がないことをるる述べましたが,
   私はまだ警察の説明も受けておらず,現場も確認していない時点で弟の過失
   について云々することはできないと云いました。事故の日に自衛隊から自宅
   に電話連絡を受け,小国公立病院に行きました。病院には数人の自衛官がい
   ました。その中の一人が事故状況を説明しましたが,自衛隊側の一方的説明
   であり,私が弟の非を認めるわけはなく,ましては頭を下げたり握手を求め
   たりしたことはありません。「国民健康保険で治療する」とは云っていませ
   ん。当時は緊急事態で病院の支払いを等について云々する状況下になく,病
   院も支払いについて言及はしておらず,私は弟が加入している保険の種類も
   知っていません。」と回答した。(甲74)
   控訴人の主張(4)・「弟が悪かったと頭を下げて握手を求められた。国民健
   康保険治療するといわれた。」との陳述は虚偽の陳述であり,かつ控訴人の
   兄をも侮辱する内容である。この陳述の脚本を書いた浅香らの行為は到底許
   せない。
  (4) 同7日午後3時頃小国公立病院から演習場に行った。(甲75の3頁)
  (5) 演習場から熊本に帰ったのは1週間後くらいである。(6) 演習場から帰る
   とき小野寺は車両を運転して事故現場を通った。(甲22の12頁)。
                 19/70頁
   控訴人の主張(5)・直前に重傷の人身事故を起した兵を演習に参加させるか。  
   控訴人の主張(6)・人身事故を起したばかりの者に公道で車を運転させるか。
  (7) 平成11年10月11日か12日,供述調書作成のため玖珠警察署に出頭
   した。被疑者として調べられてはいない。
   控訴人の主張(7)・小野寺が演習場から熊本に帰ったのは事故から1週間後
   位だという。1週間後は平成11年10月14日である。
   控訴人の主張(8)・小野寺は業務上過失傷害事件の被疑者である。
  (8) 警務官は供述調書を取らなかった。
   控訴人の主張(9)・通常,業務隊の防衛事務官が供述調書を作成する。
  (9) 陳述書(甲25)は代理人(法務官)に供述した。
   控訴人の主張(10)法務官は第8師団司令部法務官室法務課の法務官である。    
 9 控訴人の主張するストーリー(控訴人車線のひし形マークの謎を解く。)
  (1) 平成11年10月10日は祝日(体育の日)で,日曜日だったので,翌日
   の11日は振替休日であった。
  (2) 自衛隊は,小野寺及び関係者の事情聴取や事前の準備があり,本件道路は
   平日の交通量は少ないが連休中は観光客の車両の通行が多いことから,実況
   見分を連休明けに行なうことにした。
  (3) 自衛隊は,連休後の12,13,14日に事故調査・事情聴取・実況見
   分・事故処理対策会議等を行なった。
(4) 平成11年10月12日,自衛隊は,事故直後の捜査で得た資料に基づき,
   「控訴人車線のひし形マーク」等を設置し,自衛隊写真②を撮影するなど,
   実況見分の下準備をした。
  (5) 平成11年10月12日, 熊本赤十字病院に入院中の控訴人を訪ねて,第
   8師団司令部付隊の斉藤1尉と称する者が来た。控訴人は,本件事故は自車
   線内の事故と控訴人の妻から聞いており,相手も同じ認識だと思っていたの
   で,控訴人には事故当時の記憶がないことを話した。事故の態様や治療費の
                 20/70頁
   支払い等についての会話はなかった。(甲65)
  (6) 平成11年10月15日, 熊本赤十字病院に入院中の控訴人を訪ねて,陸
   上自衛隊北熊本駐屯地業務隊・防衛庁事務官・奥田重盛という名刺を持った
   者が来た。奥田は昨日で自衛隊の調査が終わったと述べた。控訴人は控訴人
   車の処置について聞いたが,勝手にしたらいいと言う無愛想な態度で,会話
   は続かなかった。(甲65)
  (7) 同日,奥田重盛が去った直後熊本赤十字病院の大石信清事故処理室長が病
   室に来て,「大変なことになっているから,治療を健康保険に切り替えたほ
   うがいい」と控訴人に告げた。(甲65)
  (8) 「大変なことになっている」というのは,上記斉藤1尉の報告を受けて,
   自衛隊の事故対応の方針が変わり,衝突位置が控訴人車線上から自衛隊車線
   上に変更されたということである。
  (9) 自衛隊の衝突位置の変更に伴い,自衛隊写真②に写っていた9個の控訴人
   車線のひし形マークのうち6個を残して,控訴人車転倒位置に近いほうのひ
   し形マークが消された。
  (10) 警察写真⑩が撮影されたのは,控訴人車線のひし形マークが6個になっ
   てからである。
  (11) 控訴人は,熊本赤十字病院から外出許可が出たので,平成11年10月
   26日朝,間ノ瀬巡査部長に電話し,玖珠警察署で話を聞きたい旨を伝えた。
  (12) 間ノ瀬巡査部長は,10月26,27,28日の3日間は所用があると
   のことで,10月29日午後1時に出頭することになった。
  (13) 平成11年10月29日,玖珠警察署で間ノ瀬巡査部長は,控訴人に対
   して平成11年10月8日に作成した交通切符様式の実況見分調書等に基づ
   いて本件交通事故の発生状況を説明したという。間ノ瀬巡査部長は,現場写
   真は未だ現像していないといい,現場見取図を含め書面等は見せなかった。
・・・
{原審 横浜地裁 平成17年(ワ)第2710号 判決}
 民事第9部 裁判長裁判官 土屋文昭 裁判官 一木文智 裁判官 吉岡あゆみ

31:控訴理由 第4点

2007-01-05 10:13:51 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
第4点 本件事故の態様
   原判決の,第3争点に対する判断の1,(1)本件事故発生の状況オ(判決書
  16頁)の下記の部分の不服。「小野寺は,時速約40キロメートルの速度で
  本件道路の自衛隊車進行車線を南から北へ進行して,本件事故現場手前の右カ
  ーブに入ったところ,約30メートル前方の,カーブの内側道路外の雑草越し
  に,控訴人車が控訴人車進行車線を進行してくるのを認めたが,特に危険を感
  じなかったので,そのまま進行した。ところが,控訴人車と本件大型トラック
  が15,6メートルにまで接近したところで,控訴人車がコントロールを失っ
  て左右に大きく振れ,小野寺の視点からは,控訴人車が自衛隊車の方に突っ込
  んで来るように見えた。小野寺はとっさにブレーキを踏もうとしたが,ブレー
  キを踏むより早く,控訴人車が本件大型トラックの運転席の横を通り過ぎて,
  本件炊事車に衝突ないし接触した。」
 1 小野寺は,実況見分調書(甲42の19頁)では,「小野寺が最初に控訴人
                 10/70頁
  車を認めた地点は㋐,その時控訴人車は①,危険を感じ・ブレーキをかけた地
  点は㋑,その時の控訴人車は②,衝突した地点はⓍ,その時小野寺は㋒,控訴
  人車はⓍが右前部,小野寺が停止した地点は㋓,控訴人が転倒した地点は③,
  控訴人のバイクが転倒した地点は④」と各地点を指示説明した。各地点関係位
  置は交通事故現場見取図第3図(甲38)記載のとおりである。
 2 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22)では,「カーブに入る手前
  は,右側が杉林になって見通しは悪いが,①の地点で見通しがよくなる(甲2
  2の6頁)。小野寺が①の地点で,イ地点の控訴人車(バイク)を発見した。
  ①の時点では異常は認められなかったので,バイクに注意しながら進行した。
  小野寺が②の地点,バイクがロの地点で危険を感じた。②の時点でバイクとの
  距離は10から15m以内であった。危険を感じてから一瞬のことで,ブレー
  キをかける間もなく,ハンドルを切る時間もなく,バイクは横を通り過ぎ,小
  野寺が④の地点で,トレーラがⓍの地点で衝突した。(甲22の7~8頁)」
  と証言した。各地点は事故現場見取図(甲23)記載のとおりである。
 3 実況見分調書添付の交通事故現場見取図(甲38)と自衛隊の事故現場見取
  図(甲23)を,自衛隊車の最終停止位置(甲38の㋓と甲23の⑤)を重ね,
  擁壁になっている西側の道路の外側線を重ね合わせると,衝突位置付近の道路
  及び控訴人車の転倒位置は大体一致する(甲40・本図では,甲6を甲23,
  甲7を甲38と読み替える。)
   この控訴人作成の事故現場見取図(甲40)で検証(事実を確認・証明す
  る)すると,小野寺が控訴人車を初認した位置方向距離などについての,警察
  官への指示説明(甲42,甲38)の場合はバイクを「右方向の視界を遮る草
  木の左側に」に初認しているが,別件訴訟の小野寺の証言(甲22,甲23)
  の場合はバイクを「草地越しに」に初認していていることになり,全く異なる。
 4 事故現場見取図(甲23)で,小野寺が,①地点で草地越しに(イ)地点の
  控訴人車を認めてから衝突するまで,自衛隊車は23.3メートル走行してい
                11/70頁
  る。自衛隊車が毎時40キロメートの速度で走行していたと仮定すると,初認
  後2.097秒で衝突が発生している,控訴人車が小野寺に初認された地点
  (イ)から,衝突地点Ⓧ)までの走行距離は45メートルである。控訴人車が
  毎時40キロメートルの速度で走行していたと仮定すると,2.097秒で2
  3.3メートル走行する。自衛隊・警察の主張する衝突時刻には控訴人車は衝
  突地点から21.5メートルの地点にいる (45-23.3=21.5)。
  浅香らが主張する事故の態様では本件事故は発生しない。
 5 自衛隊車の助手席に乗っていた片岡は,別件訴訟における陳述書(甲26)
  で,「右前方約30~40mぐらいの位置に同カーブに近づいてくるバイクを
  確認しました。対向車線は,道路に端に沿って約1mぐらい草刈りしてあった
  ので見通しは良好でした。」と陳述している。片岡は「カーブの内側にある草
  地越しに」ではなく「右方向の視界を遮る草木の左側に」控訴人車を認めたの
  である。小野寺も警察官への指示説明(甲42,甲38)では,小野寺が㋐の
  位置で①の位置に控訴人車を認めている。すなわち,「右方向の視界を遮る草
  木の左側に」控訴人車を初認したと供述している。
 6 控訴人の主張する本件事故の態様を,控訴人作成の事故現場見取図(甲39,
   1/2
)及び同付属書類(甲39,2/2)に記載した。
   小野寺は,同現場見取図(甲39)の◎の地点で,(ロ)の地点を走行して
  くる控訴人車を「右方向の視界を遮る草木の左側に」に約31mの距離で初認
  した。本件事故現場付近の◎の地点で右カーブに高速で進入する大型トラック
  の運転手は全神経を進路方向に集中している。◎若しくは,①の地点で(イ)
  の方向を見る余裕もなく,もし見たとしたらわき見運転である。もともと(イ)
  方向は草木に遮られ見通せない。
 7 事故現場見取図の「カーブの内側にある,道路外の草地」には,道路脇に沿
  って,1乃至2メートルに破線が描かれている。甲38では草地が道路側から
  「草地」と「草」とに区別されている。小野寺が最初に控訴人車を認めた地点
                 12/70頁
  ㋐とその時控訴人車は①の地点を結ぶ線は甲38の「草地」の上を通る。
 8 事故当時の現場付近の草地の状況は,控訴人が平成11年10月29日に撮
  影した本件事故現場道路写真(甲66)のとおりである。
 9 自衛隊撮影の事故現場写真(甲67)の写真甲67①は当時の草地の茅(か
  や)の状況がわかる。自衛隊車が写っている写真(甲67⑤⑥)では茅の生育
  状態が他の写真と異なる。実況見分調書添付の写真(甲32)も自衛隊車が写
  っている写真では茅の生育状態が他の写真と異なる(甲32⑤⑦)。甲37②
  も茅の生育状態が他の写真と異なる。
 10 本件のように,相互の見通しの良くない場所での現場写真には,相手を初認
  した位置からの見通しの状況を示す写真が存在しなければならない。現に事故
  再現写真(甲27)の第1番目に「バイクを確認した位置」のような草地の状
  況を明らかにする写真が示されている。(事故再現見分時には現場の状況が変
  更されていることは,訴状(18頁)第3,第2点12(5)で主張した。)
   本件事故直後,現場には交通事故処理のプロである保安警務隊がいて,撮影
  を担当する隊員が現場写真を撮影したことは証拠から明らかである。信用する
  に足る写真で,草木の状態がわかるのは,自衛隊写真(甲67①・⑧)及び実
  況見分調書添付の写真(甲32③)の3枚だけで草地の上の相互の見通しの状
  況がわかる写真は一枚も提出されていない。
   浅香らは,事故直後撮影された重要な現場写真を隠蔽している。
 11 原判決は,「小野寺は,時速約40キロメートルの速度で本件道路の自衛隊
  車進行車線を南から北へ進行して,本件事故現場手前の右カーブに入ったとこ
  ろ,約30メートル前方の,カーブの内側道路外の雑草越しに,控訴人車が控
  訴人車進行車線を進行してくるのを認めたが,特に危険を感じなかったので,
  そのまま進行した。ところが,控訴人車と本件大型トラックが15,6メート
  ルにまで接近したところで,控訴人車がコントロールを失って左右に大きく振
  れ,小野寺の視点からは,控訴人車が自衛隊車の方に突っ込んで来るように見
                 13/70頁
  えた。小野寺はとっさにブレーキを踏もうとしたが,ブレーキを踏むより早く,
  控訴人車が本件大型トラックの運転席の横を通り過ぎて,本件炊事車に衝突な
  いし接触した。」と認定し,「本件事故は控訴人の過失に基づく結果であり,
  小野寺には何ら過失のないことが認められる。」と判示した。
 12 原判決は,原審が採用した証拠(甲17)別件行政訴訟の判決正本の認定を
  丸写しした判断であるが,浅香らが主張する事故の態様を採用したこの場合,
  上記4で指摘したとおり,本件事故は発生しない。
 13 原判決は,浅香らが作成した虚偽の図画(甲23)及び虚偽の事実主張に欺
  かれ,本件事故の態様についての事実認定を誤っている。
・・・
{原審 横浜地裁 平成17年(ワ)第2710号 判決}
 民事第9部 裁判長裁判官 土屋文昭 裁判官 一木文智 裁判官 吉岡あゆみ

31:控訴理由 第1~3点

2007-01-05 10:01:05 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
横浜地方裁判所平成18年(ワネ)414号
控訴人 出羽やるか
被控訴人 国
           控 訴 理 由 書
                          平成18年12月25日
東京高等裁判所 御中
   控訴人 出羽やるか
上記当事者間の横浜地方裁判所平成17年(ワ)3710号国家賠償請求事件
(平成17年(モ)第2411号 文書提出命令申立事件,同18年(モ)38
6号 文書提出命令申立事件)について,平成18年11月10日に言渡された
判決は不服であるから,平成18年11月17日に控訴したがその理由は下記の
通りである。なお,略称等は原審の例によるものとする。
          理  由  要  旨
 1 本件は,控訴人運転の自動二輪車(控訴人車)と自衛隊員小野寺運転の自衛
 隊車との接触事故により受傷し,国に対し損害賠償請求訴訟(別件訴訟)を提
  起し敗訴した控訴人が,同訴訟で国の指定代理人ら(浅香ら)が,控訴人の権
 利を害する意図のもとに,虚偽の文書・図画を作り,虚偽の事実を主張して裁
 判所を欺罔する等の不正な行為を行い,その結果,本来ありうべからざる内容
 の判決が確定し控訴人に損害を与えたとして,国に対し,国家賠償法1条に基
 づき,上記訴訟に敗訴したことによる損害と慰謝料の合計3000万円及びこ
 れに対する不法行為後である平成17年11月9日から支払済みまで民法所定
 の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
 2 本件事故は,平成11年10月7日に発生した。控訴人は,事故当日入院し
 た熊本市内の病院を退院する前日,約3ヶ月の加療を要すとる見込みとの内容
  の診断書を玖珠警察署に提出したが,同署は事件を送致せず,約2年間放置し
 た。加害者である小野寺は無責を主張し,自衛隊からは何ら連絡はなかった。
1/70頁
 3 玖珠警察署は,別件訴訟の提起を受けて,平成13年11月20日に控訴人
  を道路交通法70条の違反者として送致した。加害者である小野寺の事件(刑
  法211条)は送致されていない。道路交通法違反関係書類の検察庁での保存
  期間は1年とされているが,業務上過失致死傷等の罪の時効は3年である。
   刑事訴訟法第246条は全件送致主義について規定したもので,捜査の結果
  犯罪の嫌疑が消滅した場合であっても事件を送致しなければならない。
 4 原審で,控訴人は,書証第1~84号証を提出し,請求原因事実を具体的に
  陳述し,浅香らの違法行為について具体的に主張した。
 5 被控訴人は,「別件訴訟判決では,本件事故の態様の認定にかかる証拠資料
  等に関しては,ねつ造,改ざんされたということはできない旨判示され,本件
  事故は控訴人の一方的過失によるものであるとの判示がされている。控訴人の
  主張の趣旨が,本件事故の態様に関して,控訴人に過失がないという意味で主
  張を引用するのであれば,別件訴訟の蒸返しともいうべきものであり,本件事
  故の態様に関する審理は不要である。」と主張して単純否認を繰り返し,控訴
  人の主張に対しなんら抗弁・反論をしなかった。原審においては,事実整理又
  は争点整理が行われず,十分な審理が行われていない。
 6 控訴人は,確定判決は主文に包含するものに限り,既判力を有するのであり,
  判決理由中の判断には既判力は生じないから,被控訴人の主張が失当であるこ
  とは明らかである,と主張した。
 7 原判決判示の事故態様では本件事故は発生しない。小野寺が,草地越しに控
  訴人車を認めてから衝突するまで,自衛隊車は23.3メートル走行している。
  自衛隊車が毎時40キロメートの速度で走行していたと仮定すると,初認後2.
  097秒で衝突が発生している,控訴人車が小野寺に初認された地点から,衝
  突地点までの走行距離は45メートルである。控訴人車が毎時40キロメート
  ルの速度で走行していたと仮定すると,2.097秒で23.3メートル走行
  する。原判決の認定した衝突時刻には控訴人車は衝突地点から21.5メート
                2/70頁
  ルの地点にいる (45-23.3=21.5)。
   原判決は,浅香らが作成した虚偽の図画(甲23)及び虚偽の事実主張に欺
  かれ本件事故の態様についての事実認定を誤った別件訴訟確定判決と同じ誤っ
  た事実認定を行っている。
 8 控訴人は,準備書面(6)第5「本件事故による自衛隊車の制動痕」で,浅
  香らが証拠資料(自衛隊車の制動痕)を隠蔽・破棄したと主張・立証したが,
  原判決は,争点及び主張として判決書に記載せず,判断を遺脱している。
   原判決には,控訴人が原審で主張した,判決に影響を及ぼすべき重要な事項
  について判断の遺脱がある。
 9 浅香らは,事故現場見取図(甲23)で,控訴人車の急ブレーキによるタイ
  ヤ痕の位置を,「現場見取り図においては,同図作成当時,すでに急ブレーキ
  によるタイヤ痕が消失していたが,同写真におけるセンターライン(黄色)の
  中央部分のひび割れ部分から,小野寺及び片岡が確認の上,タイヤ痕の位置を
  特定した(甲21の6頁)。」という。事故再現見分が行なわれたのは,平成
  13年9月18日であるから,事故から712日経過している。「急ブレーキ
  によるタイヤ痕の位置」は,国が主張する衝突位置を決定した唯一の証拠であ
  る。これにより,控訴人の全面的過失による事故とされ,特別刑法の被疑者と
  して送致されたのである。浅香らの主張は不法というか無法な主張である。
   原判決は,供述(捜査記録や法廷供述)という一方当事者に偏した非物的証
  拠のみに基づき,これらの信用性をほとんど吟味もせずに引用して,「本件事
  故現場の自衛隊車進行車線内に控訴人車のタイヤ痕が印象されていた」とまず
  認定した。原判決には,適法な弁論や証拠調べを無視した事実認定及び著しく
  不合理な事実認定などがあり,事実認定の資料とその資料に基づく推論の過程
  が判決理由中で明らかにされていない。
 10 よって,下記にあげた控訴理由第1点ないし第23点について,あらためて
  事実判断と法律判断の上,審理及び裁判をされることを求める。
                 3/70頁
              目      次
    理由要旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1点 事案の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
第2点 浅香らが提出した証拠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
第3点 本件道路のタイヤ痕と擦過痕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
第4点 本件事故の態様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
第5点 本件事故処理の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
第6点 玖珠警察署の実況見分調書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
第7点 車両使用請求書・車両運行指令書・・・・・・・・・・・・・・・・34
第8点 当事者照会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
第9点 運行記録計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
第10点 自衛隊の実況見分調書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
第11点 現場写真のねつ造・改ざん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
第12点 KP34.9の警戒標識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
第13点 控訴人車に積まれた控訴人の荷物・・・・・・・・・・・・・・・・47
第14点 控訴人車車線上のひし形マーク・・・・・・・・・・・・・・・・・49
第15点 KP34.9の里程標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
第16点 文書提出命令・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
第17点 本件事故による自衛隊車の制動痕・・・・・・・・・・・・・・・・58
第18点 炊事車の衝突痕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
第19点 事故直後の自衛隊車と控訴人車の停止位置・・・・・・・・・・・・60
第20点 自衛隊による事故再現見分に対する玖珠警察署の関与・・・・・・ 62
第21点 道路交通法70条に基づく本件事故の処分・・・・・・・・・・・・64
第22点 小野寺の道路交通法70条違反・・・・・・・・・・・・・・・・・67
第23点 控訴人の主張に対する被控訴人の態度・・・・・・・・・・・・・・69
    終わりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
          控  訴  理  由
第1点 事案の概要
   原判決の,第2事案の概要(判決書1~2頁)の下記の部分の不服。「本件
  は,自衛隊車両との接触事故により受傷したとして,国に対し損害賠償請求訴
  訟を提起し敗訴した控訴人が,同訴訟で国の指定代理人らが,証拠資料を隠ぺ
  い破棄し提出せず,証拠資料のねつ造・改ざんを行い,あるいは不法に作成さ
  れた証拠を弁論に使用した違法があると主張して,」
 1 上記部分は,「本件は,控訴人運転の自動二輪車(控訴人車)と自衛隊員小
  野寺運転の自衛隊車との接触事故により受傷し,国に対し損害賠償請求訴訟
  (別件訴訟)を提起し敗訴した控訴人が,同訴訟で国の指定代理人ら(浅香
  ら)が,控訴人の権利を害する意図のもとに,虚偽の文書・図画を作り,虚偽
  の事実を主張して裁判所を欺罔する等の不正な行為を行い,その結果,本来あ
  りうべからざる内容の判決が確定し控訴人に損害を与えたとして,」が正しい。
第2点 浅香らが提出した証拠
   原判決の,第2,1争いのない事実等(4) (判決書3頁)の下記の部分の不
  服。「浅香らは,別件訴訟で,事故現場見取図,事故現場写真,小野寺の陳述
  書,本件大型トラックの助手であった2等陸曹片岡高房(以下「片岡」とい
  う。)の陳述書及び事故状況再現写真を,証拠として提出した。」
 1 上記部分から,「事故現場見取図」を削除する。
 2 浅香らは,上記事故現場見取図を別件訴訟の準備書面の別紙として提出して
  いるが,書証の申出はしていない。(国の証拠説明書に記載がない。)
第3点 本件道路のタイヤ痕と擦過痕
   原判決の,第3争点に対する判断の1,(1)本件事故発生の状況エ(判決書
  15~16頁)の下記の部分の不服。「本件道路面には,中央線から自衛隊車
  進行車線側に約40センチメートル入ったところに控訴人車のタイヤ痕1条が
  印象され,更にそれに連なるように,中央線から控訴人車進行車線上に入った
                5/70頁
  ところに控訴人車の転倒によって生じた擦過痕2条がそれぞれ印象されてい
  た。」
 1 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22の9~10頁)で,「現場検
  証した警察官は本件事故の状況について,バイクのタイヤ痕が中央線より約6
  0センチ自衛隊車の車線上にはっきり残っていたので,バイクが中央線をオー
  バーしたのだなといった。急ブレーキによるタイヤ痕の写真(甲67⑦)でい
  うと,白い線で囲まれた部分で60センチオーバーしているというふうに言っ
  ていた。」と証言している。
 2 浅香らは,別件訴訟準備書面(1)(甲21の5~6頁)で,「自衛隊車と控訴
  人車の衝突場所は,自衛隊車の走行車線において,センターラインから約40
  センチメートルの位置に約40センチメートルの急ブレーキによるタイヤ痕が
  認められたことから,自衛隊車走行車線内であると認められる。急ブレーキに
  よるタイヤ痕の写真(甲67⑦)は本件事故発生直後に撮影された。控訴人車
  の右前ブレーキが本件トレーラ(炊事車)の右タイヤフェンダーに接触したた
  め,控訴人車の前輪に急ブレーキがかかり,スリップし,タイヤ痕が残ったも
  のと考えられる。」と主張した。
 3 堀部警部補は,実況見分調書(甲42の19頁)6事故の模様(1)現場の痕跡
  等に,「自衛隊車の進路上中央線付近に,新しいタイヤ痕1条,a,同タイヤ
  痕の反対側車線上つまり控訴人車の進路上,新しい擦過痕2条,c・d,が印
  象されていた。別添交通事故見取図第3図(甲42の23頁・甲38)写真⑫
  ~⑯(甲32⑫~⑯)」と記載している。
   堀部警部補は,「控訴人車の右前ブレーキレバーが曲がり,炊事車の右タイ
  ヤフェンダーには,ブレーキレバーと同じくらいの高さの部分に接触痕が認め
  られたこと,自衛隊車の進路上中央線から約43センチメートル入った所に約
  35センチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていたこと,同地点から控
  訴人車の進路上に向けて擦過痕が印象されていたこと,自衛隊車の進路上には,
                 6/70頁
  上記のタイヤ痕以外には痕跡がなかったこと」が判明したという。
 4 実況見分調書添付の交通事故現場見取図(甲38)と自衛隊の事故現場見取
  図(甲23)を,自衛隊車の最終停止位置(甲38の㋓と甲23の⑤)を重ね,
  擁壁になっている西側の道路の外側線を重ね合わせると,衝突位置付近の道路
  及び控訴人車の転倒位置は大体一致する(甲40・本図では,甲6を甲23,
  甲7を甲38と読み替える。)
   同見取図(甲40)で検証すると,甲23及び甲38の衝突位置Ⓧは中央線
  に平行に約4.6m前後に位置する。
 5 甲23及び甲38の衝突位置は共にタイヤ痕の位置を基準に決定されている
  から,甲38のタイヤ痕の南方約4.6mに甲23のタイヤ痕が存在すること
  になる。4.6メートルの違いは誤差としては大きすぎる。
 6 別件訴訟で国(自衛隊)は,本件事故発生直後に撮影されたとして,40cm
  の長さの「急ブレーキによるタイヤ痕」の写真(甲67⑦)を提出した。自衛
  隊犯罪捜査服務規則第118条は,「警務官等は,現場において撮影をすると
  きは,物の長短,大小などを明らかにするため,巻尺,方眼紙などを添え,で
  きる限り紙片に年月日,場所を記載し,これに立会人又は第三者の署名を求め,
  これとともに撮影するようにしなければならない。」と定められているが全く
  守られてない。同写真(甲67⑦)は,測定基準が写されていないので位置が
  特定できず,道路面だけでしか写されていないので付近の草木の状況もわから
  ず撮影の時期も推定できない。そもそも,真新しく残っていたと国が主張して
  いる,40cmの急ブレーキによるタイヤ痕も写っていないのである。
 7 堀部警部補は,自衛隊車の進路上中央線から約43センチメートル入った所
  に約35センチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていたとして実況見分
  時撮影した写真(甲32⑬)を実況見分調書に添付した。この写真も上記自
  衛隊写真(甲67⑦)と同様の代物でタイヤ痕も写っていない。交通事故処理
  車で出動した交通課係長の警部補が撮影した写真とは到底思えない。テレビド
                 7/70頁
  ラマに出てくる新人の警察官でも,現場写真を撮影する時には,巻尺,方眼紙
  等がなくても,紙幣の一枚,タバコの一箱など添えて撮影する。
 8 擦過痕については,別件訴訟で国はその存在を主張していない。堀部警部補
  は実況見分調書添付の写真(甲32)で,写真⑫⑮⑯は擦過痕を撮影したもの
  と説明しているが,擦過痕は写っておらず,写っていたとしてもその位置は特
  定できない。
 9 タイヤ痕(スリップ痕,制動痕,タイヤマーク)は,さまざまなタイヤのす
  べり現象によって生じ,印象するスリップ痕の模様もそれぞれ異なる。「新し
  いタイヤ痕」の写真には,タイヤ痕の,模様,長さ,方向,幅,濃淡などが写
  されていなければならない。
 10 タイヤ痕が印象された原因について,(1) 前輪の制動痕説・小野寺及び堀部
  警部補説,(2) 衝突時の衝撃による前輪の押し戻し痕説・間ノ瀬巡査部長説,
  (3) 後輪の制動痕説・控訴人説が主張された。本件実況見分の見分官とされる
  間ノ瀬巡査部長と,補助者とされる堀部警部補の説明がまったく異なる。
  (1) 前輪の制動痕説・小野寺及び堀部警部補の説明
    小野寺は,別件訴訟で,写真(甲67⑦)に写されているタイヤ痕につい
   て,バイクの前輪ブレーキレバーとトレーラの右側タイヤ枠が衝突したため,
   急ブレーキがかかり印されたと現場検証した警察官は考えたのだと思うと供
   述している。証言調書速記録(甲22の10頁)。(擦過痕についてのその
   存在の言及すら無い。)
    片岡の別件訴訟での陳述書(甲25)に,「(本件事故後)バイクを移動
   しようとしましたが,ブレーキが壊れていてブレーキがかかったままの状態
   で,前に進ませることができませんでした。」との記載がある。控訴人車の
   前輪ブレーキは油圧式のディスクブレーキで右のレバーで操作するが,レバ
   ーが壊れても,構造的にブレーキがかかったままの状態にはならない。(甲
   69)
                 8/70頁
  (2) 衝突時の衝撃による前輪の押し戻し痕説・間ノ瀬巡査部長の説明
    間ノ瀬巡査部長は,「対向車と衝突した時,衝突した衝撃で,押し戻され
   タイヤが道路に印をつける。急ブレーキもかけていないのにタイヤ痕がある
   のは衝突の衝撃で押し戻されて印されたからである。だから私はタイヤ痕と
   いう,ブレーキ痕とはいわない。」と述べた。(甲5の24頁)
  (3) 後輪の制動痕説・控訴人の説明
    控訴人は,上記(1),(2)では長さ40センチメートルの制動痕は印象され
   ないと主張する。衝突時,控訴人の右足(傷の部分)がバイクのギヤケース
   (クランクケース)に激しく衝突し,写真に写されているケース表面の擦過
   痕を残した(甲69⑬⑭)。このとき控訴人の右足には足の傷の部分を支点
   にする力が生じ,ステップバーを押し曲げ,後輪ブレーキが破損するまで強
   くかかったと推断される(甲69⑤⑥)。ステップバー及び後輪ブレーキペ
   タルに道路面と接触した傷はない。接触したとされる右レバー先の損傷も擦
   過程度で(甲69③),右手指の負傷が軽微であることなどから,前輪ブレ
   ーキはかかっておらず,ブレーキ痕が存在したら後輪ブレーキによるもので
   あり,控訴人車車線上に存在したと主張する。
 11 原判決は,「本件道路面には,中央線から自衛隊車進行車縁側に約40セン
  チメートル入ったところに控訴人車のタイヤ痕1条が印象され,更にそれに連
  なるように,中央線から控訴人車進行車線上に入ったところに控訴人車の転倒
  によって生じた擦過痕2条がそれぞれ印象されていた。」と認定し,「本件事
  故は控訴人の過失に基づく結果であり,小野寺には何ら過失のないことが認め
  られる。」と判示した。
 12 原判決は,原審が採用した証拠(甲17)別件行政訴訟の判決正本の認定を
  丸写しした判断で,上記1ないし10の控訴人の主張についての判断をせず,
  原審での被控訴人の主張立証はないまま,浅香らがその存在を主張していない
  擦過痕までをも認定した。
                   9/70頁
 13 原判決は,「本件事故直後に現場写真を撮影した赤埴らは,本件事故現場の
  自衛隊車進行車線内に控訴人車のタイヤ痕が残っていたことを認識していたも
  のと認められる。」と判示している(判決書22頁8行)。赤埴は,師団の広
  報班の写真撮影をしている(甲22の13頁)から,写真撮影についてはプロ
  である。「はっきり残っていた40センチメートルのタイヤ痕(甲67⑦)」
  を撮影したら,経験則上,タイヤ痕がはっきり写った写真を撮影する。
   プロが撮影したタイヤ痕が写っていない写真の道路面には,特段の事情がな
  い限り,タイヤ痕は印象されていなかったと,通常の人は判断する。
 14 浅香らは,虚偽の文書・図画を作り,虚偽の事実を主張した。
 15 原判決は,本件事案解明の大前提となる,衝突位置に関する事実認定におい
  て,証拠の評価を誤った認定,あるいは,証拠に基づかない認定を行っている。
  原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな,事実認定の誤りが認められ,
  上記判示には理由がない。
                 10/70頁
・・・
{原審 横浜地裁 平成17年(ワ)第2710号 判決}
 民事第9部 裁判長裁判官 土屋文昭 裁判官 一木文智 裁判官 吉岡あゆみ