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【楽天証券】GPIFの運用計画見直しに関するQ&A

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「GPIFの運用計画見直しに関するQ&A 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 GPIFについては、何度も取り上げていますが、私の意見は、『運用の一般論として株式のリスクを取ることは悪くないが、GPIFの資金で株式投資するのは良くないと考えるべき相応の理由がある。従って、GPIFは株式投資を増やすべきではない』というものです。
 重要な問題なので、今後も機会を捉えて、形を変えつつ、多くの人に伝わるように努力したいと思っています。

 さて、このところ話題のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用計画見直しに関して、投資家が興味を持つと思われるポイントを5つ選び、Q&A形式で易しく説明してみました。

(1)GPIF運用計画の見直しで株価は上がりますか?

 将来、株価が上がるかどうかは、誰にもわかるものではありません。なので、あくまで可能性として答えるならば、株価は上がるでしょう。しかし、その効果は一時的なものになります。
 企業の業績改善など、株式の価値が高まったわけではないのだから、GPIFによる買いが止まれば、上がった株価はまた、ずるずる下がっていくでしょう。

(2)GPIFはいつ株を買うと予想しますか?

 9月に新しい運用計画を発表して、GPIF自身は、その直後から期限を明示せずにある程度の期間をかけて株式を買い増すことになると予想しますが、時期は流動的です。
 ただし、公的年金資金の買いについては、市場関係者が把握して情報が出回ることが多く、市場では「だいたい把握され」ているとみるべきです。

(3)GPIFの運用計画見直しで儲かるのは誰ですか?

 GPIFの動きを「結果的に」上手に利用出来た投資家は儲かるでしょう。一方、彼らよりも「確実に」儲けることになるのは、運用手数料が増える運用会社です。

(4)GPIFの株式買い増しは良い経済政策ですか?

 以下の点から、良い政策ではないと言い切れます。
・株価対策としての効果は一時的なものに過ぎない
・公的年金資金であるがために、運用計画の説明責任を果たすと市場参加者に利用され、しかも、それが市場参加者間で公平ではない形で利用される可能性が大きい
・長期的にも、政府の一部門である公的年金が、民間企業の大株主になることによる、企業統治への弊害がある

(5)GPIFの資金運用と個人の資金運用のちがいは何ですか?

 リスクとリターンを意識して運用を考えなければならない点は同じであり、運用そのものの難しさに大差はありません。
 しかし、GPIFが運用する資産が年金加入者から預かった「他人のお金」であることと、巨額であることの二点に於いて、個人投資家の運用とは異なっています。
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【ビジネスジャーナル】NISA枠拡大に見合う投資教育の必要性

 サイゾー社が運営するWEBメディア「ビジネスジャーナル」に、「 NISAで金融機関のカモになる人々、なぜ多い?最低限抑えるべき3つの投資教育とは 」と題する記事を書きました。
(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 NISAの利用枠拡充について、有力閣僚が相次いで言及しています。
 しかし、その内容はというと、「現場に合って」いるとは言い難い、残念な発言が見受けられます。また、一般の投資家にしても、利回り計算程度の知識を投資に応用出来れば分かる筈の、本来は簡単な常識があれば手を出すことのない、明らかに得ではない商品が売れ筋になっています。
 残念ながら、これが、日本のマネーリテラシーの現状です。

 NISAのような仕組みの充実はいいことですが、加えて、金融資産の運用を、真に利用者の立場から、無駄なく且つ安全に行うための投資教育を全国民に浸透させる努力が必要であるように思います。

 投資教育で最低限伝えるべき内容を三つに絞るなら、
(1)正しい損得計算方法
(2)リスクの扱い方
(3)投資ビジネスの構造
でしょう。
 そのためには、先ず、中高の数学で金融の損得計算を扱い、入試問題にもしばしば出題される状況を作ることと、金融機関ないしその利害関係者がスポンサーではないテレビ番組等で、金融ビジネスの利害を離れた投資教育を繰り返し、繰り返し伝える機会を作ることでしょう。

どなたか、やる気のある番組制作者はいらっしゃらないでしょうか。
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