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【ビジネスジャーナル】いわゆる「新卒一括採用」について考える

 「ビジネスジャーナル」で連載中の『山崎元「耳の痛い話」』に、「 難しい“優秀な人材獲得”問題 リーズナブルに解雇できる仕組み必要 新卒一括採用は愚行 」と題する記事を書きました。
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 今回は、いわゆる「新卒一括採用」をテーマに選びました。
 まず、大学人にとっては残念なことですが、企業が欲しいのは優秀な素材であって、大学で身につけた知識ではありません。企業から見て「優秀な人」は、大学に入った段階ですでに優秀であることが殆どです。
 よって、経済界の申し合わせにより2016年度の大学卒業予定者から採用活動の時期が繰り下げになりますが、企業が真に有能な人材を獲得しようとするなら、大学入学後、より早い時期にアプローチして確保を試みるべきでしょう。あるいは、その優秀な人物がどこかに就職してからでもよいですが、その場合は、とびきり魅力的な経済的条件の提示が必要になります。

 新卒一括採用は、年齢や経験年数で昇進や報酬を決める日本企業の人事制度と結びついています。しかし、こうした制度自体が「人」に対してあまりに大雑把であり、人材を有効に活用していません。既存社員に対する評価と報酬の設定をもっと個別化して丁寧に行うべきでしょう。
 さらに言うと、新卒採用も中途採用も、採用活動を活発に行うにはすでに採用した人材をリーズナブルなコストで解雇できる仕組みが必要です。解雇規制緩和が進めば、それに対応して採用に関する柔軟性も、より拡大されることでしょう。
 このように新卒一括採用を変更するとなると、会社内外の制度や人事マネジメントの方法まで変化が必要になりますが、それは優秀な人材を確保し、さらに人材を有効に活用しようとする企業にとっては好ましい変化です。

 もちろん、日本企業がすべて新卒一括採用だけを行っているわけではありませんが、学生の側には、「新卒での就職が標準であり、ここから逸脱すると不利なのだ」という刷り込みが少なからずあります。新卒でなくてもいい企業に就職できるし、人事上の扱いが不利にならないということになれば、若者は起業にも学術研究にももっと大胆にチャレンジ出来るでしょう。
 就職活動の多様化・柔軟化は、社会全体から見ても、十分なメリットがあります。
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