鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

広島・ミキッチ、安易な海外移籍に警鐘

2012年04月10日 | Weblog
安易な海外移籍決断に異を唱える、
広島・ミキッチのJリーグ主義。

木崎伸也 = 文
text by Shinya Kizaki


「なぜ日本の若い選手は外国のリーグに行きたがるのか?
まったくわからないんだ」
ミハエル・ミキッチ
(サンフレッチェ広島)

 今、Jリーグにとって最も悩ましい問題のひとつは、若手のヨーロッパ流出だろう。2010年W杯以降、香川真司、内田篤人、宇佐美貴史、大津祐樹といったリーグの見所となりうるタレントたちが次々と日本を離れ、この夏もセレッソ大阪の清武弘嗣や柏レイソルの酒井宏樹の海外移籍が噂されている。

 ドイツに6年間住んだ経験がある筆者としては、リスクを冒して移籍する若手選手たちの気持ちがわかる気がする。Jリーグである程度の結果を出せば未知の世界で力を試したいと思うのが自然だし、言葉も通じない異文化に飛び込むことで価値観が変わって劇的な成長を遂げることがある。個人的には「海外移籍・推奨派」だ。

 ただし、サッカーのプレーに絶対的な正解がないように、移籍に関してもいろんな価値観に耳を傾けておくことは決してマイナスにはならないだろう。今、こういう日本の若手のスタンスに対して、真っ向から異を唱える人物がいる。サンフレッチェ広島のミハエル・ミキッチだ。

「なぜJリーグより下のクラブに行く必要があるのか」

 ミキッチは元クロアチア代表のMFで、ディナモ・ザグレブやドイツのカイザースラウテルンで活躍し、2009年1月に広島に加入した。Jリーグの外国人枠をブラジルと韓国の出身者が大半を占める中、ミキッチは今季で4シーズン目に突入したJ1の最古参ヨーロッパ人選手。第4節のFC東京戦では右サイドをドリブルで突破して鋭いクロスから佐藤寿人の決勝ゴールをアシストしたように、実力的にもJリーグを代表する“助っ人”だ。

 ミキッチは日本の若手たちに、大きな憤りを覚えていた。

「Jリーグのレベルは高いのに、なぜ日本の若い選手たちは外国のリーグに行きたがるのか? その理由がまったくわからないんだ。こんなに素晴らしいスタジアムとサポーターの雰囲気があって、さらにパーフェクトな運営がなされている。プレーの質も高い。それなのに、なぜJリーグより下のクラブに行く必要があるんだろう」

 よほど納得できないのだろう。まるで試合中かのようなハイテンションで、ミックスゾーンで両手を広げながらミキッチは話し続けた。

現実を知るからこそ、無条件の海外志向に異を唱える。

「香川真司のように、ドルトムントみたいなビッグクラブからオファーがあれば移籍するのはわかる。だが、そうではないクラブだったら話は別だ。ヨーロッパで12年間プレーした自分の感覚からしたら、アウクスブルクやベルギーリーグのチームのクオリティーはJリーグより下だ。自分からしたらケルンもそう。ヨーロッパならどこでもいいという感覚が理解できない」

 正確に言えば、現在アウクスブルクでプレーしている細貝萌は、レバークーゼンからのレンタルで、始めからアウクスブルクを選んだわけではない。ただ、おそらく詳しい事情を知らないミキッチからしたら、浦和→アウクスブルクというルートに納得できないのだろう。

欧州よりもJリーグが優れている点にも目を向けるべき。

 そして彼にとって特に不可解だったのが、伊野波雅彦が昨年7月に鹿島アントラーズからハイデュク・スプリトへ移籍したことだった。

 ミキッチはさらに語気を荒らげて言った。

「クロアチアリーグと比べたら、Jリーグのレベルの方がはるかに高い。唯一ディナモ・ザグレブだけはヨーロッパで戦う力があるが、他のチームは運営面や給料の支払いで問題だらけだ。それに対して鹿島は日本のビッグクラブで、ものすごく運営がしっかりしている。鹿島からハイデュク・スプリトを選ぶ理由なんてないはずだ」

 最後にミキッチは、こう締めくくった。

「伊野波は今年2月にJリーグに戻ってきたし、僕のチームメイトだった槙野智章もケルンから浦和に移籍した。彼らはJリーグとヨーロッパのリーグとの間にそんなに大きな差があるわけではないことをわかったと思う。これからの若手には挑戦して初めて気がつくのではなく、最初からそういうことがわかるようになってほしい」

 この意見はあくまで“ヨーロッパからJリーグを選んだ人間”の立場から出たものであり、島国の日本がサッカー面でも異文化と交流するチャンスがないことを無視している部分はある。ただ、“ヨーロッパのクラブならば、どこでもJリーグより上かのように語られる空気がある”という指摘は、筆者にとってもはっとさせられるものがあった。

 今回から始まったこの新連載。これから、選手、監督、GMといった関係者の言葉から、日本が新たに直面している問題を見通せるようなサッカーの“新語録”を発掘していきたい。


伊野波のハイデュク・スプリト移籍を理解出来なかったと語る広島のミッキチである。
確かにごもっともである。
レベルも給料も下げて、悪質な環境に身を置く意味は少ない。
自らを追い込んで、精神的な成長をと言う肯定的な意見もあるが、そんなことをせずとも成長は出来るであろう。
逆に、そのようなことをせねば成長出来ぬとしたら、それはどこかに問題があるのではなかろうか。
結果的に伊野波はJリーグに戻ってきており、ミキッチの意見は正しいように映る。
この是非はともかくとして、Jリーグほど環境面で優れておるプロサッカーリーグは無いと言って良かろう。
時間通りに試合が味まり、スタジアムに暴動は無く、安全にプレイも観戦も行われる。
給与の遅配も無い。
確かにCLほどの注目度は無く、欧州トッププレイヤーほどの年俸は得られぬ。
しかしながら、アジアを勝ち抜けばCWCへ道は繋がっており、魅力溢れるリーグでは無かろうか。
日本発の日本のサッカーを楽しんでいきたい。

最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2014-01-02 12:14:21
ミキッチの好感度上がりましたね!来年来てくれないかな?笑

大迫!行くならドルトムントかシャルケ!他は考え直してください(^^;;
Unknown (テラウタナイ)
2012-04-11 18:04:18
自分もそう思いますね…イタリア、スペイン、イングランドなどの俗にいう3大リーグならまだしもその他のリーグ行ってもJと変わらないと思う。
Unknown (Unknown)
2012-04-11 12:09:16
伊野波の場合は鹿島で通用しないから
レベルの低いクロアチアに行ったのでは?

日本に帰ってきたときも、スタメンが取れる保証のない鹿島ではなく、
競争の少ない神戸を選んでいますし。
Unknown (Unknown)
2012-04-11 00:05:38
ミキッチのようにヨーロッパでのキャリアが長い選手が言うのなら
その通りなのだと思います。
厳しい環境で~とか、ヨーロッパの市場に近いところで~というのが、どの程度のものなのかは分かりませんが
槙野や伊野波の例を見るとやはり安易と言わざるを得ません
伊野波の場合には、ヨーロッパでプレーしていた経験のある中田も疑問を投げかけていましたね。

海外へ挑戦したいと考えている若手の選手にもこの現実を知ってもらいたい。
もちろん明確な目標があって、尚且つそのオファーがまっとうなものであるなら(篤人の場合のような)ステップアップを応援したいです。
でも0円で移籍なんて、意味のないオファーは選手のためにもJのチームのためにもならないことが多いのが現実です。
Unknown (Unknown)
2012-04-10 21:05:30
ドイツやオランダの下位チームやクロアチアなんかは絶対に鹿島の下と思っていました。 ザックのせいなのかなんなのか… 少しミキッチの好感度が上がりました