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確定拠出年金◆理想の商品ラインナップの考え方

 先日、ダイヤモンド・オンラインに確定拠出年金について書きました。

 私自身は、「個人型」の確定拠出年金が、もっと充実した制度になって、広く普及することが望ましいと考えていますが、現行制度では、企業単位で普及する「企業型」の方が現実的なのでしょう。
 今回の「確定拠出年金、理想の運用商品ラインナップを考える」では、もし自分が確定拠出年金の導入担当者だったら、どんな運用商品のラインナップを作るのがいいか、という視点で書いています。「確定拠出年金の「望ましい」ラインナップ(山崎案)」の具体的な選択肢については、ダイヤモンド・オンラインの掲載記事をご覧頂くとして、ここでは、その選択に至る考え方について書こうと思います。

 まず、確定拠出年金は加入者の老後の生活を支える大切な資金ですから、手堅い運用が求められます。
 とは言え、元本確保型の商品の利回りでは、老後に大きな不足が生じるケースが殆どでしょう。それでは、元本確保型商品より期待リターンが高い、リスクのある運用商品を容用意すればいいのかと言うと、こうしたリスクのある運用商品を揃えるには、十分な情報提供と投資教育が必要になります。
 運用商品のラインナップには、加入者に十分な情報提供ができるかどうかという点が、重要なポイントになってきます。

 次に、確定拠出年金の商品ラインナップに必要な条件について考えてみましょう。

【良い確定拠出年金の商品ラインナップ3原則】
原則その1.選択肢の数が多すぎないこと
 ・理想的には1桁の本数に留める
 ・加入者が欲しがる商品を全て揃えるよりも、加入者が間違える可能性を減らす方がより大切である
 ・運用商品は、事務局が完全に理解して、情報提供が出来る(質問に対する回答も含めて)商品のみを選ぶ

原則その2.内容が分かりやすいシンプルな商品であること
 ・加入者にリスクの大きさや内容を示すことができ、且つ過去の実績がある商品
 ・資産配分のベンチマークとなる指数をターゲットにするインデックス・ファンドが現実的であると同時にベストの選択肢
 ・バランス・ファンドは、制度や税制上の点で確定拠出年金には向かない

原則その3.手数料コストが低いこと
 ・運用手数料(投資信託の場合、信託報酬)は、会社にとっても、社員にとってもコストであると心得よ
 ・手数料は、年率25ベイシス・ポイント(1ベイシス・ポイントは1パーセントの百分の一)以内に抑えるのが好ましい(この面からも、アクティブ運用の商品は選択肢から除外される)

 また、確定拠出年金の運用は、「全体の中の一部として、最適化する」と考えると、スッキリと理解し、適切に意思決定することができます。
 導入時に必要な、制度の説明や、個々のアセットクラス、運用商品のリスクとリターンの説明などに加えて、「確定拠出年金の合理的な使い方」の情報提供を、できれば、なるべく早い段階から行うのがよいでしょう。
 個々の加入者の確定拠出年金の資産額は小さいが、運用に必要なリスクの理解と判断のツボは、大きな年金基金と本質的に変わりません。間違える余地の少ない、無駄のないラインナップの提供と、ツボを押さえた情報提供が大切です。

→「確定拠出年金の「望ましい」ラインナップ(山崎案)」の詳細はこちら。ダイヤモンド・オンライン「確定拠出年金、理想の運用商品ラインナップを考える」



【補足】この原稿は、ある確定拠出年導入予定企業へのコンサルティングをきっかけとして、私の考えを文章にまとめたことから派生したものです。同企業に感謝するのと共に、「まずまず満足のいく商品ラインナップが出来そうだ」という印象を得て気分を良くしたことを付記しておきます。
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