草履で歩きながら考える

笑う門には福来たるで、マイペースでやりたいこと やってみよう♪基本PTAブログですが、日常やがんのことも綴ります。

『日本の貧困-家計とジェンダーからの考察-』室住 眞麻子:著

2009年04月13日 | 本棚
固くなったフランスパンにかじりつくようにして
時間をかけて読んだ本。

本の質が非常に高く、学術論文のようでした。

なんでそんな小難しい本を借りたかって?
図書館ネットの検索画面で書名だけを見て、
予約して借りたのです。
中身見て、「うひゃ~」ってなもんです。

率直に言って、男女問わず、政府の方々に
ぜひとも最後まで読んでいただきたいと思いました。


  『日本の貧困-家計とジェンダーからの考察-
   著:室住 眞麻子
   法律文化社、2006年

      


この本は、各国(主にヨーロッパ)と日本の
各種家計調査データを基に、論考が展開されています。

そう、室住氏は、精神的なことは何一ついわずに
客観的に比較でき、誰もがわかる、家計(お金)の数字と
着目点の解説のみで、いいたいことを論理的に
導いておられます。

客観的な調査データの表やグラフから、
あぶり出されてくるものは何か・・・?

家計を預かる主婦ならば、日々感じているはずのこと
を、わたしは読み取りました。

  子どもが小さいうちの主婦って、
  結構がまんしてるのよ。
  やりくり大変なのよ。

  育休なんてあっても取れないから、会社辞めなきゃいけなかったし。
  働きたくても保育園に子ども入れるのが大変だしねぇ。
  子どもが学校に上がるまでガマンしようかしら。

・・・て感じ?

もしもあなたがシングルマザーであるならば、
毎月のやりくりが大変という経済的なことのほかにも
なんらかの生きにくさを感じていらっしゃることと思います。

      


本書から、何をどこまで読み取るのかは、
ひとによって変わるかも知れません。

しかし、さらにいうと、
わたしが読み取ったものは、
日本にいまだ蔓延している(あるいは改善されていない)

  「女は男の付属物」という発想の社会保障システム
  「働かざる者食うべからず」の思想
  「稼いでいる人が偉い」という発想
  男女不平等の給与体系
  累進性が低く、不平等な所得再分配の実態

でした。

日本の実態は、しっかりした統計が取れている
約10数カ国の中で、まあまあ中程度の
位置を占めているようです。

そして、誰もが生きやすい世の中にするための提案が、
第7章に凝縮されています。
決して男性を攻撃するものではなく、軽やかに・・。

      



論理的考察の例として、本の序盤で、
ここ数年日本で起こっている「消費不況論」に
対するアンチテーゼを、家計分析をもとに行っておられます。

家計収入。

 ・賃金・給与
 ・個人営業による収入
 ・財産収入
 ・公的年金
 ・社会保障給付金
 ・その他


家計支出。

 ・税金
 ・社会保険

   ※たいていこれは強制的に引かれる支出ですよね。

 ・住宅ローンなどの借金返済
 ・水道光熱費
 ・食費
 ・子どもの教育費
 
   ※家計のなかで、優先的な支出ですよね。

などなどを引いていくと、比較的自由に使えるお金は、

  ほとんど残っていない状態!!

にあいなります。

  贅沢品をいろいろ買いたくても、
  暮らしていくだけで精一杯なんですよ。
  子どもの教育にもお金かかりますしねぇ。

というような町の声が、そのまんまデータに表れています。

      


各種家計調査の表は、
所得帯別、家族構成別、年齢別、妻が働いている場合は夫の収入比
などなど、データをあらゆる角度から
まとめあげたものがバンバン出てきます。


そして、所得を家族の誰にどのように使っていくか(再分配)の
優先順位をみると、妻が家計を握っていても
働き手の夫が第1位、子どもが第2位、
妻が最後になっています。

主婦って、がまんしてるでしょ??

そして、興味深いのが、どんなに貧乏でもお金持ちでも、
妻の所得がそのまま子どもの教育費に
移行している事実です。

このブログでも取り上げました

  「教育費をタダにせよ」-日経ビジネスオンライン
  親の所得格差が生み出す教育格差は亡国への道

という考察が、つい最近発表されました。
一見はリンクしない話かも知れませんが、収入に余裕があると
子どもの教育費に回る、という事実を示しています。


そしてもう一つクローズアップしたいのが、
貧困論です。

一体年収いくら以下が、貧乏といえるのでしょうか・・?
線引きは難しく、各種の貧困論を取り上げておられます。

ただひとついえるのは、
生活保護を受けている人たちの年間所得以下で
働いて暮らしている家庭がたくさんある、という事実があること。

ワーキングプアなんて、哀しすぎますよね。
でもみんながんばってる。

年間所得の構成比と、年間所得別の生活満足度調査、
なんてものがあったら、個人的には、みてみたいです。

論がさらに深まり、
「豊かさとはなにか」を考えるきっかけになりそうです。

(あ~~肩凝った(笑))

余計なことだけど、各種の表をみていたら
「じぶんのうちって・・・」と
哀しくなりました☆

      


【目次紹介】

第1章 家族家計・家計内個々人への収支配分・社会保障
第2章 不況下の家計消費―家計消費と福祉国家に関する予備的考察
第3章 家計のジェンダー化と貧困測定
第4章 ジェンダーと貧困における家計分析の可能性―経済格差と低賃金・貧困測定における個人の所得と世帯所得
第5章 母親の収入と子どもの貧困防御
第6章 近年日本における多層的な貧困測定
第7章 家計・ジェンダー・福祉ビジョン

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