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政治家の説明責任

 小沢一郎氏の政治資金に関する問題が大きく動いている。
 この間の動きを複数の新聞で見ていると、「読売」「産経」と「朝日」「毎日」では別の事案ではないかというくらい報じ方がかけ離れていたが、石川議員の逮捕に及んで各紙の記事の調子が揃った。やはり国会議員の逮捕ともなると重大事なのだろう。
 「毎日」の記事によると、昨年3月、捜査が迫ってきたときに小沢氏は元秘書であった石川氏に対して小沢氏は「おい石川、腹すえろ。お前のところにも(検察の捜査が)行くからな」と声を掛けたというが、石川議員の「腹」は今、どんな案配なのだろうか。
 鳩山首相、小沢幹事長と、民主党は表裏のトップの政治資金問題を抱えている。それでも自民党の支持率は上がりそうにない時期であることが、民主党政権にとっては幸運に見えるが、対応を誤ると政権の瓦解もあり得なくはない。

 事実関係に関しては、それこそ鳩山首相のように「捜査の行方を見守る」しかないが、鳩山首相、小沢幹事長のこの問題を巡る説明については、どうにも納得しがたい点が一つある。それは、彼らが、自分のの政治資金の問題について、自ら説明しないことだ。
 鳩山氏は「捜査中なので」説明しないと言うことが多いが、「捜査中」は理由になるまい。刑事事件の容疑者は自分に不利な供述を強要されるべきでない、という原則はあろうが、鳩山・小沢両氏のような人達が自分の問題を自分で説明して悪いという理屈はどこにもない。
 政治家としては、自分の問題が起こった時点で事実関係を自分で確認すべきだろう。議員としては何を置いても重大な問題であり(自分にとってもそうだし、自分に投票した有権者に対してもそうだろう)、全力で事実を調べるべきだろう。それで分からないというというなら、政治家を続けるべきではない。事実関係の調査は捜査に任せるべき問題ではない。「捜査中」あるいは「公判中」だからコメントしないというのは、押尾学クラスの小物(公的立場でないという意味で「小物」と言っている)ならともかく、有権者の付託を受けた議員の立場では到底納得できる理由ではない。
 連日の小沢氏擁護の論陣で、何やら安倍政権末期の「産経新聞」を鏡に映して左右逆に読んでいるような感のある「日刊ゲンダイ」(←学生時代からの愛読紙)だが、この日刊紙でさえ、鳩山、小沢の両氏は事実関係をきちんと説明すべきだと言っている。
 自分の問題を自分で説明しない時点で、彼らには退場勧告を突きつけてもいいのではないだろうか。

 以下、余談を少し。
 「日刊ゲンダイ」が言うように、捜査の情報がどんどんリークされる(今のところ「読売」の報道が突出して早くで豊富だ)状況は、公務員の守秘義務違反だろう。こと検察の問題に限らず、本来なら、「公務員の誰々が、○○新聞に重要情報を漏らした」ということ自体が大きなニュースになるべきだが、情報源に飼い慣らされたメディアがこれをやる可能性は残念ながら極めて小さい。潰れそうな某新聞あたりで、一度やらないものだろうか。
 権力を集中させるシステムについては、今回の政権で、小沢氏が一つの解答案を分かりやすく示したように思う。小沢氏以外のプレーヤーが彼のシステムをそのまま使いこなせるかどうかはよく分からないが、このシステムがどう変化していくかに注目したい。
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