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《注目記事》軍事戦略への無知を自白した田母神俊雄論文・発表の迷惑・害悪  オルタナティヴ通信

2009年07月12日 09時45分10秒 | 政治・社会
■ 軍事戦略への無知を自白した田母神俊雄論文・発表の迷惑・害悪
 オルタナティヴ通信

 2009年07月01日

 http://alternativereport1.seesaa.net/archives/20090701-1.html

「全ての右翼・民族主義者は本質的に売国奴である」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/112856243.html

「右翼・天皇主義者=売国奴」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/112771916.html

「北朝鮮=ネット右翼=米国・中国の情報工作員」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/106865151.html

「無意味な日本核武装論」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/118369235.html

「日本国家存亡を握るトルクメニスタン・天然ガス田?」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/122041674.html

「武器密輸商人である天皇一族は兵器販売促進=自分の金儲けの
ため日本を戦争に引きづり込んだ」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/111703855.html

「天皇は犯罪者」、参照。

http://alternativereport1.seesaa.net/article/111594724.html

書物短評 : リデル・ハート 「戦略論」 原書房

クラウゼヴィッツの古典的名著「戦争論」に次ぐ、軍事戦略論の名著リデル・ハートの「戦略論」である。日本の防衛大学校では、こうした軍事戦略論について教授し、議論する事への躊躇が未だに存在する。

そのためもあってか、マスコミでも話題をサラッタ、「日本の中国侵略における
侵略性の全否定」論である防衛省・元航空幕僚長の田母神俊雄論文には、その歴史事実認識の「我田引水、妄想的自己合理化」に加え、その「発表の仕方の戦略性の無さ」に顕著な「特技」が存在し、そこには日本軍部の戦略思想の無さ、無知が恥ずかし気もなく露呈されていた。

ハートは、まず、クラウゼヴィッツの「戦争は、他の手段を以ってする、政治である」の名言を、切って棄てる。軍事戦略と政治は、全く別物であり、両者を通底させては「ならず」、軍人は政治に口を出すべきではない、政治家は緻密な軍事戦略・作戦の策定を主導してはならない、と明確に2分する。

中国・北朝鮮が、いかに政治的に不当で暴虐であり、間違った行動を取っている場合であっても、どのような戦略を以って敵と対峙するか、政治と戦略は、全く、別問題である。政治的に相手が、いかに不当で悪であっても、軍事戦略の判断基準は「相手に勝てるか、否か」が全てである。

勝ち目がない場合には、相手国が、いかに政治的に間違い不当であっても、軍事戦略的には「決して軍事力を行使すべきではない」。

そうした場合には、「軍事力以外の、他の戦略を採用すべき」である。戦略とは
「勝てるか、否か」の冷徹な計算合理性であり、政治的に相手国が不当か否かとは、一切関係が無い。

政治と戦略は別物である。政治的に間違っている相手国と戦端を開き、敗北し、
国が滅びたケースは、歴史上、幾らでも存在する。正義が常に勝つという妄想は、
映画と漫画の中の住人だけが持つ「一種の重症疾患」である。

その程度の、冷静・冷徹な歴史・現実認識能力が無い者には、国家存亡の問題に
口を出す資格は、一切、無い。

「軍事戦略と政治は、全く別物であり、軍人は政治に口を出すべきではない、政治家は緻密な軍事戦略・作戦の策定を主導してはならない」。こうした軍事戦略論の基本的な2分についてさえ、田母神は無知である。それは田母神の、軍人としての「無能」を明らかに証明している。

さらに、ハートは、クラウゼヴィッツの名言「勝利の代償は血である」を、切って棄てる。血を流してでも勝利せよ、これは間違っていると、軍事戦略の大家ハートは、明言する。

「軍事力を行使せず、戦わずして勝利する」事が、最大の勝利だと、ハートは明言する。

軍事力を行使せず、外交力・経済力等々の行使で勝利する、これは現代的に表現すればソフトパワー論となる。戦端を開かず勝利すれば、自国の損害はゼロであり、損害無しで勝利する事が、費用対効果では、最大級の勝利となる。

ここには、軍事戦略家の「冷徹な、合理計算だけが存在する」。戦端を開かない事が
「臆病である」等とする、「映画・漫画の中だけの英雄主義」とは無関係である。

ハートは、言う。「相手が油断していない状況下で、また相手が反撃が可能であり、
こちらの攻撃を回避出来る間は、相手を刺激し、攻撃を加えてはならない。」「相手の
反撃を抑止し、反撃能力を奪う手段を事前に講じ、その後に、攻撃せよ。これは
軍事戦略の鉄則である(敵の反撃抑止策を講じず、無闇に攻撃を加えれば自国軍に
犠牲者が多発し、自国民に死者が多発する。国民に死者の多発する戦略を採用する
無能な、自国防衛の軍隊の存在が許される「はずがない」)。

田母神は、そのような敵国の反撃手段の抑止手段を講じた上で、論文を公表したのか?
一切、そのような抑止戦略を、田母神は講じていない。日本軍部の、軍人としての
戦略的無能を世界に暴露した田母神の罪は、「軍事的に大きい」。この男は、軍人として、
無知・無能である。

ハートは、言う。「1度失敗した線で、再度、攻撃を行うな。」日本は北朝鮮問題で、米国を仲介に立て、常に失敗している。

 なお、クラウゼヴィッツの書物は、本人の死後、その夫人と後継者によって編纂され出版されている。クラウゼヴィッツであれば削除したであろう部分、本人の本意で無い部分も、含まれた形で公表されている事実を、戦略家クラウゼヴィッツの名誉のために付言しておく。

漫画家出身の、「過激派気取りの、自称・愛国者」小林よしのりレベルの、マヤカシ民族主義者右翼達による「映画・漫画の中だけの英雄主義」から早期に脱出し、クラウゼヴィッツへ、そしてハートへ、「日本存亡の戦略議論」へと歩を進める必要がある。

(終わり)


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