【第7巻言いたい放題】
をのひなおさんの大人気漫画『明日、私は誰かのカノジョ』第四章萌ちゃん編にネタバレ配慮せず言いたい放題記事を書いています。
今回は楓が表紙の第7巻。
・萌ちゃん編『明日カノ』言いたい放題・その1。
…第5巻分。
あとおそらく萌ちゃん初登場の2巻にもちょっとだけ。
・萌ちゃん編『明日カノ』言いたい放題・その2。
…第6巻分。
全部読んでトータルで言いたい放題なので、読み終わった人向けかもしれません。
【雪さんだってあどけないお嬢さん】
第6巻のオープニングは雪さん・リナちゃん・萌ちゃんの3人でお茶~の続きから。
(中目黒のお店って書いてる方いたけれど、どこだろ~
行ってみたいなあ)
雪さんは萌ちゃんの話にどこか不穏なものを感じ取って、やんわり
「レンタルの仕事は無理だよ」
と言ったのかな?って予想してる人がいらっしゃいましたが、私はそうは感じなかったかな。
雪さんは生家で過酷な幼少期を耐えていらっしゃるけれど、2巻で飯田(呼びつけ)の見え見えの下心を見抜けきれなかったり(経験者や手だれの人は「どっちだろう」以前に黒だと見抜きます)、3巻冒頭のリナとのやりとりで絶望してしまったりと、まだまだ彼女は“他者への期待”が捨てきれていないんですよ。
ふつうの年若いお嬢さんなのよ…私はそう思う。
スーパーレディーじゃない。
なので、雪さんの
「今のファッションもヘアメイクも似合っているけど、この仕事をするにはそぐわないかも」
という言葉は本当にそれだけの意味だと受け止めました。
人にルッキズムで無意味に攻撃する趣味なさそうだし。
対する萌ちゃんは、コンプレックスから
「無理」
と変換して受け止めてしまってる気がした。
・その仕事は無理
↓
・私の外見が悪いから
↓
・やっぱり私は女としてダメなんだ
みたいなね。
そして、リナちゃんが花のような笑顔で
「そんなの大した問題じゃないよ!
パッケージなんかすぐ変わるもん!」
と変身計画に付き合いたい、と提案するところからも、リナもまた大してルッキズムで人を殴らないんだなってことがわかる。
全然萌の外見を悪いと考えていないのだ。
自信がつくと無意味な攻撃はしないよね。
【未来の萌ちゃんがあの職業を選んだのは…】
さて、そういう流れで憧れのリナに髪からメイクからファッションから全部変身させてもらえることになった萌。
渋谷109が108になってる…煩悩の数?(笑)
あのバッグ屋さんてまだあるんですね。
美容室でカラーリングとカット・簡易セットをしてもらい、メイクアップサロンでメイクを教えてもらう素敵な場面たち。
ちょっと話が先になっちゃうけど、私…未来の萌、つまりこの章ラストの萌が美容師さんになったのって、このリナとの思い出が一番大きく作用してると思うんですよ。
あと、この後にゆあに
「ヘアメ上手~すごすぎ~ゆあにもやって」
と言われたことも。
明日カノって実は女性同士の絆を大切に描いてると私は思ってて、萌の人生を良く導いてくれたのは女友達との縁なんだよね。
楓=好きな男の子、ではないのです。
楓のおかげで変わるなら、もっと楓が外見を変えるきっかけをつくるストーリー展開にしたはず。
はじめてリナに自分から、なんの恐れもなく、
「リナ!!本当にありがとう…!」
と手をぎゅっと握る場面が美しい。
楓はこんなに変えなかったもの~。
引き出してくれたのは憧れの人であり友達のリナなのです
「鏡ずっと見ちゃう」
の場面、よかったね~って泣けてきちゃうよ。
【ブラック楓怖い怖い怖い】
素敵に自分を装えたら、好きな人に見てもらいたいと考えるのは自然な気持ち。
しかし、萌の好きな人は楓…ホストであって恋人候補生じゃないんだよね…。
過酷な肉体労働のスカウトさんに声かけられることすら女として認められた気が嬉しい。
(それは肉として見られてるだけなのに…。
峰なゆかさんの『AV女優ちゃん』シリーズ読むとよくわかる)
安心して笑えるようになって、仕草もぐっと可愛くなって…ああ切ない。
かわいくイメチェンした萌に全く浮かれて見せないところがプロだな~としみじみ。
なんか…この時楓からしたら、萌がちょっとした夜のバイト(ホステスさんのヘルプとか、キャバクラとか、スナックとかガールズバーとか?お酒飲めないので詳しくないのですが)を始めたと予想したのかなって思うんですよね。
なら金払うレッスンを今日しちゃえ、と。
最も大金を払ってくれるお客さん=美麗さん。に今宵大金使わせるために萌にシャンパン入れさせたのかと思ったけれど、きっと同時に萌にも
「もっと金落としてね」
とけしかけているんだろうな…。
美麗の席に立つときの背中が
「じゃ、七星うまく誘導してね」
と語ってるようにしか見えないし、萌がドキドキしながら
「すき…です…」
と言ってるときの口元が怖すぎる。
彼はきっと仕事中心がヒヤーッと凍り付いてるタイプだな。
燃えてなさそう。
あくまで楓が言わないで周りが誘導することで
「楓は私を大事にしてくれている」
と萌に信じさせるのか…。
【そして、過酷な肉体労働へ…】
辛い出来事が連続して、真面目な萌は
「お金なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ」
と追い詰められる。
これがお金を大事にしない子だったら、平気で親に借金丸投げするのに彼女はしない。
真面目な子が刺激刺激の末に追い詰められるのがなんとも恐ろしくて
「自分でなんとかしなきゃ」
日本人らしい自己責任論がしみついている。
…ここからあっという間に…彼女はゆあちゃんと同じ過酷な肉体労働で働くことになります。
私この展開が衝撃的だった。
(上でもチラッと書いた)峰なゆかさんが
「政治的セーフティーネットがしっかりと働かず、性産業が貧困層の女の子の受け皿になっている現状をどうお考えですか?」
と質問していた時がたしかあったのですが、それってこういうことなんだ…って雷落ちたよ
だって行政に頼ろうとしたらさ、各種手続きするにも自分で調べてあっちこっち行ってやることがあって、ふつうにバイト(雇用形態は問わないが)でもしようとしたら、それも自分でめっちゃ調べて履歴書書いて採用段階がいくつかあって…と時間とエネルギーを要するのに、ゆあの仕事はあっちから
「こっちだよ」
って誘導してくれて、あっという間に働くことになれる。
恐ろしかった。
基本の内容、なる文字も
「もうやめてくれ!!!」
って思った。
あの仕事に従事する人達だって、
「楽な仕事」
なんてぜったい言ったり書いたりしてないじゃないですか。
「やらなくていいならやらない方がいい」
「よっぽどの事情がある人じゃない限り、働くもんじゃない」
とおっしゃる。
それが真実な気がする…。
初出勤の帰り道に楓に電話して泣き崩れるところで、また私は峰さんの『AV女優ちゃん』を思い出した。
『AV女優ちゃん』の初期に騙されてその仕事に誘導されるキャラが出てくるのですが、
「この仕事についたらあれも買えて、これも出来て、こんなに幸せで…」
と散々スカウトさんが空想させて、
「でも、やらなかったらそれぜんぶ失っちゃうね」
と"手に入ってもいない空想”を脳内で“失われてしまうかもしれない幸せ”にすり替えられて恐怖をあおりサインさせる…という話があってね。
萌も、あの電話のせいで
「こんな辛い思いをしてまで楓に会いたいのかな」
が
「楓のためならこの辛さに耐えられる」
とすり替わっちゃった気がするのです。
怖い…。
だんだんとお客さんに上手に優しく笑えるようになり、リナが着るような可愛いコートも選べるようになる…その可愛さがとても辛いのだ。
この流れと関係ないけれど、萌ちゃんは初出勤のときに着ているVネックワンピースとストレートヘアベースのヘアメイクが一番似合ってて素敵だと思いました。
萌ちゃんファッションはバリエーションが本当に少なく、稼ぎをほとんど楓に使ってることが上手く示されています。
どの服も可愛いけれどね。
【さなえさんには実はハルヒに投影した恨みを一番感じる】
ゆあちゃんのライバル・さなえさんは、ゆあにも随分嫌がらせをしていますが、実はハルヒにこそ恨みをぶつけてる気がしました。
多分以前に惚れ込んだ男への恨みなんでしょうけど…。
ハルヒに大金使ってはいるけれど、全然好きじゃなさそうだったなあ。
「安心させて、仕事に打撃与えてやる」
が目的だったんじゃないかと。
何か辛い過去の恋の傷が、過去の自分がゆあに。
過去の男がハルヒに。
「二人共破滅させてやりてえなあ」
という真っ黒な炎を感じるや…。
…。
…。
さて、7巻は熱いので記事ふたつに分けようかな。
ちゃんと情熱持って言いたい放題したいので。
だから今日はここまで。
読んでくださって、ありがとうございます
続き書きました!
↓
・萌ちゃん編『明日カノ』言いたい放題・その4。
をのひなおさんの大人気漫画『明日、私は誰かのカノジョ』第四章萌ちゃん編にネタバレ配慮せず言いたい放題記事を書いています。
今回は楓が表紙の第7巻。
・萌ちゃん編『明日カノ』言いたい放題・その1。
…第5巻分。
あとおそらく萌ちゃん初登場の2巻にもちょっとだけ。
・萌ちゃん編『明日カノ』言いたい放題・その2。
…第6巻分。
全部読んでトータルで言いたい放題なので、読み終わった人向けかもしれません。
【雪さんだってあどけないお嬢さん】
第6巻のオープニングは雪さん・リナちゃん・萌ちゃんの3人でお茶~の続きから。
(中目黒のお店って書いてる方いたけれど、どこだろ~
行ってみたいなあ)
雪さんは萌ちゃんの話にどこか不穏なものを感じ取って、やんわり
「レンタルの仕事は無理だよ」
と言ったのかな?って予想してる人がいらっしゃいましたが、私はそうは感じなかったかな。
雪さんは生家で過酷な幼少期を耐えていらっしゃるけれど、2巻で飯田(呼びつけ)の見え見えの下心を見抜けきれなかったり(経験者や手だれの人は「どっちだろう」以前に黒だと見抜きます)、3巻冒頭のリナとのやりとりで絶望してしまったりと、まだまだ彼女は“他者への期待”が捨てきれていないんですよ。
ふつうの年若いお嬢さんなのよ…私はそう思う。
スーパーレディーじゃない。
なので、雪さんの
「今のファッションもヘアメイクも似合っているけど、この仕事をするにはそぐわないかも」
という言葉は本当にそれだけの意味だと受け止めました。
人にルッキズムで無意味に攻撃する趣味なさそうだし。
対する萌ちゃんは、コンプレックスから
「無理」
と変換して受け止めてしまってる気がした。
・その仕事は無理
↓
・私の外見が悪いから
↓
・やっぱり私は女としてダメなんだ
みたいなね。
そして、リナちゃんが花のような笑顔で
「そんなの大した問題じゃないよ!
パッケージなんかすぐ変わるもん!」
と変身計画に付き合いたい、と提案するところからも、リナもまた大してルッキズムで人を殴らないんだなってことがわかる。
全然萌の外見を悪いと考えていないのだ。
自信がつくと無意味な攻撃はしないよね。
【未来の萌ちゃんがあの職業を選んだのは…】
さて、そういう流れで憧れのリナに髪からメイクからファッションから全部変身させてもらえることになった萌。
渋谷109が108になってる…煩悩の数?(笑)
あのバッグ屋さんてまだあるんですね。
美容室でカラーリングとカット・簡易セットをしてもらい、メイクアップサロンでメイクを教えてもらう素敵な場面たち。
ちょっと話が先になっちゃうけど、私…未来の萌、つまりこの章ラストの萌が美容師さんになったのって、このリナとの思い出が一番大きく作用してると思うんですよ。
あと、この後にゆあに
「ヘアメ上手~すごすぎ~ゆあにもやって」
と言われたことも。
明日カノって実は女性同士の絆を大切に描いてると私は思ってて、萌の人生を良く導いてくれたのは女友達との縁なんだよね。
楓=好きな男の子、ではないのです。
楓のおかげで変わるなら、もっと楓が外見を変えるきっかけをつくるストーリー展開にしたはず。
はじめてリナに自分から、なんの恐れもなく、
「リナ!!本当にありがとう…!」
と手をぎゅっと握る場面が美しい。
楓はこんなに変えなかったもの~。
引き出してくれたのは憧れの人であり友達のリナなのです
「鏡ずっと見ちゃう」
の場面、よかったね~って泣けてきちゃうよ。
【ブラック楓怖い怖い怖い】
素敵に自分を装えたら、好きな人に見てもらいたいと考えるのは自然な気持ち。
しかし、萌の好きな人は楓…ホストであって恋人候補生じゃないんだよね…。
過酷な肉体労働のスカウトさんに声かけられることすら女として認められた気が嬉しい。
(それは肉として見られてるだけなのに…。
峰なゆかさんの『AV女優ちゃん』シリーズ読むとよくわかる)
安心して笑えるようになって、仕草もぐっと可愛くなって…ああ切ない。
かわいくイメチェンした萌に全く浮かれて見せないところがプロだな~としみじみ。
なんか…この時楓からしたら、萌がちょっとした夜のバイト(ホステスさんのヘルプとか、キャバクラとか、スナックとかガールズバーとか?お酒飲めないので詳しくないのですが)を始めたと予想したのかなって思うんですよね。
なら金払うレッスンを今日しちゃえ、と。
最も大金を払ってくれるお客さん=美麗さん。に今宵大金使わせるために萌にシャンパン入れさせたのかと思ったけれど、きっと同時に萌にも
「もっと金落としてね」
とけしかけているんだろうな…。
美麗の席に立つときの背中が
「じゃ、七星うまく誘導してね」
と語ってるようにしか見えないし、萌がドキドキしながら
「すき…です…」
と言ってるときの口元が怖すぎる。
彼はきっと仕事中心がヒヤーッと凍り付いてるタイプだな。
燃えてなさそう。
あくまで楓が言わないで周りが誘導することで
「楓は私を大事にしてくれている」
と萌に信じさせるのか…。
【そして、過酷な肉体労働へ…】
辛い出来事が連続して、真面目な萌は
「お金なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ」
と追い詰められる。
これがお金を大事にしない子だったら、平気で親に借金丸投げするのに彼女はしない。
真面目な子が刺激刺激の末に追い詰められるのがなんとも恐ろしくて
「自分でなんとかしなきゃ」
日本人らしい自己責任論がしみついている。
…ここからあっという間に…彼女はゆあちゃんと同じ過酷な肉体労働で働くことになります。
私この展開が衝撃的だった。
(上でもチラッと書いた)峰なゆかさんが
「政治的セーフティーネットがしっかりと働かず、性産業が貧困層の女の子の受け皿になっている現状をどうお考えですか?」
と質問していた時がたしかあったのですが、それってこういうことなんだ…って雷落ちたよ
だって行政に頼ろうとしたらさ、各種手続きするにも自分で調べてあっちこっち行ってやることがあって、ふつうにバイト(雇用形態は問わないが)でもしようとしたら、それも自分でめっちゃ調べて履歴書書いて採用段階がいくつかあって…と時間とエネルギーを要するのに、ゆあの仕事はあっちから
「こっちだよ」
って誘導してくれて、あっという間に働くことになれる。
恐ろしかった。
基本の内容、なる文字も
「もうやめてくれ!!!」
って思った。
あの仕事に従事する人達だって、
「楽な仕事」
なんてぜったい言ったり書いたりしてないじゃないですか。
「やらなくていいならやらない方がいい」
「よっぽどの事情がある人じゃない限り、働くもんじゃない」
とおっしゃる。
それが真実な気がする…。
初出勤の帰り道に楓に電話して泣き崩れるところで、また私は峰さんの『AV女優ちゃん』を思い出した。
『AV女優ちゃん』の初期に騙されてその仕事に誘導されるキャラが出てくるのですが、
「この仕事についたらあれも買えて、これも出来て、こんなに幸せで…」
と散々スカウトさんが空想させて、
「でも、やらなかったらそれぜんぶ失っちゃうね」
と"手に入ってもいない空想”を脳内で“失われてしまうかもしれない幸せ”にすり替えられて恐怖をあおりサインさせる…という話があってね。
萌も、あの電話のせいで
「こんな辛い思いをしてまで楓に会いたいのかな」
が
「楓のためならこの辛さに耐えられる」
とすり替わっちゃった気がするのです。
怖い…。
だんだんとお客さんに上手に優しく笑えるようになり、リナが着るような可愛いコートも選べるようになる…その可愛さがとても辛いのだ。
この流れと関係ないけれど、萌ちゃんは初出勤のときに着ているVネックワンピースとストレートヘアベースのヘアメイクが一番似合ってて素敵だと思いました。
萌ちゃんファッションはバリエーションが本当に少なく、稼ぎをほとんど楓に使ってることが上手く示されています。
どの服も可愛いけれどね。
【さなえさんには実はハルヒに投影した恨みを一番感じる】
ゆあちゃんのライバル・さなえさんは、ゆあにも随分嫌がらせをしていますが、実はハルヒにこそ恨みをぶつけてる気がしました。
多分以前に惚れ込んだ男への恨みなんでしょうけど…。
ハルヒに大金使ってはいるけれど、全然好きじゃなさそうだったなあ。
「安心させて、仕事に打撃与えてやる」
が目的だったんじゃないかと。
何か辛い過去の恋の傷が、過去の自分がゆあに。
過去の男がハルヒに。
「二人共破滅させてやりてえなあ」
という真っ黒な炎を感じるや…。
…。
…。
さて、7巻は熱いので記事ふたつに分けようかな。
ちゃんと情熱持って言いたい放題したいので。
だから今日はここまで。
読んでくださって、ありがとうございます
続き書きました!
↓
・萌ちゃん編『明日カノ』言いたい放題・その4。