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検察とマスコミの癒着

今の段階では事実かどうか分からないのだが、さるマスコミの関係者から、「明日(26日のことなので、今時点で正確には、今日だ)、耐震偽装の関係者が一斉に逮捕されることになっているので・・・」という連絡を貰った。なぜ、マスコミが、重要容疑者の逮捕のタイミングを(かなりの確信を持って)知っているのか。

そういえば、ライブドアへの強制捜査についても、NHKが実際のガサ入れよりも先に報道を流す失態を演じて、東京地検に大目玉を喰らったというニュースの記憶がまだ新しい。しかし、地検とNHKの間では、捜査の内容を先に知っていたNHKがフライング報道したのが悪いとしても、世間的には、重要な捜査情報を、メディアとはいえ、一民間機関に流した地検こそが悪いということになるのではなかろうか。

伝聞の話で、根拠が定かでないが、ライブドアの幹部社員は、ガサ入れの直前に、「うちは、近々ガサ入れされるらしいから、うちの株は早く売った方がいいよ」と親しい友人に伝えていたらしいという噂を聞いたこともある。たとえば、メディアが強制捜査の情報を掴めば、メディアの担当者から親しい知人に情報が漏れることがあるだろうし、メディアとしても裏を取ろうとするだろう。

ライブドアの件に関しては、地検が明らかに「まずい」のではなかろうか。

それにしても、ライブドアにしても、耐震偽装にしても、こうした情報がメディアに流れる訳は、(推測だが)、地検が自分達の活動を効果的に広報したい(都合良く、且つ、効果的に、「手柄」になるように報道して欲しい)と思うから、守秘を条件に、捜査情報の一部を洩らすようなことが日常的にあるからではなかろうか。つまり、検察とメディアの癒着だ。また、この場合、メディアの側の担当者は、ニュースを「他社に抜かれる」ことが最大の恐怖であるサラリーマンだから、情報提供にかんしてさじ加減の出来る地検から見ると、全く簡単に取り込める相手ということだろう。

こうした「癒着」には、情報漏れの可能性がつきまとうし、報道に偏向をもたらす可能性もあるので、明らかに、好ましいことではない。しかし、これを批判しようとしたときに、批判を届けることの出来るメジャーなメディアが存在しないという難しい問題がある。

それにしても、耐震偽装に関しては、ガサ入れも、逮捕も、何とも遅い。ガサ入れや逮捕の主な目的は、証拠隠滅の回避の筈であるが、耐震偽装関係者には、証拠を操作する(隠すなり、改竄するなり)、相当の時間が与えられたことは疑いない。偶然であるのかも知れないが、民主党のメール問題が噴出している間は静かにしていて、千葉の衆院補欠選挙の投票が終わってから、やおら逮捕ショーに踏み切るという検察の行動タイミングも作為的な感じがする。

ちなみに、報道としては、「なぜ逮捕されたか」「これからどうなるか」ということに関する報道が重要であって、「どのように逮捕されたか」という映像などは、”あればなおいい”という程度のものだろうが、テレビは映像を流したいし(検察も正義が行動する様を流して欲しいし)、新聞も写真のシャッターチャンスを競う。

検察ピープルもある意味ではサラリーマン達だから、現実問題としては、彼らにだけ高潔な倫理を求めても仕方がないのかもしれない(本当は、倫理だけは求めたいが)。

この状況の中で、何が一番の問題なのかということに関しては、複数の意見があり得るが、私は、こうした検察を批判する報道を行わないメディアの連中(記者クラブで草をはむ羊たち)の根性が一番の問題だと思う。彼らの根性の中で、「ジャーナリズム」の骨格をなすべき鉄筋が不足して、サラリーマンというセメントの重さに耐えられなくなっている、ということに違いあるまい。日本の社会には、現在、驚くほどに自浄能力が無い。
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