杉並からの情報発信です

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■ 「八ツ場ダム」は保守王国群馬の疑惑の公共事業だ

2009年10月04日 11時44分09秒 | 政治・社会
前原国交省大臣が民主党のマニフェストで「ムダな公共事業の見直し」として掲げた「八ツ場ダム工事中止」を発表したとたん、地元住民や地元自治体やマスコミから猛烈なバッシングを受けました。

なぜマスコミは「八ツ場ダム工事中止」反対派の声のみを取り上げ「八ツ場ダム工事中止」賛成派の声をバランス良く報道しないのか不思議でなりませんでしたが、今回その謎がとけました。

「八ツ場ダム」は1952年に計画が公表されてからすでに57年が経過していますが、肝心のダム本体の工事は未だに着工されておらず事業完成度は2008 年度末で付替国道6%、付替県道2%、付替鉄道75%、代替地造成10%の状態でしかありません。

事業費4600億円(国債、地方債の利子を含めると9000億円)の7割約3000億円がすでに使われていると言われていますが、これから完成まで何年かかりいくらかかるのかが不明という、全く信じられないほどずさんで無責任な公共事業となっています。

すでに使われた約3000億円が一体はどこへ消えたのか、前原国交省大臣は徹底的に調査して公表すべきです。おそらくかなりの部分は地元住民や地元企業や地元自治体を懐柔するために「補償費」の名目でばらまかれたのではないかと推測されます。

下記のフリージャーナリストまさのあつこさんの記事のNo5.「3人の首相と3人の世襲がガード」で指摘されていますように、このダム予定地(群馬県長野原町)は、福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三の3人の首相を排出し、現在も福田康夫、中曽根弘、小渕優子の世襲国会議員3名をトップに県知事、県議会、市町村首長、市長村議会の大部分を自民党が支配する「保守王国群馬」のド真ん中に位置する公共事業であります。今日まで自民党政治家と国交省官僚によって固くカードされてきた公共事業なのです。

「八ツ場ダム」は保守王国群馬県の自民党政治家達が国交省官僚と共謀して巨額の税金を投入して強行した「ムダな公共事業」の典型であり、税金の使い道に多くの疑惑が付きまう「疑惑の公共事業」だと思います。鳩山内閣と民主党は国会に「八ツ場ダム特別委員会」を設置してこの疑惑を徹底的に調査し公表すべきです。

社民党保坂のぶと氏は最近「八ツ場ダム」を現地視察しそのレポートをブログで書かれていますが、フリージャーナリストのまさのあつこさんが以前書かれた記事「八ツ場ダムの七不思議 」を再録されていますので以下に転載しますので是非お読みください。

■ 公共事業チェック 八ツ場ダムの7不思議 (転載) 保坂のぶと氏

2009年09月27日

  http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/6ee0c635ca5cff41da1a5bdc01bb6cdf

 以前からよく知っているジャーナリストのまさのあつこさんが、7不思議を書いてくれた。八ッ場ダム中止の報道に疑問を持っている人には必読の指摘、ここに再録させていただく。

八ツ場ダムの7不思議

 八ツ場ダムは、半世紀経つ間に必要性を失った(以下2と7)のはもちろん、実は、かなり無理矢理な、自然の摂理に逆らったダムで、いろいろな意味で未来永劫、利子がついてまわる事業です。各自治体の政策決定者とそれを支える職員の方々には、冷静にこの事業の全体像を把握していただきたいと思います。

事業費(4600億円)の利子(国債、地方債の利子)を含めると9000億円に膨れ上がる。それだけに止まらず、以下の3、4、6にかかる事業費はまた別で、さらに他にも隠れたコストがあります。隠れたコストについてはまた書くことにして、今日は、八ツ場ダムの七不思議ということで、まとめてみました。転載歓迎です。

 
八ツ場ダムの七不思議 

1.半世紀が過ぎてもまだできない:八ツ場ダムは特定多目的ダム法に基づく治水、利水を目的とした多目的ダムだが、1952年のダム計画浮上から57年が経過した。ゼロ歳だった人でも57歳になんなんとす。疲れ果てて反対運動の旗を住民が降ろしたのは1992年。それから17年が経ち、総事業予算の7割が消化されたが、事業完成度は2008年度末で付替国道6%、付替県道2%、付替鉄道75%、代替地造成10%など、完成までの道のりは遠い。3000億円強はどこへ消えたのか?

2.東京五輪の渇水に備える事業?!国内外から大勢の人々が集まるオリンピック渇水に備えるためのダム。といっても石原知事が招致を進める2016年五輪ではない。1964年のことだ。東京都の水需要は1975年から減少を始め、日量最大690万トンの供給力に対し、170万トンが余っている。

3.1日53トンの石灰が必要:上流の草津温泉から流れ出る湯は、ダムを作ってもコンクリートが溶けるほどの強酸性。ゆえに一端は計画が頓挫した。しかし、1963年に石灰を投入する「中和工場」を完成させ計画が復活。以来、1日約53トンの石灰が投入され、ダムを作る限りは未来永劫にそれを続ける必要がある。

4.石灰の沈殿物を貯めるダムと土捨て場が必要:石灰の投入でできる中和生成物を沈殿させるために1965年に品木ダムを建設。その沈殿物を浚渫し、捨てにいく新しい土捨て場も未来永劫に必要になる。

5.3人の首相と3人の世襲がガード:ダム予定地(長野原町)を抱える選挙区からは福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三と3首相が出てこの事業を推進。そんな選挙区は他にはない。世襲した福田康夫、中曽根弘文は隣の小選挙区・参議院と群馬県に陣取り、ご当地は小渕優子が後継(敬称略)。前政権を象徴する因果な事業である。

6.ダム湖周辺は浅間山噴火で崩れた山の残骸:1783年の天明の大噴火で泥流死者1538人を出した浅間山。当時、死体が東京湾まで押し流されたことが古文書に残る。その泥流が積もったグサグサの地質に地すべりの大敵である水を貯めることになるのが八ツ場ダム。22箇所の地すべり地が判明しているがコスト縮減のため、2箇所しか対策をしない。さらなる追加対策予算が必要になると反対団体は指摘する。

7.カスリーン台風への効果はゼロ:1947年のカスリーン台風被害が発端の計画だが、同台風が再来しても効果はゼロであることが国会で暴露された。

上記7については「本当か?」と信じがたいと思う人もいると思うので、国会議事録へのリンクと政府答弁を張り付けておきます。その下に、この官僚答弁の読み方解説★もつけておきます。

衆議院予算委員会第八分科会 平成17年02月25日

○国土交通省河川局長清治真人

八ツ場ダムにつきましては、吾妻川という支川に建設されるダムでございますが、その流域にたくさんの雨が降る場合とそうでない場合とがあるわけでございまして、カスリン台風のときのような雨の降り方においては、八ツ場ダムの効果というのは、八斗島地点について大きいものは期待できないというふうに計算結果も出ております。

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=28858&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=9&DOC_ID=778&DPAGE=1&DTOTAL=1&DPOS=1&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=28872

★実は「大きいものは期待できない」どころか、ゼロだったのが暴露されたのが以下。

○塩川鉄也議員の突っ込み

カスリン台風洪水に対応しての八ツ場ダムの洪水調節効果はゼロなんですよね

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=28858&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=9&DOC_ID=778&DPAGE=1&DTOTAL=1&DPOS=1&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=28872  

○反論できない国土交通省河川局長清治真人

今御指摘のありましたようなダムの効果でありますとか、それから、これからダムがどのくらい必要になるのか、こういうようなこともあわせて検討してまいる所存でございます。

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=28858&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=9&DOC_ID=778&DPAGE=1&DTOTAL=1&DPOS=1&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=28872  

★反論できないとき、官僚は認めずに、話をまるめて、逸らして、ゴックンと飲み込んで分からなくしてしまう。

まさのあつこ

(終わり)

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