杉並からの情報発信です

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【YYNewsLiveNo2655】■繰り返し何度でも言う!歴代自民党内閣が『内閣にも立法権がある』というのは全くの嘘であり憲法違反である!『立法権は国会にだけある』のだ!

2018年11月02日 23時34分48秒 | 政治・社会
いつもお世話様です。                          

【YYNews】【YYNewsLive】【杉並からの情報発信です】【YYNewsネット世論調査】を主宰する市民革命派ネットジャーナリスト&社会政治運動家の山崎康彦です!

本日金曜日(2018年11月02日)午後9時30分から放送しました【YYNewsLiveNo2655】の放送台本です!

【放送録画】74分50秒

https://ssl.twitcasting.tv/chateaux1000/movie/504068514

【放送録画】

☆今日の最新のお知らせ

①今年の2月から開始しました中国経済学者宋鴻兵(ソン・ホンビン)の著書『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ』(ランダムハウス2009年5月20刊)の朗読は、本日(2018.11.02)の122回目で最終回となりました。この難しい金融専門書を9カ月間かけて読破したことは大変意味深いものがあります。皆様のご協力感謝いたします。

②この本に書かれていました重要な指摘は書き起こして一つにまとめたいと思います。

☆今日の画像

①人手不足解消へ新たな在留資格 (日経新聞記事より)

20181102在留資格

②有効求人倍率 (日経新聞記事より)

20181102有効求人倍率

③ドイツ・ヴァルノウ川で川岸で見つかったマイクロプラスチック片 (National Geographic記事より)

20181102ドイツ・ヴァルノウ川で川岸で見つかったマイクロプラスチック片

☆今日の映像

①【YouTube映像】【ノーカット】安田純平氏 記者会見 (3時間3分)

https://www.youtube.com/watch?v=vRlHQPCpJk0

☆今日の注目情報

①人体にマイクロプラスチック、初の報告

調べた全員の糞便に存在、日本人からも、学会発表

2018.10.24 National Geographic

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/102400459/?P=1

2015年3月17日にドイツ、ヴァルノウ川の川岸で見つかったマイクロプラスチック片

避けられない事態が明るみに出た。マイクロプラスチックはすでに鳥、魚、クジラの体内から発見されており、それが人間の中からも見つかったというのは、決して意外なことではない。具体的にどこから見つかったのかといえば、びろうな話になるが、ある予備的研究に協力した8人の糞便からだ。この結果は、10月23日に欧州消化器病学会で、オーストリア、ウィーン医科大学の胃腸病学者であるフィリップ・シュワブル氏により発表された。

マイクロプラスチックの行方を追跡し、その小さなかけらが飲料水、ビール、食塩、海産物の中にあることを確認してきた研究者らの予測は正しかったわけだ。ただし、この事例がどんなことを示唆しているのかについては、まだ明確な答えは出ていない。(参考記事:「9割の食塩からマイクロプラスチックを検出」)

マイクロプラスチックが人間の体内にあることを示す証拠が初めて見つかったという事実は重大だ。一方で、これほど小規模の調査では、これらのプラスチック片がどこから来たのか、またこれらが人間の健康に及ぼしうるリスクとはどんなものかといった疑問に答えは出せない。(参考記事:「マイクロプラスチックの健康への影響は?」)

食品の包装材からは、微小なプラスチックが剥がれ落ちることがある。カーペットや衣服など、合繊繊維を使った製品からも、やはりプラスチックの繊維が落ちるだろう。糞便に含まれていたマイクロプラスチックの出どころは、空気中を飛んできて、研究に協力した人の食事の上に落ちた埃かもしれない。それとも、食べ物や、食べ物の包装材そのものが原因だろうか。(参考記事:「忍び寄るマイクロプラスチック汚染の真実」)

疑問はほかにもある。体内に入った後、髪の毛の5分の1ほどの太さのプラスチックの繊維は大動脈やリンパ系に入り込むのだろうか。また、肝臓に到達することもあるのだろうか。今のところ、これらはすべて謎に包まれている。

「糞便からマイクロプラスチックが見つかったというニュースは、まったく驚きではありません」。そう語るのは、カナダ、トロント大学の生態学者で、マイクロプラスチックの魚への影響を研究しているチェルシー・ロックマン氏だ。「これは、われわれが自ら出したごみを食べているということを示しています。管理を誤ったツケが、夕食の皿の上に戻ってきたのです。もちろん、人体にどのような影響があるかについて、研究を進める必要があります」

8名中8名に存在、日本人も

毎年、およそ800万トンのプラスチックごみが、世界中の海へと流れ出している。その大半が使い捨ての品々だ。海に出たプラスチックは、日光と波の働きによって米粒ほどの大きさまで分解される。衣服に使われるポリエステルやアクリルといった合成繊維は、洗濯機経由で淡水系に流れ込む。フリースの上着の袖をこすれば、目に見えない繊維が剥がれ落ちるだろう。

このようにして、小さなプラスチックのかけらや繊維は、今では地球全体に広がってしまった。プラスチック片は深い海溝の中にも、われわれが呼吸する空気の中にも存在する

とても小さなプランクトンから巨大なクジラまで、さまざまな海洋生物がプラスチックを食べている。その中にはマイクロプラスチックと定義されるほど小さなものも含まれる。プラスチックを食べた生きものは、体に重大な影響を受ける場合が多い。これまでのところ、世界に広がるプラスチックの影響に関する研究は、主に鳥などの動物を対象に行われてきた。マイクロプラスチックは少なくとも114種の海洋生物から見つかっており、生殖系や肝臓に影響が出る可能性が指摘されている。

発表を行ったシュワブル氏は、今回の発見によって、マイクロプラスチックが人間の健康に及ぼす影響の研究が促進されることを願っている。

「今回の結果を踏まえると、マイクロプラスチックが人体の中に存在する確率はかなり高いと考えられます。しかし、マイクロプラスチックが人間の内臓にまで到達するかどうかについては、まだ誰も調べていません」

この研究結果はまだ第三者による査読を受けておらず、論文も出版されていない。シュワブル氏は11月までに査読を受けた論文を発表したいとしている。また今後は規模を拡大して、より大きなグループで調査を行う意向を示している。

今回の調査に協力した人々は、男性3名と女性5名、年齢は33歳から65歳で、7名が欧州の異なる国の出身で、1名は日本人だった。彼らは1週間にわたり食事の記録を取った後、糞便のサンプルを提出した。プラスチックは、すべてのサンプルから検出されている。

食事の記録には、考えうるプラスチックの出どころについての情報も含まれていた。8名中2名の協力者は、毎日ガムをかんでいた。8名中6名が海産物を食べていた。全員が1週間を通じて、プラスチックの包装材に入っていた食べ物を口にしていた。協力者たちは毎日平均約740mlの水をPETボトルから飲んでいた。

シュワブル氏は、今回の調査は規模が小さすぎるため、ガム、魚、協力者の日課、彼らの住んでいる場所といった個々のファクターについて結論を導くことはできないと述べている。

ーストリア環境庁は、この糞便のサンプルについて、10種類のプラスチックが含まれているかどうかを検査している。その結果、9種類のプラスチックが発見された。最も多かったのはPET、そして食品の包装材や合成繊維の服によく使われるポリプロピレン(PP)だった。

糞便のサンプルに含まれるプラスチックの量は、平均プラスチック片20個で、サイズは50~500マイクロメートルだった(人間の毛髪の太さは約100マイクロメートル)。
由来も経路も不明

英プリマス大学の海洋科学者、リチャード・トンプソン氏は、糞便に含まれるプラスチックの量に驚かされたと述べている。その数値は、海産物に含まれるとされるプラスチック量を基準に割り出されるものよりも高いという。

トンプソン氏らの研究チームは今年、食品に落ちる空気中のプラスチック繊維と、スコットランド産の食用イガイに含まれるマイクロプラスチックとでは、どちらが人間の体内に取り込まれるリスクが高いかを比べた研究結果を発表した。論文によると、イガイよりも空気中の繊維のほうが摂取するリスクが高かった。

糞便に含まれるPETは、ペットボトルや食品包装材に由来する可能性がある一方で、カーペットやカーテン、衣類などのものかもしれない。「マイクロプラスチックが辿った経路がわかれば、解決策を見つけるうえで多少は助けになるでしょう」

しかしたとえ経路が判明したとしても、「体への害に関しては何の手がかりにもなりません」とトンプソン氏は言う。

シュワブル氏自身も、たった8人のサンプルから、あまり多くのことを断定しないよう警告している。

「われわれは体への害については調査していません」とシュワブル氏。「人間の糞便の中にマイクロプラスチックが存在することを示しただけです。これまできっとそうだろうと予想されていた内容が、今ではわたしたちが知る事実となったのです。そこが重要な点です」

(終わり)

☆今日の推薦図書(朗読)

■宋鴻兵(ソン・ホンビン)著『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ』(ランダムハウス2009年5月20刊)

この本は中国で150万部、韓国で7万部、台湾で3.5万部が売れたベストセラーです。

(序文より)

『本書では18世紀以降に起こった重大金融事件の黒幕にスポットを当て、彼らの戦略瀬的目的や常套手段を分析比較しながら、彼らが将来中国に対して仕掛ける攻撃方法を予測し、中国の取るべき道を探ってみたい。"硝煙のない戦争"はすでに始まっている』

第122回朗読 最終回 (2018.11.02)

●追記 世界金融市場の未来 (P420-422))
        
(1)今日のメインテーマ

■繰り返し何度でも言う!歴代自民党内閣が『内閣にも立法権がある』というのは全くの嘘であり憲法違反である!『立法権は国会にだけある』のだ!

またしても安倍晋三自公内閣は、人手不足に悩む経団連大企業の利益のためだけに国民生活に重大な影響を与える【外国人労働者受け入れ=移民解禁】法案を国民が知らないうちに今国会で強行成立させようとしている。

▲なぜこのような傀儡政党・自民党による『暴政』が繰り返されるのか?

それは、日本国憲法の二つ条文(①41条、②73条)によって『内閣には法案の起案権も国会提出権もない』『すべての立法権は国会にある』ことを、最高裁も野党政治家も憲法学者も政治学者もマスコミも市民活動家も誰も言わないからである!

誰も『これこそ傀儡政党・自民党の歴代内閣が文字通り日本の政治を独占してやりたい放題してきた元凶だ!』と批判しないからである。

歴代自民党政権は『内閣にも立法権がある』と大嘘をついて、本来日本国憲法で内閣に禁止している『立法権』を行使して、ほとんどの法案を起案して閣議決定し国会に提出して強行成立させてきたのである。

▲二つの日本国憲法条文が『立法権は内閣にはなく国会にある』ことを規定している!

①日本国憲法第41条【国会の地位・立法権】
______________________________________

*日本国憲法第41条

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
_____________________________________

上記『国会は国の唯一の立法機関である』という規定は、法律の起案と国会への提出を含めたすべての立法に関する権限は『唯一の立法機関』である『国会』にあるという規定である。

すなわち、内閣には法律の起案と国会への提出の権限はないということである。

②日本国憲法第73条【内閣の職務】
______________________________________

*日本国憲法第73条

内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

1.法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

2.外交関係を処理すること。

3.条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

4.法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

5.予算を作成して国会に提出すること。

6.この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

7.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
_______________________________________

上記の7つの内閣の職務を規定している中には法律起案と国会提出は内閣の職務に規定されていないのだ。

このように日本の政治を独占してきた歴代自民党政権は、日本国憲法41条と73条の規定に『違反』してほとんどの法案を内閣が起案して閣議決定し国会に提出して強行成立させてきたのである。

▲歴代自民党政権が『内閣にも立法権がある』と主張する『法的根拠』は何か?

それは、敗戦後日本を軍事占領したGHQ(連合国総司令部)マッカーサー総司令官が1947年5月3日の日本国憲法施行直前の1947年1月16日に成立させた【内閣法】である。

マッカーサー総司令官は【内閣法】第5条(内閣の任務)の中に、日本国憲法が内閣に禁止した『法律案の起案と国会提出』を内閣の任務に入れたのである。
________________________________________
内閣法第5条(内閣総理大臣の任務について)

内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣の提出する法律案・予算・その他の議案を国会に提出し、一般国務や外交関係について国会に報告する。
_______________________________________

この【内閣法】第5条が憲法違反にもかかわらず日本の最高裁は『違憲判決』を出さず『憲法改正』もせずに現在まで70年以上にわたって自民党政権の内閣に『立法権』を与え続けたのである。

その結果、日本の国会は完全に『無力化』し単なる国民だましの『飾り物』になったのである。

【関連記事】

▲入管法改正案を閣議決定 単純労働で外国人受け入れへ

2018/11/2 日経新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37249690R01C18A1MM0000/?n_cid=NMAIL007

政府は2日、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定した。人手不足の分野で一定の技能を持つ人を対象に新たな在留資格「特定技能」を来年4月に創設する。経済界の要望に応じ、これまで認めてこなかった単純労働受け入れにカジを切った。日本の入国管理政策の大きな転換で、政府与党は今国会での成立をめざす。

野党は「移民政策ではない」とする政府の姿勢を疑問視。「議論が拙速」などと批判しており、国会で激しい論戦となる見通しだ。政府は与党内の慎重論に配慮し、施行3年後に制度を見直すとした。

山下貴司法相は2日の閣議後の記者会見で「人手不足が深刻で、今回の法改正は重要かつ急務だ。成立に向け丁寧にご説明したい」と述べた。

入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける。「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に就労可能な「特定技能1号」を与える。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。

さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人には「特定技能2号」の資格を与える。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はない。配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。10年の滞在で永住権の取得要件の一つを満たし、将来の永住にも道が開ける。

受け入れ先機関は日本人と同等以上の報酬を支払うなど、雇用契約で一定の基準を満たす必要がある。直接雇用を原則とし、分野に応じて例外的に派遣も認める。生活や仕事の支援計画を作り、日本社会になじめるよう後押しする。政府は日本語教育など環境整備の具体策を盛る「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策(仮称)」を年内にまとめる。

受け入れは生産性向上や女性、高齢者など日本人の労働者を確保する努力をしても人材が足りない分野に限定。具体的には農業や介護、建設、造船、宿泊など14業種を想定している。なし崩し的な受け入れを防ぐため、人材が確保されれば受け入れを停止する措置を盛り込み、施行3年後に制度を見直す。景気の悪化も想定し、国内の働き手を前提とした補助的な受け入れにとどめる。

ただ、政府がこれまでかたくなに規制してきた外国人の単純労働を受け入れることで、日本の社会にも大きな変化が生じる可能性があるため、与野党双方に慎重論は残る。施行3年後の見直し条項も自民党が法案を了承する際の前提として提起したものだ。

どこまで受け入れ規模を拡大するかも焦点だ。政府は法案成立後、具体的な業種や試験などを定める分野別の受け入れ方針をつくる予定だ。与党は受け入れの規模を明示するよう求めている。政府は人手不足の状況に応じた分野別の受け入れ規模の算定作業を急ぎ、臨時国会でおおよその規模を提示する構えだ。

「移民政策はとらない」との政府の姿勢には、与党内からも「移民政策ではないと言い切れるのか」との声も上がっている。野党は、外国人の人口が大幅に増えるにもかかわらず、移民としないことで抜本的な制度の改革などが後回しになる恐れがあるとして国会で追及する。治安面の不安や日本人社会との共生への対策なども論点となる。

外国人労働者数は2017年10月時点の厚生労働省の調査で127万人と過去最高だった。新制度で大幅に増える可能性もある。政府は法務省入国管理局を改組し、受け入れや在留管理を一元的に担う「出入国在留管理庁」を設ける。不法就労の温床とならないよう、日本から強制送還された自国民の受け入れを拒否した国などからは受け入れを制限する。

(終わり)

(2)今日のトッピックス

①<シリア拘束>安田さん会見「おわびと感謝。自己責任ある」

2018/11/2 毎日新聞

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181102-00000029-mai-soci

記者会見の冒頭、頭を下げる安田純平さん=東京都千代田区で2018年11月2日午前11時2分

内戦中のシリアで武装勢力に拘束されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が2日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した。安田さんは「解放に向けてご尽力いただいたみなさん、ご心配いただいたみなさんにおわびしますとともに、深く感謝申し上げたい。本当にありがとうございました」と言って深く頭を下げた。シリア入国直後に拘束されたと明かし、3年4カ月にわたる拘束下の状況を語った。

安田さんは10月25日に帰国して以降、病院で健康状態を確認しており、公の場で発言するのは初めて。「私自身の行動によって日本政府が当事者にされてしまったのは大変に申し訳ない」と話し、「何が起こったのか可能な限り説明するのが私の責任」と会見を開いた理由を説明した。

安田さんは2015年6月、トルコ南部からシリア北西部に密入国した。目的については過激派組織「イスラム国」(IS)の内部資料を入手したとし「(戦闘員の)家族構成や給料、予算などきっちりしており、国家のような組織を形成しているようだった。さらに取材をしたいと考えた」などと述べた。だが、入国直後に拘束され、ホブス(パン)工場や民家、外国人の義勇兵とみられる拘束被害者らがいる施設など10カ所以上を転々とした。拘束グループは狙いについて「日本政府に身代金を要求する」と話したという。

質疑応答で「自己責任」について問われると、「紛争地に行く以上、当然自己責任(がある)と考えている。自分が相応の準備をすることが必要」と語った。批判が出ていることについても聞かれ、「みなさんに批判をいただき、検証していただくことは当然と思っている」とし、「事実に基づかないものもあるので、事実に基づいて批判していただきたいというのがお願いです」と述べた。

安田さんは今後も紛争地取材を続けるかどうかについて「今現在、今後については白紙です。まったく分からない」と話した。【福島祥】

②「紛争地に入る存在は必要」 安田純平さん会見詳報

2018/11/2 朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181102-00000069-asahi-int

2日、安田純平さんの会見がある日本記者クラブに集まった各国の報道陣=東京都千代田区

安田純平さんは、報道陣からの質問に答えた。主なやりとりは以下の通り。

――帰国後、「自己責任」など匿名のバッシングがある。受け止めは

【写真】「あきらめたら試合終了」 安田純平さん、記帳の意図は

私自身の行動で、日本政府や多くの皆さまにご迷惑をおかけした。批判があるのは当然だ。事実に基づかない内容もあるので、事実に基づいてというお願いはある。紛争地に行く以上、「自己責任」だと考えている。日本政府が救出するのは難しいことで、退避勧告も出している。自分自身に起こることは自業自得だと思っている。

――今後も紛争地で取材するつもりがあるか

まったく白紙。わからないですね、まだ。

――結果的にシリアに入ろうとした直後に拘束された。現地ガイドと契約した当初から、だまされていたのではないか

ガイドがいない間に別の方向に入ってしまったので、完全に自分の凡ミスだ。すべて仕組まれたというのはどうかな、と思っている。

――身動きもとれない中で絶望するようなこともあったと思うが

身動きができないときはかなり腹が立ち、ドアを蹴った。「そんなに音を聞かれたくないなら鼓膜を破ってくれ」と言ったが無視をされた。そのときは、絶望していた。

――相手方の組織の人数、年代は

最初の民家には5人。連絡役や、動画、写真を撮りに来る人がいた。そこから移った大きな施設では、100人単位の囚人がいたように思えた。(組織側も)かなり人数が多かった印象だ。年代は10代もいたし、年配の人物もいた。

――戦場からの報道は使命だと思うか。報道の必要性をどう考えるか

あくまで私自身が知りたいこと、疑問に思っていることを現地で取材をして、それを皆さんに知っていただくことができればいいと思ってやっている。

国家が人を殺すのが戦争。それがどのような影響をおよぼし、なぜ人々が殺されなければいけないのかを判断する材料は民主主義にとって絶対に必要。難民が出れば日本にも影響があると思う。地球上で紛争があれば、現地に入るジャーナリストの存在は必要というのが私の考えだ。

――家族の活動について聞いて、今後の活動に変化はあるか

家族には何もしないように言っていたが、立派な対応をしてもらったと感謝している。活動は自分で判断しているが、両親もかなりの年齢で、拘束されている間もそのことはずっと気にかけていた。親孝行もしないといけないと考えており、今後の取材の仕方をもうちょっと慎重に考えることはあるかもしれない。

③日本政府が企業に対して「強制徴用賠償に応じるな」説明会

2018/11/2 ハンギョレ新聞

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181102-00032003-hankyoreh-kr

三菱重工業を相手に損害賠償請求訴訟を起こした徴用被害者のヤン・クムドクさん(左)とキム・ジェリムさんが31日午後、キムさんら4人が原告として参加した2次訴訟控訴審の初公判が開かれた光州高等法院の前で記者会見をしている
「中国人対象の和解もするな」 2日までに3回開き「拒絶」推奨 安倍「旧朝鮮半島出身労働者」 強制労働の事実を否定しようとする意図

日本政府が、韓国人強制徴用被害者に提訴された自国企業に対し、賠償はもちろん和解にも応じるなという指針を下す説明会を開いている。

菅義偉官房長官は1日午後、定例記者会見で「(30日の韓国最高裁判決で)敗訴した日本企業を含め、関連訴訟の対象になっている日本企業に対して普段から緊密に連絡をしている。今回の判決が下された後、企業らを相手に説明会を開き、日本政府の立場や関連訴訟に対する韓国内の状況について説明している」と話した。

これに先立って読売新聞はこの日、提訴された日本企業を対象にした日本政府の説明会が31日に始まり、2日までに3回開かれるとし、強制徴用被害補償は1965年の韓日請求権・経済協力に関する協定ですでに解決されているので、損害賠償や和解に応じることのないよう企業らに徹底的に周知させる方針と伝えた。この説明会は、外務省、経済産業省、法務省など関連部署が合同で開催していると伝えられた。日本政府は、企業らの訴訟対応を積極支援する予定であり、訴訟費用の支援も検討すると見られる。

韓国最高裁(大法院)は先月30日、韓国人強制労働被害者4人が新日鉄住金(旧、新日本製鉄)を相手に出した訴訟で、1人当り1億ウォン(約1千万円)を賠償せよとの判決を確定した。韓国で同様な訴訟が進行中の日本の企業は、三菱重工業、不二越、IHIなど70社を超える。

一方、安倍晋三首相は1日、国会予算委員会でこれまで日本政府が使ってきた「徴用工」という表現の代わりに今後は「旧朝鮮半島出身労働者」という表現を使うと明らかにした。これは植民地時期に日本政府が、朝鮮人を強制動員したという事実を否定したり規模を縮小するための策略と見える。安倍首相は「当時、国家総動員法(1938年制定)の下、国民徴用令には募集、官斡旋、徴用があった」として、原告の中に「募集に応じた」と言った人がいると話した。

安倍首相のこの発言は、当時日本企業が施行した多様な朝鮮人労働者動員方法のうち「募集」と「官斡旋」による動員は強制動員とは認定できず、1944年以後の徴用による労働者だけが強制労働と認定できるという意味と解釈される。しかし当時、募集と官斡旋に対する動員も、事実上朝鮮総督府の行政力が動員された強制的なものであり、動員された人々は日本企業の苛酷な労務管理を受け重労働に苦しめられた。また、各種の保険と積立金加入が義務化され、結果的にまともな賃金を受け取ることはできなかった。そのため、韓国政府は国家総動員法が施行された後に動員されたすべての労働者を強制動員被害者と認定している。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

④元徴用工や遺族ら「訴訟を起こしたい」 電話鳴りやまず

2018/11/朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181101-00000104-asahi-int

「大法院の判決に希望をもらった」と語る李倫哉さん。戦時中、父が日本海軍の軍属として徴用され、戦死した=1日、ソウル、武田肇撮影

韓国大法院(最高裁)が元徴用工への賠償を日本企業に命じた10月30日以降、韓国の政府機関や支援する財団に、元徴用工や遺族から「訴訟を起こしたい」という相談の電話が相次いでいる。徴用工と同様に日韓両政府が「解決済み」としてきた旧日本軍の元軍属の遺族のなかにも、判決によって考え方を変えた人も出ている。(ソウル=武田肇)

「今日も電話が途切れず、声がかれそうだ」

韓国の行政安全省で元徴用工らを支援する担当課の職員は1日、こう語った。

判決が出た10月30日に約120件、31日には約500件の問い合わせ電話が殺到。多くは元徴用工とその遺族で、「訴訟するには、どうすればよいのか」「私も補償対象になるのか」といった内容だ。

韓国の政府と企業が元徴用工や遺族らを支援するために2014年に設立した「日帝強制動員被害者支援財団」も連日、業務開始の午前9時から電話が鳴りっぱなし。財団職員は「(元徴用工の)遺族が大半で、多くが(植民地時代を経験した)70代や80代」と語った。やはり訴訟の手続きを尋ねる人が多いという。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181101-00000104-asahi-int一方、文在寅(ムンジェイン)大統領は、元徴用工や日韓関係について沈黙を続けたままだ。1日に行った国会での演説でも判決について言及しなかった。日韓関係が専門の大学教授は「今は何を語っても世論を刺激してしまうという判断があるのだろう」とみている。

⑤EU、使い捨てプラスチック製品の禁止法案を承認

2018年11月1日 AFP日本語版

http://www.afpbb.com/articles/-/3195624?act=all

使い捨てのプラスチックストロー(2018年8月12日撮影、資料写真

【11月1日
AFP】欧州連合(EU)加盟28か国は10月31日、使い捨てプラスチック製品の一部をEU域内で禁止する法案を承認した。大量のプラスチックごみが海洋汚染の原因になっていると指摘される中、全面禁止に向けさらに一歩近づいた形だ。

欧州議会(European
Parliament)は先週、ストロー、フォークやスプーンなどの食器類、綿棒の柄、風船の持ち手といった使い捨てプラスチック製品をEU域内で禁止する法案の採決を行い、圧倒的多数の賛成で可決していた。

EUは12月の草案承認、2021年の施行を視野に、来週から詳細な法案作成に取り掛かる予定。

EUの首脳会議である欧州理事会(European
Council)も、代替品があることを理由にプラスチック製品の使用中止を支持しており、プラスチックごみの清掃に関する責任を割り当てる意欲も示している。

またEUの政策執行機関である欧州委員会(European
Commission)は、清掃にかかる費用についてプラスチック製品の生産者が支払うべきだと主張しており、プラスチック製品の輸入・販売を行う企業も分担金を払うよう求めていく考えだ。

欧州委員会はさらに、環境に配慮した代替品のない使い捨てプラスチック製品について、各国に削減目標を定めるよう呼び掛けている。

NGOの連合体である「リシンク・プラスチック(Rethink
Plastic)」はEUにおけるプラスチック製品禁止に向けた動きを歓迎している一方、これまでに浮上している提案が義務的な内容ではないことに落胆を示している。

欧州委員会によると海や海岸のごみの70%余りが使い捨てプラスチックで、先週発表された調査では人間の排せつ物から微小なプラスチック片が検出されていたことが明らかとなり、食物連鎖の中にプラスチックが広く存在することが初めて示された。(

⑥カショギ氏遺体、酸で溶かされた可能性捜査 米紙報道

2018年11月2日 AFP日本語版

http://www.afpbb.com/articles/-/3195818?act=all

カショギ氏遺体、酸で溶かされた可能性捜査
米紙報道サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏。バーレーンの首都マナマで(2014年12月15日撮影、資料写真)
【11月2日
AFP】トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館内でジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal
Khashoggi)氏(59)が殺害された事件で、米紙ワシントン・ポスト(Washington
Post)はトルコ政府関係者の話として、カショギ氏の遺体が酸で溶かされた可能性について当局が捜査を進めていると報じた。

これに先立ちトルコ検察は10月31日、カショギ氏は総領事館に入った直後に絞殺され、遺体は切断された後に処理されたと発表。しかし方法について検察は明言を避け、カショギ氏の遺体の場所も謎のままだ。

しかし検察の発表後、トルコ政府関係者が匿名でワシントン・ポストの取材に応じ、カショギ氏の遺体は総領事館か近くの総領事公邸で酸を使って溶かされたとの見立てで捜査が進められていると明らかにした。

この政府関係者によると、殺害場所近くで遺体が処理された可能性を示す「生物学的根拠」が総領事館の庭で見つかったという。また同関係者は「カショギ氏の遺体は埋葬の必要がなかった」とも述べているという。(c)AFP

(3)今日の重要情報

① 朝ドラ『まんぷく』への「憲兵を悪く描くな」攻撃は異常!
首絞め、逆さ吊るし…本当の憲兵や特高の拷問はもっとヒドい

2018.11.02 Litera

https://lite-ra.com/2018/11/post-4347.html

NHKオンラインより

10月1日から放送が始まった、NHK連続テレビ小説『まんぷく』。日清食品創業者の安藤百福と妻・仁子をモデルにその半生を描くドラマだが(役名は立花萬平と福子に改称されている)、ツイッターを中心に、この内容に対して驚くような声が出ている。

10月15日から放送された第3週「そんなん絶対ウソ!」では、軍事物資を横領した罪で萬平が逮捕され、憲兵から執拗な拷問を受けるシーンが流された。萬平は無実のため、獄中では食事もとらず、ひたすら「僕はやっていない」「僕は知らない」と訴えるのだが、憲兵たちは聞く耳をもたない。さらに、罪を認めさせるために、素手で殴るのはもちろん、蹴り飛ばす、壁に叩き付ける、竹刀で叩くといった暴力行為を行った。

結果的に、福子たちの必死の根回しにより萬平の無実が証明され、命からがら釈放される。釈放直後の萬平は自力では立つことができないぐらいボロボロの状態で、福子の姿を見るや「生きて会えるとは思いませんでした」と呟いて涙を流す。

こういった一連の描写に対して、ツイッターではこんな投稿が飛び交った。

〈朝ドラ「まんぷく」乱暴な憲兵の拷問シーンでもう見る気が失せた。昭和30年代40年代の戦争ドラマの見過ぎだよ。いつも悪者に描かれて、憲兵が気の毒だ〉
〈朝ドラ。また日本兵が拷問しているところです。「やったといえー」と。優しい兵隊さんのエピソードは全く出てこないTV。日本人をどこまで貶めるのか〉
〈全くひどい。NHKは、戦時を描くのに必ずこのパターンを使用しますね。庶民は、軍部に苦しめられたというGHQが70年前に東京裁判で使ったロジックをそのまま使い続けています。NHKを潰しましょう〉

『まんぷく』の拷問シーンは別に過激なものでもなんでもない。せいぜい、萬平を演じた長谷川博己の口の端に血が滲んでいたり、顔の一部に痣らしきメイクが施されていたり、着ている白いシャツが汚れたり破れたりしているぐらい。

血しぶきが飛んだわけではないし、殴られ過ぎて誰か判別できないぐらい顔が腫れあがっていたり、痣で身体がどす黒く変色しているわけでもない。非常に抑えた表現であったといえるだろう。

この拷問エピソードは安藤百福が実際に受けた紛れもない史実である。そして、もちろん、現実は『まんぷく』の描写ほど甘いものではなかった。

安藤百福による自伝『魔法のラーメン発明物語
私の履歴書』(日本経済新聞出版社)には、彼が憲兵から受けた拷問の詳細が綴られている。

戦時中の安藤百福は軍用機のエンジンを製造する会社を共同経営していた。製造のための資材は軍から支給されたもので、毎月、軍が厳しい点検をしている。

そんななか、資材担当の社員が「数が合いません」と報告を入れてきた。社員の誰かが資材を横流ししていたのである。彼はすぐさま憲兵に訴え出るが、なぜか安藤百福が犯人扱いされて取り調べを受けることになってしまう。資材を横流しした社員と憲兵は親戚同士であり、裏でつながっていたからだ。

留置場に入れられた安藤百福はまるでデタラメの自白調書に判を押すように強要されるも、拒否。その結果、無実の罪で留置場に入れられ続けることになる。そして、罪を認めるよう脅され、〈いつ果てるともなく続いた〉という〈暴行〉を受け続けた。

殴り殺されてもおかしくない状況下で安藤百福が考えたのは、敢えて食事をとらずに自ら身体を衰弱させ、暴力を伴う尋問を回避することだった。それほどまでに追い詰められていたということである。

〈憲兵隊の追及は、私が頑固な分、さらに厳しくなった。どうしたらこの状況から逃れられるのかと考えた。生きるために、不潔な食事に耐えたとしても、殴られ続けて死んでしまうかもしれない。私は再び絶食を決意した。なまじ健康なために拷問を受けるより、食べることをやめて病気になる方がよほど心が安らぐだろう、と考えたのである。
 食事はすべて同房の人に分けた。食を絶ってしばらくすると、下痢が始まった。体力は目に見えて衰え、今度は間違いなく死と直面していると感じた。あまりの衰弱ぶりに、同房の人たちもいたく同情してくれた〉

本当の憲兵や特高はもっとヒドい! 虐殺された小林多喜二が描いた拷問

 結果的には、知り合いの元陸軍中将の助けにより解放されたわけだが、それがなければ命を落としていてもおかしくない。それに、留置場での生活が災いし、その後、二度にわたって開腹手術を受けなければならなかったという。

 ただ、生きて出ることができただけ、安藤百福はマシだったともいえるかもしれない。というのも、当時、憲兵や特高警察の拷問によって命を奪われた人は少なくないからだ。

 そのなかでも有名なのが、『蟹工船』で知られる作家の小林多喜二だろう。彼は治安維持法により逮捕された人間に対し特高警察が加えた暴行を告発した『一九二八年三月十五日』を「戦旗」に発表したことがきっかけで小説家として本格的に世に知られるようになった。しかし、結果的には、この作品の描写が特高の怒りを買ったことで後に逮捕され、1933年2月20日、取り調べ中の拷問により29歳の若さでこの世を去ることになる。彼の遺体の写真は公開されているが、身体中(特に太もも)が痣で真っ黒に変色しており、どれだけひどい拷問が行われていたかを窺い知ることができる。

 小林多喜二のデビュー作『一九二八年三月十五日』は、1928年3月15日に日本共産党関係者など1000人以上が治安維持法で一斉に検挙された「三・一五事件」について描かれた小説。このなかでは、何の容疑なのかもまともに教えられぬまま強引に逮捕されていく過程や、逮捕した人々に対して苛烈な暴力が加えられていく様子を生々しい筆致で描いている。

その描写の数々はまるで拷問の見本市のようである。

拷問は単純に殴る蹴るの暴行だけではない。こんな危険な手段まで用いられる。

〈そのすぐ後で取調べられた鈴本の場合なども、同じ手だった。彼は或る意味でいえば、もっと危い拷問をうけた。彼はなぐられも、蹴られもしなかったが、ただ八回も(八回も!)続け様に窒息させられた事だった。初めから終りまで警察医が(!)彼の手首を握って、脈搏をしらべていた。首を締められて気絶する。すぐ息をふき返えさせ、一分も時間を置かずにまた窒息させ、息をふきかえさせ、また……。それを八回続けた。八回目には鈴本はすっかり酔払い切った人のように、フラ、フラになっていた。彼は自分の頭があるのか、無いのかしびれ切って分らなかった〉

警察医がついているとはいえ、こんな危険な拷問を加えるというのは、最悪、取り調べ中に相手が死亡したとしても、適当に隠ぺいすればそれで話は終わるというぐらいに認識していたということの裏返しでもあるのだろう。また、『一九二八年三月十五日』には、さらに、こんな拷問器具が用いられる描写まで登場する。

〈取調室の天井を渡っている梁に滑車がついていて、それの両方にロープが下がっていた。竜吉はその一端に両足を結びつけられると、逆さに吊し上げられた。それから「どうつき」のように床に頭をどしんどしんと打ちつけた。そのたびに堰口を破った滝のように、血が頭一杯にあふれるほど下がった。彼の頭、顔は文字通り火の玉になった。眼は真赤にふくれ上がって、飛び出した。
「助けてくれ!」彼が叫んだ。
 それが終ると、熱湯に手をつッこませた〉

「憲兵を悪く描くな」という攻撃は異常! 背景に歴史修正主義の跋扈

安藤百福の自伝には〈殴られ続けて〉や〈暴行〉とあるだけで、どれくらいの拷問を受けたのかは定かではないが、絶食して自ら身体を衰弱させようという考えが浮かんでくるほどなのだから、『まんぷく』の拷問シーンのように甘いものでなかったことだけは確かだろう。

一部の視聴者が怒っているように「憲兵を意図的に悪く描いた」というものではない。むしろ、マイルドに描き過ぎているぐらいだ。

これまで、NHK連続テレビ小説でも、戦時中の日本軍や憲兵の市民に対する横暴な態度を描いたことはあったが、こんな意見が出てくることはなかった。背景にあるのは、もちろん安倍政権と極右勢力による歴史修正主義の喧伝だろう。「慰安婦」問題や南京虐殺など日本の戦争責任に触れる言説が、ここ数年、極端にメディアから排除されているが、憲兵の描写までもが槍玉にあがるとは戦争に関する認知の歪みもここまで来たかという感がある。

こうしたネトウヨたちの声をただのトンデモと片付けることはできない。というのも、ネトウヨたちや右派政治家たちの抗議や非難の声にメディアが過剰防衛し、どんどん表現が萎縮しているからだ。

当の『まんぷく』もそうだ。『まんぷく』では以前から問題を指摘されていることがある。それは、主人公の夫・立花萬平の出自についてだ。

安藤百福は1910年に台湾で生まれた。当時の台湾は日本領である。幼くして両親を亡くし、祖父母のもとで育てられた彼は、祖父が営んでいた呉服屋を手伝い、22歳で独立。繊維業の会社を興している。会社はすぐに軌道に乗り、1933年には大阪に居を移すことになる。

しかし、『まんぷく』では、立花萬平の出自が明かされないのである。

10月9日放送の8話では、「父親は僕が物心つく前に、母親はそのすぐ後に亡くなりました。僕は兄妹がいなかったからひとりで親戚の家を転々としたんです。どこの家も色々と大変だったんですよ。僕は自分が迷惑をかけるのが嫌だったから18歳で働き始めたんですよ。修理屋でね。そのうち、カメラでも時計でも、たいがいのものは直せるようになって、25歳のときに独立して大阪に来ました」と、生い立ちについてかなり詳細に語られているが、それでもやはり生まれがどこかという情報だけは出されなかった。

実在の人物をモデルにしている朝ドラで、名前や設定などを微妙に改変するということは、これまでも度々ある。『花子とアン』での主人公の不貞および戦争協力問題や、『カーネーション』の主人公の同様の問題などがそうだ。

とはいえ、出自まで変えてしまうのは、さすがに安藤百福の人生を描くドラマとして真摯ではないだろう。

台湾出身という出自を描かないのは、NHKが右派の攻撃への過剰防衛か

ネットでは日清食品や遺族の要望だろうかなどの見方も散見されるが、日清も遺族もホームページや著書で百福が台湾出身であることは普通に書いており、百福サイドの要望ということはあり得ないだろう。

台湾出身という百福のバックグラウンドに触れることは、アジアへの侵略という日本の負の歴史に触れることにもつながりかねない。百福の出自をきちんと描かないのは、NHKが、右派からの攻撃を恐れた結果ではないのか。

前述の憲兵のエピソードにしても、憲兵や特高が朝鮮出身者や台湾出身者に対してより過酷だったのは有名な話。百福の受けた理不尽な拷問も、そうした背景も合わせて考えれば、見え方は変わってくるだろう。また、当然ながら百福の最大の業績である「インスタントラーメン」も、台湾や中国の食文化と切り離して語れるはずがない。

ラーメンという食文化、日本による植民地支配。安藤百福とその家族を描くのに、東アジア全体の文化的・歴史的背景を抜きに語るのはあまりに不誠実だろう。それをネグるぐらいなら、最初からインスタントラーメンも百福もモデルにしなければいい。

「インスタントラーメンは日本の発明品」「インスタントラーメンは世界中で愛される和食」といった言説により、インスタントラーメンはしばしば「日本スゴイ」論の道具として担ぎ出される。『まんぷく』でも、そういった話を展開したいのだろうか。

日本の侵略という負の歴史をなかったことにし、インスタントラーメン発明の物語を“日本スゴイ”として描くというのはご都合主義にもほどがある。右派からの攻撃を先取りするようなこうした萎縮が、憲兵の描写すらも炎上するような言論状況を生み出しているのだ。

これはもちろん、『まんぷく』だけの問題でも、NHKだけの問題でもなく、日本のメディア全体が直面している問題だということをあらためて指摘しておきたい。

(編集部)

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【杉並からの情報発信です】【YYNews】【YYNewsLive】
情報発信者 山崎康彦
メール:yampr7@mx3.alpha-web.ne.jp
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