■「街頭パフォーマンス規制」条例 東京都議会でスピード成立
藤田五郎・山谷労働者福祉会館活動委員会
週刊金曜日 金曜アンテナ(2009/3/27)
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=552
三月一八日、東京都議会総務委員会で「東京都安全・安心まちづくり条例」改正案が賛成多数で可決された。
二七日の本会議でも可決・成立する運びだ。
この条例自体は二〇〇三年、警察の仕事である防犯活動に自治体や住民、事業者を組み込み、住民の「自主的」防犯パトロールを警察がバックアップ、繁華街には監視カメラを広く設置するという目的で制定されたものだ。
警察官僚出身の竹花豊副知事が積極的に推進して以降、町内会などの防犯パトロールが増え、歌舞伎町もすっかり「浄化」され、東京の治安管理が確実に強化されていった
東京都内の刑法犯は、二〇〇三年以降、減少傾向にあるという。ではなぜ今、「改正」なのか。改正案づくりを担った「東京都安全・安心まちづくり有識者会議」(座長・小出治東大教授)によれば、繁華街ごとに推進協議会を設置して、「街頭や歩行者天国において、大衆に多大な迷惑となるパフォーマンス等、街の秩序を乱す行為を慎む」ことを、「啓発活動」を通じて徹底させる、と一段と踏み込んだ中身になっている。
問題はこの「迷惑なパフォーマンス」という文言。
東京都の担当部署である治安対策本部に直接そのことを質すと、「秋葉原のメイド撮影会であるとか、大音量の路上ライブ、落書き」と、とってつけたような回答が返ってきた。しかしメイド撮影会は昨年四月に、商店会と警察による集中規制でほとんど消滅し、大音量や落書きなどは、現行法・条例で対処でき、いずれも喫緊の問題とは思えない。むしろ、有識者会議や警察が重視しているのは「治安維持」を阻害する
「米国発の金融危機を契機とした」「社会不安」にともなう、さまざまな動きである。
たとえば街頭行動や労働争議の激化、派遣村や街頭炊き出しの拡がりに、新たな規制の網をかけようという思惑が透けて見えるのだ。もちろん当局側は「あくまで啓発活動なので、政治活動や表現を規制するつもりはない」とは言う。しかし、迷惑を判断するのは、各繁華街の推進協議会、要するに現代版の隣組・自警団なのである。
それにしても、こんなあいまいで危うい中身に、パブリックコメントもわずか一週間、委員会審議もたった二時間半という拙速で、なぜ三月中に成立させなければならないのか。一方で、五輪招致(東京は他の候補地に比べて「治安のよさが売り」、四月にはIOC委員が東京を視察する予定)も関係しているとの声もある。
推進協議会は、「不法就労の外国人」の存在をチェックし、街の治安を乱す「迷惑行為」に目を光らせる。警察との密接な連携は、警察にとっても好都合というわけだ。
審議入りの一七日には、中小の労働争議に取り組む労働組合、山谷や渋谷の野宿者運動などが呼びかけて、緊急の抗議・情宣行動が都庁前で行なわれ、翌日には、フリーター労組が抗議情宣。さらに「ディストピアTOKYO」という有志の運動が立ち上がり、二二日には約七〇人が新宿をデモするなど、抗議の輪が徐々に拡がっている。
本会議採決の二七日には、午前一一時から午後一時にかけて、再び都庁前で抗議の情宣・集会が行なわれる。
注目を!
藤田五郎・山谷労働者福祉会館活動委員会
週刊金曜日 金曜アンテナ(2009/3/27)
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=552
三月一八日、東京都議会総務委員会で「東京都安全・安心まちづくり条例」改正案が賛成多数で可決された。
二七日の本会議でも可決・成立する運びだ。
この条例自体は二〇〇三年、警察の仕事である防犯活動に自治体や住民、事業者を組み込み、住民の「自主的」防犯パトロールを警察がバックアップ、繁華街には監視カメラを広く設置するという目的で制定されたものだ。
警察官僚出身の竹花豊副知事が積極的に推進して以降、町内会などの防犯パトロールが増え、歌舞伎町もすっかり「浄化」され、東京の治安管理が確実に強化されていった
東京都内の刑法犯は、二〇〇三年以降、減少傾向にあるという。ではなぜ今、「改正」なのか。改正案づくりを担った「東京都安全・安心まちづくり有識者会議」(座長・小出治東大教授)によれば、繁華街ごとに推進協議会を設置して、「街頭や歩行者天国において、大衆に多大な迷惑となるパフォーマンス等、街の秩序を乱す行為を慎む」ことを、「啓発活動」を通じて徹底させる、と一段と踏み込んだ中身になっている。
問題はこの「迷惑なパフォーマンス」という文言。
東京都の担当部署である治安対策本部に直接そのことを質すと、「秋葉原のメイド撮影会であるとか、大音量の路上ライブ、落書き」と、とってつけたような回答が返ってきた。しかしメイド撮影会は昨年四月に、商店会と警察による集中規制でほとんど消滅し、大音量や落書きなどは、現行法・条例で対処でき、いずれも喫緊の問題とは思えない。むしろ、有識者会議や警察が重視しているのは「治安維持」を阻害する
「米国発の金融危機を契機とした」「社会不安」にともなう、さまざまな動きである。
たとえば街頭行動や労働争議の激化、派遣村や街頭炊き出しの拡がりに、新たな規制の網をかけようという思惑が透けて見えるのだ。もちろん当局側は「あくまで啓発活動なので、政治活動や表現を規制するつもりはない」とは言う。しかし、迷惑を判断するのは、各繁華街の推進協議会、要するに現代版の隣組・自警団なのである。
それにしても、こんなあいまいで危うい中身に、パブリックコメントもわずか一週間、委員会審議もたった二時間半という拙速で、なぜ三月中に成立させなければならないのか。一方で、五輪招致(東京は他の候補地に比べて「治安のよさが売り」、四月にはIOC委員が東京を視察する予定)も関係しているとの声もある。
推進協議会は、「不法就労の外国人」の存在をチェックし、街の治安を乱す「迷惑行為」に目を光らせる。警察との密接な連携は、警察にとっても好都合というわけだ。
審議入りの一七日には、中小の労働争議に取り組む労働組合、山谷や渋谷の野宿者運動などが呼びかけて、緊急の抗議・情宣行動が都庁前で行なわれ、翌日には、フリーター労組が抗議情宣。さらに「ディストピアTOKYO」という有志の運動が立ち上がり、二二日には約七〇人が新宿をデモするなど、抗議の輪が徐々に拡がっている。
本会議採決の二七日には、午前一一時から午後一時にかけて、再び都庁前で抗議の情宣・集会が行なわれる。
注目を!