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毛糸帽さて前後なし左右なし 藤田湘子

2018年01月09日 | 俳句
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藤田湘子
毛糸帽さて前後なし左右なし

毛糸の帽子を愛用している。軽くて暖かい。ある日しみじみと眺めるとこの帽子の前後が分からない。当然ながら左右も無い訳である。老後の暇を持て余すと詰まらない事に関心するものだ。さてわが人生だが進歩も無ければ遅れもしない凡々たる道を歩んで来た。勿論思想の左右を考える程明晰な頭脳を持ってはいない。絵に描いたような平凡で真っ平御免でござります。:『日本の四季・旬の一句』講談社(2002年2月5日)所載。