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ポジティブ・シンキング・バカ(PTB)とネガティブ・シンキング・グズ(NTG)

 安倍政権に怒るような話題は、続けると暑苦しいし、さすがに自民党内でも「安倍下ろし」的な動きが出てきたようなので、ゆるい話をもう一つ。

 私は、転職関連の話を中心に、自己啓発的なビジネスの話題で、取材を受けたり、原稿を書いたりすることがありますが(この種の仕事の1-2割でしょうか)、このジャンルの文章を読んだり、ビジネスの場で、或いは転職の相談を受けたりするような場合に、イライラする性格類型を二つ見つけたので、書いておきます。

 一つは、「ポジティブ・シンキング・バカ」(PTB)とでも言うべき、願いと現実の区別が付かなくなっていて、歪んだ現実認識に、周囲を付き合わせるタイプの人物です。何でもポジティブに考えようとするので、基本的に前向きな人ではあるのですが、周囲にも同意を求め、時には努力を強要するので、迷惑だ、といったキャラクターです。
 現れ方は大きく分けると二種類あって、一つは、「願い事は、十分真剣に願うと、必ず叶う」「叶わないとすれば、願い方と信じる心に不足があるからだ」という論理構造を持っている人で、ポジティブなことを口にしていると幸せになると言って歩いたり、目標を手帳に書いて毎日眺めると必ず達成できる、と広言したりします。「それが本当なら、進学も、就職も、時価総額も、・・・、もっと高い目標を書いて置けよ」と突っ込みたくなるような、話をするのですが、本人は意に介さないようです。自分の目標を具体的に意識化することは、大切なのですが、それだけで物事が達成できるわけではありませんし、現実を認識することも重要です。また、何よりも、この種の話は、聞いている方が恥ずかしいのが、困りものです。
 もう一つは、現実に合わせて、願いや解釈を修正するタイプで、仕事に失敗しても「いい経験になった」、大学受験で失敗した話をするときには「おかげで本当の勉強の仕方が分かった」、第三者が見てもつまらない転職話の誘いでも「またとない、素晴らしいチャンス」と口にして、他人の同意を求めます。また、本人の問題だけではなく、他人についてもこうした解釈を適用して得意になる場合があります。
 「失敗は、失敗として認めた方が、自然ですよ。元から望んでいたわけではないでしょうし」と言いたいところを、ぐっと堪えて、「なるほど、そういう考え方もありますか」などと曖昧な相づちを打つ必要がある場合もあって、この種のPTBは迷惑です。
 参院選で大敗した安倍首相が、「これで危機感が生まれて、かえって改革が加速する。ある意味では良かった」などと言えば、典型的なPTBですが、彼の場合は、PT抜きのプレーンな「B」のようです。これは、これで、もっと困りますが。

 もう一つ、話しをしていて、もてあますのは、全てのことにケチを付けて、「いまそれをやらない方がいい理由」或いは「やっても意味がないという理由」を探して、自分でも動こうとしないばかりか、他人の積極性にも水を差そうとする愚図です。こちらは、「ネガティブ・シンキング・グズ」(NTG)と命名することにします。
 一昔前で言うと、「転職しても、日本の会社はどこも同じ」(自分は転職したことがないくせに)、「転職を重ねると、だんだん悪くなっていくから、どこかで止めないと」(余計なお世話だよ~ん)、などと部下や若者の転職話に水を差そうとする上司や、あるいは、もともと自分では転職に興味があるくせに、具体的に転職先を紹介されると、あれやこれやと転職しない方がいい理由を探す愚図などが典型的でした。
 一人で密かに消極的なだけなら、周囲にとって迷惑ではないのですが、この種の人は、自分が持っている「不景気の気配」を他人に伝染させるので、厄介です。

 PTBやNTGは、それなりに強固に凝り固まった性癖なので、他人がこれを矯正して付き合おうとすることは、ほぼ無駄な努力です。離れて影響を受けないようにするか、言っていることを一気に破壊して、直ぐにその人物から離れる「ヒット・アンド・アウェー」の作戦を採るか、何れかしか、対処の方法はありません。どちらも、木っ端みじんに論破しても、またじわじわと復活してくるので、捨てられない荷物的な人間関係になる前に、離れておくのが得策でしょう。
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